伝えておきたいこと

縁があるスポーツがオフシーズンに入ったこともあって、プロアマ問わず選手や指導者の来訪が続いています。

この時期だけ来たって、本当の意味での成長には役立たないよと、厳しいことを言ってしまえばそれまでですが、少しでも成長したいという気持ちには応えなければなりません。

93年、初めて広島に来てプロのサッカー選手を相手にする仕事を始めましたが、3月末にチームに合流して12月31日までの間に、私が全くフリーだったのはたったの2日間でした。

もちろんチームとしての休日はもっとありましたが、故障をしている選手は、事の大小を問わずゼロという状況はなく、休日であっても、そのうちの一人でも「西本さん明日いいですか」と言ってくれば、断ることなどできませんでした。

1日も早く復帰したい、みんな必死でした。

そのために何をしてあげたらいいのか、教科書的なものではなく、まさにオーダーメードのケアでありトレーニングを、私も必死に考え選手に施してきました。

オフになっても、シーズン中にはできなかった自分の課題を克服するためのトレーニングを考えて欲しいと、トップチームに上がれなかった選手や、出場機会の少なかった選手だけではなくレギュラークラスの選手も含め、何人もの選手とグランドやトレーニングルームに足を運んで汗を流しました。

お互いに上を目指して真剣な毎日を過ごしていたことがとても懐かしいです。

時代が変わって、今は切り替えという言葉が良い意味でも悪い意味でも日常化し、休みは休みオフはオフと心身ともにリフレッシュという選手がほとんどのようです。

もちろんそれは必要なことだと思いますが、シーズンを終えて自分に何が足りなかったのか、どの部分を向上させればいいのか、冷静に分析して来シーズンに備えることができるのは今しかありません。

のんびりオフを満喫できるレベルの選手が、果たしてどれくらいいるのでしょうか。

そうこうしているうちにポジションを失い、選手という立場まで失うことになって行く選手たちをたくさん見てきました。

すべては自分で選んでいく人生ですが、ここでひと頑張りすればもっと成長できるのにと歯がゆく思うことがたくさんありました。

自分が何をしなければならないのかを分析する能力と、もしそれが分かったとしても、どこの誰がそれを叶えてくれるのかが分からないから行動を起こせないということかもしれません。

有名選手がやっているからとか、多くの選手が行っているからという程度で足を運んでも、ただの自己満足で終わっているということに気づかないのでしょうか。

縁あって私のところに足を運んでくれた人たちには、ただ私のノウハウに沿ったトレーニングをこなしてもらうのではなく、現状分析や目標設定を一緒に行い、何をしなければいけないのか、そのためには何を知っておかなければならないのか、限られた時間の中ではありますが、彼らのこれからに少しでも役立つ意味のある時間にしているつもりです。

週末に行った西本塾では、本来の初参加者6名と、2回目の参加者が二人という構成でしたが、それぞれの目的に叶う内容の2日間にできたと思っています。

さらに今回はその二間を受講した翌日に、指導者としての専門分野である野球の動き作りに特化した、「野球西本塾」と呼んでもいいような内容の指導をさせてもらいました。

今や全国一の激戦区となり、大阪を制するものは全国を制すると言っても過言ではない地域の、公立高校の監督として指導している塾生に、野球という競技に必要な投げる打つという動きの本質を、西本塾での私以上に熱く指導しました。

彼も長く野球を続け、指導者としてのキャリアも積み、いわゆる実績を上げてきた指導者からも指導を受けてきたと思います。

目から鱗どころではありません、全く見たことも聞いたこともない考え方や練習方法を目の当たりにして、驚き以外なかったと思います。

私はどんなことに対してもとことん突き詰めて考え答えを見つけ出してきたつもりですが、こと野球の動作に対しては、自分がなぜ選手として大成できなかったのかという疑問や悔しさから始まって、すでに広島に来て数年後、社会人野球の三菱広島を指導することになった時点で、その答えはほぼ見つけ出していました。

そのチームで結果を出し、その後もプロ野球の佐々岡真司投手に対しても、西本理論の正しさを証明する結果を9年間にわたって出し続けたにもかかわらず、野球界が私に興味を示さないという現実に、正直落胆していました。

今回初めて、35歳現役の高校野球指導者が学びに来てくれたことを本当に嬉しく思いました。

これも縁というか必然なのでしょう、忙しいスケジュールをぬって2日間参加してくれるだけでも大変なのに、翌日の月曜日も休暇をとって、もし私の時間が許せば個人的に指導を受けたいという希望を持ってきてくれたのでした。

まさに待ってましたということで、私のノウハウを余すところなく伝えました。

おそらくは驚きの方が大きく、内容を理解するところまではいかなかったかもしれませんが、この考え方、この動きをマスターすることなく、野球が上達することはないと確信してくれたようでした。

私が伝えたかったのはそのことです。

なんらかの形で彼の指導を応援して行きたいと思います。

そして、入学時点ですでに高いレベルにある選手が向こうから集まって来て、指導するとか育てるという観点ではなく、適材適所に配置すれば強いチームが作れるという有名私立高校を驚かせるような、雑草軍団を作って欲しいと思います。

みんながプロ野球選手になれるわけがありません、みんなが甲子園に出られるわけでもありません。

ただその過程が、意味のない努力を積み重ねるのではなく、その時もその後も、なるほどこうなるためにこういうことをやっているんだと納得できる、厳しさと優しさのある指導を受けながら成長していけるようになって欲しいのです。

お父さんになった時、正しい体の使い方で子供とキャッチボールができる、それが当たり前になって欲しいのです。

さらにはそれがどうして正しいのか、体にとってなぜ無理のない効率的な動きであるのか、野球に限らず、どんなスポーツでもそういう理屈と、それなりに見える実技ができる親であれば、子供の運動神経を正しく育ててあげることができるはずです。

