声を挙げ続けなければならないようです。

昨日は祝日で仕事は休みのはずでしたが、前もってどうしてもこの日にという予約を頂いていたので、午後からここにやって来ました。

小学校5年生のたっちゃんと、昨日は初めてお父さんが、遠く米子から車を走らせ、一緒に来てくれました。

すでに3回目の指導となりました。

最初は1年ほど前、お母さんと一緒にやって来ましたが、話しかけてもこちらを見ることができず、お母さんの方を向いてしまうほどおとなしい子でした。

それでも私の話はちゃんと聞いてくれて、一通り指導が終わってからも自分から分からないことを質問してくれたりもしました。

2度目は、お母さんと一緒に西本塾の二日間を受講してくれましたが、さすがに大人に混じっての受講には無理があって、彼には少し物足りない内容だったかもしれません。

今回連絡を頂いて、彼がこの1年いや半年間でどう変わっているのか、とても楽しみにしていました。

私の指導は決められたカリキュラムがある訳ではなく、特に個人指導においては、相手を見てから何ができるか、何を教えるかを決めています。

小学校の5年生くらいだと、半年一年の成長は想像を超えるものがあり、とても予測ができません。

特に今回は、私が指導したことをどれだけ理解して継続してくれているかによって、指導内容を進められるか、それとも逆戻りしてしまうのか、大きな違いが出てきます。

まだまだ人見知りというか、顔を見て話を聞いてくれることは苦手のようでしたが、FBTに関しては継続した取り組みがきちんと伝わってきて嬉しくなりました。

特に股関節に乗るという3と4の動作では、一緒に体験してもらったお父さんが悪戦苦闘するのを横目に、涼しい顔で正しい動きをしてくれ、お父さんが本当に驚いていました。

そのことがすぐにサッカーのプレーに直結して、良い動きができるかと言われれば、それほど短絡的な問題ではありませんが、私のいう背中を使うという感覚が当たり前にならなければ、プレーの質を高めることはできないと思います。

直線的な走りに関しても、アイドリングの延長でハーフスピードまでは正しい体の使い方ができるのですが、いざスピードを上げようとすると、ついついこれまでの腕を前後に振って太腿を引き上げ、地面を蹴るという動作が顔を出してしまいます。

当然表情は険しくなり、頑張っているというか一生懸命さが伝わってきます。

ここが最大の課題です。

今回もお父さんから話がありましたが、そういう走り方でガムシャラに頑張っているというアピールをしないと、指導者からの評価が得られず、試合に使ってくれないというのです。

「力を出し切っていない」という評価をされるのでしょうね。

サッカーという競技において、この問題はこれまで何度も意識改革の必要性を説いてきましたが、まだまだ本来の意味は伝わっておらず、途中で倒れ込んでしまうくらい一生懸命走れという指導が続いていることはとても残念です。

ここでもう一度整理しておきます。

サッカーだけではないと思いますが、時間の制限のある競技では、試合の開始から終了まで、自分の持っている能力をどれだけ安定して発揮し続けられるかということは、最も重要なことではないでしょうか。

交代できる人数には制限があります、試合開始からフルパワーで走り続け、疲れたら交代というわけにはいきません。

だからこそ1分1秒でも長く走り続ける能力を養成するのがトレーニングということになって、時間内でどれだけ走れるかとか、決められた距離を走り続けるとか、ダッシュを何十回繰り返すとかいう、体に大きな負荷をかける、言い換えれば体をいじめるトレーニングが必要だと考えるのです。

しかし、古今東西過去未来を通して、フルパワーで45分を2セット走り続けることできる人間を作ることは不可能だと思います。

もちろん走っているとき止まっているときがあり、すべての時間内走り続けている訳ではありません。

それでも100メートル近い距離を、ほぼ全力に近いスピードで何度も行ったり来たりという状況は想定されますが、それさえ本当にできる選手もいないでしょう。

さらにはサッカー選手が走るという行為を行うことは、速く移動するための手段でしかありません。

走っていく方向も瞬間的に変わりますし、スピードの上げ下げもあります、もちろん移動している目的はボールを受けることであり蹴ることです。

100メートルを11秒で駆け抜けるスピードを持っていたとしても、肝心なボール扱いができなければ、そのスピードは逆に邪魔になるだけです。

ではどうすればいいか、自分が今何をしなければならないか、どこにどんなスピードで走っていけばいいか、味方がどこにいて敵がどこにいて、ゴールの位置はここでという、周りを広く見ることのできる視野を確保したうえで、どんなボールが来てもきちんとコントロールできて、次にどういうプレーをするかという予測もできる、このブログでずっと言い続けている「90分間走り続ける能力ではなく、頭と体をフルに動かし続ける能力」が優れたプレーヤーこそが、一流と呼ばれているのではないでしょうか。

