思いは届かずとも、そして伝えなければならないこと

今日は書いておきたいことが2点あります。

一つ目は、昨夜というか、日付が変わった深夜に頂いたコメントですが、ここで紹介させていただき、私の思いを付け足したいと思います。

初めてコメントをいただく方でしょうか、「たけ」さんから届いたコメントです。

こんばんは、毎度更新を楽しみにしております。

さて、今回書かれた文章とは、そこまで関連があるわけではないのですが、ACミランの本田選手がここ1年ほど、あまりにも姿勢が悪く、トラップミスが多く、モタモタしているような印象を受けます。

何か重大な疾患をかかえているのではないかとずっと気になっています。

背中を使わなくなって他の部位を痛めたか、逆に、怪我のせいで姿勢が悪くなっているのか……。

仮にそうであれば、西本さんの意見が彼の耳に届くような環境が整備されないものかと、部外者の身勝手ながら、願う日々です。


たけさん、コメントありがとうございます。

私は子供の頃から根っからの野球小僧でした、加えてこういう仕事をしていますので、野球を見る時にも、ひとりの野球フアンとしての目線ではなく、ついつい選手の動き自体を見る癖がついてしまい、純粋に応援したり試合を楽しむという感覚にはなりません。

私見ですが、野球とサッカーのフアンを比較すると、野球という競技はプレーが止まっている時間の方が長いので、見ている一人一人が監督になったような気分で、選手の起用や作戦面にまで感情移入が出来てしまい、一言言いたいということが多いように思います。

一つ一つのプレーに対する感想が、見ている人によってそれほど違わないのも野球の特徴のように思います。

サッカーの場合は、決めれらた時間の中でプレーが流れていますので、プレーそのものに集中して一喜一憂しやすい競技だと思います。

その上で勝った負けたがあり、試合が終わったのちに選手個々のプレーや監督の選手起用、また戦術の批評など、それぞれが違う感想を持ち寄って話が盛り上がることでしょう。

共通しているのは、フアンの皆さんが心からチームや選手を応援してくださっているということです。

そういう意味でサッカーは、サポーターという呼び方をするのではないでしょうか。

しかしあくまでもフアンやサポーターは、現場の外の存在であり、チームや個人に対して本来の意味での発言権がないのは当然です。

それでも今回頂いたコメントのように、選手個人に対しても思い入れがあって、私のような人間の言うことが選手本人に届いてほしいと思ってくださる方もいます。

有難いことですが、実際に現場に携わる人間たちには、私の声はまったく届いてはいないと思います。

もし関係する人間が、私の意見を見聞きしたとしても、実際に関わっているわけではない人間に何が分かるのか、現場はそんなに甘いものではないと一蹴されてしまうことでしょう。

私がこれほどまでに真剣にサッカー選手の動きを分析し、改善の余地ありなどと本気で言えるようになったのは、ごく最近のことです。

野球の投手の投球動作に関してなら、すでに20年前から私の中では確立されたものがあり、本気で取り組んでくれれば今以上の活躍を保証できる自信があります。

不思議なもので、もうサッカーには縁がないと思っていたにもかかわらず、最後に関わったチームを不本意な形で離れてしまったことが、今の私のサッカーに対する見方を確立するきっかけになったのですから、人生何が起こるか分かりません。

コメントをいただいた本田選手に関しても、かなりの数の動画を時間をかけて見てきました。

今日のブログではあえて実名は使いませんが、このブログを最初から読んでいただいている方には誰のことかすぐに特定できる人間です。

彼はサッカー専門のライターとしてかなり以前から本田選手を追い、海外のクラブに移籍してからも、その動向は現地に行って取材していて、ある意味近しい存在だと思います。

私の本田選手に対する分析は彼の依頼を受けて行ったものがほとんどですから、こうすればいいもっと良くなるのにという提案ももちろん知ってくれています。

素人考えでは、彼の口から私の意見が伝わればいいのにと思わないこともありません。

しかし現実にはそれほど簡単なことではないでしょう、選手と取材する立場には大きな隔たりがあります。

いくら顔見知りになっているとはいえ、いわゆる友達ではありませんし、選手からしてみたら、自分のことをすべて話すはずはありませんし、自分のことを取材者側が本当に分かっていると思うはずもないと思います。

本田選手くらいになれば、個人的にアドバイスをしてくれる専属のトレーナーやトレーニングコーチのような役割を担う人間が必ずいるはずです。

私などがそこに割って入っていける隙間はないでしょう。

そんなことは百も承知で、選手個々の心と身体の動きを私なりに分析し、こうすればもっと良くなるという所があれば、それを言葉にすることを続けてきました。

そんな私の言葉を、一般の方が見てくれて、本人に届けられないものかと思っていただいているのですから、私としては本当に有難いことだと思います。

同じような仕事をしている人たちから見れば、私の言っていることなど机上の空論で、現場では通用しないと思っている人がほとんどかもしれません。

しかし私は過去現在そしてこれからも、私ならできる、私にしかできないと本気で思って仕事をしています。

誰が認めようと認めまいと、私が思う分には誰に迷惑をかけるわけではありませんから。

そして実際にその機会が与えられると、結果は残してきたつもりです。

チームの場合は、同じことを説明し実際に指導しても、選手個々が元々持っている能力や理解力に差がありますから、ある選手にとっては私が大きな存在価値を持つこともあり、またある選手にとっては他の同じ立場の人間と同じ感覚でしかなかったり、はたまた意見が違えば迷惑な存在でしかなかったかもしれません。

