体幹を使うということと全身を連動させること

今日は昨日来ていただいた内田さんとのやり取りから気づかせてもらったことを書きます。

与えられた題材であったり、学びに来ていただいた方との交流の中で、日々新たな気づきが得られるという、何ともありがたい環境を与えていただいています。

最初に言っておきますが、私の考えは私の考えであって、賛否両論があって当然ですし、批判していただくこともまったく問題はありません。

ただ、これまで、そしてこれからも、おそらく生きている限り私の試行錯誤は続いていくと思いますので、昨日言っていたことと今日言っていることが違うことは当然のことだと思っています。

私も気を付けているつもりですが、他者の考え方や意見を否定したり非難するような言い方だけはできるだけしないように心掛けています。

その方の考え方や方法論を真剣に学ぶことなく、意見を言うことは失礼ですから。

それでも私ならこう考えるということは言ってもいいと思います。

何度か話題にした、Jリーグのあるクラブの名監督の言葉、「西本さんの考えに肯定的な人が、今は半分以上だろうけれど、批判的な発言がそれ以上になって初めて、その考えが認められてきたということだよ」、まさにそういうことなのかなと思うようになりました、文句を言ってくる人も見てくれているということですから。

まったく面識のない方から何を言われてもまったく気にはなりませんが、一度でも面識のある方から思ってもみない反応があると、いったいどうしてしまったのだろうとがっかりしてしまうこともあります。

すべては自分に返ってくると肝に銘じて、自分の信じた道を進んで行くしかないようですね。

さて、余計な話から始まってしまいましたが、Newspicksの記事を見ていただいた、西本塾10期生の岩田さんからコメントが届いていましたので、そのことを含めて今日の記事を書いていきます。

西本先生ご無沙汰しております。

10期生岩田です。

2月末に名古屋へお越しくださるということですが、残念ながら両日とも勤務がはいっており参加でません。

「名古屋のサッカー界を熱くする」と西本先生がおっしゃっていた内田さんにもお会いしたいと思っていましたが、また次の機会に参加させていただきたいと思います。

私もNewsPicksの動画を拝見させていただきました。

私が他の選手とロッベンの違いを感じたのは、骨盤、股関節の動きです。

動画の前2選手は、足を振り上げる(股関節の屈曲)の時点で、外旋運動も伴っており、それにより骨盤、体幹、肩関節へと動きが波及するために、ステップのひとつひとつの動きが大きくなっているように見受けられます。

それに対してロッベンは、ステップを前や横へ踏んでいる時も、骨盤より上の体幹にブレが生じないために体幹の位置は一定に見えそこでステップを踏み出せるためにより素早く動作を行えているのではないかと考えました。

股関節の運動(屈曲、伸展)を最短距離で行えることにより、体幹が姿勢保持に無駄に力を割くことなく、その後のダッシュ時に、進行方向にスムースに加速できるということです。

ステップをいかに踏むかということでなく、股関節と骨盤をどう動かすかで体幹の安定性は変わるなぁと日々の仕事の中でも考えております。

10期生 岩田 淳

今日は、前回予告した「体幹が強い」という概念について書くつもりでしたが、まさにそのことと、岩田さんからのコメント、そして、ツイッターでも予告した「反った猫背」という、意味不明な言葉の説明が、すべてリンクしていることで、それらを一度に説明した方が理解してもらいやすいかなと考えました。

岩田さんご指摘の最後の部分、「ステップをいかに踏むかということでなく、股関節と骨盤をどう動かすかで体幹の安定性は変わるなぁと日々の仕事の中でも考えております。」、ですが、一般的に言われていることは、「体幹を安定させることで、四肢の動きが向上する」と言う論法ではないでしょうか。

それを岩田さんは、「股関節骨盤の動きを正確に行うことで、その上部の体幹が安定する」と、考えられたのだと思います。

この発想は私の考え方を学んでいただいた方なら、等しく共感していただけると思います。

まずここから話を始めなければならないのですが、「体幹」とはいったい何を指すのでしょう。

また、「体幹が安定している」とか、「体幹が強い」という見方はどこから来るのでしょう。

さらに体幹を鍛えることで、軸が安定するとか、動きが安定するという言い方も、あまりにも抽象的ですし、とりあえずそういう言い方をしておけば、なんとなくみんな納得するというか、それ以上の議論にならずに済む、便利な言葉になってしまいました。

