持って生まれた能力を発揮することは簡単ではありません

週末、お二人の参加をいただいて、西本塾を行いました。

回を重ねるごとに伝えたいことや伝え方が変わっていきます。

同じレジュメを使っていますが、それをなぞって説明していたのは何回目までだったでしょうか。

1日目の理論編は、午前中に話をする部分が最も重要なのですが、参加者の背景や目的が少しづつ違うため、ここから食いついてもらうのはなかなか難しく、一番神経を使うことになります。

二日間が終わった時、あそこで説明されたのはそういうことだったのかという風に結びついて行くわけですが、いくら最初にそう思うことになりますよと言葉で説明したとしても、本気でそう思ってもらうのはやはり難しいと思います。

西本塾を始めて2年が過ぎようとしています、回数にして15回、参加していただいた人数は115人となりました。

皆さんそれぞれの目的を持って参加していただき、何らかの成果を持ち帰っていただいたことと信じています。

このブログを書き始めたのは、今では恥ずかしい話かもしれませんが、怒りの感情を吐き出すことだったかもしれません。

それが西本塾という活動につながり、たくさんの人たちが参加してくれました。

相手がどんな背景や目的を持った方であれ、私が伝えることはこのブログに書いてきた内容であり、ここには書けないけれど話しておきたい実体験などでした。

最初は野次馬根性で結構です、一度覗いてみてくださいと言っていたにもかかわらず、受講申し込みに書いていただく参加動機等を読んで、その方の本気度を計らせてもらい、この人には是非来て欲しい、この人には伝えておきたい、そう思わせてくれる方を選ぶようになりました。

「来るもの拒まず、去るものを追わず」と、これまでの方針を変更したかのごとく優しい人間になっていましたが、結局は本性が現れて、「来るものを拒み、去るものも追わない」という、マイペースなやり方に変わっていきました。

このことはブログにも何度も書きましたので、参加を希望していただいていた方の中には、二の足を踏むことになってしまった方もいるかもしれません。

今回参加していただいたうちのお一人は、私が川崎に在籍していたトレーニングキャンプ中に起こった出来事を、ライターの木崎さんが紹介したnumberwebの記事を読んで興味を持ち、西本塾が行われていることを知ってから、参加を希望していただいたようですが、実現したのが今回だったということでした。

おそらく私を最初に知っていただくきっかけになったのはその記事だったと思いますが、つい最近何かのきっかけで私の存在を知ったという方もたくさんいると思います。

まだまだ私の存在などスポーツの世界の中でも無名な存在で、それこそ知る人ぞ知るというマイナーな存在だと思います。

有名無名は関係ありませんが、私は私自身が疑問に思ったことを、一つひとつ自分なりに納得できるものにしていくという作業を続けています。

それがケガや故障をして痛みを抱えた人間を、どう回復させるかや、自分の思ったような動きを体現できないスポーツ選手に、体づくりではなく動きづくりという発想でトレーニングを指導することでした。

目の前に存在する人間の体と向き合いながら、自分でも不思議なことに、まったく違う体の部分のことを考えたり、まったく違うスポーツに置き換えたり、想像力というか応用力は他の人以上のものがあるのかもしれません。

西本塾生115人の他にも、個人指導を受けにきてくれた人を含めればもう少し多い数にはなります。

その中には現役のプロスポーツ選手から、小学生のサッカー選手まで、種目を問わず老若男女様々な人間を相手にしてきました。

現在57歳、普通に考えればプロスポーツ選手はもちろん、20代や30代のスポーツ選手が、私の見せる動きをできないことなど、あるはずはないと考えるのが普通だと思います。

しかし、どんなレベルの選手であろうと、私がその選手に求める最高の動きを、私自身が目の前で見せることができます。

動きというのは言葉で説明し尽くせるものではありません、やはり自分の目で見て感じることが必要になります。

そのうえで、その動きの意味や動きの意識を言葉で説明し、頭で理解し身体で覚えるということが必要となります。

もちろん年齢を重ねたきた分、持久力の問題は如何ともしがたいところはありますし、それぞれの競技の技術というものを私がすべてできるわけではありませんが、それでも、この動きはこういう意識で行うという理論通りの動きは、お手本として見せることができます。