そういう意味では組織よりも個人を相手にした方が、私の本領は発揮しやすいのかもしれません。

個人であっても、その取り組み方が私の納得できるものでなければ、良い結果に結びつかないことは当然のことですが。

いずれにしろ、コメントをいただいたように、本田選手に限らず他の選手に対しても思う所はたくさんあります。

話を聞きたい、指導してほしいと言ってくれるのなら、ヨーロッパでもどこでも飛んで行きたいくらいです。

例えば1週間毎日つきっきりで指導出来たとしたら、絶対に意識も動きも変わるでしょう、本人がそれを望み自ら行動して私を必要としたなら、必ず変えられると断言します。

誰かに勧められたとか、複数で指導を受けた中の一人だという状況では難しいかもしれません。

変わりたいという人間と、変えられると思っている人間が、本気でぶつかり合わなければ大きな変化など起こるはずはありません。

大ぶろしきを広げていると言われようと、お前に何が出来ると言われようと、私は何を言われても構いません。

私を評価できるのは、変化を本当に望み、一緒に戦った選手たちだけですから。

今日の2点目です。

前回も記事にした伸筋優位の体の使い方、屈筋を使うことがなぜよくないのか、前回だけではありません、このブログの中で終始一貫訴え続けていることです。

日本語というのは本当に難しく、同じことを言い表すのに色々な言葉が使われたり、一つの言葉に対しても、その受け取り方はまったく違うものになったりします。

その一つに、「力んではいけないとか、力を抜いて」という言い方があります。

どちらも実にあいまいで、受け取り方が違えばまったく違うものになってしまいます。

力まないという言い方は、まだ共通認識がしやすいかもしれませんが、「力を抜く」という言い方ほどあいまいなものはありません。

「力を抜く」、短くすれば「脱力」となりますが、まったく力を入れない状態が脱力ではないという意味が、正しく理解できている人はどれくらいいるのでしょうか。

ゴルフでもゆるゆるのグリップを推奨するプロがいますが、ゆるゆるとはどれくらいの強さなのか、共通認識が持てません。

人によってはゆるゆるすぎてクラブを投げてしまうのではという人もいますが、人間の本能で、ボールをとらえる瞬間には必要最低限の強さで握ってしまうので、実際に投げてしまうことはほとんどないと思います。

それでもやってみる前に、言葉で理解しようと質問を繰り返す人が多いのも日本人の悪い癖です。

今日アメリカ戦に勝利したラグビー日本代表の選手たち、タックルを受けたりしたりする時に、体の力を全部抜いて脱力してしまっては、誰がどう考えてもおかしなことになってしまいます。

私が対人のコンタクトで指導していることは、「屈筋の脱力をしてください」ということです。

この感覚は体験してみないと言葉での説明はほぼ不可能ですが、全身を、つまり屈筋も伸筋もという意味ですが、緊張させてしまうよりも、屈筋の緊張を押さえ、伸筋のみを使ってコンタクトする方が、自分も楽でなおかつ相手に対してダメージを与えることが出来るという事実です。

この部分を正確に伝えることができなければ、力を抜くことが良いとか、脱力した状態こそが正しい動きができるなどという言葉に惑わされてしまうことになるのです。

「伸筋は使わずして使われている、伸筋もそれ自体を使おうという意識を持ってしまった時点で、本来の働きが出来なくなってしまう」、これは紛れもない真実です。

脱力することが良いとか悪いとかではなく、伸筋と屈筋をどういう意識で使っているか、そこがすべてなのです。

日本語というのは本当に難しいです、人の心をくすぐるキャッチコピーは必要でしょう、しかし、本質が伝えられなければ意味がありません。

トレーニングはどんどん新しいやり方が考えられています、それらを行うために新しい道具が工夫されたりもします。

トレーニングの目的は、何を行うかではなく、求められた動きに対して、自分の体をどういう意識で動かしているのか、脳で意図した動きを神経を介して筋肉に伝え収縮させるという行為を、反復継続して行えるようにすることです。

それが出来なければ技術の向上もありません。

こんなトレーニングをしたら上手くなりますなどという安易な発想ではダメなのです。

今動いている体をどういう意識で動かしているのか、力むとか緩めるとかいうレベルの話ではありません。

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Comment

Re: No title
承知しました。それほど時間の猶予はないと思いますが、縁があったなら必ずご期待に応えたいと思います。
  • 2015-11-08│14:49 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
ご丁寧な返答ありがとうございました。
誤解のされやすい選手なのですが、努力は人一倍好きなようですし、してきたはずなんです。
何かが間違えてるはずなのに、誰にも指摘してもらえないのかと苦悩する本田に涙が出てくることもあります。
この先、本田選手が西本さんに指導してもらう事が有りましたら厳しくも、愛のある指導をお願いしたいと思いました。
  • 2015-11-08│14:43 |
  • トモミ URL│
  • [edit]
Re: どうかお願いします
トモミさん
コメントありがとうございました。
こうやって真剣に応援してくださるサポーターがいて、選手は本当に幸せだと思います。
普通の仕事では有り得ないことですから。

