出版にあたって読み解いて欲しいこと。

広島市内、冷たい雨が降り続いています。
昨日と比べて10度ほど気温が低いそうですから、体にはとても寒く感じます。

「1回5分 体が喜ぶ健康術」というタイトルの新著が、アマゾンのサイトによると、いよいよ明日10日に発売になるようです。

他人事のような言い方になりますが、私が出版社から聞いていたのは10日にアマゾンや取次といわれる会社に渡り、その後扱ってくれる書店に納品され、それから先はそれぞれの書店の判断でいつ店頭に並べてもらえるのかは分からないという話でした。

アマゾンの予約が始まるのもこれからだと思っていたのですが、カマタマーレ讃岐サポーターの方から、すでに予約しましたという連絡をいただき、慌てて調べたら予約が始まっていたという次第でした。

すでに沢山の方から予約を頂いたという有難いお知らせを頂きただただ感謝です。

改めて、今回の本に対する私の思いを書いておきたいと思います。

私は20代の半ばに、ある施術者の方との出会いでこの道に興味を持ちました。
そしてその後ご縁があって生涯の師と定めた、故渡辺栄三先生との出会いによって、大きく人生の舵を切ることになりました。

先にご縁ができた先生は、まったくの素人であった私にとっては、まさに神業としか思えない技術を持った方でした。
歩くこともままならない腰痛の患者さんが、ものの四、五十分の間に誰の手を借りることなく立ち上がり何事もなかったように帰っていく姿は、言葉では説明のつかない世界だと思いました。

しかし、自分にそんなことができる様になるとも思えず、会社員としての生活を続けることになりました。

それでも自分の中でどうしても諦めきれず、何かきっかけがないかと探していた時に出会ったのが、渡辺先生が主催されていた操体法の講習会でした。

先生が結核を患い退院されたばかりであったことは後に知ることになりましたが、操体法の指導普及という活動を再開されたちょうどその時に、私が連絡させていただいたことは、まさに運命的な出会いだと勝手に思いました。

最初に伺った時には、私以外にもう一人の受講者がいましたが、まさに今私が言っている枝葉の技術を目的に来られた様で、先生の雲をつかむ様なお話には納得がいかなかった様で、2回目からは私一人になってしまいました。

毎週土曜日3ヶ月の約束で始まった講習会でしたが、その後は少しずつ途中参加の方もあって、最終的には10人近くになったと思います。
それ以来、秋葉原の「温故堂」通いが何年続いたでしょうか。

操体法では足指揉みの操法と呼ばれているものですが、今の私は受ける側の感覚を言葉にして「からだほわっと」と呼んでいるものですが、これを初めて先生にしていただいた時の感覚が、今の私を作って頂いたと思っています。

素人ながら、人の痛みや違和感が、いわゆる医療の領域の外で改善できるという事実は、最初に出会った先生の技術も含め、衝撃的でした。

私自身、子供の頃から野球をやっていて、腰を痛め肩を痛め、さらには胃腸が弱く虚弱な体質でした。

内臓に関しては、どこの病院に行って検査を受けても特に異常は見つからず、精神的なものを指摘されるばかりでした。

そんな中、先生から受けた施術で今までに感じたことのない心地良さに体が包まれ、こんな世界があるのかと子供の様にワクワクしたことを覚えています。

先生の手が私のくるぶしあたりを持っているというか触っているのは分かるのですが、それほど力を入れているとも思えないのに、私の体は水面に浮かぶ木の葉の様に、ゆらゆらと揺れ続けるのです。

世の中の事象のほとんどは、過去に経験した何かにたとえて、他者に対してこんな感じですと伝えることができると思うのですが、こればかりはまったく他の何者にも例えようがない不思議な感覚でした。

ただただ心地良い、ただただ気持ち良い、それ以上の言葉が出てこないのです。

と言うよりも、何かに例えてしまうことが意味を成さないというか、もったいないことにさえ思えました。

これができる様になったら、人の体を治せるとか仕事にできるかもしれないなどという打算ではなく、自分がこんなに気持ちが良いと感じたことを、誰かのためにしてあげられる様になりたい、心からそう思いました。

世の中には数え切れないほどの施術方法や理論が存在するとは思いますが、同じ様に良い結果を得られるのであれば、とにかく何の不安もなく痛い思いをすることもなく、なんだか分からないけれど体が心地良い、気持ち良いと感じ続けた結果として、痛みや違和感が解消されるこの方法は、絶対に人の役に立てるものだ、やるならこれしかないと確信しました。

あれから30年ほど経ちましたが、私の操体法や体に対する思いは何も変わることはありません。

逆に、先日も話題にした、「独創性とは起源に戻ることである」の言葉通り、渡辺先生から学ばせていただいたこと、また操体法の創始者である橋本敬三先生の口癖であったと伺っている「体が気持ち良いことやってりゃ良いんだ」の言葉通り、どうすれば体が喜んでくれるのか、本当はどういう風に動きたいと思っているのか、その人の体になったつもりで、じっくり体と対話することで、少しずつ体が本音を話してくれる様になり、それをしっかり聞き取って対応すれば、誰が治したとかいうことではなく、自然に元の体に戻ってくれるという事実を、ずっと経験し続けてきました。