選手にしても指導する側にしても、結果として現れる動きの獲得が一番の目的となりますが、動きという技術は、一朝一夕には習得できることではありません。

プロレベルの選手であっても、考え方やドリルを覚えて、それを繰り返したとしても、私が望んでいる動きを獲得できているとは言えません。

もちろん教えてことを真剣に継続していることが大前提ではありますが、それでも私の目指しているところに届かないのはなぜだろうと、2年間指導をしてきて考えるようになりました。

まだまだ指導方法が悪いのだろうか、指導の回数や頻度が少なすぎるのだろうか、それもあると思います。

ひとつ答えらしきものを挙げるとしたら、「背中を使えるようになるためには年単位の時間が必要ではないか」と、思うようになりました。

体づくりを目的としたトレーニングであれば、数値で結果が見えますが、動きづくりのトレーニングには客観的な物差しとなる指標はありません。

私の動きを見て、他の人よりすごいと感じてもらえるのは、取りも直さず伸筋を中心とした背中を使うトレーニングを、長い期間継続しているからだと思います。

そのことが、人間として持って生まれた能力を、他の人より少し上手に使いこなせるようになって、できない人から見ればスムーズで無駄のない動きと感じてもらえるのだと思います。

私ができることですから、他の人ができないわけはありません。

最初からそのことが分かっていて、20年間継続してきたわけでもありません。

17年前、ちょうど40歳の時には3ヶ月限定でしたが、体づくりのためのトレーニングを行うためだけの生活を経験し、そのトレーニングの功罪を身を以て体験しました。

試行錯誤の過程の中で、その経験はけっして無駄にはなっていません。

そして結論として導き出された「体づくりから動きづくりへ」という発想の転換を説いているのです。

それを納得し理解して、トレーニングに取り組んでくれたとしても、行っている競技のトレーニングや、これまで染み付いた固定概念の壁を破って、完全に私の思っている動きを行えるようになるためには、やはり時間が必要なようです。

できれば毎日でも動きを見てあげられる環境がベストでしょう、しかし、その環境は今ありません。

意識を変えるということは本当に難しいことで、自分ではできているやっていると思っても、私が見ればそうはなっていないということがほとんどです。

完璧ということはもちろんありませんが、できる限り理想に近づける努力は続けるべきだと思います。

改めて言いますが、私が理想としている動きというのは、私が考えたと言うよりも、人間として持って生まれた能力の再構築であるだけで、特別なことではないのです。

特別なことではないけれど、ほとんどの人間ができていない、言葉を並べている私自身が訳が分からなくなっていくようなことを考えているのです。

そんなことを考えさせてくれるのが、目の前に現れてくれる生身の人間たちです。

そんな人間をどうすればもっと良い動きができるようになるのか、どんな言葉を使い、どんなドリルを課し、どんな意識を植え付ければいいのか、まさに枝葉のテクニックではなく、本質を追求していく以外方法はないのです。

だから誰も教えてくれませんし、答えを求めて質問しても仕方がないのです。

ちょうど3年前、その時点での私のベストな理論と方法論を整理して、翌年から始まる新しい仕事に備えていました。

その時はしばらくサッカーから離れていましたので、現場の感覚がわかりませんでしたが、自分の中ではベストなものを準備したつもりです。

今私が考えていることは、その時とは比較にならないレベルだと思います。

今を100とすると、その時は30くらいかもしれません。

それくらい自分の中で考え続けてきました。

もうその環境が私に与えられることはないかもしれません。

それでも私は考えることをやめるつもりはありません。

万にひとつ来年はどこかのグランドに立っているかもしれません、今まで温めてきたものをすべて発揮して、その環境を最高のものに変える活動を嬉々として行っているかもしれません。

その活動を私ではなく、私から指導を受けた誰かがやってくれるなら、それはそれでいいと思います。

その方が広がりがあるし、大きなうねりを作ってくれるかもしれません。

今年予定した西本塾は12月に行うものが最後になります。

深める会も来月に行うものが最後の予定です。

昨年も同じことを書いたと思いますが、来年のことはまったく分かりません。

どんな状況になっても、自分のベストを尽くすだけです。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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