CSの感想と今月の予定

今年のJリーグの頂点を決めるCSが2試合行われました。

年間勝ち点で、対戦相手のガンバ大阪に10以上もの差をつけて1位だったサンフレッチェ広島が、2試合合計4対3として、堂々のチャンピオンとなりました。

いつも言っている通り、戦術に対するコメントはできませんし、ピッチ上にいる全員、またテレビの画面に映っている選手全員の動きを瞬時に把握できるほどの目も持っていません。

とくに2試合目の後半に関しては、色々な思いがあって冷静に見ることができませんでした。

それでも気になっていたシーンをビデオで見直し、文字に残しておこうと思います。

まず、サンフレッチェ広島のキーマン、MFの青山選手の動きです。

昨年シーズンの途中から、縁があってケアや動きづくりのトレーニングを指導してきましたので、この大一番でどれくらいその成果を発揮してくれるのか、とても楽しみにしていました。

彼の特徴は、良い意味でも悪い意味でもピッチの中で熱くなりすぎることだと思います。

端正な顔立ちの彼が、目を吊り上げ、良い言い方ではありませんが、相手との接触プレーの後など喧嘩腰の闘志をむき出しにしたシーンが過去にはよく見られたと思います。

それが彼の良さでもあり、闘将と呼ばれるゆえんだと思いますが、私はその表情が屈筋優位の筋力発揮の原因となり、無駄に体力を消耗したり、正確なボールコントロールを阻む原因となっていることを繰り返し伝えてきました。

今回のCSでは、2試合とも、両チームの選手の中で、総走行距離は誰よりも多く一番の数字だったようです。

常に言い続けている、90分間走り続ける能力ではなく、90分間頭と体を動かし続けるという能力を発揮し続けていたことは、誰の目にも明らかで、それがデータという客観的な数字にも表れ、結果としてMVPという評価に結び付いたのだと思います。

彼の動きで特徴的なのは、オフザボールの状態での動きでは、けっして力むことなく腰を高い位置に保ち、股関節の自由度を確保できるようになったことです。

見た目には重心が高く、ふわりふわりと移動しているように見えるはずです。

けっして地面を強く蹴ってという動きではありません。

そのことが無駄に筋力を使うことなく、いざという時の速い動きだしを可能にしました。

2試合目、前半20分の攻め込まれたシーンで、最終的に相手のシューをブロックしたのは彼の左足でした。

普通なら右足に体重が乗ってしまって、左足でのブロックが難しい体勢でしたが、重心がきちんと左右両方の股関節にも残っていたため、どちらの足の位置にシュートが来ても、ブロックが出来たのです。

もちろんその時の表情も冷静で、後ろにはキーパーしかいない状況の中でも、正確なブロックが出来ていました。

これが今の彼の真骨頂だと思いました。

以前から腰痛に苦しんでいましたが、動きを改善するための背中を使えるトレーニングを始めてから、屈筋に頼った強引な動きが影をひそめ、正しい体の使い方ができるようになったことで、冷静さの中にもスピード感のあるプレーを可能にしています。

体重移動の意識で動いていた時には、逆をとられる動きや、足を出してもバランスを崩すことがありましたが、そういうシーンはほとんど見られませんでした。

一番の見せ場である、前線へのロングパスやミドルシュートのシーンでも、屈筋頼りの頃にはコントロールミスも見られましたが、シーズン最終戦で見せたミドルシュートなど、股関節の伸展から自然につながる膝関節の伸展という、人間がボールを遠くに正確に蹴るという動作にとって最も理想的な体の使い方ができていたと思います。

少し改善点を言えば、ペナルティーエリア付近で、味方がブロックを作って守っているゾーンの内側に、ボールを持っている選手を侵入させないという意図で、少し距離を保って様子をうかがっている時に、いわゆる反復横跳びのサイドステップが見られたのが残念でした。

まだ危険ゾーンではないので、この動きでも問題はないのですが、もっと内側に宇佐美選手のようなテクニックを持った選手が侵入した時であれば、あのステップでは簡単に突破されてしまいます。

そんなことは百も承知で、その時々で使い分けていると本人は言うと思いますが、危険でない場所だからこそ正しい動きで対応しておくことで、相手に対してこの選手は抜けないなというプレッシャーを与えることにも繋がって行くと思うのです。

世界レベルの選手を相手にするときには当然考えなければならないことなので、些細なことかもしれませんが、意識すればすでにできるようになっているのですから、もうひと頑張りして欲しいと思います。

とにかくチームをまとめ鼓舞しながら、誰よりも動き続けた180分だったと思います、凄い選手だと思います。

そしてもう一人、ガンバ大阪の宇佐美選手、これまでも他の媒体を含め何度か彼の動きについては意見を言ってきました。

伸展からの伸展という動作ではなく、股関節を屈曲させながら、膝関節を伸展させるという、車に例えるとブレーキを踏みながらアクセルを踏むという、坂道発進のような使い方で、他の選手には見られないというか、偶然そうなることはあっても、その動きからは強く正確なシュートはしにくい使い方なのに、なぜか彼はそれが出来る珍しい存在です。

