操体・オクタントトレーニング・動きづくりのトレーニング、その変遷(その3)

昨日も記事をアップしましたが、平日なかなかゆっくりと記事を書く余裕がなくなってきたので、テーマをまとめる意味で今日も書きます。

このテーマは私が操体法に出会い、その奥深さに魅せられながらも、もともとスポーツに興味があり、会社を辞めて開業してからたったの2年でプロスポーツの現場に出て行ったため、操体を基本としながらも目の前の選手たちに対応するために、自然にというか必然というか、身に付けなければならなかった技術と考え方です。

ただ操体法というものを知らずに、ただの教科書的な知識だけでは、思考はこういう風にはなって行かなかったと思います。

操体からオクタントトレーニングというのは、今から思えば自然な流れで、操体が体を整える、痛みに対応するというだけでは、その理論や技術はもったいないと思います。

器具を使ったトレーニングに関しては、過去記事でも私がいわゆるウエイトトレーニングを行うようになったきっかけは書いていますが、とにかく体が細かった私にとっては、理屈はどうあれ体が大きくなるという事実は何物にも代えがたい有難いことでした。

トレーニング初心者だった頃から、ボディビルダーに代表される体を大きくすることが目的のトレーニングと、スポーツ選手が行う競技動作の向上を目的としたトレーニングは違うものだと思っていました。

ボクシングやレスリング、また柔道といった階級制の競技では、当然体をというより体重そのものを増やすことは、本来の目的とは全く違うことは誰が考えても分かるはずです。

トレーニングで自分の体が少しずつ変化していくのを感じながら、自分のような目的でトレーニングを行う人にはこういう考え方でこういうトレーニングを指導してあげられれば、例外なくその目的を達することができると確信しました。

しかし、そのノウハウをそのまま競技スポーツの選手に当てはめることが、はたして正しいことなのか、そのことの結論を得るためには、そういう選手を指導するチャンスがなければ不可能なことです。

意外なことに宇和島で開業している2年間の間に、すでにそのチャンスは訪れました、しかしそれは高校生の男女選手であって、それまでに持ち合わせていた基本的な指導で事足りるレベルでした。

その頃一番大事なことは、トレーニングでけがをさせないということと、関節の可動域を狭めてしまうことがないような動かし方をさせるということでした。

それでも十分効果はあって、選手たちにも指導を依頼していただいた方にも喜んでいただきました。

基本的なウエイトトレーニングに関しては、早い段階で指導のノウハウが出来上がっていたと言っても過言ではありませんでした。

しかし、指導の対象がいきなりトップレベルのプロサッカー選手になれば話は違ってきます。

私がたんに体育大学を卒業したトレーニングコーチであれば、そこまで考える必要はなかったのかもしれませんが、私に要求されたのは、メディカルな分野のトレーナーとして選手の痛みに対応することがまず一番でした。

その仕事で結果を出していくことで、ただ痛いから診てくれではなく、どうしてこうなってしまったのか、セルフケアも含めトレーニングの仕方や考え方に対しても、私の言うことに聞く耳を持ってくれるようになっていきました。

相手にしているのは病名でもケガの名称でもなく、生身の人間の体と心です。

サッカーの練習内容や戦術的なことはもちろん専門外で、口を出しようもありませんが、その手前の部分に関しては、私ならこうするという思いはどんどん大きくなっていきました。

痛みの対処の手段として用いていた操体が、全身の連動性を高めるオクタントトレーニングへと進化していったように、器具を用いたトレーニングも、トレーニングのためのトレーニングではなく、競技力向上の大きな効果を求めて行うべきだと考えるようになりました。

当初考えたのは、器具を使ったトレーニングはどうしても力を出す方向が限られてしまうので、競技動作に即したトレーニング動作を工夫することでした。

方向性としては間違っていなかったと思いますが、今の時点で行き着いている屈筋ではなく伸筋優位の筋力発揮という所までは考えが及んでいませんでした。

細かい時系列は覚えていませんが、20年前三菱広島という社会人野球チームの指導をした時には、既に屈筋を使わないようにパワーグリップという用具を使わせていましたので、その頃には理論的な部分は未完成だったと思いますが、感覚として握らないことの重要性と必要性を認識していたことは間違いありません。

動きづくりというキーワードが、競技動作に即したという所を超え、老若男女競技の枠も超えて、人間の体の仕組みはこうなっているのだから、そのことを追及することがすべての人間にとって有効であり、究極のトレーニングになると考えるようになりました。

それが屈筋に頼らない筋力発揮の仕方というものでした。

屈筋ではなく伸筋を使うという表現をしてしまうと、今度はどうやったら伸筋を使っているのかということに意識が行きますが、そこで出てくるのが「頑張らないで頑張る」とか、「使っていないような感じがちょうど良い」という、言葉だけでは理解不能な体の使い方になっていきました。

その動きを追及し日々取り組んで行くうちに、今はもうその気はなくなりましたが、「サスケ」に出てみようかとか、「競輪学校のテストを受けてみようか」などと、普通その時の年齢からは想像できないような体の動きを身に付けて行ったのです。

自分もそうでしたが、筋肉隆々とした立派な体に憧れるのはある意味当然のことです。

しかしその「筋肉の仕事は、骨を動かすことでそれ以上でも以下でもない」という結論を得た今、たんに大きくて強い筋肉は本当に競技力向上を約束してくれるものではないということも分かりました。

それを理解してもらうことは簡単ではありません。

私がそうであったようにまずは体づくりが必要だという選手もたくさんいます。

そのために従来の体づくりを目的としたトレーニングによってその目的を達した時、せっかく作り上げた肉体が自分の思ったような動きを表現できないとしたら、そこから方向転換をするのは難しいのです。

急がば回れではないですが、動きづくりを目的としたトレーニングは、動きに必要な、もっと言うと競技力向上に必要な体の大きさを必ず作ってくれます。

そのことを広く知らしめ、多くの選手が遠回りしないように、私の言葉に耳を傾けてくれる人を増やしていきたいと思います。

今回で3回に渡ったシリーズを一応締め括ります、また思うことがあれば記事にします。

なおこのブログは私西本直の独自の考えを書く場ですが、質問等ありましたらコメント欄にお願いします。

ただし私も実名で責任を持って書いている記事ですから、匿名の質問にはお応えできません。

また、一方的な質問でご自身の考えを記されていないものも同様です、まずは自分がどう考えているか、そのことに私がどう思うか、それがやり取りだと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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