速く走るために、短距離走と長距離走の選手を指導して。

昨夜は元横綱千代の富士の九重親方の死去の報に触れ、思う所をツイートしましたが、多くの方が反応してくれたようでした。

食事や栄養のことに関しては、まだ完全に解明されていないとはいえ、現実を直視なければならない部分からは目をそむけてはいけないと思います。

今朝こうやってブログを書くために、色々思いを巡らせているうちに寝てしまいましたが、私と言う人間は24時間こんなことばかり考えているのだといつも思います、良いのか悪いのか分かりませんが、このままで行くしかないようです。

誰に頼まれているわけではなく、誰の役に立つわけではないかもしれないことばかりですが、私の中で納得できることを見つけたいという気持ちが、常に消えることがありません。

インターハイが中国地方で開催されていて、広島そして神戸時代にも一緒に仕事をさせてもらった松田浩君にも再会できて、色々な話を聞くことができました。

あの頃の選手は、私の個人的な感想ですが、今の選手たちよりも色々な意味で必死さが伝わってきて、私もサポートのし甲斐のある選手が多かったと思います。

懐かしい話や、現在彼が行っている日本サッカー協会の仕事のことなど、今の私には遠い世界の話も聞くことができ、短い時間でしたが楽しい時間を過ごさせてもらいました。

さて、私が走るという行為に特別な意味を感じ、追求してきたきっかけとなったのは、何度も記事の中で書いてきましたがサッカー選手が90分間、頭と体を動かし続けて、それぞれが持っている最高の能力を発揮し続けることができることを目的としたものでした。

まだまだ理解してくれる人は少ないですが、この3年近くの間に私から学んでくれた人たちが、自分の能力アップや指導に活かしてくれて、その有効性を証明してくれていることは嬉しい限りです。

しかし、その走り方というか体の使い方は当然サッカー選手だけに有効ということではなく、どんな競技にも当てはまるものであることは言うまでもありません。

過去には軟式テニス、バドミントン、弓道、ラクロス、競輪、トライアスロンなどの選手や指導者が学びに来てくれて、実際に競技に応用してくれています。

そんな中でも、走るという行為自体が目的となっている陸上競技の選手や指導者には、なかなか広がって行かないように思います。

つい最近ですが、福岡の中学3年生で3000mの選手が指導を受けに来てくれたことがきっかけとなって、速く走るために今指導している体の使い方を、どう発展させていくかということが大きなテーマとなっています。

サッカーであれば、長い時間とはいえ決められた時間の中で走り続ける競技で、その間にパフォーマンスを落とさないことが最も重要となります。

残り1分となっても変わらない動きができることが理想で、終了の笛とともに倒れ込んでしまうというのは違うと思います。

それが陸上競技となるとまったく話が違ってしまい、1分1秒でも速くゴールを駆け抜けることが要求される競技です。

そうは言っても、それぞれの距離の中での駆け引きがあり、やはり頭と体を動かし続けるという意味では同じだと思います。

ただし、最後の数十メートルは力の限りを振り絞って、ゴールラインを超えた瞬間に倒れ込んでしまっても何の問題はありません。

ここが他の競技と違う所だと思います。

人間が速く走るためには、足の運びをいかに速くするかというピッチの部分と、一歩一歩の長さをできるだけ広くするというストライドの問題があります。

単純に言うと、ピッチ×ストライドがスピードということになります。

同じピッチで走るのであれば、歩幅が広い選手の方が速く、同じ歩幅であればピッチが速い方が速いということです。

そうなると身長が高く足が長い選手が、筋力トレーニングで足の回転を速め、素早い足の運びと広い歩幅を両立することができれば、当然速く走ることができるわけで、身体的な能力が劣っているのなら、その両方をバランスよく両立させ対抗するしかありません。

遺伝的な要素もあり、日本人はいまだに100mで10秒の壁を破ることが出来ていないのは残念なことです。

西本塾を始めた初期の頃に、当時中学校一年生だった短距離100mを専門としている選手と、そのお父さんが参加してくれました。

彼は前年、小学校6年生時に広島県のランキングが1位だったそうで、そのプライドと自信を持って中学に進んだと思いますが、体が小さく、身体的には恵まれていなかったため、少し頑張りすぎてしまったようで、自分の走りを見失い体を痛め、まともに走れない日々が続いていたようでした。

そんな時お父さんが私の考え方を書いたブログに目を留め、指導を受けてみようかということになったようでした。

それから3年間の間に何度か指導を受けに来てくれましたが、体に染み込むという所まではいかなかったようでした。

当然ですが私の指導する走り方はある意味変わっていて、他の選手や指導者から見ると変な走り方に見えると思います。

そんな環境の中で周囲の目を気にせず、私の走りを追い求めることはさすがに厳しい所があると思います。

それでも今回高校生になって、改めて本人が希望して単身指導を受けに来てくれました。

昨年の今頃、全国中学校大会の4×100mの決勝に、広島県代表チームの第一走者として出場し、一走だけが公認される正式タイムで11秒2を記録して以来、現在に渡って記録が向上せず、以前の走りも再現できなくなったというのです。

