人を指導するということ。

週末に行われた第19期西本塾、無事に終了しました。
参加してくれた5人の皆さんお疲れ様でした、そしてありがとうございました。

驚くほどの時間をかけて車を走らせ参加してくれた人もあり、まさに身に引き締まる思いでした。

締め切りを過ぎてから申し込んできた人あり、直前に開始時刻に間に合わないと言ってくる人ありで、私の性格を既に知っている西本塾生の方々はきっとどんな幕開けになったのかと、他人事ながら心配になったのではないでしょうか。

当然ですが私からきつい言葉を一言どころか何度も言われたことは想像どおりです。

お金を払って参加する講習会で、なぜここまできついことを言われなければならないのかと思われたかもしれませんが、西本塾はただ私の知識や経験をお金をもらって伝える会ではないことは何度も書いてきたはずです。

送られてきた受講動機を読んで、この人になら伝えたい、この人の後ろにいる私が出会うことのないたくさんの人たちに、私の思いが届くかもしれない、そう思って受講者を選び一人一人と真剣に接しています。

詳しいやり取りは、感想が届いたときに改めて紹介させていただきます。

金曜日にアップした息子のコメントに対して、たくさんの方が応援の意味を込めて拍手のボタンを押していただきありがとうございました。
息子にとっても大きな励みになると思います、本当に感謝です。

さて、先々週から先週末と、いわゆる施術の仕事ではないトレーニングの指導が続きました。

競輪選手から始まり、中学生の長距離ランナー、地域リーグに所属する若いサッカー選手、戦力外になったうえに膝のケガで手術を受けやっとトレーニングを開始し再起を目指すサッカー選手、趣味でマラソンに挑戦し続けている私より年長のランナー、そしてまさに動きづくりを目的としてトレーニングを続けているサッカー選手と、それぞれがそれぞれのレベルで目標に向かって真剣に私の指導を受けてくれました。

どなたかの紹介で私のところへ痛みを解消することが目的で施術を受けに来てくれている方たちは、私がそういう仕事をしていることを全く知らない人もいますし、知ってはいてもどういうことをしているのかは想像もつかないと思います。

私の仕事は施術であれトレーニングであれ、それぞれの方が求めるものに対して、最も効率よくその目標を達成してもらうことで、一切マニュアルなどというものは存在しません。

「どんなことをするのですか」と聞かれたら、逆にこちらから「どうなりたいのですか」と問い返すだけです。

トレーニングにしても施術にしても、こんなやり方ですという一つの答えなどないのですから。

そうは言いながら、では何をするのかと言えば、西本塾の二日間を通して伝えている、私の30年間の経験と蓄積してきた知識を総動員して、その方に対して、その時その瞬間、私に出来る最高の指導と施術をするだけです。

その中でもトレーニング指導の中心となることは、やはり「走るという行為」です。

相手が施術者であっても介護を専門とする方であったとしても、「自らの肉体を自らの意志通りに動かす」ということができなければ、本当の意味で相手の体を分かっているとは言い難く、人の体を相手にする仕事は難しいのではないでしょうか。

それぞれの仕事に必要な知識や技術を学ぶことは出来ても、それは過去の経験に基づいた教科書的なものであって、それが本当に正しいのかどうかを自分の体で検証できなければ、自信を持って指導ができるはずがありません。

そのもっとも根本的な運動が走ることだと思います。

人よりも速く走れるようになることを求めているわけではありません、自分がこうやって体を使って走りたいという意図した動きを、その通り自分の体が実践できるかどうかということです。

難しい分からないではなく、自分の体を自分の思ったように動かせないで、人にああしろこうしろと指示をしても、なぜできないのか分からないでしょう、まずは自分の体を使って実践してからです。

それがスポーツ選手となれば、そこを突き詰める以外に自分の動きを向上させる方法はありません。

今持っている能力も、求めている能力も違うのは当然です、そのすべての人に対して、本人が求めているものを超えるような能力を発揮してもらえるように指導しているつもりです。

今回の西本塾でも口にしましたが、私と同じ人間は作れなくても私以上の人間は作ることができるはずです。

そのためには私が相手の能力の限界を見極めてしまうことなく、少しでも可能性があれば挑戦するきっかけを与えてあげたいと思っています。

私のような仕事を目指す人に対しても同じで、他の人ができること知っていることを、自分もできている知っているというレベルなら、私を超えることは出来ません。

私を超えるために必要なことは、人を見る感性です。

これだけは私にも教えることは出来ません。

だから謙虚な気持ちで、自分の中で分かったような気持ちにならずに、いつもフラットな感性で人に接して欲しいと思います。

私が育てて行きたいのは、そういう感性を持って誰かのために自分の能力を発揮できる人です。

ところが現実には、選手が故障した時に最も重要視されるのは画像診断となります。

20数年前、私が初めて広島でプロの選手を相手に仕事を始めた時、もちろんそういう診断は行われていました。

それでも私は自分の感性を信じ、選手の早期復帰に向けてありとあらゆる可能性を探り、仮説を立て実践していきました。

復帰まで3か月と診断されれば、一週間でも二週間でも早くピッチに立てるようにしてあげたい、その一念で選手と一緒に頑張って、周りが驚く程の期間で復帰できたこともありました。

今はそんなことは要求されていないようです。

すべては画像診断が優先され、医師の指示に従ってマニュアル通りの進行が絶対のようです。

トレーナーと呼ばれている人間たちは、その指示を的確に守りスケジュール通りに進めて行けることが評価の対象となります。

まさに金太郎飴のようなもので、誰が対応しても同じ結果が出せることが、正しい方法であったことの証明となっています。

大きな組織には、私のような職人は必要とされない訳です。

私のやり方には客観性がない、誰をも納得させるデータがない、確かにそうです。

ただその客観性のあるやり方通りに行われた結果がどうなっているか、その現実はなぜ言われないのでしょうか。

画像から患部の影が消えているから完治した、もう何をやっても大丈夫と言われた選手が、元のレベルの動きを取り戻せているでしょうか。

こういうトレーニングを行えば、こういう能力を獲得できてパフォーマンスが向上すると言われて、一生懸命取り組んだ選手がそうなっているのでしょうか。

指導とはそういうものではないと思います。

一人一人と真剣に向き合い、最も必要な要素をお互いで探し合っていく、そのお手伝いを自信を持って行うために必要なのは知識ではなく、「誰かのために」という気持ちと、「人を見るための感性」だと思います。


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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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