大いなる自己満足をモチベーションに (雑感)

「自己満足」、まさに私のためにある言葉かもしれません。

先日ある若い女優さんが、テレビ番組の収録中に、いわゆる裏方のスタッフさんたち、長いマイクを見えないように差し出している音声さんや、照明さんたちのことですが、自分の親のような年齢の方たちがやっていることが、彼女から見れば何が楽しくてやっているのだろうと、素朴な疑問を持ち、それを言葉にしてしまい、放送で流れてしまったことで、その発言に対して賛否両論があったようです。

彼女の発言に対してどう思うかは別として、生きて行くためには仕事をして対価を得なければなりません。
その仕事の内容に対して、心底満足して行っていると言える人はどれくらいいるのでしょう。

生きて行くため家族を養っていくため、好きなことやりたいことがあっても、自分の技術や能力があったとしても、それをそのまま活かせる職業につくことは容易なことではないと思います。

まだ10代の若い女優さんから見ればつまらない仕事だったかもしれませんが、どんな仕事にも知識や経験は必要で、プライドを持って仕事をしている人はたくさんいると思います。

月曜日にパート勤めの家内と休みが合ったので「アントマン」という映画を観に行きました。

ストーリーは私の大好きなヒーローもので2時間の間息もつかせぬ展開に大満足でした。

人がたくさん亡くなったり、建物や車を壊しまくる映画は基本的に好きではありません。

観ていて楽しく心和ませてくれる、少しコメディータッチのものが好きです。

そして映画の終わりに流れるエンドロールを見ていつも思うことがあります。

スクリーンに映る俳優さんたちは数えるほどの数しかいません。

セリフがある人も少なく、もし知り合いの人が出てるからと見に行ったとしても、確認できる人は少ないと思います。

それ以上に、表舞台には出てこないけれど、様々な立場でこの映画を作るために関わった人たちの数は、それこそ数百人はいると思います。

エンドロールに流れるたくさんの人の名前を見ながら、こんな映画に関わるくらいだから、それぞれの分野で一流の人たちなのだろうなと、見も知らぬ外国の人たちの名前をずっと見続けていました。

翻って自分の仕事を考えた時、私は何を求めてこの仕事をやっているのだろうと時々考えることがあります。

32歳で会社勤めを辞めてから、人間の体を相手にという部分では一貫して同じことをやっているつもりですが、その対象や環境は何度となく変わり、その都度全力で自分の能力を発揮してきました。

その間自分がいわゆる職業としてというか、下世話な言い方ですが商売として対価を得るための手段として仕事をしている感覚は不思議とありませんでした。

人間の体そのものが相手ということは、その人間そのものとの関係性、コミュニケーションを図ることが重要となります。

個人として組織の一員として、うまくやっていくという能力はどんな世界でも必要になってくるはずです。

なぜか私にはそんな発想がありませんでした。

常に頭にあることは、今目の前にいる選手や一般の方も含めてですが、どうすれば体がうまく動かせるようになるのだろう、痛みから解放してあげられるのだろう、それしかありませんでした。

その目的のために排除できるものは極力排除して来ました。

いわゆる付き合いとか、うまくやるということはできないというか、そのためにどうすればいいかなどということを考えたこともなかったように思います。

私の評価は関わった相手がしてくれるもので、それ以外の人間にわかるはずがないと思っているからです。

それは今も変わりません、相変わらず評価の基準はコミュニケーション能力に置かれているような気がします。

若い頃からそうですが、もう開き直っていて、ならば誰にも負けない技術で勝負してやろうという気持ちで仕事をしてきました。

ここまでのめり込むと、相手の方が引いてしまって空回りすることもありましたが、そんな相手に私の力を向けても仕方がないと、まさに開き直ることで環境も変えてきました。

今、「コンディショニングスタジオ操」という施設を作り仕事をしていますが、まさに待っている仕事で人がきてくれなければ成り立たないことはわかっていますが、ではそのための努力をしているかと言われると、返す言葉がありません。

それでもこれまで通り、私が自己満足できる仕事が時々ではありますが飛び込んできます。

どこに行っても良くならないとか、長年苦しんでいるという体の悩みを抱えて、過去に関わった方の紹介でこられる人がいたり、夢を叶えるために動きづくりのためのトレーニングの指導を受けるために来てくれたり、まさに私でなければと身を乗り出して話をしたくなる相手は、これからもまだまだたくさんいると思います。