3年前と同じ状況です、全中で決勝まで進出し、よし高校でもと勇んで入学したことでしょう、それが彼の動きを変えてしまったようでした。

陸上競技部員として行うことが義務付けられているサーキットトレーニングも、私の理論に触れているだけに、明らかに屈筋主導の体づくりのトレーニングであることが分かり、これを続けている限り伸筋主体の走りは再現できないとも考えたようでした。

今回の指導では、そのサーキットトレーニングの内容を見直し、それを否定し拒否するのではなく、それらを行う際の動きの意識を屈筋主動から伸筋主動へと変えることで、無駄になるどころか私の提唱する走りを助けてくれる、絶好のトレーニングに転換してしまいました。

何とかとハサミは使いようです、私の施設の器具でもそうですが、器具に使われるのではなく、自分の動きづくりのために器具をどう使うかという発想を持てばいいだけのことです。

サーキットトレーニングを役に立つものに変えた後は、実際に走る動作につなげていくドリルの指導です。

私の走るという動作の根本となっているのは、「骨盤を縦に動かす」「大腿骨頭の形状を活かしてクランク状に首を振らせる」、これがすべてと言ってもいいと思います。

骨盤を前後に動かすことでストライドが広がる、いや骨盤自体がどうやって動いているかなど考えている人はいないと思います。

ストライドを広げるためには、太腿を高く引き上げ(大腿前面の筋肉を使って股関節を屈曲させる)、さらには引き上げられた太腿を維持したまま、膝関節を伸展させ、できるだけ遠く振り出していく、と言う感覚が当然のごとく求められています。

そのための筋力トレーニングやドリルを陸上選手は当然のように行っています。

私はそれを根底から否定し、「骨盤を縦に動かし、大腿骨頭の首の部分を振れ」と言っています。

まったくの発想の転換です。

体のその他の部分は、それをスムーズに行うための補助的な役割であって、主役は骨盤と股関節だと言い切っています。

しかし骨は自分で動けませんので、それを動かしてもらうために最も活躍して欲しいのが背中にある「広背筋」と言う筋肉です。

これらのことをまずは理論的に説明し、広背筋が意識できるようなトレーニングを行い、骨盤が縦に動き股関節が首を振るという感覚が分かるようなドリルへと進んで行きます。

着地が股関節の真下になって身体を受け止めるという負荷がかかりませんし、股関節を屈曲させて太腿を振り上げるという感覚もありませんので、筋肉の負担は少なく心肺機能も無理をさせません。

ほとんどの方が、汗をかいているのに疲れていない、足が痛くないというのはそういうことです。

ここまでのドリルでは最高スピードは求めません。

骨盤が縦に動くという、これまでの常識外のことを当たり前だと思ってもらうことが何より大事だからです。

それでも私が驚くような速さで走ってくれる受講生がいたことは、私の理論の正当性を形にしてくれて本当に有難いことでした。

その方は事前に私のブログを熟読し、相当な練習を積んでから参加してくれたようでした。

そして今回の100mの選手の指導となったわけですが、予定通りに動きづくりが進み、走りのイメージを取り戻しつつあった中で、トップスピードに近い速さに上げてもらった時、やはりというか力みが生じ、腕を伸ばしたまま後ろに引き込む動作になって、骨盤の動きが上下から前後に変わる瞬間が出てきてしまいました。

1本ずつ動画を確認してもらい、私の気づいたことを伝えましたが、本人も「その通りです」と分かってくれました。

動作解析やバイオメカニクスなどという科学的だと思われている手法に頼らなくても、私の目は体の動きを瞬時に判断することができるようです、まあ自分が指導している動きが出来ているかどうかの問題ですから、見えなければ指導にはなりませんが。

そうやって何本か走ってもらっている間に、本人も納得できる体の動きができるようになってきました。

以前西本塾の指導でよく使った言葉ですが、手先を地面に向かって「刺せ」という言い方がぴったりの腕の動きが、それこそ目にもとまらぬ速さで繰り返され、それに呼応するように骨盤が素早く上下に動き、動画で見ると早回しをしているように見えるほどのスピードで体全体が連動していました。

本人の言葉ですが、「久し振りに背中で走る感覚があります」という表現をしていました。

これこそ私が求めている速く走る感覚です。

智志にはまだここまで回転数を上げる素早い連動は出来ませんが、身長が高い分ゆったりして見えますが、連動という意味では十分にイメージが伝わってくるレベルになってきました。

私も少しやってみましたが、目の前であの速さを見た後では見劣りしすぎて悲しくなってしまいました。

3000mを走るために指導している中学校3年生に指導することと、100mを走るために指導した高校1年生に指導することは、つまるところ同じことなのです。

どのスピードでどれだけの距離を走るかで、動きが違って見えるだけで、本質的な部分はまったく同じなのです。

今回そのことを改めて実感しました。

私の中でも迷いがあったり、力に頼りたくなる部分がありましたが、私の求めている方向性に間違いはないようです。

これからの指導に活かしていきたいと思います。

さて今月行う西本塾、現在申込者は1名です、操体法に興味があるということで、もしこのまま一人だったら私の中で作り上げてきた操体法をベースにした体へのアプローチの仕方を、しっかり伝えてあげたいと思っています。

人数の多い少ないではなく、私と言う人間に興味を持ってくれた人との縁は大切にしたいと思っています。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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