投げるという動作再考、当たり前のことは当たり前だと思って欲しい。

広島地方も桜が満開となりました。

日曜日には他の予定もあって市内の中心部に行ったので、せっかくだからと平和公園に寄ってみました。
満開の桜の下、老若男女外国人の方もたくさんの方がお花見を楽しんでいました。
私と家内はその人たちと見事な桜の美しさに、日本の風情を感じながら公園を歩きました。

さて、「1回5分体が喜ぶ健康術」が発売されて1ヶ月近くになりましたが、私の思惑では売れ行き好調で重版となり多くの方に読んでいただけるようになっているはずでした。

もちろん読んでいただいた方からは、漫画の部分があることでとても読みやすく分かりやすいと、良い評価をいただいていて、私自身も前著「朝3分の寝たまま操体法」を書いた時以上の充実感というか満足感があります。

間違いなく、これまでの健康指南書とは一線を画した、本当の意味で体と向き合うための気付きを与えられる内容になったと自負しています。

前著は講談社プラスα新書というブランドの力が大きかったのでしょうか、初版が6000部だったと記憶していますが、発売から3日後くらいに重版の連絡があり驚いたことを覚えています。

今回は初版部数が3000部と少なかったため、すぐにでも重版がかかると期待していましたが、残念ながらそうはなっていません。

本の最終章に書いた、体づくりではない動きづくりのためのトレーニング、まさに西本理論の根幹となる内容ですが、新著が版を重ね2万3万部という、出版不況の今ベストセラーと言ってもいい数字に達してくれたら、続編として書かせていただけるのではと期待しているのですが、もう少し時間がかかるようです。

あまり好きな言い方ではありませんが、マスコミに影響力のある方が一言でも私の本のことを話題にしてくれたら、今の状況も一変するかもしれませんが、そんな他力本源ではダメですね。

新著は自信を持ってみなさんのお役に立てる内容になっていると思うので、みなさんの周りでも話題にしていただき引き続き応援よろしくお願いします。

今日の主題は野球の投げるとうい動作についてです。

過去にも触れたことはありますし、newspicksのアスリート解体新書でも取り上げたことがありますが、もう一度整理しておきたいと思います。

実はこの投げるという動作は、野球という競技に限定したものではありません。
肘を肩よりも上にあげる動作を必要とする競技のすべてに当てはまるものです。
テニスやバトミントン、バレーボールやバスケットボール、その他たくさんの競技に当てはまります。

野球の投げるという動作やテニスのサーブをイメージしていただくと、ボールをリリースする瞬間、ラケットがボールを捉える瞬間、どちらも手のひらはボールの進行方向を向いています。

それは当然のことでラケットの面が向いている方向にボールが飛んでいかないわけがありません。

しかし、その直前まで実は手のひらは右利きの方であれば、90度左を向いた角度を保っていることにお気づきでしょうか。

ラケットを振り上げた瞬間から面が相手コートの方を向いていたら、羽根つきをしているような打ち方になるはずです、強いサーブを打つことはできません。

ラケットの握り方を考えてもそのことはわかると思います、面を立てた状態で横から握手をするように握るわけですから、その握りでそのまま面を前に向けたのではラケットを強く振ることはできません。

ではどうやってラケットを振っているかというと、握った時に下になっている側のフレームの部分を小指側から金槌で釘を打つように振ると強く振ることができます。

そのままではフレームでボールを捉えることになりますが、実際にはちゃんとラケットの面でボールを打つことができます。

これが人間の体の関節の連動のなせる技です。

肩から肘手首と、内側に捻る動作が連なって、小指から振り出したつもりのラケットが、ボールを捉える瞬間に90度回転してきちんと当たるのです。

意識してそうしなくても、人間の体はそういう風に連動することが自然にできるように作られています。

テニスをやっている方にとっては、今さら何を言っているのかという初歩的な動きです。

ところがこの関節の連動がうまくできないと、肩肘手首とそれぞれの関節の可動域を使い切ってしまうことになり、関節内で骨どうしがぶつかりあったり、筋肉の腱の部分や靭帯を挟み込んでしまう、いわゆるインピンジメント症候群と呼ばれる状態となります。

