陸上部顧問の先生の個人指導

先週の土曜日30日の午後、個人指導を受けに来てくれた松田さんから、昨夜届いた感想です。

コメント欄ではもったいないので、記事として紹介させていただきました。

感想の間に私の言葉を挟ませていただいて、今回の指導内容を皆さんにも知っていただけたらと思います。

西本先生
こんばんは。
昨日、個人指導を受けさせて頂いた松田です。
貴重な時間を割いて頂き、ありがとうございました。
今までの自分、そして今後の自分に対して考えるキッカケを頂くことができました。
正直、まだ整理がつかず、学んだ事がグルグルと頭の中を駆け巡っているような感覚です。


西本先生のお話の中で、最初に印象に残ったのは「股関節の形状の意味」です。
何故この形なのか。この部分を最初に教わったことで、その後の様々な内容の理解に非常に役立ちました。


今の施設を作って仕事を始めてから、すでに二年半近くになりました。
その間、西本塾や個人指導の形で、たくさんの方々に指導をさせていただきました。

私なりに工夫を加え、どんな形で来ていただいても、目的に合わせて希望していただいた時間の中で、少しでも目的に適う内容を指導できるように頑張っています。
出来れば二日間の西本塾で、一通り私の考えを聞いてほしいのが本音ですが、たとえ3時間と言われても、それぞれ忙しい中広島まで来ていただくのですから、中途半端なことは出来ません。

ただ決まったパターンがあるわけではなく、来ていただく方が抱える問題点を事前にお聞きして、また来ていただいた本人を見て、どういうことをどんなふうに伝えるかを考えるようにしています。

今回の松田さんは、元長距離選手で、現在は陸上部の顧問として選手の指導にあたっているということでした。
ならば迷うことはありません、人間が走るという行為を、本来どうやって行うことが、体の仕組みに沿った効率的な動作なのか、徹底的に掘り下げて伝えればいいのですから。
そのもっとも基本となるのが、人間の股関節の構造です。

そして、簡単な動きを交えながら、伸筋の重要性を分かりやすく説明して頂きました。
一見、同じように見える動きが、意識ひとつで何故こんなに強くなったり弱くなったりするのか、驚くことばかりでした。
しかし、3・5・7理論、アクチン繊維・ミオシン繊維等のお話を聞く中で、「なるほど」とバラバラだったそれぞれの言葉が繋がっていくような感覚でした。


これも「西本理論」を語るうえで、基本中の基本の内容です。

その後の、アイドリングの状態から走りに繋げていくドリルは想像以上に難しかったです。
特に印象的だったのは「屈筋の意識を消す」難しさです。


伸筋を使えるようにするのではなく、屈筋で頑張るという感覚を消す、言葉で聞いても難しいことだし、実際にその感覚が分かるのはもっと難しいかもしれません。

非常にレベルの低い動きに終始してしまっていたと思いますが、その中でも「あっ、これは」と感じる瞬間が何度かありました。
太ももを前方に振り上げている意識は全く無いのにもかかわらず、股関節を伸展させた結果、自然と上がってくるという状態は本当に不思議でした。そして何より、走り終わった後の、太ももの前面に全く疲労感を感じなかったことに本当に驚きました。
股関節の屈曲と膝関節の伸展。太ももには本当に無理をさせてきたのだなと、申し訳ない気分です。
同じように見える動作も、実際に本人の意識や感覚は全く別なのかも知れません。そういう部分を見抜く目を養うことも今後の自分にとっての大きな課題になりそうです。


地面を蹴ってその反力で体重を運ぶ、股関節を屈強させ太腿を引き上げ膝を振りだす、これまで当たり前だと思って行ってきた動きが効率的でなく、筋肉や靭帯に大きな負担を強いていたことを実感してしまうと、まさに申し訳ない気持ちになるという表現しかないと思います。