だからこそアスリートは、日常生活を含め、その立ち居振る舞いが大事になってきますし、プレーヤーとして最善を尽くすことは当然のことだと思います。

本田選手に限らず、私の頭の中では、この選手はこうすればもっと良くなる、この部分を改善しなければ今以上のプレーは出来ないとか、もっと言えば、このまま変わらなければ終わってしまうなど、まったく面識もなく頼まれたわけでもない選手の動きに対して、色々なことを考えています。

その内容に関して、誰がどう受け取ろうと私が関知することではありません。

動き分析をするきっかけを作ってくれたのは、スポーツライターで現在NewspickSスポーツ担当の木崎さんですが、彼は本田番と言うか、海外に移籍してからもずっと追いかけて取材をしている人間です。

本田選手に対しては他の選手とは違った思い入れがあるかもしれません。

そんな彼からの依頼で、様々な選手の動きを見てきたのですが、本田選手に関しては、正直このままでは終わってしまうぞ、と言う気持ちの方が強いです。

病気のことが取りざたされましたが、もし肉体的に問題があるのなら、私の分析や提案も的外れなものかもしれません。

本人が、私が書いたものを実際に目にしているのか、木崎さんの話ではいくつかは見ている可能性があるということでしたが、それは想像というか可能性であって、実際のところは分かりません。

もし実際に読んでいたとしても、その内容が自分にとって有用なものであるという認識がされなければ、何の役にも立たないでしょう。

冷たい言い方になりますが、本田選手に限らず、私ならこうできるというアイデアを持っている選手たちが、どうなろうと私にはまったく関係ないことです。

トレーナーとして、またアドバイザーとして契約しているわけでもありませんし、意見を求められる立場でもありません。

ただ私が書いた文章は、一般の方向けに書いた体裁にはなっていますが、いつも真剣にその選手に対して私なりの意見や改善点を含めて、もっと良くなってもらいたいというエールを込めて書いているつもりです。

けっして単なる批判をしているつもりはありません。

それでも見も知らぬ私の言葉に耳を傾けようとする選手はいません。

本田選手にも、専属のトレーナーが帯同しているそうです。
その人間の資質がどうこういうつもりもまったくありません。
どの時点からコンビを組んでいるのかは分かりませんが、このレベルまで来るためにはどれだけの努力が必要だったか、外からは想像もつかないことです。

それを支え続けている人間との信頼関係は強いものがあると思います。
私がその人間にとって代わろうなどという気持ちなどありません。

ただ私が、私の視点で気付いたことに対して聞く耳を持ち、指導を受けてみようという気持ちがもしあるのなら、どんな遠い所であろうと飛んで行こうと思っています。

身近にいるトレーナーと一緒に、どこがどう違うのか、どこをどう改善すればよくなるのか、二人が納得するまで指導したいと思います。

私からコンタクトを取ることは出来ませんし、もし押しかけて行ったとしても受け入れられるはずがありません。
すべては本人の問題です。

彼にはすでにセカンドキャリアの構想も出来ているようですし、もしこのまま終わってしまったとしても、生活に困るなどということはないでしょう。

ただ、まだ成長する伸びしろが残されているなら挑戦して欲しいと思います。
それを本当に応援してくれているサポーターは望んでいるはずです。

過去出会ってきたスポーツ選手たちから、せめてあと数年早く私と出会っていれば、という言葉を何度聞いたことか、しかしすべては縁の問題です。

その縁を結ぶのは、自分がこうなりたいという気持ちを持ち続け、アンテナを高く張り続けているかどうか、ということに尽きると思います。

あの時こうしていれば、そういう悔いを残して終わっていくことだけはして欲しくないですね。

私は自分から行動を起こせる立場にはありません。

その分、いつどんな選手が、どんな問題を抱えてきたとしても対応できる準備はしているつもりです。

トモミさんと同じ気持ちを持っている本田選手のサポーターはたくさんいると思います、その思いが本人に届くと良いですね。

私の準備はいつでもできています。

  • 2015-11-07│17:52 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
どうかお願いします
初めまして。
Numberでは幾度となく記事を拝見せて頂いていたのですが、最近こちらの存在を知り、この記事にたどり着きました。どうか本田圭佑の力になってもらえたらと心の底から願います。とても失礼な事ですが、何度でも本田選手に対してアプローチをして頂きたいと思いました。シーズン中に1日10時間のトレーニングをしてしまうぐらい迷走してしまっているのです。そして、西本さんの指導でもう一度輝きを取り戻した本田圭佑を観られたらと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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