今シーズンも前半戦では、そういう動きからの素晴らしいシュートや、パトリックとの連携で見られたパスを繰り出し、相手を翻弄してゴールを量産していたと思います。

ところが日本代表での活躍はまったく見られませんでした。

代表監督から口を酸っぱくしてフィジカルの強化を言われ、本人もそれに対して真剣に取り組んできたのでしょう。

ここでは詳しくは書きませんが、間違いなく屈筋重視のトレーニングになっていると思います。

そのことが、彼の特徴であるボールを蹴る時の「絶妙なアンバランス」、屈曲からの伸展のバランスに影響を与えているのだと思います。

私の見方が的外れなものではないと思います、そうであればこのままトレーニングの意識を変えなければ、絶妙なアンバランスが、ただのアンバランスになっていく可能性が高いということです。

青山選手もその罠に陥り、トレーニングの効果がプラス面に出ていないことは自分でも気がついていたようでしたが、ではどうすればいいのかという明快な答えを見つけることができないまま数年を費やし、私と出会ったことでやっと見つけた答えに少しずつ意識を変えて取り組んでいるという訳です。

方法自体を変えるというのではなく、意識を変えるのです。

どちらが難しいかは想像していただければわかると思います。

なるほどそういうことだったのかと、しっかり理解させなければ何も変わりません。

縁という言葉で片付けてしまうのは、少し残念な気がします。

選手自らが向上心を持ってアンテナを高く掲げ、自分から求めて行かなければ、私が発信しているなにかも届くはずはありませんから。

さて、今年も残すところ一か月を切りました。

今週末は、昨年に続き千葉に出向いて深める会を行います。

今年一年の、私自身の気づきを含めて、西本塾で学んでくれた人たちに、西本理論の本質に近づくための気づきを与えてこようと思っています。

翌週は、今年最後の西本塾、今回はサッカー・野球・軟式テニスと、様々な指導者の方々が参加してくれます。

加えて、私の年に近いサッカーの愛好者の方の参加もあり、伝え慨のある西本塾になりそうでとても楽しみにしています。

そして28日には、冬休み期間ということで、普段参加できない小学生から高校生までの選手たちに、西本理論の動きを体験してもらう機会を作りました。

さらには今シーズンを故障でほぼ棒に振ってしまったという現役選手が、正しいトレーニングと体の使いかを学ぶために来てくれます。

現役選手であっても、自分のチームのケアやトレーニングのやり方に満足できなければ、シーズン中であっても私のところに来ればいいと思います。

「一生懸命やってもらっているが、効果が今一つなので、別のやり方も試してみたい」、そういうことは許されないのでしょうか。

戦力外を言い渡されるとき、あの時ちゃんとしたケアが受けられなかったからといっても、だれも責任は取ってくれません。

所属している選手が、自分のお金を使って、クラブ以外の人間のところに行くのは、クラブとしてのメンツが立たないのでしょうか。

ならばもっと真剣に腕を磨いて、選手に信頼される努力をすればいいのです。

どこのクラブも同じです、かわいそうなのは選手本人です。

来年からはそういう閉鎖的な部分に遠慮せず、「ダメなものはダメ、もっとしっかり勉強しろ、選手たちが困っているんだぞ」、と言ってやろうと思います。

今月だけで新しい出会いがたくさん待っています。

自分に出来る精一杯の指導をさせてもらおうと思っています。

もう一つ、来年3月の出版を目標に、一般の方向けの健康書を準備しています。

「腰が痛いときにはどうしたらいいの」ではなく、体の仕組みを学び、自分の体は自分で守っていけるように、私の文章と「えだお」の漫画で、読み物として楽しく、そして役に立つものを作っています。

ちょうど一週間前に、地元広島の出版社、㈱ガリバープロダクツに打ち合わせに行って、大まかな構想を説明し、本の体裁や文字数段組みまで決めてきました、そして出版契約書にサインをしてきました。

土曜日には私の部分を書き上げました、たったの6日間です。

この企画を考え、講談社に持ち込んだ時点で、頭の中には構想が出来ていましたので、企画が通らず落胆して頭の中から消えかけていた部分を再構築して、あっという間に書いてしまいました。

皆さんの役に立つものを書きたい、この2年間ずっと考えてきたことでしたから、迷うことなく言葉が溢れてきました。

これから修正が入り、何度も書き換えなければならないことは覚悟していますが、編集担当の方の力を借りて、「読みやすく役に立つもの」という、当初の目的に少しでも近づけるよう頑張っていきたいと思います。

「広島から全国へ」を合言葉に、一緒に頑張りましょうと言っていただきました。

週末お会いする塾生の皆さん、関東地区忘年会もかねて一緒に学びなおすつもりでご参加ください。

皆さんにお会いすることを楽しみにしています。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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