そして驚いたのは、西本先生のスピードです。
一応、陸上競技をやっていた手前、走ることには多少なりとも自信があったのですが。
あっという間に加速し置いていかれるような感覚でした。
そして焦って追いかけようとすると、即座に屈筋が出てきました。
座学でもあった「頑張ろうと思えば思うほど屈筋優位になる」をはっきり自覚することができた瞬間でした。
当たり前のことですが、何年も積み重ねてきた癖というのは、そんなにすぐには消えてくれないものですね。


褒めていただいてありがとうございます。
25歳のまだまだ現役選手に近い年齢の松田さんから見ても、私の走りは滑らかでスピードも十分あると思います。

ここ最近実技の指導が多く、走る機会が多いので、自分でも自分の走りが洗練されてきたことを感じています。
もしかしたら若いころを含め、今が一番楽にそして速く走れているかもしれません。

負けてたまるかという気持ちが少しでも顔を出すと、屈筋が待ってましたと出しゃばってしまい、動きにブレーキをかけるという事実も知っていただけたと思います。

先日も競輪選手と電話で話をしている時に、同じようなことを話したのですが、強い選手に並ばれて抜かれそうになった時は、「くそぉ」という気持ちが出ますが、逆にこのまま逃げ切れそうだという欲が出た時にも、実は無意識に屈筋が顔を出すんですよと言うことを伝えました。

「くそぉ」もダメ、「よっしゃ」もダメ、淡々と自分の体を正しく使い続けることが、最高の能力を発揮し続けてくれるのです。

・大転子より下の存在を忘れる。(少し表現が間違っているかも知れません)
・伸ばす、伸ばす、伸ばすのリズム
などのアドバイスは帰路、歩いているときもずっと頭を離れませんでした。


そうです、リズムはあくまでも「伸ばす伸ばす」なのです。
曲げるは忘れましょう。

そして施設に戻ってからの、フライングバックトレーニングも本当に衝撃的でした。広背筋が普段より少し機能するだけで、体(特に股関節)がこれほどまでにスムーズに動くのかと。いかに、普段から広背筋を使えていないかを思い知ることができました。
あの実技の後だったからこそ、その意味をより実感できたのだと思います。
伝える順番も非常に工夫して下さっているのだなと感じました。


どのタイミングでフライングバックトレーニングの指導を入れるか、これも相手次第でとても難しいことです。
ブログを読んでやってみていただいている人は多いと思いますが、残念ながら私の伝えたいイメージできちんと行えている人はこれまで一人もいませんでした。

動画を載せようが、この感覚は直接指導をしなければ絶対に伝わらないと思います。
ただ真似事でもいいですから、やらないよりはやった方が絶対にいいとは思いますが。

そういった面では、西本先生には「物事の伝え方」という点でも学ばせて頂いたなと感じています。
座学では、広背筋が大切だと頭では納得できました。そして実技があり、それに加えてのフライングバックトレーニングによって自分の感覚が明らかに変わったことでより深い納得が出来たと思います。

結局、生徒も「納得」して初めて前向きに取り組んでくれるものだと思います。恥ずかしながら、生徒と関わる日々の様々な場面で「あれだけ言ったのに全然伝わらない」と悩むことも多いのですが、それは結局生徒が「納得」していないから。「納得」できる説明(見本を見せるとうい事も含め)を指導者ができていないからなんのだなと痛感させられました。


人に自分の考えを伝えることは本当に難しいことです。
学校で教えることのように、答えがあったり決まっている事であっても、それをきちんと理解させることは難しいと思います。
私は私の考えを伝えたいのですから、これはもう試行錯誤しかありませんでした。
それでもその人の向こうにいる誰かのためにということを、すべての基本に据えることで、形が出来てきたように思います。

本当は西本先生にぜひ伺いたいと思っていたことが、たくさんありました。普段から疑問に思っていること、現在、取り組んでいることの方向性など。
でも、それら全てはおそらく枝葉の部分。途中からそれらの質問自体がとてもナンセンスなことではないかと思い始め、結局聞くことはしませんでした。


そういうことです、準備してきた質問はまさに枝葉の先のことで、もしそのことのやり取りをしても、何の解決にもなりません。
というより、体の仕組みと私の考え方を知っていただければ、その中に答えはすべてあるということです。
松田さんはそれを途中で分かってくれたのだと思います。