体作りではない動き作りという概念を、もっともっと浸透させていきたいと思います。

メジャーな組織のトップであっても、自分が私の理論を学びトレーニングを積んで、自分のチームにそして選手一人一人に必要だと心から思ってくれても、それをストレートに導入できないことのジレンマに陥っている指導者もいます。

世の中の常識を変えてくことは、簡単なことではありません。

それでも、トップレベルの選手や指導者の中にも、私の理論と実践を必要としてくれる人間が確実に増えてきました。

まだ道半ばどころか、始まったばかりです。

昨日も指導をし終わった後、私がなぜここまで熱くなって指導をするのかという話になりました。

まだ57歳です、いつまでやれるかという事を考える必要はないかもしれません。

ただ私が言っていること私が伝えたいことは、私にしかできないことです。

誰かが代わりにというわけにはいかないのです。

もし明日私の身に何かがあれば、その時点で誰にも伝えることができなくなってしまい、西本理論は消えてしまうことになるのです。

だから今日いま、私の目の前にいる人間に対して、どう思われようと必死になって伝えておきたいのです。

そして考えの一端でも残しておきたいと、本を書いているのです。

通りすがりの人に話をしても仕方がないことです、私の考え方に興味を持ってわざわざここまで足を運んでくれた人間たちなのですから、言い方が違うかもしれませんが、諦めてもらうしかないのです。

こんなことまで言われたくない、そこまで教えてもらおうと思ってきたのではない、何を思われようと、今の私が伝えられることを全て伝えておきたいのです。

もし気分を害された方があったら、本当に申し訳有りません。

分かってください、私の考え方を聞いて欲しいのです、活かして欲しいのです。

誰のためでもありません、私が出会うことのない、あなたの向こうにいるたくさんの人たちのために伝えているのです。

29日まで、今月は千葉への移動日を含めれば、8日からずっと休みがありません。

少し疲れが出てきましたが、正月休みまでまで頑張り続けます。

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Re: ありがとうございました
井田さん
今回も参加してくれてありがとうございました。
みんなの前でも話をしましたが、100人を超える西本塾の受講者の中で、帰り際まで納得いかないという顔をして帰ったのが井田さんでしたね。
それがこんなに何度もきてくれるとは当初は思いもしませんでした。
タイという異国の地で、フィジカルコーチとして言葉もわからない選手たちに対して指導するためには、私の持っている方法論を学びたいという気持ちで来ていることは当然のことでしょう。
私の伝えたい幹の部分ではなく、まさに枝葉を求めに来ていましたね。
それが今回、2年ぶりに西本塾に参加して、あの時とは違う何かを感じ取ってくれたことと思います。
まず参加者の意識です、野次馬根性でどうぞと言っていた頃とは、参加者の意識が大きく違ったことはすぐにわかったと思います。
何度も私の指導を受けているはずが、初めて参加する人たちの真剣さに圧倒されたのではないでしょうか。
第二回の西本塾に参加した井田さんだからこそ感じた部分だと思います。
私から一方的に学ぶのではなく、私を含めて参加者全員で学び合うことのできる環境を作るのが私の一番の仕事です。
良いきっかけになったと思います。
井田さんはすでにたくさんの引き出しを持っているはずです。
その何が大事でどう使うのか、今回の参加で根っこを掘るためのやり方が少し見えたのではないでしょうか。
信頼してくれる監督や選手たちのために、学んだことを存分に発揮してください。
期待し、応援しています。
  • 2015-12-22│21:47 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
ありがとうございました
西本先生、奥様、そして第16期の西本塾受講生の皆さん、2日間本当にありがとうございました。
2年前に第2期西本塾に参加させて頂き、これまで計4回広島を訪れ指導をして頂きましたが、毎回「何かを得よう」「現場で使えるノウハウを取得できれば」そう言った思いの方が強く、先生が何度も繰り返し言われている「根っこを掘ることが大事だ」ということや、「身体は丸ごと一つ」といったことはもちろん頭には入れていたつもりでしたが、その深い意味よりもそれらの「ワード」の方ばかり頭に入れていて、頭で理解しようとしすぎるあまり講習会が終わった時には頭がパンパンな状態になり、いざ現場で壁にぶつかった際に枝葉の解決策ばかりを模索する自分に対し、肝心の本質の部分を実は全然理解できていないのではという思いから、もう一度西本塾を受けることで一から学び直す気持ちで今回参加しました。
過去教わった経験があったこともあるとは思いますが、今回はより身体全体でこの西本理論を感じ取ることができ、西本理論の根本である「身体が喜ぶってこういうことなのだな」「こういった動きをすることがより自分の持つ力を発揮することができ競技にも活きるのだな」ということを実感できたと思っています。
ではそれを可能にするためにはということの大事なことは講習会の冒頭の部分から初日の講義を通して説明されており、あとはそれらを何度も掘り起こしながら目の前の選手に本気でぶつかっていくことが必要なのだと思います。
こういう言い方も失礼かもしれませんが、西本先生の伝え方もますます分かりやすく進化されており、受講生と共に講習会を作り上げる雰囲気もまたとても良いものであったと思いました。
やはり他の参加者(しかも志しの高い)と一緒に学ぶことは自分だけではない色んな見方ができたり意見を聞くことができたことも、個人指導でなく集団で学ぶことの醍醐味であり今回西本塾を受けてよかったなと思いました。
また一年タイに戻って彼らと全力で向き合いチームの力になれるよう頑張って来たいと思います。
本当にありがとうございました。

  • 2015-12-22│17:20 |
  • 井田征次郎 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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