伝えることの喜びを感じながら。

伝える喜びを感じています。
それはご想像の通り、私の三男に対することはもちろんですが、さきほど個人指導を受けて帰って行った、米子から来てくれた6年生になる「たっちゃん」親子との関係のように、大事な息子さんの指導を任せてくれて、片道3時間以上車を走らせてくれるお父さんの信頼に応えたいということも同じです。

この親子とはもう2年のおつきあいになります。
まだ本当に子供だったたっちゃんは、私と目を合わせることもできず、付き添ってきたお母さんの後ろに隠れてしまうようなおとなしい子供でした。

学校の休みに合わせて何度か来てくれていますが、少しずつ成長しそのたびに新しい何かを持ち帰ってくれています。

指導の対象がプロのトップ選手であっても、小学生であっても、私に対して期待を持ってここを訪れてくれるなら、どんな相手であろうと全力を尽くすのは当然のことです。

今年の目標というか、私自身常に心に思っている「信頼に応える」という言葉は私にとって最も大切なものです。

過去様々なレベルの選手を相手にしてきましたが、そこには常に勝ち負けがついて回り、私自身にも余裕はありませんでした。

個人であれ組織であれ、勝ち負けがはっきりする環境であれば、すべては勝つという目的のために私はそこに存在しているのであって、誰かに好かれようとか組織人としてうまく立ち回ろうという気持ちは全くありませんでした。

当然選手に対しても自分自身に対しても、常に厳しく接していたと思います。

そのことが全て正しかったのか、もちろん後悔はありませんが、他にやり方はなかったのかと思わないこともありません。

その頃の私なら相手にすることもなかった小学生でも、今は彼らのために何を伝えたらいいのか、どうやって接することで上手く伝えることができて、来て良かったと喜んで帰ってもらえるのか、我ながら自分が良い意味で変わったなと思っています。

小学生に厳しい言葉で指導しても何も伝わりません。
細かい理屈をいくら説明しても、全てを理解してもらうこともできません。
毎回試行錯誤しながら、本人がここに来た目的を探り、それに応える方策を探っています。

子供は正直ですから、ここでの指導に成果を感じてくれなければ、というよりも楽しいと思わなければ、いくら親がまた行こうと言ってくれたとしても、言われるままにくることはないでしょうし、もし嫌々連れてこられたとしたら、それが顔や態度に出ないはずがありません。

たっちゃん以外にもそういう形で何度か来てくれる小学生がいます。

以前聞こえてきた話ですが、私はプロの選手しか相手にしない、という噂があったようですが、それはある意味正しいことです。

プロというのは職業としてスポーツを行っている人という意味ではなく、自分の体に責任を持って向き合い、体との対話を実行できている、もしくはそのやり方を学びたいと思ってくれている人が、私にとってのプロです。

だからそれが小学生であっても何ら問題はないわけで、自分はプロのスポーツ選手だと言い張っても、私にとってはそうではない選手のほうが多いくらいです。

たっちゃんとお父さんと過ごした2時間の時間の中で、とにかくよくできたところをたくさん褒め、もっとこうできるよという部分もたくさん指摘しました。

けっして、これはダメという言い方はしていないつもりです。

以前の私にはこんな指導のやり方はできませんでした。

「こうやれと言っているのになぜその通りやらないんだ、何回言ったらわかるんだ」、もしかしたらそんな指導しかできていなかったかもしれません。

今までの私は、まさに自己満足の中で生きてきました、それでも十分相手を満足させる指導はできていたと思います。

今それが少し変わってきました。

私の指導を受けてくれる人たちのために、何をどう伝えるか、私の満足ではなく、相手が本当に喜んでくれる指導でなければ伝わるものも伝わらない、そんな気持ちで指導をしています。

息子に対しても同じです、私と同じことができるようになるために、私の考え方や技術をそのままコピーしても、絶対にそれはできないと思います。

私が、師である渡辺栄三先生から学んだのは、小手先の技術ではなく人間の体の仕組みの奥深さでした。

仕組みはもちろんのこと、生身の人間を相手にするということは一人一人の心と向き合うといことなのだと、最近になって先生が伝えていただいたことはこういうことだったのかなと、やっとわかってきたように思います。

トレーニングの指導だけではなく、体の不調を訴えてきていただく方々との接し方も少し変わってきたかもしれません。

同じ症状は一人としてなく、もちろん同じ人間は二人といるはずがありません。

そのお一人お一人と向き合い、その方にとって最善の策を考え提案する、なぜ自分の体の変化に気づけないのかと、少しイラつくこともありましたが、それもグッと飲み込む余裕もできてきました。

人を診るということは心と向き合うことに他なりません。

私と様々な年代、様々な背景の方との会話に、22歳の三男は自分にはできないという顔をして聞いていますが、57歳の私にはこういう話をしていただけるけれど、22歳の三男にはまた別のお話をきっとしていただくのだと思います、そうやって勉強し育てていただくのです。

若いスポーツ選手を相手にしている時と、高齢の方や小学生、また女性の方を相手にしている時の私がまったく同じはずはありませんから。

今までずっと一人で全てやってきましたが、後継者というよりも同じ道を進むと決めた、心強い同士を得た今、何をどう伝え彼の成長を手助けできるのか、私の人生の総決算は意外な形で行われることになりそうです。

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Comment

水泳
西本先生
返信ありがとうございます。
抽象的な質問ですみませんでした。
次回は広背筋に意識を向けて泳いでみます。変化があれば報告します!!
  • 2016-04-06│07:21 |
  • ヒロ URL│
  • [edit]
Re: 水泳
ヒロさん
コメントありがとうございます。
ブログで何度か触れたと思いますが、質問していただく場合、その内容に関して自分がどう取り組みどんな結果が得られたのか、最低限そのことを書いていただかないことには、今回のような漠然とした質問では答えようがありません。
腹筋に力を入れろという指導に対して、ヒロさんはどう思ったのか、それを実行してみてどう感じたか、さらにはそのことに疑問を持ったとしたらどんな工夫をしてみたのか、まずはそれが先ですね。
その上で私の意見を求めて欲しいと思います。
今回の質問内容では答えようがありませんが、泳いでいる際の姿勢が安定していると感じるのは、まさに背中背骨の安定でしょうから、広背筋の意識は必須だと考えます。
いかがでしょうか。
  • 2016-04-05│11:53 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
水泳
西本先生
初めてコメントで質問させていただきます。
ブログを全て拝見して普段から自分の動きに置き換えています。
そこで、水泳でよく腹筋に力を入れて浮くように言われますが、これも広背筋に意識を向けたほうがよろしいでしょうか??
水泳についてもコツがあれば教えてください。
  • 2016-04-05│09:50 |
  • ヒロ URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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