こちらの都合で西本塾に参加できず、西本先生の培ってこられたことを学ぶには短すぎる時間だったと思います。
そんな中でも、たくさんのヒントを頂き、西本先生の理論を学ぶ入口に立たせてもらったと感じています。
今回、学ばせて頂いたことを、今後の指導に役立てていくことが西本先生への一つの恩返しになるかなと思います。
まず自分で実践し、より深い納得をし、伝え方を探っていこうと思います。
熱心なご指導、本当にありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。    松田幸大


松田さんは本当に真剣に学んでくれました。
本当に楽しい時間でした。

これからの長い教員生活のはやい時期に私の考えを知っていただけたことは、きっとプラスになると思います。
これからがスタートです、頑張ってください。

スポンサーサイト

Trackback

Comment

Re: フルマラソン記録更新
望月さん
報告ありがとうございます。
90分間走り続けられる能力ではなく、頭と体を動かし続けるための走るという行為の技術とはどういうものか、サッカーという競技に関わり、このことが整理されなければ個人としてチームとして、さらには世界で戦う日本代表というレベルまで、それぞれの向上は望めないということを言い続けてきました。

それでも走るという行為そのものが目的である陸上競技の関係者からは、注目してもらうことはほとんどありませんでした。
その中でも個人的に指導を受けに来てくれた人は何人かいました。
長距離に取り組む人だけではなく、短距離の人も私の考え方や走るという技術に賛同してくれ、実際の走りが変わり納得してくれています。
それでも割合でいけばゼロに近い数字かもしれません。

そんな世の中の常識を身を以て覆そうとしてくれているのが、望月さんであり私から学んでくれた人たちです。
先日指導を受けに来てくれた教員の方も、考え方や実際の私の走りを見て納得をしてくれましたが、自分の走りを変えるには少し時間がかかると思います。

人間にとって自然な体の使い方ですから、一度覚えてしまえば自転車に乗れるようになることと同じだと思います。
普通の自転車なら誰でも乗れるようになるでしょうし、乗ってしまえば頭で理屈など考えていないと思います。

なのに走るときには、どこをどうやって動かす、そのためにはどこを鍛えてなどと、次から次へと理屈が追いかけてくるのはなぜでしょう。

たぶん体にとって自然な動きではないからだと思います。

私が提唱している動きが馴染みにくいのは、不自然な動きを強要され、それが出来るようにならなければ速く走ることができないと思わされているからです。

人に伝えるためには見せるだけではダメで、しっかりと理解してもらえる言葉が必要です。
それを理論というのならそうでしょう。
理論が先にあるのではなく、人に伝えるための手段です。

まずは自分の中で、自転車に乗っているように自然な動きを探していきましょう。
きっとその先にサブ3が見えてくるのだと思います。
真面目に考えすぎることが望月さんの欠点かもしれません、たまには何も考えずに気持ちよく走ってください。
  • 2016-02-04│10:28 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
フルマラソン記録更新
西本直先生

昨年に続きフルマラソンで記録更新を目指して館山若潮マラソンに挑戦してきました。
こちらのコメント欄に昨年の大会の報告をしているので今後の記録としてコメントを書かせて頂きます。

まずは、結果の報告ですが
昨年の大会は、完走タイム3時間23分28秒(グロス)でしたが、
今年の大会は、完走タイム3時間14分26秒(グロス)で9分の記録更新となりました。
また、自己ベストも3秒更新出来ました。
これは、西本理論のお蔭です。先生、本当にありがとうございました。

続いて大会までの練習についてですが、
大会のコースは、登り坂や下り坂ばかりで、30㎞地点では高低差40mあるので絶好の屈筋を感じられるコースとなっています。(笑)
その為、レース2ヶ月前からアップダウンのあるコースで練習をしてきました。
特に登り坂に対しては念入りに練習をしました。
練習では、FBTやマシーントレーニング、ランジ、スクワット、腹筋を使わない腹筋運動などで広背筋へ刺激を入れ骨盤を引き上げ、小結節を引き下げて屈筋が顔を出さない状態にしてから登り坂を走る練習をしました。

