夢は語るもの

私には子どもの頃から描いたというか、追い求めてきた夢や目標と言ったものが残念ながらありませんでした。

野球が大好きだったので、野球選手になりたいという夢はありましたが、それとて歳を重ねるごとに現実は見えてしまうわけで、早々に諦めてしまいましたが。

逆にその時々に目の前にあることに対して、おそらくは誰よりも真剣に立ち向かうことが、現実的な目標となりました。

そう言うと聞こえが良いですが、後先のことを考えず、今何ができるのか、どうすることが最善なのか、それしか考えることができない人間でした。

そんな私の行動や考え方は時として理解されず、誤解を通り越して反発を招くことにもなりましたが、仕事に関して言えば、私が欲しているのは目の前にいる人間の体をいかに早く確実に回復させていくかの一点でしたので、周りの声はまったく意に介していませんでした。

これまで曲がりなりにもこの仕事を続けてこられたのは、そうやって真剣に向き合い、もちろん衝突したりすることもありましたが、結果として私の言動のすべてが、私心を捨てたその選手のためのものだったと思ってくれた選手たちが、その時には色々あったにしても、時を経て改めて私との時間を思い出してくれた時、ああいう人が必要だったんだと思ってくれたことで、立場を変え指導者となっていった彼らからの依頼を受け、新たな環境へと挑戦を続けてきました。

最初から私のやり方を理解してくれる選手は少なく、ぶつかることも多々ありましたが、立場を変え指導者となった時、私の言動を振り返り、自分の為を思って言ってくれた言葉だったと理解できる部分も出てくるようでした。

それでも私の選手に対するスタンスは変わりませんので、指導者は分かってくれていても選手とは同じことの繰り返しということが多かったように思います。

そんな私を、「この人は変わらないな、でもこういう人がスタッフにいてくれなければ」、そう思って頼りにしてくれた指導者の元で仕事をさせてもらえたことは幸運でした。

野球、サッカー、日本を代表する人気スポーツの仕事を、両方深く経験しながら、他の色々な種目の様々なレベルの選手を相手にしてきました。

サッカーに関しては、Jリーグの誕生から今日まで3クラブを経験させていただきましたが、実際のところ未経験者で特に好きかと言われればそうでもなかった私が、自分の培ってきた能力がサッカーという競技に絶対に必要不可欠なものであると思うようになるとは考えてもいませんでした。

三年前のちょうど今頃、翌年から加入するチームのために、これまでやってきたことをどうやって伝えればいいのか、今までに経験したことがないくらい一生懸命考えていたと思います。

そんな中で生まれた結論とまではいかないものでしたが、こういうことを教えれば必ず監督が目指すサッカーができるようになると確信し、方法論を構築し準備していきました。

実際に指導する日が近づくにつれ、今までに描いたこともないような壮大な夢というか目標にできるものを見つけられた気がしました。

私の中では初めての経験でしたが、夢は語らなければと、言葉にしていたと思います。

それは、私が考える体の使い方や、ケガや故障に対するアプローチに仕方、また個人としての能力を向上させるための動きづくりのトレーニングを実践することで、個人としてチームとしての結果を残し、私の考え方が定石セオリーとなることで、サッカーのみならず日本のスポーツ界に一石を投じることができるのではと思ったのです。

そのためには自説を曲げるわけには行きません、私の考えていることは机上の空論ではなく20数年にわたって真剣に積み重ねてきた経験に裏打ちされた事実だからです。

そういう仕事の専門でもない人間や経験も浅い人間に、どうのこうの言われる筋合いはないのです。

ただ少し功を焦ったところがあったかもしれません、分からない人間に対しても、それなりの説明をしなければ、コミュニケーションが取れるはずはないですから。

そんなことを含めて様々な経験の中で、やはりこういう考え方でこういうトレーニングを行わなければ、少なくともこれ以上の進歩はないと確信しました。

しかし、それを伝える対象がなくなってしまいました。

それでも自分の中での考えは深まる一方で、個人でも団体でもとにかく向上心を持って指導を受けてくれれば必ず役に立てるという信念の元に、2年間対象は少ないですが指導を続けてきました。

