走るという行為、そのスピードを求めて。

広島県地方も梅雨入り宣言がありました。
これから暫くは、はっきりしない天気が続きそうです。

明日は月曜日で仕事は休みなのですが、以前にも一度来てくれた競輪選手が、もう一度体の動きを整理したいと言って来てくれたので、お互いのスケジュールを調整した結果、明日来てもらうことになりました。

その際、トレーニングの一環として行うランニングに関しても、彼はとても重要視していて、きちんと指導を受けなおしたいということを言ってくれました。

どんなスポーツでもそうなのですが、走るという行為はすべての運動動作の基本となります。

それはなぜかと言うと、走るという行為を行う時に必要な筋肉の収縮は、すべて自分が管理しなければならない、逆に言えばすべてが自分の思い通りに行うことができる唯一の運動だと思うからです。

もっと言えば、「走る」という行為の前には、「歩く」という行為が存在します。

どちらも誰に教えられなくても、人間としての成長の過程で自然に身について行くもので、走るのが速い遅い、好き嫌いはあるにせよ、走れない人はいません。

しかし、その走るという行為の結果に対して、優劣が競われる状況になると話は一変してしまいます。

短い距離のスピード、長い距離の持久力、どちらをとっても得意で、大好きだという人の方が珍しいと思います。

それはなぜでしょうか、そんなことは生まれつきの能力で、努力してもそれほど変わることはないし、そのことで日常生活に支障をきたすこともない訳ですから、苦しい思いをして走るという能力を向上させようという人が少ないのは当然かもしれません。

しかし、スポーツを行う上で、それが趣味であれ競技レベルのアスリートであれ、トレーニングとして走るという行為を行わない選手はいないと思います。

ただその目的をきちんと把握していないことが、走ることはつらくてしんどくて、とても好きにはなれない原因だと思います。

ではなぜスポーツ選手は走らなければならないのでしょうか、それが冒頭に書いた、「走るという行為は体の動きを自分でコントロールできる唯一の運動」だからです。

私の言う技術の定義、「自らが意図(企図)する筋肉の収縮活動を、反復継続して行うことのできる能力」に当てはめた時、まさに走るという行為は、自分が自分の体をどうやって使いたいのか、それがすべて凝縮された運動だからです。

しかし、ほとんどの人が、そんなことを考えることなく、時間や距離、またスピードを言われた通りに実行するだけになっています。
そんなトレーニングが楽しい訳がありません。

人間がなぜスピードを出して走ることができるのか、単純な動きだからこそ様々な要素が存在し、様々な考え方が生まれています。

さらには、その走るという行為がそれぞれの競技の中でどういう位置づけをされているかということも大きな問題となります。

競技種目、試合場の広さ、競技時間等でも変わりますし、与えられたポジションによっても要求される走力は違ってきます。

私がこの走るという行為を真剣に考えだしたのは、もう4年ほど前になりますが、サッカーのチームでトレーニングの指導をすることになるかもしれないという状況が生まれた時でした。

いわゆる「足が止まる」という状況を、チームとして克服することが、一試合の中でもシーズンを通して考えても、サッカー選手にとって最も必要な能力だと考えたからです。

そして、その答えとなる考え方と練習方法が、すでにその時点で私の中で確立しかけていたのです。

そのもっともポイントとなる考え方が、股関節の形状をどう生かすかということでした。

たんに筋力を鍛えるとか、たくさん走り込ませるということではなく、どうすれば効率よく体を使えるかということが主目的でした。

そのためのドリルは考案済みで、たとえ相手がプロの選手であっても、お手本となる動きを見せられる準備は出来ていました。

その後広島に帰ってきてからですが、スポーツライターの木崎伸也さんとの交流の中で、考え方の幅が大きく広がり、深く掘り下げて考えることができました。

そこで得られた考察をもとに、現在に渡って様々な選手や指導者を対象に、その時点でのベストだと思われる、走るという行為を指導してきました。

今指導していることで、私が考える走るという行為に必要な要素は、十分伝えられていると思っています。

それを学んでくれた相手が、すべて同じフォームで走れるわけではありませんし、同じスピードで走ることは出来ません。

ただ一人の例外もなく、これまで走るという行為に対して抱いていた感覚とは全く違う感覚を得ることができます。

「走ったような気がしない、汗をかいているのに息が上がらないし筋肉の張りも感じない、いくら走っても疲れない」など等、経験したことがなければにわかには信じられない感想が口々に発せられるのです。

いわゆる「足が止まる」という状況にさせないためには、今の指導で十分で、後はそれを継続してもらう以外に方法がありません。

ある程度のレベルの選手であれば、この動きを身に付けられれば、色々な意味での能力向上が感じられるでしょう。

足が遅いと自覚していた選手が、そんな感覚が必要なくなったと言ってくれたこともありました。

ただ、トップスピードの向上という意味では、細かい体の使い方に対して微調整というか、本当に個人差があって一言では言えないのですが、微調整を加え感覚を共有しながら指導していくという作業が絶対的に必要となります。

申し訳ないですが、西本塾や深める会、さらには個人指導と、何度も足を運んでいただいた方をもってしても、これは凄いというスピードまで達することは容易なことではありません。

逆に言えば、それくらい可能性があるということでもあるのですが、私自身年齢のこともあり、世間をあっと言わせるというレベルのスピードで走ることは難しいと思います。

ただこの年齢にしてはというレベルは維持していけると思います。

そんな中、3月から一緒に仕事をしてくれるようになった三男が、私の想像を超えるスピードで、走りを身に付けてくれています。

スポーツ歴は中学のバトミントンまでで、高校生になってから22歳の現在まで、ほとんど運動らしい運動はしていませんし、足は速い方ではなかったと思います。

それがこの3か月の間に、伸筋を主体に背中を使って体を操ることができるようになるための「動きづくりのトレーニング」と、フライングバックトレーニングに始まり、アイドリング動作や、引っ張り出しのドリルなど、私が考える走るという行為を実践するためのトレーニングを続けていることで、すでに私の走りを超えるような動きを見せてくれるようになりました。

そうなるとお互いに欲が出るもので、もっと速く走ることは出来ないかと試行錯誤が始まりました。

すべてのドリルを見直し、基本が出来ていることが前提ではありますが、お互いの体の感覚を言葉にし合って、動きのポイントを微調整することで、明らかにスピードアップが図られています。

毎日一緒にいる息子だからこその指導ですが、何とかこの感覚を他の方の指導に活かしていきたいと思っています。

ただいきなりこの感覚を伝えても絶対に伝わることはないと思います。

出し惜しみをする訳ではありませんが、やはり体の仕組みから始まって、基本的なドリルをしっかり学んでいただき、それを継続していただくことなく、今息子が取り組んでいる感覚にたどり着くことは不可能だと思います。

しかし間違いなくその基本のドリルの質も上がっていると思いますので、明日以降個人指導に来ていただく方々には、良い指導ができると思っています。

ポイントはやはり股関節のクランクをどう使うか、そのためには筋肉の連動をどう感覚するか、これ以上部分部分の名前を挙げると、またまた知識のある人はその部分のみに意識が行き過ぎて、言葉遊びを始めてしまうので、これ以上は書きません。

まだまだ改良の余地がたくさんありそうです。
私自身も息子に負けないように、少しでも高いレベルに到達できるよう努力を続けて行きたいと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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