登り坂を走る際は足で蹴っったり、腕を大きく振って登り坂を上ったりするのではなく、骨盤と肩甲骨の捻りを連動させて広背筋の作用で地面を押して登り坂を上る感覚で走りました。
これをすると登り切った後に息が切れてペースダウンしません。
むしろ登り切った後に、肩甲骨と骨盤の捻りが早くなりペースアップ出来る走りになりました。
これは、西本理論を知らなかったら出来ない事だと改めて感じました。

レース1ヶ月前からは、外で走る量を減らして、室内の練習を増やして動き作りのドリルをして骨盤の8方向の動きを大きくする練習をしました。
その甲斐もあって、足がすごく軽くなり、背中の動きがより大きくなった事を感じました。

そして、レース当日。
18㎞地点まで、4:10~4:20/㎞のペースで余裕を持ってとても気持ち良く走れていました。
中間記録(1:32:04)を見ても残り半分でペースアップしてゴール出来れば、サブ3を達成出来たと思います。
しかし、現実はそんなに甘くありませんでした。
25㎞地点から30㎞地点の登り坂と下り坂の連続で4:30~4:40/㎞のペースに落ちてきてしまいました。
その後もアップダウンが続きペースを上げる事が出来なくて、35㎞地点から39㎞地点では5:10~5:25/㎞までペースダウン。
中間-FINISH記録(1:42:22)を見ても前半に比べて後半は10分も余計に時間が経過してしまいました。
この原因は、35㎞地点で感じだ腓腹筋の張りです。この張りは登り坂になると痙攣しそうな感覚になりペースがどんどん落ちてきました。
これは体の通信表ですね。「残念でした。まだまだ屈筋を使って走ってるよ」なんて体から言われている気がしました。

レース後の反省として屈筋を使って走った場所がどこだったのかを考えた時に、
登り坂の時の体の使い方が悪かったのだと思いましたが、レース2日後に11㎞走って考えが変わりました。
下り坂でスピードが出た時に屈筋を使ってしまったのだと・・・
それを繰り返した結果、広背筋が上手く使えなくなり骨盤が落ちて骨盤の動きが出なくなり足で走ってしまったんだと。
以上が、レースの報告になります。

記録は更新しても、上手くいかなかった事がたくさん出てきます。まだまだ課題がたくさんあります。
人間の体としっかり向き合える西本理論のお蔭で、これからも現状に満足する事なく更なる高みを目指して頑張れます。
先生と出会わなければ、フルマラソンを走り終わった後にこんな気持ちにはなれなかったと思います。
本当にありがとうございました。

最後にレース後の体が去年と比べて変わった事もご報告致します。
レース後は、体の痛みがありませんでした。レース中に感じた腓腹筋の張りもレース後にはまったくなくて驚きました。
翌日も同様に痛みがなかったです。
レースでは山賀さんが応援に来てくれて、翌日も会ったのですが、何ともなさそうな私を見てとても驚いていました。
レース当日のリカバリは交代浴をしながら関節を動かしました。当然ですがストレッチはやっていません。
翌日のリカバリは、マシーントレーニングを入れて軽く走りました。
するとレース2日後には、更に体は軽くなりました。
このリカバリを通して感じた事はレース後は、何もしないでただ休む事は体の回復を遅らせる行為だと思いました。
リカバリのマシーントレーニングは、伸筋を活動させて出しゃばった屈筋を静かにさせる行為で筋肉をニュートラルにさせるものなのかな?と思いました。

このリカバリを入れると2日後には普段通りの練習を再開出来て、レース中の反省を出来るので今後も取り組みたいと思います。
下り坂で屈筋がでしゃばっていたと気付いたのも2日後の練習中ですから、
レース後早めに練習した方が絶対に良いですね。

以上、2016年の初の報告とさせて頂きます。

千葉県市川市
第7期西本塾生
望月 竜弥
  • 2016-02-04│10:25 |
  • 望月竜也 URL│
  • [edit]

Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

最新記事

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR