自分の体の動きを知るということ

日曜日の夕方アップされた「Newspicksのロッベン選手の記事」は、たくさんの方が読んでくれたようです。

ロッベン選手に関する記事は今回で3回目になると思います。
毎回同じようなことを書いていますが、何度見ても何度書いても、彼の能力の全てを語ることなど到底できることではありません。

それでも分析の元となる基礎練習の動画が、木崎さんから届くたびに、ロッベン選手の凄さというか超一流であり続けるための努力に驚かされ続けています。

他の選手が真剣にやっていないとか、手を抜いているということがあるはずがありません。

だからこそ彼の「動きの質」が際立つのです。

運動能力に関しては、持って生まれたものという言い方がされます。
遺伝的な要素は確かにあって、そのことに関しては悔しいけれどどうにもならない部分があることは間違いありません。

西本塾生の川端さんが、イチロー選手にはなれるかもしれないけれど、日本ハム
の大谷投手や阪神の藤浪投手、またダルビッシュ投手にはなれないというようなことを書いているのを目にしました。

まさに私が言い続けていることです、どんなに努力をしても190センチを超えるような身長にはなることができません、持って生まれた遺伝のなせる技です、当然のことです。

しかし、ウィキペディアによるとイチロー選手の身長は180,3㎝、体重77,1kgとなっています。

ちなみにアメリカに渡ったすぐの頃、さすがに周りに選手の体に圧倒され、3キロ増量させたところ、自分の体が自分の思ったように動かせないと、すぐに元に戻したという話を本人のインタビューで聞いたことがあります。

やみくもに体作りに走る選手たちは、この言葉をどう聞いたのでしょうか?

数字だけ見れば日本人のプロ野球選手の中でも大きな方ではありません。

もちろん実績は他の追随を許しませんので、いくらビッグマウスな選手であっても、「イチロー選手を超えるような選手になります」と言うのはさすがに勇気がいると思います。

しかし、イチロー選手は自分の野球に対する考え方や細かい技術的な部分にまで踏み込んで、自らの言葉で発信していますし、そのためのトレーニングに対する取り組み方も同じように我々にも伝わってきます。

それでも誰もイチロー選手のようになりたいとは言いません。

敬意を表してとか、失礼にあたると思っているのでしょうか、その時点でそういう発言をする選手は絶対にそうなることは不可能でしょうね。

直接指導してもらうことがなくても、彼が歩んできた考え方の変遷をしっかり学んで、それをなぞりながら自分の形を作っていけば、同じにはなれなくても違う形で、もしかしたら超えていけることができるかもしれないと考えることは間違っているのでしょうか。

繰り返しますが、大谷投手や藤浪投手またダルビッシュ投手のような身長には、どんなに努力してもなることはできないのです。

もちろん身長が高ければ良いと言っているわけではありません。

それぞれが親から授かった自分の体をどう使うかというところに、努力の目標があるべきだと言っているのです。

足の速さもある意味遺伝的な要素というか、速い人は何も教えられなくても速いという側面はあります。

それでも後天的な努力によって、人並み以上の速さになれることは間違いないと思います。

足の速さだけではなく、スポーツの分野で一流また超一流と認められている選手たちを見続けていると、それぞれの特徴と共通する何かが見えてきました。

それらを本人たちが、理論的にと言う少し大袈裟ですが、「自分がどういう意識で体を操っているか」という部分に、とても興味が湧いてきました。

「彼らは特別な人間で彼らにしかできないから、超一流であると認められるのだ」、確かにそういう部分もあるでしょう。

ならばそうでない人間は、指をくわえて見ているだけで、何を目標に努力していけば良いのでしょうか。

指導者と呼ばれる人たちは、指導を受ける側の人間に対して、今現在それぞれの世界で普及している常識的な内容を指導しなければなりません。

そのためのライセンス制度であり、教科書的な内容を公平に伝える必要が出てきます。

そこでは指導する側の人間にも理解できていない、超一流の選手たちの動きを指導できる訳がありません。

自分ができないこと自分が言葉で説明できないことを、誰かに伝えることなどできるはずがありませんから。

自分を超えていく選手を作れないなら、そこに全体としての進歩は生まれません。

ロッベン選手の動きを見るたびに、彼はどこまで自分の体の使い方を客観的に理解しているのだろう、その部分を聞いてみたいと思ってしまいます。

Newspicksでも、彼にケガが多いことと私の分析が矛盾するのではというコメントが見られましたが、この自分の動きの特徴を把握できているかという部分が、鍵になってくると思います。

