雑感、世界陸上をテレビ観戦して

台風15号、広島市内からは遠ざかっているようですが、今回は台風が西側を通ったため、朝から風雨が強い状況が続いています。

現在は雨は小降りになっているようですが、風は一向に収まる気配はなく、目の前に広がる宇品港の景色も、普段とはまったく違うものになっています。

こんな日は基本外出は控えるべきで、予約の変更やキャンセルがあったため、朝から開店休業状態が続いています。

夕方三男が車で迎えにきてくれることになっているので、自分のためのトレーニングや海を眺めながら時間をつぶしている状態です。

さて、今回はあまり注目していませんでしたが、世界陸上が連日テレビで放送されています。

昨日はなんとなくですが、長い時間中継を見続けました。

残念ながら日本の選手と海外のトップレベルの選手たちのレベルが違い過ぎて、日本がんばれという雰囲気には程遠い状態だと思います。

その中でも、やり投げの新井選手だけは、久し振りに良い体の使い方をしているなと思わせてくれる選手が登場しました。

中学までは野球をやっていたそうですが、詳しいことはわかりませんが、高校に入ってからやめてしまい、目標を失った状況の中で出会ったのが、世界陸上をテレビで見た時に凄いなと思った海外のやり投げ選手の投てきを見て、自分もやってみたいなと思ったことが、やり投げを始めたきっかけだそうです。

現在中日ドラゴンズのGMを務める落合博満さんも、団体競技である野球になじめず、いわゆる野球エリートの道を外れたにも関わらず、その才能は誰が見ても光るものがあったようで、プロの道に進み、超のつく一流選手になっていった選手でした。

やり投げはまさに個人競技ですが、その技術を習得するためには、きちんとしたコーチの指導を受けなければならないでしょうから、単純に我が道を行くでは済まないと思います。

彼に限らず、大きな可能性を持っている選手は世の中にはたくさんいると思います。

今選手という言葉を使いましたが、スポーツ環境に恵まれなかったり、本人がまったく気づかないままに才能が埋もれてしまうということもあると思います。

みんながスポーツを行うことを望んでいるわけではありませんが、スポーツに限らず様々な分野でこういうことはあるのではと思います。

新井選手を見るのも名前を聞いたのも初めてでしたが、助走から最後に投げる態勢に変わり、リリースしてファールにならないように踏ん張るところまで、素人目に見ても無駄がないというか、動作の全てが槍を投げるということに繋がっているように見えました。

さらには一番大事なところですが、槍が耳の横をこするように体の一番近くをすり抜けて出てきます。

その前に、私が野球の選手に言い続けてきた、投げる方向に肘を向け手首は小指から出てくるのが正しいという、運動の連鎖を見事に表現してくれています。

体格的にもっと大柄な外国人選手は多くいますが、腕の振り方という意味では、予選A組の中では間違いなく一番良い動きだったと思います。

比較の問題ではなく、私がこれまで見てきたやり投げの選手の中でもトップレベルだと思います。

あれだけの体格と正しい腕や肘の使い方ができる選手ですから、もし野球を続けていればどんな投手になったことかと、余計なことを考えてしまいます。

今回は出場していませんが、村上選手も野球からの転向組で、テレビの企画で見ましたが140キロのスピードボールを投げていました。

同じ投げるという動作ですが、野球の関係者は槍を持つ手首の角度と、野球のボールを持つ角度は違うからと言いますが、私はまったく同じだと言い続けています。

今度新井選手にも、遊びでいいですから野球のボールを投げるところを見てみたいです、きっと凄いボールを投げると思いますよ。

他の種目では、残念ながら見るべき選手はいませんでした。

今日は200メートル予選にスーパー高校生16歳のサニブラウン選手が登場しますが、100でも2位になったガトリンと並んで走るそうで、気楽に走ってほしいと思います。

その他の競技は、もう比較云々というレベルではないので、見ていてあまり楽しくありません。

100メートル女子の福島選手も日本では敵なしですが、準決勝では予選で出した11秒23よりも悪い11秒32で、予選2組の7位に終わりました。

何度かレースを見たこともありますし、今年の織田記念陸上では目の前でその走りを見ました。

きちんとトレーニングを積み、日本女子としてはかなりのレベルに到達している選手なのでしょうが、私は何か物足りないものを感じてしまいます。

フォームもある程度完成されているのでしょうし、筋力という意味でも毎年の積み重ねが今の体を作り、それを使って走っているとは思います。

昨日のレースでも前半の30メートルくらいまでは、他の選手と遜色はないと思います。

ところが中盤から後半にかけて、圧倒的なスピードの差が出てきます。

スタート良し、前半の加速良し、なのに後半がということになってしまうのは何故でしょうか、海外の選手とどこが違うのでしょうか。

私が思うに、前半の速さは福島選手の体の軽さと、そして足を速く回転させる、いわゆるピッチの速さによるものだと思います。

ところが後半に入ると、地面を蹴る力が前に進む推進力としてではなく、強く蹴って大きく振り出されて着地する足が、推進力を止めるブレーキになっているように見えるのです。

骨盤の角度がきちんと維持されていないためです、体の前側の筋肉が出しゃばっています。

そのブレーキがかかった状態の体を、さらにアクセルである蹴り足で前に運んでいく、ブレーキを踏みながらアクセルを踏むという、なんとも大変な作業をしているように見えてしまいます。

さらにはここ一番のレースになると、やはり力んでしまうのか、そのブレーキアクセルの動作が顕著になって、足は走っているのだけれど骨盤は前に進んでいかない、そんな風に見えます。

力むイコール屈筋優位の筋力発揮となることは何度も繰り返してきました。

走るという行為に関しては、過去何度も触れてきましたが、短距離こそ、いかにブレーキをかけずに駆け抜けるかという動きが要求されると思います。

トップを争う選手たちは、骨盤がぐいぐい進んでいきます。

骨盤から背骨のアーチが見事に保たれ、膝から下がスイスイ前に運ばれ、ぐっとそり出した骨盤の股関節の真下に、ブレーキではなくスッと乗って行く感じで、滑るように前に進んでいきます。

いろいろなトレーニングを行っているとは思いますが、筋力では絶対に対抗できないと思います。

いかに地面とケンカしないで、ブレーキのかからない走りができるか、そのためにはどういう体の使い方をすればいいのか、私に意見を求められることはないと思いますが、今のままでは世界との差は広がるばかりだと思います。

見ている方はなんとでも言えます、選手やコーチが真剣に取り組んでいるからこそ、私なりの意見も言えるのです。

今日もじっくりテレビ観戦しながら、ああだこうだと自分の考えていることとの違いを分析したいと思います。

目の前の宇品港、まだまだ凄い風が吹き荒れています。



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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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