体幹トレーニングを否定しているわけではありません。

この言葉が聞こえてき始めたころから、では従来のトレーニングでは、いわゆる体幹部分は鍛えられていなかったのかという素朴な疑問を感じました。

体幹部分の概念は、頭の部分と四肢を除く、まさに胴体そのものだと思います。

私が今言っていることも、その胴体をもっと具体的に、骨盤と背骨、股関節と健康骨・肩関節と言う、胴体部分を動かすための骨格のことを言っています。

それが、「背中を使う」と言う言い方になっています。

例えば代表的なトレーニング種目である、ベンチプレス・スクワット・デッドリフト、それらを行う時に最も鍛えられている部分は、誰がどう考えても「体幹」ではないでしょうか。

ベンチプレスは胸、スクワットは下半身、デッドリフトは背中を鍛える代表のように思われているかもしれませんが、それらを行う時に体幹部分がきちんと機能していなければ、正しいフォームで行うことは出来ないし、何より危険で重量を増やすこともできません。

力こぶの筋肉である上腕二頭筋だけを鍛えようと、専用の器具を使ったトレーニングを行う際にも、体幹部分の安定なしに、それを行うことは出来ないのです。

にもかかわらず、あえて体幹だけを鍛えれば事足りるようなイメージが広がってしまったのはどういうことなのでしょうか。

基本的なトレーニングを正しいフォームで行うことで、十分体幹部分は鍛えられていたはずなのに、体幹部分だけがクローズアップされてしまうことに違和感を覚えたのは私だけではなかったはずです。

まさにこれこそ、「みんながそう言っているから」という、日本人特有の全体主義の結果だと思います。

何度も言いますが、体幹部分を鍛えることが必要ないと言っているのではなく、あえてその部分だけを鍛えることに時間をかけるなら、他のことを考えた方が体の動きを改善するためには、ベターな方法ではないかと私は考えているのです。

前述の基本種目の3つは、私の言う「体作りのためのトレーニング」ではありますが、器具を動かす、筋肉の収縮を伴うという意味では、アイソメトリックの体幹トレーニングよりははるかに優れていると思います。

ただ器具が必要ですので、いつでもどこでもという訳には行きませんが。

さらに私の推奨する「動きづくりのトレーニング」は、それら3つの種目さえ、動きの意識を変えることで、骨盤・股関節・肩甲骨・肩関節と言う、私が最も重要視する部分に的確な刺激を入れることができるものになるよう工夫を加えています。

もちろん体幹部分は正しい連動をすることによって、本来の機能を十分向上させることができます。

そんなことを考えながらトレーニングの指導をし、実際の動作とくに走るという基本の部分に応用してきました。

姿勢の重要性についてはさすがに異論はないと思います。

では正しい姿勢とは何か、正しい骨盤の前傾から、背骨の自然なS字カーブを描き、前後左右のバランスのとれた無理のないリラックスした状態、とでも言えばいいのでしょうか。

その骨盤の角度に、我々日本人は少し問題があると気づき、欧米人との違いが何なのかという考察の中で、骨盤と背骨の角度に最も関連している「広背筋」が、機能していないのではないかと考えたのです。

それを克服し、正しく機能させることができるようになった姿勢、特に背中の部分を指して「シュッとした背中」という言葉を、塾生の鬼木君が考えてくれました。

彼が海外のサッカー事情を視察に行った時に、改めてそういう視点で海外の選手を見ると、良い選手はみんな「背中がシュッとしている」と教えてくれました。

まさに言いえて妙です。

基本的にはそこを目指してトレーニングすることで、すべてが良い方向へ展開してきたように思います。

ところが、分析を依頼される超一流選手の姿勢は、それだけでは説明がつかない部分がたくさんあったのです。

分析を依頼された初期の頃から気になってはいたのですが、サッカー選手なら背番号の一番下の部分にはしっかりとした骨盤の反りが見えるのですが、実際に動いている時走っている時には、肩のあたりが悪く言うと少し「猫背気味」に見える選手が多かったのです。

