速く楽に走りたければ、伝えた根っこのことを思い出してください。

目的のための手段ばかりに目がいってしまい、本質を見失いかけている塾生への警鐘を鳴らすために、その方法論が本当に正しいのか、なぜどうしてという根本的な疑問に立ち帰って欲しいと、今回の深める会では厳しくそれを要求しました。

施術と走りの二つが、西本塾の主な内容になっていると思われがちですが、他のすべてのことに通じる考え方を伝えてきたつもりでした。

そこには当然技術でありテクニックという概念が加わってくることは当然ですが、西本塾の二日間、それも初日の午前中にお話ししている、人間の体の仕組みとは、正しい体の使い方とはという部分に、全てが集約されているのです。

初対面のみなさんにとって、いきなり今まで聞いたこともないような話をされて、ある意味目から鱗だと思ってくれたり、言われてみれば当たり前だと思ってくれる人もいたりと、感想はそれぞれだと思いますが、それでも理屈の部分はもういいから速く実利を得られる実技に移ってくれないかなというのも本音だと思います。

そして二日間が終わったとき、改めて初日の理論がいかに大事だっかということに気づいてもらい、そこをしっかり理解して深めていく以外に、技術を応用できる本当の力は身につきませんよ、ということで締めくくってきたつもりでした。

しかし、ほとんどの人が枝葉の技術を追い求め、どこかの講習会を受けた時と同じ感覚で、その後を過ごしてしまっているようです。

私自身の感覚が毎回少しずつ変わっていることが、混乱の原因の一つである事は自分でも分かっていますが、本気で学び続けようとしてくれる人たちのためにも、深める会はこうあらねばという気持ちになりました。

とにかく迷ったら、レジュメを読み返し、関連するブログを読み返し、方法論ではなくなぜ私がそうしているかという深い部分を探って欲しいということです。

掘り起こすという作業とは、そういうことを言っています。

特に走るという行為は、今まで感じたこともない、走っているのに苦しくならない、何度も走って汗をかいているのに疲れを感じない、そういう感覚的な部分では一人の例外もなく感じとってくれています。

それをどう自分のものにして行くかという過程で、スピードがあげられないのはどうしてか、スピードを上げると動きを維持できない、あるていどの距離なら習った走りができるが、その先で崩れてしまう、などなど、どうしたらいいんですかどうやったら改善できるんですかという枝葉の質問ばかりを持ってきてくれます。

最終的にはそこから先を自分で考えられるようにならなければ、他の誰かを指導するなどという行為ができるようになるはずはありません。

たとえ自分が私以上に私の要求している動きを実際に行うことができるようになったとしてもです。

私の指導のアシスタントとして実技を見せる役をお願いするなら、私にとっても少し体が楽になってありがたいことではありますが、それと指導できるということは全く次元の違う話です。

何度か例に使った、小学生くらいの子供に、どうやったら足が速くなりますかという質問をされたのなら、相手のレベルに合わせて答えることもできるかもしれません。

しかし、体の仕組みから始まって、なぜこういう体の使い方が、体にとって無理なく効率的な走りを可能にするのかという理論を学んだ上で、実際に走ってみてその効果を実感した人たちから、どうやったらもっと速く楽に走れるようになるのでしょうかという質問をされても、私はどうやって答えたらいいのでしょう。

何を聞いていたのか、何を体験したのか、理論と実践をどう結びつけたらそういう走りになったのか、それが全てです。

各種のドリルはその手段にしか過ぎません。

それでも納得できないというか解らないという人は、理論からやり直してもらうほか方法がありません。

なぜ楽なのか、余計な力を必要としないからです。

せっかく二足歩行ができる人間という動物として生まれてきたのです。

骨盤の構造に、大腿骨の形状がまっすぐに刺さっているのではなく、クランク状に左右から差し込まれているという事実からしか、私の走りの理論は生まれませんでした。

そのクランクを無理なく回すためには、骨盤は前後にではなく縦に動かす必要がある、またそう動くようにできていることも事実です。

私が考えたことではなく、人間平等にそうやって作られている、元から仕組まれたからくりなのです。

そのクランクが回りやすい骨盤の角度を作ってくれているのが広背筋という筋肉です。

もちろん単独で行っているわけではありませんが、最も重要な役割を担ってくれていることは間違いありません。

その広背筋に対して、しっかり動いてねとお願いするために、道具もなくできるように考えたのがFBTというわけです。

それによって骨盤の角度を後上方に引き上げてくれることで、クランクが回りやすい状態を作る、これを股関節の自由度が高いと表現しています。

あとは股関節の自然な伸展動作が、大腿骨を無理なく前方に引き出してくれて、筋力という概念をほとんど意識せず前方への重心移動を可能とし、なおかつ振り出さた大腿骨から、次は膝間接そして足首の関節と、無理なく連動してくれることで、着地は体の重心位置である股関節の真下に、結果として着地することで、自分の体重よりも軽い負荷にしか感じない着地を可能にしてくれます。

上半身はその広背筋をリードするために、広背筋の停止部位である上腕骨の小結節部分、肩に近い三角筋と上腕三頭筋の切れ目あたりを使って、広背筋の収縮によって骨盤を引き上げるという運動を行ってもらうのです。