そのことと歯を食いしばり筋肉を隆起させ、いかにも頑張っていますという雰囲気を醸し出す表情や体の使い方は違うのです、マイナスな面はあってもプラスなことは一つもないのです。

しかし、指導者の口から出てくるのは、戦う気持ちが見えないとか、真剣にやっていないとか、もっと出し切れという否定的な言葉ばかりです。

「走り負けるな、当たり負けるな、もっと頑張れ」、結果はどうあれこういう言葉を言われないようにしておけば、指導者は満足してくれるようです。

本当にそれで選手の能力は向上するのでしょうか、チームとして成長していくのでしょうか。

自分のやってきたことの中でしか、評価の基準が決められないだけなのではないでしょうか。

これではいわゆる頭のいいスポーツ選手は育って行きません。

激しい言葉で罵倒されようと、意味もない厳しい練習を課されようと、今は許されることではありませんが、踏まれても蹴られても歯を食いしばって耐えた、一握りの人間だけが残っていくという、過去のスポーツ界で見られた悪習の中で育った選手が、指導する立場になった時、どうして過去を振り返り新しい発想を求めていかないのでしょうか。

中国地方で強豪と言われているチームでも、私のいう良い姿勢でディフェンスの姿勢ができているチームはないと聞きました。

私も今年松江市で行われた小学生の大会を観戦し、確かにそう思いました。

そういう指導がされていないからです、ただそれだけです。

どうしてそれが良くないことなのか、どうして私が提唱する動きが良いのか、話を聞いてやってみれば誰にでもわかることです。

目の前の公園で小学生のサッカーチームが練習している風景をたまに見ることがありますが、まさにそういうことです。

指導者の意識が変わらなければ、1人の選手が取り組んで良い方に動きが変わったとしても、自分の指導した通りにやっていないと否定されてしまうのです。

他の選手より楽そうにプレーしていると真剣さが足りないと言われ、腕を振らず腿を引き上げないでも今までよりも楽に 速く走れているのに、腕を振れば腿を引き上げれば、もっと速く走れる、といちいち指導者から否定された子供は、何を信じればいいのでしょうか。

現実として、今までよりも速く良い動きができているという事実は見てくれないのでしょうか。

私に指導を受けてくれる子供たちがかわいそうでなりません。

指導の目的はなんなのか、それを突き詰めて考えなければ正しい方法論にたどり着くことはできません。

私に言わせれば、それ以前の問題として「人間本来の体の仕組みと使い方をちゃんと勉強しろ」と言うことに尽きます。

元選手だったとか、ライセンスを持っているから指導しているというレベルでは、指導されている子供たちや、その保護者の方々は本当にかわいそうです。

今回改めてこの年代の子供の成長する力と、それを評価できない指導者との意識の差を痛感しました。

付け足しですが、たっちゃんからの最後の質問は、「どうやって止まるんですか」と言うものでした。

西本塾でも同じ質問をよく受けます。

「走り方は分かった、楽に走れるしスピードの変化もできた、横にも後ろにも動けるように、いろいろなドリルもやらせてもらった、あれ、止まるってどうやるんだっけ」、こんな感じです。

最後にこの質問を大人にされると、ちょっとがっかりというのが本音なのですが、私の指導の最初に行った「アイドリング」状態こそが止まっている状態なのです。

どの方向にでもいつでも動き出せる状態がアイドリング状態です。

アイドリングをストップしてしまった状態が、居着いているという状態なのです。

状況はどうあれ、相手の目の前で、いつでも相手の動きに対応できる状態で、その場に居続けている状態を止まっているというのであって、ストップではないのです。

いかに速く的確なポジションでアイドリング状態に入れるか、これこそがサッカー選手に求められている「止まる」という動きなのです。

このことは何度も質問されるので、「止まる」という言葉はもう使わない方が良いのかも知れませんね。

一人一人に対して、正しいことを正確に伝えていく作業は本当に難しいですが、それを理解し身につけて行ってくれる過程を見られることは、とても楽しいことです。

ただ大きく言えば世の中が私の発想についてきてくれません。

小さなことかもしれませんが、こうして声を上げ続けることをしていれば、気付いてくれる人が増えていくかもしれません。

昨日のツイッターでもKEANE(きーん)さんから同意のコメントを頂き、意を強くしました。

いくら言葉を投げかけてもどこにも響いていかないトップレベルの選手の動きを分析し、改善点を提起しても何も変わって行きません。

まさに「小さなことからコツコツと」日々の思いを書き綴って行くことをもう少し続けてみたいと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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