操体・オクタントトレーニング・動きづくりのトレーニング、その変遷(その1)

5月5日こどもの日、天候にも恵まれ珍しく人ごみを歩いてきました。
平和大通りで行われている「フラワーフェスティバル」の最終日、「きんさいよさこいパレード」を見に行ってきました。

会場である平和大通りまで、我が家からのんびり散歩気分で歩いて40分くらいで行くことができます。

私は田舎育ちで、お祭りというものは神事であり伝統にのっとったものと言う先入観があって、広島で行われているこのお祭りに関しては、何か違うという気持ちを持ち続けていました、それこそいつも自分が言っている固定概念から離れることが出来ていませんでした。

今回40回目を数えるそうですが、発端はその2年前、広島カープが初優勝した時に行われたパレードの熱気が、あまりにも大きなものだったので、このまま一回で終わらせるのは惜しい、原爆投下から復興した広島の街に、誰でも参加できるお祭りが欲しいという機運が高まったことが、このお祭りを企画するきっかけになったそうです。

私のちいさな固定概念の中の、特別な意味もなく、ただ人が集まればいいという考え方に、どうにも納得がいかなかったわけですが、報道で参加している方々の意見を見聞きし、それもありかなと思う所もありました。

そして今日、一人でものすごい人ごみの中を歩いて感じたことは、平和大通りを踊りながら練り歩いている参加者の方も、沿道でその踊りを見たり応援している人たちも、そして露店を巡るたくさんの人たちも、それぞれがみんな笑顔だということでした。

神社の歴史やこじつけのようなエピソードよりも、この街に暮らす人たちや観光に訪れた人たちが、みんな笑顔で集える場所があるということが何より大事なのだと思いました。

「家族や友達どうし、みんなが平和で暮らせている街がある、その象徴としてこの祭りがある」と考えれば素晴らしいことだと思います。

さて今日は、私がこれまで歩んできた道を少しだけ振り返り、続けてきたからこそ分かってきたことを整理しておきたいと思います。

まずは原点となった「操体法」のことです。

私の唯一の師である「渡辺栄三先生」からは、操体法をたんに施術のための技術として教わったことはありませんでした。

もちろんさまざまな操法を学び、方法論としての技術は教えていただいたと思います、ただその技術は、腰痛や肩こりをを改善させるための方法ではありませんでした。

早いもので先生に出会ってから30年が過ぎ、先生が亡くなられてからでも既に10年近くになります。

私には背中を追う対象も、何かあった時に頼って行きたい場所もなくなってしまいました。

実際に指導を受けた期間は短かったのですが、先生に出会わなければ人間の体を相手にするこの仕事に関わることはなかったと思います。

未だにこの仕事をお金を得る手段として捉えられないことも、先生の教えがあったからだと思います。

この30年間試行錯誤をしながら操体法と向き合ってきました。

創始者である橋本敬三先生や渡辺栄三先生の操体とは違ったものになっているかもしれません。

現在各地で「操体法」を標榜して施術を行っている人たちとも、方法論としては少し違うかもしれません。

人間のやることです、たとえマニュアルがあったとしてもまったく同じことは出来るはずはありませんから、それぞれの操体があってもまったく問題はないし、むしろ当然のように思います。

30年間を振り返ると、どの時点ではどんな考え方を持って施術を行っていたということは、もう思い出しようがありません。

今、その30年の経験の中で、改めて操体法と言うものの素晴らしさと言うか、今まで気づかなかったことが悔やまれるような大きな効果を知ることとなりました。

これは3月の出版させていただいた本の構想を練り始めたころに、少しずつ明確になってきたことでした。

私の中での操体は、人間の持って生まれた体の使い方を発揮しやすく出来るということが一番で、その副産物として可動域の改善だったり体の動きの歪みを整えるというか、6方向の動きの連動をスムーズにすることで、局所の痛みまで改善できてしまうという認識でした。

そういう準備が整ったうえで、それぞれのレベルに必要な能力を獲得するためのオクタントトレーニングや、動きづくりのためのトレーニングを処方していくことが、選手の能力向上の最低条件だと思ってきました。

体の歪みを整え、その後行う負荷をかけるトレーニングが、スムーズな効果を発揮するための基礎ではあるけれど、3つの中に優先順位があり、何が1番で何が2番ではなく、それぞれが関連し合って能力向上が図られるという考えでした。

本の中でも登場していただいた、先日69歳になられたHさんはまさにこのパターンで施術とトレーニングをうまく組み合わせて行うことで、ゴルフや日常生活の中でのパフォーマンスを10年間維持させ続けています。