それは施術行為に限らず、トレーニングも同じです。

体をいじめる、体を追い込む、そんな言い方が当たり前の様にされていますが、私は体が喜ぶトレーニングが理想だと思っています。

それは、言葉のイメージとは少し違って、けっして楽なものではないかもしれませんが、その結果として、体づくりではなく動きづくりのトレーニングへと進化して、確実に成果をあげてきてくれました。

そんな私の30年の経験の中で、どうしても納得がいかないことがあります。
それは巷にあふれる健康書の数々です。

本の前書きのところにも書きましたが、本当に体にとって効果のある普遍的な内容であれば、時代は変わってもその内容は読み継がれ、まさに聖書の様な存在になっているはずです。

ところが、どんなに売れた本であったとしても、その内容が本当に万人に当てはまる普遍的な内容であるかというと、残念ながらそうではないと思います。

どこかを揉めばどこかが治る式の、お手軽なものがほとんどだし、自らの宣伝の様な内容で、実際のところは施術所に来てくださいという感じです。

私はそんなものを書きたかったのではありません。

すでに13年も前に出させていただいた前著は、本来健康指南書として書いたものではありませんでした。

その時点での、体に対する私の考え方を本にして見ないかという話を頂いて、書き始めたものでした。
結局は操体法の簡単なやり方、健康指南書的な内容を入れないことには、役に立つ本にはならないし、ましてや私の様な無名な人間の本が売れるわけがないと、編集者の誘導でああいう形になってしまい、タイトルもまさにその類のものになりました。

ところが、その部分を見てというか読んで、健康管理に役立てていただいているという感想がたくさんの方から寄せられたのです。

あの内容だけを見て上手にやっていただくのは、正直難しいと思いました。

それでも読んだ方は役に立ったと言ってくださる、本当に申し訳ないと思いました。

不本意ではありましたが、この部分を求めている方が多いことは当然分かっていましたので、ならば私自身が納得できる内容の健康指南書をもう一度書かなければ、前著を読んでいただいた方に失礼ではないかと思いました。

文字だけで説明することに限界があることは当然です。
特に私の文章は分かりやすく書こうと思えば思うほど、長く難解なものになってしまいます。

それをどう改善するかと考えた時に浮かんだアイデアが、漫画でストーリーを展開させてもらいながら説明を加え、私の考え方をさらに書き加えていくという手法でした。

若手漫画家の「えだお」という強い味方を得て、ついに構想が完成し、前著を出版していただいた講談社に話を持ち込みましたが、あえなくボツになっていまいました。

その際の話でも、結局読者が求めているのは簡単でお手軽な健康法であって、売れるものはそういう内容のもの、私が目指している方向性は理想ではあるが、まだ読者の求めるものはそこまで来ていないという返事でした。

私も少し感情的になって、「出版社の側がそんな気持ちで健康書を作るから、読者のレベルが変わらないんじゃないですか、売れれば良いだけで本を作って良いのでしょうか」と、生意気なことを言ってしまいました。

現在の出版不況の中で、紙媒体の本を作ってもらおうと思ったら、まずは売れるものが最優先の条件であることぐらい、素人の私でも気づけよということです。

やはりダメだったかと諦めかけていたところに、地元のガリバープロダクツさんが企画に賛同していただいた時には、まさにガッツポーズでした。

この本は操体法そのものの説明書でも指導書でもありません。

もちろんそれがベースになったものですが、私が30年間向き合ってきた人間の体は、本当によくできていて、そのカラクリをしっかり理解して、無理なく無駄なく効率的に使うことができれば、一般の方であれスポーツ選手であれ、まだまだ使い残された、大いなる可能性を秘めているということに気づいて欲しい、ということをテーマに書いたつもりです。

どこかが痛い、どこかが動きにくいと、まるで機械が故障したかの様に自分の体を他人任せにして、あそこに行っても治らない、ここに行っても治らないと嘆いている皆さんに、「ちょっと待ってください、普段のご自分の体のことを本当にご存知ですか」、と問いかけたかったのです。

体との対話などという言葉を使うと、なんだそれはと思われるでしょうが、対話という言葉を使う限り、そこには共通の言語があり文法が存在するのです。

それを知っていただかないことには、ただ痛いから治せとか、もっと良い動きができる様にして欲しいと言われても、私一人の考えでそれは実現できないのです。

「体のことは体に聞け」、私に聞かれても困るのです。

だから人任せではなく、私も協力しますから、せめて一緒に考えませんかと言いたいのです。

この本を読んで、そんな気持ちになってくれる人が一人でも増えてくれることを願います。

そのためにはまず、漫画の部分を読み、施術を受けているヒロシさんになったつもりで、想像力を働かせて欲しいと思います。

この本で私の考えが全て伝わるとは思いませんが、まずは自分の体がどうなっているのか、どういうからくりで動いているのか、どう動かすことが体が喜ぶ動きなのか、たくさんの気づきがあると思います。