私の考え方は間違ってはいないと思います。

それぞれがそれぞれのレベルで進化し変化を感じてくれています。

西本塾や個人指導を通じて、私の考え方は確実に広まっていると信じています。

しかし残念ながらその範囲は限定的で、まさに知る人ぞ知るというレベルを超えることはできていません。

今までの人生の中でもこんなに一生懸命考えたことがないというほどの自信作と呼べる考え方ですから、これをこのまま小さな世界で終わらせたくないと考えることも間違いではないと思います。

そのための方法としては、やはり「メジャーな組織で結果を出すこと」 が、多くの方に知っていただく一番の早道だと思います。

選手自身はもちろんのこと、対戦相手も、見てくれているサポーターも、誰の目にも明らかな変化を生み出し、ボールも選手も動き続ける美しいサッカーを見せることで、どんな練習をしたらあんな動きができるのだろう、どんな体の使い方をしたら90分間動き続けられるのだろう、相手があることですから、すべてが勝利にというわけには行きませんが、見ているすべての人たちが納得できる楽しいサッカーを演出できれば、それだけでサッカーに対する見方が変わると思います。

そしてそのノウハウにも注目してもらえるでしょう。

トップチームだけではなく、下部組織の指導から全て一貫した考え方で行えれば、数年後には下部組織からの昇格選手が大半を占めるチームとなり、地元の応援のボルテージも上がるでしょう。

クラブだけではなく、その地域の他の組織の選手たちにも影響を与え、サッカー王国○○などという言い方も復活するかもしれません。

そうなればその取り組みが全国に広がり、90分間頭と体を動かし続けられることは当然のこととなり、その上に監督それぞれの戦術が加味されれば、Jリーグは世界に通用するプロリーグとなり、もちろんそんな中から選ばれる日本代表チームは世界を狙うレベルになって行く。

どうでしょう、これを単なる机上の空論や夢物語にしてはいけないと思います。

たくさんの人が応援してくれるサッカーというスポーツ、世界でも一番競技人口が多いと言われているスポーツです。

もっともっと強くなってもらいたい、にわかサッカーフアンの私ですらそう思います。

その夢を私が叶える環境はありません。

もう二度とないかもしれません。

でも夢は語っておかなければ、誰の耳にも届きません。

幸いにも私から真剣に学び続けようという人が何人か出てきました。

そんな人たちが、私が蒔いた小さな種を育て、花を咲かせてくれる日がきっとくると信じています。

どんな形であれ、今私が描いている夢を語ることは自由ですし、そんな私の夢に共鳴してくれる人がいるかもしれません。

何かの縁でこんな仕事を長く続け、こんなことまで考えるようになりました。

あの時、一大決心をして広島を離れなければ、そして新たな挑戦に挫折して悔しい思いを持って帰っていなければ、今こんなことを考えることもなかったでしょう。

人間それぞれ夢があっていいと思います。

誰に何と言われようと、夢を語るのは自由です。

その夢の実現に自分の能力が少しでも役に立つと本気で思えていることだけでも凄いことだと思います。

サッカー選手という夢を叶えるために、自分のプレー集を作ってJクラブに、自己PRDVDを送りアピールしたことがきっかけで夢を叶えた選手の話を聞きました。

そんな選手に比べれば、自分から何の行動も起こさないで万にひとつの奇跡を待っている私は、本気でそうなりたいのかという部分でまったく足りていません。

ただ私は自分から売り込むのではなく、今までやってきたことを評価してくれる環境で仕事をしたいという、甘いかもしれませんがそういう気持ちです。

もしそんな奇跡が起こったら、今度こそ骨を埋めるつもりで夢を実現させるために頑張りたいと思います。

さて、明日はここ広島で、広島対川崎の試合が行われます。

どちらにとっても負けられない、大事な試合になると思います。

どちらのチームにもお世話になりましたが、今はどちらのチームにも関わりはありません。

まだ仕事の都合が決まりませんが、川崎から遠路応援に来てくれる、私自身も応援していただいたサポーターの皆さんにお会いするために、できればゴール裏に行きたいと思っています。