当初は、この局面では少し力が入って力んでしまっているのかと思いましたが、だんだんそうではないことに気がつきました。

西本塾や個人指導、さらには深める会と、人に指導を重ねていくにつれ、「シュッとした背中」ではできない動きがあることに、受講者の動きを見ながら気づいていきました。

とくに昨日も来てくれた、名古屋の内田さんは、この半年くらいの間にもの凄いペースで広島に来てくれて、それを地元にフィードバックするために、まずは自分の体でと真剣に学び続けてくれています。

彼の動きを改善していくことが、私の走るという行為に対するイメージを明確にしてくれています。

岩田さんや他の受講者には申し訳ないですが、少し次元の違う会話と言うか、もうまったく私の考え方を知らない人から見れば、理解不能、意味不明な言葉のやり取りであり、実技の動作になってきました。

過去に私から学んだ人であっても、すぐには形にすることは難しいかもしれません。

けっしてこれが正解で完成形という訳ではありません、これからもさらにイメージは変わっていくかもしれないし明確さも増すと思います。

そういう意味でも、何度も訪れてくれる内田さんは有難い存在です。

骨盤・股関節がうまく使えているから体幹が安定するのでも、体幹が安定しているから四肢末端の動きがうまく出来るようになるのでもなく、しつこいくらい言い続けている、「すべてのパーツのどこをどう動かすという感覚ではなく、それらをどう連動させるか」ということがすべてだと思います。

長くなってしまったので「反った猫背」の話は次回にします。


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Comment

Re: No title
内田さん
毎度毎度ありがとうございます(笑)
内田さんの熱心さは今までの参加者とは少し違っていました。
初めて参加していただいた際の目的が、参加した後全く変わってしまったことで、絶対にものにしてやるんだという強い意識を感じています。
月末の講習会は、内田さんの活動をより加速するためのお役に立てるようしっかり頑張りますので、よろしくお願いします。
  • 2016-02-19│19:51 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
西本先生

一昨日はご指導して頂きありがとうございました。
私の動きを改善していくことが、先生の走るという行為に対するイメージを明確にしてることや、存在が役に立ってるとは思ってもいませんでしたので、驚きと同時に大変嬉しく思います。

また、今まではこちらのコメントでは私の地域としてきましたが、これだけ先生に紹介して頂いてますし、また西本理論を使い広めていくためにも、堂々と名古屋の内田として発言していきたいと思います。

今回指導を受けて感じたことは、やはり物事には順序があると言いますか、深める会で聞いたとしても理解できなかったと思います。今回のブログでも書かれている言葉になっていない言葉や、表現方法をニュアンスで感じ取ることができたのは、動きが出来た出来ないは置いといて、昨年より先生の前に立ち続けてきた結果だと思っております。今回でようやく理解した攻撃時、防御時のそれぞれの三分割なども当然あり、新たな走りや動きをする中で、私自身が西本理論の次のステージに入り始めた感覚がありました。

また、以下のことは、この場で言うことではないかもしれませんが、2月末に名古屋で行います指導会、ブログで告知して頂いたことによって4名の大人、2名の中学生が参加希望があり、定員の40名に達しました。

そして、明日は千葉の望月さんの紹介により、競輪選手が施術を受けに来ます。
西本塾生の横の繋がりも、あることを報告させて頂きます。望月さんご紹介して下さりましてありがとうございます。

西本理論を勉強していなければ、出会ったことのない方達との出会いも多くあるようになってきました。こんな私の下へも指導依頼が増えてきました。

塾生の皆様、それぞれの活動でなかなか広島には行けないと思いますが、西本先生は昨年末よりもすでに更にスケールアップしています(笑)

西本先生、月末はしっかりと準備しお待ちしております。
どうぞよろしくお願いします。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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