私がほれぼれするような体の使い方で、まさに背中が使えているという表現になるのですが、広背筋を上手く使うために、その起始停止部分を力強く連動させている、まさにお手本の動きです。

しかし真っ直ぐ走るだけならまだしも、サッカーに必要なスピードや方向の変化、さらには対人のコンタクト、最も大事なボールコントロールそしてシュートと、自分ではコントロールできない要素が次々と現れてくるのがサッカーという競技です。

ロッベン選手が超一流なら、対する相手も同等の選手たちのはずです。

その中で彼のできる最高の動きを発揮し続けることに、体はどれほどのストレスを感じるか、想像しただけで体そのものが、ある意味かわいそうになります。

どんなに正しいと思っている動き方であっても、それだけでは済まない局面はぜったいにあります、彼らはそれを覚悟してプレーに臨み、富と名声を得ているのです。

私が言うのはおかしいかもしれませんが、正しいこと理想的な効率的な動作では通用しない部分は絶対にあるのです。

ロッベン選手は、少なくともそのことは絶対に理解していると思います。

だからこそ、どんな基本的なドリルであっても、緊張感を持って実戦を意識した動きを繰り返しているのだと思います。

この意識だけでも十分真似をする価値はあると思います。

ネットで、数年前からある理学療法士の方に、体の使い方の指導を受けているという記事を見ましたが、そのことも今私が目にすることのできる動画の秘密かもしれません。

おそらく20代の前半くらいまでは、何も考えることなく力任せのスピード勝負ですんでいたのではないでしょうか。

彼らは我々日本人に比べて明らかに体の後ろ側の筋肉を上手く使えていると思います。

広背筋を上手く使うことで、背骨を介して肩甲骨・肩関節と骨盤・股関節を最大限に連動させ、私の言う股関節の自由度が増して、大腿骨のクランクを使いやすくすることで、膝を引き上げるのではなく、股関節の伸展動作によって自然に膝が前に降り出されるという理想の動きに繋がって行きます。

細かいステップもストライドを広げたスプリントも自由自在というわけです。

ところがその動きを制御するために、やはりと言うか屈筋をブレーキのように使っているよう見える瞬間があるのです。

これがもうどうしようもなく、このやり方しかないのか、それとも昨日も書いた伸筋自体のアイドリングで事足りるのか、あり得ないことですが、私が直接ロッベン選手の所に行って、その動きを試してもらい、比べてみて欲しいなどと考えてしまいます。

もし私の想像が的外れでなければ、ロッベン選手の筋肉系のトラブルは減るかもしれませんし、もっと楽にスピードの変化もできるようにになるかもしれません。

こんなことを考えるだけでも楽しいと思いませんか。

車で言えばF1の技術が我々の乗る車にフィードバックされて行くそうですが、私がトップレベルの選手たちの動きを想像しながら思いついた体の使い方を、どういう意識で行えばそれに近づけるのか、それを私の目の前にいる選手や一般の方にフィードバックできれば、それはかなり値打ちのあることではないかと自分では思っています。

ロッベン選手以外にも、この動きはどういう意識でとか、もっとこうすればこうできるのではと考えることがたくさんあります。

週末には西本塾で、来週は高校生の女子サッカー選手が個人指導を受けに、さらには月末には名古屋の内田さんの招きで指導に行くことになっています。

私の考えていることがただの思いつきではなく、実際に使える理論であり動きであることを伝えていきたいと思います。

今日は触れることができませんでしたが、世間で認知されたというか、一般の方の間でも普通に使われるようになった「体幹が強い」という言い方について、改めて私の考え方を書いておきたいと思います。



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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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