そのためには常に肘は体側よりも後方に置いておく意識が必要ですが、後ろに引くことの反作用で、結果とし体側よりも前方に振り出されるというのが自然な動きです。

前回審判の方が走りを学びにきてくれましたが、どなたかの指導を受けてきたという方の腕は、常に後方に引かれたままで、肩甲骨が背骨側に寄ったままになってしまい、後背筋を引き上げるという動作が行えず、なんともぎこちないものになっていました。

どこをどうするではないのです。

目的は一つ、楽にそして速く走ること、それ以外にないのですから。

そのために必要な要素は個別なものではダメなのです。

どこがおかしいですか、どこを意識したらよくなりますか、それは質問にはなっていません。

目的のために必要な体の連動、この連動という言葉が全てです。

だから体の仕組みを学んでくださいと、何度も繰り返しているのです。

仕組みを学び、屈筋に頼らず伸筋で体を動かすという、動きの意識をこれでもかというくらい継続することなく、分かったできた、できません教えてくださいはないのです。

そのことをたった1日、いや数時間の指導であっても、何度も何度も私の指導を受けにくる人であっても、それぞれのレベルに合わせて納得させなければ、指導していることにはならないのです。

難しいことを言っているように聞こえるかもしれませんが、私の言っていることは体の声を代弁しているに過ぎません。

人間が勝手に違う思い込みで動きを作ってしまっただけのことです。

それでも固定概念や既成概念に凝り固まった人たちを変えて行くことは大変な作業です。

だから仲間が必要なのです。

仲間たりうる人たちに対しては、少し厳しい指導だと受け止められれも、伝えなければならないと思っています。

いい加減な理解と実践で指導して欲しくありませんから。

塾生の皆さん、レジュメをそしてブログを真剣に読み返してください。答えは全て書いてあります。

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Re: タイトルなし
古賀さん
対応が遅くなり申し訳ありませんでした。
古賀さんの真摯な態度は他の参加者の皆さんも認めるところで、私も久しぶりにお会いできることを楽しみにしていました。
一度でたくさんのことを理解していただく事は難しかったと思いますが、取り組んできていただいた事は間違っていなかったと思います。
古賀さんの話に出たバトミントンでの親指で押すという感覚、島田さんの話に出てきたブラジリアン柔術の方たちの握るという動作、私なりの解釈をお話ししたことで、お互いにある程度理解しあえたことや、新たの気づきがあったと思います。
さらには、走ることはひとりからだほわっとである、という名言が生まれましたね。
まさにそうなんです、いかに筋肉のオフのタイミングを作ってあげられるか、常に頑張れではなく、空中で休ませてあげる時間をどう作るか、それが究極の効率の良い走りなのだと思います。
さらには頭の中は、走る禅、こうなると走ることは休息であり修行ですね。
是非またお会いしたいです、その時までお互いに深めておきましょう。
  • 2015-12-01│18:50 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
古賀です。
西本先生、奥様、そして一緒に学んだ皆様、深める会では大変お世話になりました。
私にとっては西本塾受講後、1年半が経過しての深める会参加でしたが、自分なりに考え取り組んで来た事が、ほぼ方法論に過ぎず、根っこを掘る意識が欠落していた事を体感出来た時間となりました。
深める会の受講動機も、今になって振り返ると、自分が取り組んで来た方法論が正しいか、間違っているかを、西本先生に見てもらいたかったという事にまとめられるような気がします。
初日の講義で先生が繰り返し伝えて下さった理論を、頭では理解したつもりでした。しかし、初日の走りは全く自分の身体への呼びかけがなく、頭でっかちな走りだったと思います。
今回一番の収穫は、この時に身体の自然な動きを考えようという意識を持てた事にありました。
先生が熱く繰り返し重要性を伝えてくれていなければ、定る事のない方向性だったと思います。
2日目の走りは、新しく描いたイメージと、直前に指摘頂いた点が上手く繋がり、楽な走りが出来たと思います。
走りはまだまだ改善が必要ですが、その時の感覚は、更に身体の連動を意識するきっかけとなっています。
深める会受講後、感想が遅くなりましたが、私が取り組むランニングとバドミントンを一度練習し、感想を書きたいと考えていました。
深める会翌日、15km走を行いました。
いつもは1キロ5分半程のペースで走る所が、5キロ通過時に、1キロ5分を切るペースで走っているのに足の疲れが少ないと感じました。しかしペースが速い分息は上がっています。
マラソンに置き換え、この走りが出来れば、足の疲労が軽減され良いタイムが出るが、ペースが上がる分、息も上がるので、やはりマラソンはきついスポーツだと考えました。
しかし、何か考えに違和感があり、ペースを落とし、身体をイメージする中で、究極の走りは、1人からだほわっとに近いのでは?という感覚が出てきており、現在進行中です。
昨日バドミントンも行いました。
綱引きの感覚で姿勢や握りを意識し、走りのイメージでフットワークを行い、屈筋での腕相撲のように重心が崩れない事を意識しました。
動き一つ一つを分析する事で、自分なりのバドミントンを作り上げたいと思います。
動作の連動が視野の広さ、余裕に繋がるという事が、バドミントンでもスタンダードとなるように頑張ります。

最後になりますが、前回は次の日に足が攣ったという事で一度きりとなった、妻へのからだほわっとも、今回は大丈夫だったようで、練習台になってもらっています。家事、育児を頑張ってくれている妻へのご恩返しの為にも、もう少し上達
して、あの感覚を味わってもらいたいと思います。

本当に充実した2日間をありがとうございました。
  • 2015-11-28│00:06 |
  • 古賀隆太 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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