この部分は永遠に不変のもので、時代と共に捉え方が変わるなどということはありません。

それを踏まえてそれぞれの人間が、今現在の自分の体とどう向き合うか、それを考えることも自分にしかできません。

予約していただいた方のお手元には、数日中に届くと思います。

感想をお聞かせ願えればと思います。


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Re: また楽しみが広がります
福田さん
早速感想をお寄せいただきありがとうございます。
狙い通り、漫画の部分が好評です。
私のことをよく知っている方から見ると、またまた難しいことがたくさん書いてあるのではと思われたかもしれませんが、良い意味でその期待を裏切ることができたと思います。
一人でも多くの方に読んでいただいて、健康管理に役立てていただきたいというのが私の希望ですので、私の解説部分は後回しでも、漫画の部分を読んで興味を持っていただけたなら本当に有難いことです。
それぞれの方がそれぞれの感性でこの本を読み、役に立てて欲しいと思います。
福田さんには随分お待たせしてしまいましたが、一つの答えとしてお受け取りください。
できれば、アマゾンサイトにもレビューを書いていただき、続編への期待を盛り上げていただければと思います。
  • 2016-03-18│12:45 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
また楽しみが広がります
西本 様。
一冊だけですが手に入りました。思わずガッツポーズ!早速読みました。漫画と、感想と解説と....最初はナンダコレハと思いましたが、すごく入りやすいです。でも、リメイクではなくて「気持ちよい」と「体全身で感じる」が本当に大切だなと。それと問題箇所を癒すためにやっている意識が相当強いことを再認識した私ですが、ここももう一度取り組んでみる楽しさを感じています。ずれた考えでもここまで良いのなら、もっと良くなるかもと欲張ってしまいます。ありがとうございます。周りの人に勧めます。いつ入るか解らないけれど、私一人が知って(家内も知ってますが)いることに我慢はできません。そして続編をお願いします。歩き方、走り方などなど、本当に生活に役立ちます。この二つは昨年お邪魔した時に教えていただいてから毎日意識して、今では階段を上るのが楽になりました。骨盤をあげると本当に楽です。こういう使い方そしてスポーツでの体の動かし方まで本当に楽しみです。でも.....一番は施術を受け、そして指導していただくことだと。
今夜は家内に「からだほわっと」をやってみます。まだまだお忙しくなると思います。お身体大切になさってください。 福田
  • 2016-03-17│19:35 |
  • 福田 浩一 URL│
  • [edit]
Re: 近況報告
島田さん
コメントありがとうございます。
島田さんの走り、素晴らしかったです。
深める会の参加者からも、島田さんのフルマラソン出場を期待する声が上がりましたが、まさに私の提唱している体の使い方を体現してくれていて、教えている私の方が羨ましいくらいでした。
からだほわっとの施術も操体法も、やはりその人それぞれの気持ちが出るというか、島田さんの人柄がそうさせているのだと思います。
柔術の選手たちも、握る掴むという動作に対する認識が変わってくれたと思います。
握らなければ始まらない、確かにそうなのですが、握るイコール屈筋の常識を何とか覆すために、小指で握るというイメージをお伝えしました。
選手たちもその違いに驚いてくれたと思います。
どんなことでも、一工夫すれば打開策があるかもしれない、それを考えることが私の仕事であり使命であると思っています。
島田さんのさらなる活躍を期待します。
  • 2016-03-13│08:24 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
近況報告
西本先生

こんにちは。
西本塾12期生の島田健です。

最近の現状報告と思い、ご連絡させて頂きました。変わらずブログも日々楽しく拝見させて頂いております。
遅くなりましたが、出版おめでとうございます!!早速Amazonさんにて予約し手元に届くのを楽しみにしています。

昨年の11月に深める会を参加してからも引き続き、トレーニングや普段の歩きや走り方などを意識し日々の気付きを大切にしております。

深める会参加後は僕のお客様に操体法や身体ほわっとを施術してみて明らかな身体の反応がありました。
身体ほわっとに関していえば、「もっとやって欲しい」「この感覚はなんですか!」といったまさに僕が初めに施術を受けた時の様な言葉を言って頂ける回数が増え、喜んで頂けていると思います。

ブラジリアン柔術の選手にも、もう1度身体の仕組みの説明をし、実際のトレーニングや西本先生に教えて頂いたグリップでの違いなどを伝えていました。最近明らかに成績が上がり世界大会などで上位に上がったり、優勝したりしています。

応用して小指、薬指側~前腕にかけてテーピングを施し広背筋や尺骨神経に刺激を入れやすくしてみたところ選手から凄く良い反応も得られました。広背筋にうまく刺激が行くのかなと思います。

まだまだ自分の根っこを奥深く広く掘るべく、努力していきます。今年もまた深める会に参加はしたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。

薄い内容で申し訳ありませんが、ご連絡させて頂きました。
ありがとうございます。

西本塾12期生
島田健
  • 2016-03-10│16:18 |
  • 島田健 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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