昨日きてくれた選手もその一人です。

自分の現状を自分なりにきちんと分析していて、そのための方策を探っていく中で私の考え方に出会い指導を受けたいと思ってくれたというのですから、これ以上の相手はありません。

昨日が2回目の指導ですが、最初に指導したことをきちんと理解し、さらに足らないところ改善できそうなところを整理して臨んでくれました。

私は生来ガサツで短気な男ですので、相手に対して年齢の上下は関係なくなるべく敬語を使うようにしています。

本性を現すと言葉よりも手よりも足が先に出てしまうような人間ですので、それは避けなければなりません。

ただ私は本気で相手を変えたいと思った時には、どうしても本性が出てきて言葉が荒くなったりしてくることがあります。

前もって断っておけばいいのですが、本気の指導が始まるとスイッチが入るというのでしょうか、ほかのことがどうでも良くなってしまうのです。

私から厳しい言葉を浴びせられた方々、申し訳なかったとは思っていますが、私を本気にさせてくれた、私に本気が伝わってきた証拠だと思ってお許しください。

昨日も指導中そんなことがありました。

1回目の指導で、体の仕組みや伸筋の重要性については理解してくれています、基本的な身体の使い方も実技でしっかり伝えました。

彼がさらに求めているのは、現役のサッカー選手としてもう一段上のレベルの選手になるための身体の使い方です。

大きいとか強いとかいう、いわゆるフィジカルの能力とは違う、人間が本来持っている身体の能力がどういうものなのか、それを私から学び使いこなせるようになることこそ、自分を高める唯一の方法だと思ってくれました。

まさに私の腕の見せ所です、近くではありませんのでしょっちゅう来てもらうというわけにはいきません。

それでも本人の高い意識があれば、習得は可能だと思います。

もちろん1度や2度でというわけにはいきませんが、1度目より昨日は確実に変化していますし、まだまだ向上する余地はたくさんあると思います。

西本塾参加者からの質問にも出てくる、「まっすぐ走ることはできるようになったがターンやストップは」などという一番受けたくない質問も、もうされることはないと思います。

自分が行きたい方向にどうやって素早く移動するか、ストップは止まるではなく、相手の動きに対応できるように、その場にとどまってはいるが静止しているのではなく、股関節でアイドリングしている状態、これもわかってくれました。

大きくて強いから当たり負けしないのではなく、当たる瞬間に身体の意識を変えることで十分対応できること。

既成概念の扉を一つづつこじ開けていくことで、彼の動きは確実に変わっていきます。

以前の私の口癖は、誰に対しての言葉でもありませんが、「見とけよ、俺が指導した選手はこうなるんだ」くらいの勢いがありましたが、今はそういう気持ちも超えてしまいました。

誰かが見ていようと、その変化に気づこうと気づくまいと、それはもう関係ないことで、縁あって私を頼ってわざわざきてくれた人間の能力を、私の考え方とやり方で、極限まで引き上げるのが私の仕事だと、シンプルに考えています。

信頼に応える、結果を出す、それに向かう過程では鬼にもなるし仏にもなる、すべては相手のため、その過程も結果も全て納得できるものにしていく、これが私にできることであり、やらなければならないことだと思います。

他にもいろいろな考え方や方法で、同じようなことをしている人はたくさんいると思いますが、そんな人たちと自分を比べても仕方がないので、自分なりに自分が考えるそのときその瞬間のベストなやり方を、相手のためにという気持ちを込めて発揮していきます。

「大いなる自己満足」これ以外に私の能力を本気で発揮していくモチベーションはないと思います。

原因不明の痛みに心が折れそうになっている選手も、絶対に復活させたいと知恵を絞っています。

どんな目的に対しても、方法論や技術ではないと思います。

相手のために自分は何ができるか、相手がどうこうではなく自分の持っている能力の全てを発揮し、それでも足りなければ何か新しい発想を練り上げ、最後に相手の喜ぶ顔を見て、そして最後に一人になった時に、小さくガッツポーズをして「よっしゃ」と自己満足に浸る、なんのためにこの仕事を選んだのか、これがその答えだったように思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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