みなさんには本当にお世話になりましたから。

57歳、夢を語るには遅すぎるとは思いません・・・。

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Re: No title
応援ありがとうございます。私の思いに共感していただき、指導者にも知って欲しいと思っていただいたり、ご自分も育成年代の時に私の考え方に沿った指導を受けていればと思って頂けることは、何より励みになります。どこまで頑張れるか分かりませんが、さらに研究して、発信し続けたいと思います。夢を語ることで、伝わることもあると意を強くしました。また何かありましたら、コメント頂ければ有り難いです。
  • 2015-10-18│13:08 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
Re: No title
内田さん
報告ありがとうございます。短期間に集中して学んでいただき、その熱が冷めないうちにそれを指導する活動を始めて頂き、周りの皆さんも喜ばれたことと思います。伝えながら自分の学びもさらに深めていってください。例の件はまだ反応はありませんが、お陰で本気で考えるようになりました。それだけでも大きな変化だと思います。対象が誰であれ、しっかり伝えていきましょう。
  • 2015-10-18│13:01 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
西本先生、応援してます。
自分は西本先生のブログを読んでいて単純にワクワクしました。先生のおっしゃる体の動かし方、考え方が広まれば日本が世界で活躍する日も夢ではないのではないか・・と。
個人的にサッカー関係の書籍やネットを読み漁っていますが、こんなにわくわくしたことはめったにありませんでした。
漫画の「フットボールネーション」やサイトの「蹴球計画」もわくわくしました。当然サッカー寄りの内容なので動きの詳細は書かれておらず、もやもやしますが、西本理論をベースに考えるとなんとなく見えてくるような・・・。

自分の少年時代のサッカーコーチがこんな内容を教えてくれたらもっともっと上を目指せただろうな、なんて自分の努力の足りなさを棚に上げておこがましいですが、思ってしまいます笑

願わくば、日本サッカー協会の指導要綱に入るくらいに世の中に浸透して欲しいです。

西本先生の熱い思いにいてもたってもいられず、コメントしてしまいました。
長文失礼いたしました。

これからもブログの更新楽しみにしています。
  • 2015-10-18│11:12 |
  • ao URL│
  • [edit]
No title
12,14期生の内田です。
6月から学び始め、ようやく人に伝えても良いかなと思い、先日4グループ20人の前で初めて「西本理論」の一部を伝えました。5人の指導者とそれぞれのチームの選抜された小学5年生から中学2年生に、西本先生の活動実績とブログの紹介から始まり、今後私自身がどのような活動をしていこうとしているのかを伝え、動き作りの実演に入りました。
2時間という限られた時間の中で、
・広背筋のテキストを見せ、構造の特徴、作用の説明。
・仰向けに寝た状態で、西本塾で行った、まっすぐに伸ばした脚を屈筋を意識させた状態で内旋させる動きと、伸筋を意識させたときの力の入り方の違いをデモンストレーションで見せ、その後に二人一組で体感し、今から行うトレーニングは背部意識で参加することを伝えました。
・井桁を見せながら、アイドリングの練習→ 走り
・体当たりでの意識、石なるか綿になるか(スライム)
・マーカーをランダムに置き、骨盤意識のターン
・最後にアイドリング→ 数本ダッシュ
を行いました。
2時間あっという間に時間が経ち、参加者の皆さんから年内にももう一度とのリクエストももらうこともできました。
私も解りやすい言葉で人に伝えることで、更に理解が深まりましたし、伝え忘れたこともあり反省する次第であります。今回日程が合わず、10数人のキャンセルもあったのですが、初回としましては成功だとの言葉もいただけました。
本日のブログにも書かれてますが、決して卓上の空論ではありません。
私のたった一回のわずかな告知で、私の仲間の指導者が参加してくれ、多くの方たちが興味を示している実感があります。そして、2時間だけでありましたが、子供たちの動きが変わったのを目の前で感じましたし、今までに感じたことのない感覚があると、全員の参加者の感想でした。西本理論に手ごたえを感じています。焦らず、きっちりと理解したうえで私の周りの方に伝えていかなければなりません。

また、参加者の一人から、もう1人理論を理解しているアシスタントがいると良いねとの意見も出ました。なるほど、と思うとともにそのような人物を創り上げることも西本理論を広めることにつながり、ひいては私の地域のレベルの向上にもつながると思います。
私自身の中にも、現実的な目標と、それを実現するイメージができています。

中長期的な取り組みになると思いますが、それを楽しみに活動したいと思います。今後ともよろしくお願いします。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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