野球選手が訴える肩や肘の痛みの原因は、これがすべてだと言っても過言ではありません、テニス肘も同じ理屈です。

ではなぜせっかく体がそうならない仕組みを備えてくれているのに、多くの選手がそういう状態になってしまうのか、考えたことがあるでしょうか。

それは結果を求めてしまう体の使い方をしてしまうためです。

「あそこに投げたい、コントロールしたい」という人間の欲が、手のひらを本来の動きよりも早い段階で目標方向に向けてしまうことで、関節の連動を妨げてしまうのです。

「かわし動作」と名付けた動きを、できなくしてしまっているということです。

ではどうすればいいのか、小指から振り出して肩肘手首の内旋運動を連動させる、すでに書いたことですがこれがすべてです。

しかしプロ野球選手であっても、この体の仕組みを理解している人は皆無と言ってもいいくらいです。

私が過去関わったプロからアマの選手や指導者でこのことをわかっている人は一人もいませんでした。

それどころか、前にボールを投げるのに小指から振り出せなんて、我々はダーツをやっているんじゃないよと、鼻で笑われたこともありました。

実際にはその動きができている選手もいますが、そういう選手であっても自分の体がそういう風に動いているなどと考えてもいないのです。

テニスやバトミントンなどのラケットスポーツやバレーボールのスパイク動作などを例に、体の仕組みを説明しても全く聞く耳を待たない人もいました。

私のようになんの実績もない人間の言うことなど、ただの素人の小理屈くらいにしか思わないようです。

その度に、これでは野球は変わっていかないな、故障で野球をやめなければならない選手、子供達が増えることはあっても減ることはないと、悲しい気持ちになりました。

そんな中私の言葉に真剣に耳を傾け実践してくれたのが、現在カープの二軍投手コーチを務める佐々岡真司くんでした。
様々な要因が重なり、藁をもつかむ状態だったのでしょうが、私の理論を基にしたドリルを繰り返し、自然にその動きが身につくにつれ、当然ですが結果がついていきました。

そのことを知っているはずの他の投手や、アマチュアの指導者たちが、私の指導方法を学ぼうとしない現実が今でも続いていることは、ある意味信じられないことです。

投げるという動作に関する理論は、すでに20年前に完成していたもので、実際に確実な結果も残しているにもかかわらずです、正しいことを正しいと思はない野球関係者に「喝」ですね。

今年に入って、そのことを真剣に学びたいと西本塾に参加した翌日、野球西本塾と言ってもいい内容で、大阪府立旭高校野球部の監督を務める井上芳憲さんに私の理論を伝えることができました。

後日学校に指導に行かせていただいたことはブログでも紹介しましたが、正しいことを正しいと認識してくれるだけで、彼らの投げるボールは勢いを増し、バットスイングが鋭く変化するのです。

高校生でも野球経験はそれなりにあります、しかし、私が教えたことを誰も知らない、教えられたことも聞いたこともないというのです。

この事実はそのままプロ野球選手にも当てはまるわけで、どのレベルに行っても経験論がまかり通り、物事を体の仕組みにまで遡って考えられる人がいなかったというだけのことです。

今回は残念ながら最近あった具体的な事例を書くことはできません。
時がきてそのことを書いても良い状況になったら、改めて書こうと思います。

今回は野球の投げるという動作について書きましたが、他の様々なスポーツ動作にも同じようなことがたくさんあると思います。

とにかく「今行っていることが体の仕組みに沿ったものであるか」、そのことなくしてフォームや体の使い方を語ることはできないということです。


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Re: タイトルなし
川端さん
コメントありがとうございます。
実績を残した人たちが、自分のやってきたことをきちんと言語化して、後輩たちに正しく伝えられなかったことが、スポーツの発展を妨げている要因だと思います。
私の言っていることは、それぞれの世界で超一流と言われる、また言われた選手たちが、実際にはどういう風に体を使っていたのかを、彼らに代わって分析し、言語化しているに過ぎません。
それでも彼らはその事実を認められないというか、分からない人もいるのですから始末が悪いのです。
少しでも正しい体の使い方を知ってもらえるように頑張っていきましょう。
  • 2016-04-07│18:42 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
6期生川端です。
実は私も野球を長いことやっていました。今でも神奈川県社会人野球をクラブチームにて活動しています。
日本石油や東芝がいる神奈川では都市対抗など夢のまた夢ですが・・

テニスやバレーでは腕が捻られながらスイングされるのは当然のことですが野球の投げ方では小指から出すと指導された経験はありませんでした。

昔は野球の翌日は僧帽筋上部や三角筋などの屈筋がパンパンになることが多かったですが、今では0ではないですがかなり減っています。

newspicksや佐々岡投手のDVDをみて、いろいろと試しています。

最近発売された山本昌さんの「ピッチングマニア」という本で西本先生が提唱するモノと近いモノがいくつかありました。
長いこと現役だった方ですから、感覚的に知っている部分もあったのかもと感じました。

体の仕組み通り使っていく。今後とも追求してまいります。
  • 2016-04-07│18:11 |
  • 川端 翔太 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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