西本塾を終えて、30年前操体を学び始めた頃の自分に立ち返って思うこと。

週末の二日間、数えて20回目となる西本塾を行いました。

初めてこういう勉強会を行おうと思った時、「ほんとに私の話を聞きたいという人がいるのだろうか、募集をかけて、たとえ申し込んでくれる人が一人でもいたなら、その人のために全力を尽くそう」、そう思って始めました。

それが回を重ねて行くうちに、たくさんの参加者が来てくれる回もあれば、今回のようにたった一人という回もありました。

そのすべての回で、私はその瞬間瞬間、自分が伝えられるすべてのことを真剣に伝えてきました。

毎回、日曜日に二日間のすべてが終了した時、すべてを出し切ったという安堵感と、身体的肉体的な疲労から、普段感じることのない感覚に、毎回陥ることになりました。

自分では、こんなに疲れることは他にはないと思います。

今回の参加者が一人だったことで、私の考え方に興味を持って実際に学びたいという人の多くは、すでに参加してくれて、西本塾としての活動も、そろそろ終わりにした方が良いのかなと思うようになりました。

年内は予定通りに行いますが、来年は回数を大幅に少なくするか、休止することも考えています。

そんな中、今回受講してくれた岸本さんは、操体法に出会い、操体法を深く学んでこれからの人生に活かしていきたいという、明確な目的を持っての参加でした。

岸本さんは現在36歳ですが、30数年前、私が20代半ばで操体法というものを知り、渡辺栄三先生という存在に出会うことがなければ、今の私は間違いなく存在していません。

それほど、私にとって渡辺先生という方との出会いは大きなものでした。

もし操体法を学びたいと思った時に出会ったのが、他の方だったら、人生にタラレバはないと言いますが、ここまでのめり込むことは無かったと思います。

西本塾に参加してくれる人の受講動機の中にも、操体法を学びたいという希望は多くの方から寄せられていました。

しかし、さまざまなフィールドで活躍されている参加者に対して、操体法のみに焦点を絞ったお話をすることは難しく、本当に初歩的な内容にしかできないことは、私の中でも残念に思っていました。

それが今回、まさに30年前の私がそうであったように、操体法はとても素晴らしいものであろう、という漠然としたイメージは持ちつつも、どこの誰から学べばいいのか、高齢であった橋本敬三先生に直接指導していただけるはずもなく、何を頼りに師と定める人を探すのか、ある意味人生を決めるかもしれない大きな決断でした。

その対象に自分がなるかもしれない、大きな責任を感じることとなりました。

岸本さんからの受講動機を智志に読ませた時の感想が、「操体法を学びたいと思った人が、父さんのところに来るのは間違いだよ」、という言葉でした。

私にとっても意外な言葉でしたので、真意を訪ねると、「いきなり父さんに操体法とは何かという深い話を聞かされると、これは難しすぎて自分には無理かもしれないと思われるかもよ」、だそうです。

一緒に仕事をし始めて半年にも満たない智志ですが、人の体に向き合う方法論や考え方としての操体法は、ただの施術の技術をはるかに超えたものであるということを理解し始めたからこその言葉でした。

言葉は悪いですが、カリキュラムがあって回数やある一定の期間学べば、身に付くような簡単なものではないということです。

だからこそ私は、息子である智志にも伝えることは出来ないと、弟子というか後継者としても考えたこともありませんでした。

それが3年前の出来事から考え方が変わり、自分の作り上げてきた理論と実践を、このまま眠らせておきたくないと思うようになり、人に教えるということを始めたのでした。

ですから、二日間に亘って必死で伝え続けてはいますが、そこで学んでもらえることは、入り口の扉を開けて中を覗いてもらう所までで、そこから先に踏み込むも、ざっと眺めて扉の外に出て行くのも自由だと言っているのです。

過去個人指導も含めて、150人近くの方に私の考えを伝えてきました。

その中のほんの数人の方が、学び続け深め続けてくれています。

そんな方が、数人でもいてくれることで、私は人に教えるという活動をしてきて良かったと思っています。

今回参加してくれた岸本さんが、この二日間学んでくれたことを、これからどう活かしてくれるのかは分かりません。

しかし、今回はこれまでとは違った感覚になり、30年前の自分に対して指導するような気持ちで指導しました。

私の理論の源流はすべて渡辺先生から学んだ操体法にあると思います、それをベースにして目の前の人間一人一人に対して真剣に向き合うことで、自分なりの操体法、自分なりの「からだ観」を作り上げてきました。

一日目の午前中から、最初の部分から、話の途中でその内容と操体法の考え方の関連性を、何度も何度も繰り返しお話ししました。

その度に自分の中に渡辺先生がよみがえり、30年前の自分を思い出しました。

岸本さんから届いた感想から、私の思いは十分に届いたと感じました。

そして智志の抱いた不安も杞憂なものとなると思います。

初めて私の前に立ち、私と智志、そして家内を含め3人に対してたった一人で向き合わなければならない岸本さんは、本当に大変だったと思います。

本当にお疲れ様でした、そしてありがとうございました。

以下、岸本さんから送られてきた感想です、二日間の奮闘ぶりを想像しながら、読んでいただければと思います。

20期生の岸本です。

西本先生、智志先生、奥様改めて2日間ありがとうございました。

西本塾に来るまでは、西本先生は怖い人なんだと勝手に想像していました。
実際に会ってみると気さくな方で安心したのもつかの間、塾が始まるとまるであのガンジイのようでした。

そう本気なんです、なぜ受講動機をしっかりと書かせるのかわかりました、中途半端な覚悟で参加するのは失礼にあたると思いました。

最初に言われた智志さんの「操体法を教わるのにここに来るのは間違いだ。」という言葉は一瞬ドキッとしましたが、2日間を終えてやっぱり間違っていなかったと心底思いました。

操体法に興味を持ち、勉強しているなんて恥ずかしいくらい何もわかっていなかったのですね。

人は自分の思惑通りに動いてくれない、そうしてもらう為には言葉が非常に重要なのだと。

肘を曲げる動作をして、他にどういった言い方ができる?と言われた時に何も出てこなかったし、自分の思ったように動いてもらえなかった時、言葉に詰まってしまう、実践ならそこで終わってしまいますよね。

トレーニングにしても、操体にしても人を相手にするので、人に伝える言葉は本当に重要なんだと思いました。

そして、いくら操体法の本を読んでも解らなかった、なぜこの動きをするのか、この動きをしたらなぜ改善するのかという部分が納得できました。

・筋肉は骨を動かすものそれ以上でもそれ以下でもない
・関節の6方向(8方向)への展開力と連動性
・上半身と下半身を繋ぐ唯一の筋肉広背筋の重要性
・局所からの意識をはずす、動いていること自体を気持ちいいと感じること
・最初から気持ちいいと感じてくれる人は稀だということ

などなど僕にとって、全てが重要な濃い内容でした。

からだほわっとの感想を求められた時に「終わった後に足が軽くなりました」、と言いましたが、実はあの時、意識が飛んでしまい正直に言うと何も覚えていない、今考えるとスゥーっと水の中に沈んでいくような感覚だったのかもと思います。

今後はこの考え方をしっかり自分の物にして、精進を続けていきます。
まだまだ入り口に立っただけ、たった2日でわかったつもりにならないよに。

奥様、夕食の買い出しありがとうございました。
智志先生、デモンストレーション、練習台ありがとうございました。
そして、西本先生2日間本当にありがとうございました。

スポンサーサイト

Trackback

Comment

Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

最新記事

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR