「捻転135度を効率的に使うために」、難しい話なのでパスしていただいた方が良いかもしれません。

週末の深める回、静岡から参加してくれた榊山さんと智志、そして家内にも手伝ってもらって無事に終えることができました。

私にとって西本塾と深める会は、これまで活動してきたことの意味を問う、本当に大切な時間となっています。

今回は相手が一人だったということで、一人に伝えられないことがたくさんの人に伝えられるはずはないと、今、伝えられることをすべて伝えられるように頭を整理し、いつも以上に真剣な二日間を過ごせたと思います。

今日はそのことはさておき、これまで私が伝えてきたことの柱の一つである、重心移動による運動エネルギーの獲得方法の中で、捻転動作について自分の頭を整理し言葉にしておきたいと思います。

枝葉の方法論を必要としている人や、体の動きを真剣に考えていない人には、おそらく読んでも分からないと思うし、面白い内容ではないことを先に言っておきます。

いつものように長い文章になりますから、興味がなければ読んでいただかなくて結構です。

私の考え方の基本として、静止状態からエネルギーを生み出すための3要素として、落下目的方向への重心移動左右の捻転をあげています。

今日はその中の捻転動作についてです。

捻転動作を一番イメージしやすいのは、少し古くなりましたが大リーグでも活躍した野茂英雄投手のトルネード投法です。

トルネードと言うネーミングは、彼の投球フォームが軸足一本(彼は右投手ですから右足)で立った時、上半身を右方向へ捩じり、バッターに対して完全に背中を向けてしまった状態から、打者方向の左側に捩じり戻して投球するため、その動きを竜巻に例えたものでした。

捩じりきった時、野茂投手の目線は完全にバッターから離れてしまい、捩じり返したときに初めて打者方向そして、決められたサイン通りのコースを狙う目線になるわけですから、打者としてはどこを狙って投げてくるかが分かりづらく、恐怖心に似た感覚さえ持たされることになったと思います。

完全に背中を向けると言いましたが、軸足となる右足のスパイクの内側のラインは、投手板に対して平行が保たれています。

このことは非常に重要で、もしこのスパイクの足先側が時計回りにずれてしまうと、臍の向く方向は135度を超えてしまうことになります。

そうすると捩じり返して力を出し切った時の臍の向く方向は、打者方向まで戻すことができず、手前側3塁ベース側で終わってしまうことになります。

投手は本能的にそうならないように体を回そうとして、上半身を先に回して帳尻を合わせようとします、これが上半身が早く開いてしまう一つの原因です。

上半身、簡単に言えば肩が開く原因はもう一つあって、臍の向きを右側に45度回しきれていないまま、下半身を捩じり返そうとして、そのまま上半身がその動きに引っ張られることで、左肩が早く回りだしてしまうという現象もあります。

ほとんどの場合こちらの理由で体、肩の開きが早い投手がほとんどです。

ではなぜ135度が大事なのか、このことは私が知る限りどこにも書いてないと思います。

様々な捻転動作を伴うスポーツ動作を分析していく中で、関節の可動域やそれぞれを連動して使うという動きの中で、最も合理的だと考えられるのが135度だと考えるようになりました。

どんな動作にもフィニッシュという状態があると思います、その形が決まった時、動作としての完成度と言うか効果的な結果を生み、動作自体も美しく見えます。

それがなぜだろうと考えた時、このことはまだ数字を用いて関節の可動域等を勘案した分析は出来ていませんが、今の時点で言えることはというか、実際に動作を行ってみると、また良い結果を出せている動作は、どんな捻転動作でも目的方向から逆算して135度の角度から捻転動作を開始することが、最も効果的だという結論を得ています。

右投手であれば軸足である右足一本で立った時、スパイクの内側のラインは打者に対して90度を保ち、上半身を右方向に捩じって行くのですが、この時に下半身が上半身に連れられて大きく回りすぎてしまうと、下半身と上半身の捻転差が生まれず、体全体が右向け右になってしまいます。

スパイクの内側のラインを変えないことはもちろんですが、上半身を右に捩じって行く過程で、下半身は逆の左回りをさせるくらいの意識がないと、上半身の動きに負けてついて行ってしまいます。

お腹のラインと肩のラインがそろったまま右回転してしまうと、トップの位置から捩じり返していく際に下半身主導という動きが出来ず、肩のラインがお腹のラインと一緒に回り始めてしまいます。

これでは肩が早く開いてしまい、せっかくの捻転差と言う一番大きなエネルギーを発揮できなくなってしまいます。

古い話ですが、まだ現役を続けている広島の永川投手が上半身を右に捻転していく際に、スパイクの内側が右にずれて行くために、終点となる位置で臍が打者方向に向かないため、先に肩を開くことでコントロールを乱していることを指摘し修正させたことがありました。

私は彼に対して、そんなアドバイスをする立場ではありませんでしたが、専門のはずの投手コーチもそのことに気づいていなかったようなので、見るに見かねてアドバイスをしました。

それまでの足を踏みかえてプレートを踏むやり方を変え、最初から平行な位置に足を置いてから動作を始めるようにしたことで、その問題に関しては解消できたようでした。

135度、この角度は簡単なようで簡単ではありません。

いくら軸足の位置を安定させても、上半身の動きでその角度は曖昧さを増します。

そんな経験を踏まえて、サッカーのロッベン選手の動きの中に3分割という動きに意識を見つけ出しました。

下半身という位置づけの骨盤の部分を捩じるという意識と、上半身である肋骨のドーム部分を別々に捩じる、ある時は時間差をつけて下を先に動かしたり、上を先に動かすことで、下半身リードとか上半身リードという発想になります。