この年齢で維持しているという表現が使えるということは、現実的には向上し続けていると言っても何ら差支えないと思います。

しかし同じくコラムに登場していただいたYさんは、一切トレーニングを行わないまま、操体の施術だけを10年近くほぼ週1回のペースで受け続けていただいていることで、50代前半からの10年間、ゴルフの成績を維持しているどころか、飛距離も技術もさらに向上していると言っても過言ではないのです。

私にとってもこのお二人のことは、大きな経験となり現在進行形でお付き合いが続いています。

同じ方を10年近くも継続して指導させていただける機会はめったにないと思います、そんな貴重な経験から新たななぜどうしてが生まれ、一つの仮説と言うか、すでにこれは事実と言って良いのだと思える結果を積み上げてくれていると思います。

それを一言で言い表すと「操体はトレーニングである」と言うことです。

私の中でのトレーニングは、もちろん「体づくり」ではなく「動きづくり」のためのものです。

動きを作るということは、自らが意図・企図した筋肉の収縮活動によって骨を動かし、関節の角度を変化させることです、それをずばり技術だと言っています。

操体は受け身な施術ではありません、骨盤や背骨を中心とした関節の6方向への動きを、こちらが意図した基点から連動させ、どこかで滞ることなく波紋が広がるように滑らかに体全体に動きが伝わり、どこを動かすではなく、体がどういう風に動くかを感じ、動くこと自体を楽しんでもらいます。

楽しめるということは動きに無理がないということで、痛いことをしないのは当然のことです。

しかし、様々な操法を行ってもらうと分かるのですが、スポーツ選手であっても一般の日常生活の中でも、この関節をこういう風に動かしたことがないという動きをたくさん要求されます。

当然その動きからの広がりは、まったく未経験の動きばかりとなります。

初めて施術を受けた方が、その後家に帰ると、ベッドの上で特別運動らしきことをした覚えもないのに、だるいというか軽い疲労感に襲われ眠くなったとか、その夜は早く寝てしまったと言われることが多いのです。

疲労は筋肉の収縮を激しく行ったからでも持続させたからでもないのです。

全身に張り巡らされた神経の回路ではありますが、普段その何分の一かを使うことで事足りているのです。

操体の施術は、もしかしたら過去には使ったこともないかもしれない回路まで電流が流れ、筋肉に刺激が届くことで、神経という回路を介して、脳と筋肉の疎通が活発になって行ったと考えられないでしょうか。

それが普段感じ無い疲労感となって表れたのだと思います。

本来人間が持って生まれたという能力の最も優れた部分というのは、実はここではないかと思います。

この全身に張り巡らされた神経の回路を常に整備して、何時でも瞬時に筋肉に指令を届けられ、指令を受け取った筋肉は当然のように収縮し、必要な力を発揮してくれる、これこそが本来の意味の体を使うという技術ではないでしょうか。

痛い所があるから何とかして欲しいと来ていただくのが、施術者としての私の存在価値であり、スポーツ選手としての能力を向上させたいという目的を持ってきていただく方にとっては、トレーニングの指導者としての私の存在価値だと思います。

私がその両面に渡って自信を持って指導出来ているのは、3つの方法論を駆使してはいるものの、最終的な目標はこの神経回路の構築であると結論付けることができるようになったからだと思います。

橋本先生にも渡辺先生にもここまでの考察はもしかしたらなかったかもしれません。

操体法を基本にしながらも、スポーツの世界にどっぷりつかり、勝った負けたを繰り返してきた私だからこそ気づけたことかもしれません。

まだ経験の浅い方に、今すぐこの考え方を理解して活かしてほしいというのも難しいでしょうし、どんなに上手に指導ができたとしても、Yさんのようにはっきりした結果を見せられるのには一定の期間が必要なことは言うもでもありません。

これからは、その期間をいかに短く出来るか、そのためには3つの要素をどう組み合わせていくのか、まだまだのんびりと経験を語ってばかりはいられないようです。

次回はオクタントトレーニングとの関係を整理したいと思います。

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5月の深める会に参加させていただく土屋信三です。
今、1番知りたい核のことを書いていただきパズルが組み合わさった感覚になりました!まだまだわからないことだらけですが、このブログの内容を読んで点と点が繋がりました。深める会に参加してさらに点を増やして太い線で結べるように取り組んでいきます!
  • 2016-05-06│14:03 |
  • 土屋信三 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
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