背骨は一本の棒状のものではなく、30個近い椎骨の集まりですから、それらを蛇のようにくねらせ、上から下に連動させたり下から上に連動させるというイメージは掴みやすいと思います。

しかしそれだけでは、しなやかという形容は出来ても力強いというイメージが持ちにくいのも事実でした。

そこで目に飛び込んできたのがロッベン選手が、相手と鼻の先がぶつかるくらいまで接近した瞬間、まったく相手が予測できないままに左右どちらかにほぼ90度の角度で、一瞬にして相手を置き去りにするという動きでした。

肋骨のドーム部分も、骨盤の部分も、直前まで相手に対して正対しているのに、最後の一歩を相手の足元に踏み込んだ瞬間にお腹の部分だけを踏み込んだ脚と逆の方向に捩じるという、まさに3分割としか言いようのない体の使い方をしているように見えました。

このことから派生して考えを巡らせているうちに、自分が行っているゴルフのスイング動作に置き換えて考えるようになりました。

これまで数々のレッスン書を読み漁り、レッスン動画を見てきました。

私は右利きですが、アドレスからテークバックへと上半身を右方向へ捻転し、グリップが右肩の上のトップの位置に来る直前に、上半身の動きに引っ張られるように右回転を余儀なくされていた下半身を、左方向へ捩じり返すことが重要であるという指導は、表現の違いこそあれ共通のものだと思います。

これこそが下半身主導のスイングであると力説されています。

トップの位置から下半身ではなく、上半身とくにグリップが先に動き出すことを厳に戒め、上半身主導とか手打ちと呼ばれ、アウトサイドインのスライス軌道になると言われてしまいます。

私自身そうならないために様々な理論に触れ実践してきました。

肩とグリップの二重振り子を使ってリズム良くスイングするとか、松山選手のようにゆっくりテークバックしてトップの位置を確認してから下半身をとか、トップの位置から腕をひっくり返すようにしっかり手を振れだとか、もう数えきれない理論が存在ます。

そんな中、どうやったら飛距離と方向性を両立させ、再現性を高めることができるのかという、理想的なスイングを求めて日々試行錯誤が続いています。

そして今、まだ完成には程遠いのですが、ロッベン選手や日本ハムの大谷選手、また先日動き分析を依頼してくれたバドミントンの古賀さんのスマッシュやクロスプッシュの動きをヒントに、ある一つの法則を見つけ出せた様な気がしてきました。

まずアドレスをします、そこから右回りで体を捩じって行きますが、左肩から始動して肩を回すとか、胸を右方向に捩じるとか、体の部分の動きの意識を離れ、とにかくクラブのヘッドでボールをぶっ叩くという準備のために、下半身を動かすという意識は消して、クラブだけを上げるように意識しています。

そう思っても、クラブを上げて行くという力が働いているため、当然上半身は右に捻転していきます。

クラブの動きにつられて右への捻転を続けて行くと、臍の向きは確かに正面を起点として右に45度くらいまわりますから、フィニッシュに向かって135度の角度を作る準備ができたことになります。

しかし、行き着くところまで回すことを許してしまうと、背骨が左に倒れ左肩が落ちて、いわゆるオーバースイングとなり、それを元に戻すためにシーソーのような肩の動きが必要となり、ギッコンバッタンと形容される初心者のスイングとなります。

当然ですが下半身もつれて行かれていますから、そのまま無理に下半身主導という意識が働くと、右肩が下がり下からあおり打つような打ち方になり、ダフリやトップと言うミスにつながります。

自分で見つけた135度というキーワードを意識しすぎて、私自身納得するスイングができたことがありませんでした。

この原稿を書くために、今朝も練習場でボールを打ってきました。

そこで得られた感触を文字にしておきます。

まずはテークバックではどっしりと構え下半身を使わない、グリップが右腰を過ぎて上昇していく方向に力のベクトルが変わったら、肋骨のドーム部分はそれについて行かせるが、下半身とくに骨盤部分は逆に左回転を意識して、上半身の右への捻転にブレーキをかける。

それによってお腹の部分が大きく捻じられ、それぞれが別の方向に動いているという3分割の意識が生まれる。

トップの位置が高くなろうとすればするほど、骨盤の左への捻転が強まりブレーキがかかり、結果として自分が思っているほどのオーバースイングとはならない、そしてトップの位置を確認する間もなく、骨盤の左捻転が続いているので、骨盤の動きでクラブが下りてくるという理想的な切り返し動作となり、胸や肩は開くことなく、骨盤だけが左への捻転を行い続けてくれる。

そこにお腹を中心とした3分割の捻転差が発生し、捩じり返しのパワーが生まれ強いインパクトを迎えられる。

インパクトの瞬間には捩じり戻しの方向が逆になるため、骨盤の動きが止まったように見える、ここを強調してツイスト打法と言う言い方で指導している指導者もいるが、これはそこまでの動作があってのことで単独で逆捻りは生まれようがない。

この意識がスイングに持てると、今までに感じたことのない強い捩じりと捩じり返しを感じるが、ビデオに撮ってみてみると、おそらく今までよりも捩じっていないように見えるはずだと思います。

ここに人間の捻転という動作に対する誤解と言うか、認識の違いがあるように思います。

しっかり捩じっていることが捩じっていないように見える、けっして捩じっていないのではなく、3分割された体の動きが相殺し合っていると考えることが自然にそういう感覚を生み出すのだと思います。

この事実を応用してそれぞれの競技動作に当てはめることができれば、強いキック動作を行うための3分割の使い方とか、速いボールを投げるため捻転動作、ボールを遠くに打ち返すための捻転動作などなど、これまでになかった体の使い方を見出すことができるのではと考えています。

まだまだ試行錯誤が続きますが、我ながらなかなか面白いことを考えているなと思います。


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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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