理想のトレーニング

これまでにも「これが理想のトレーニング」というものは存在しないと言ってきました。

トレーニングに取り組む目的によって、やり方が一通りでないことは誰が考えても分かることだと思います。

その中で、様々な方法論が生み出されてきました。

基本となる運動生理学や解剖学といった、医学的なベースになる部分も、昔正しいと言われたセオリーが、今では全く間違っていたなどということも現実にあります。

有名なアーノルドシュワルツネッガーが好んで行っていた、「ハイボリューム・トレーニング」は、引用文ですが「低強度の比較的軽いウェイトを使用し低強度で行うため、セット数とレップ数を増やし、トレーニング頻度も多くする。レップ数は10~20レップくらいで行い、セット数は20~30セットと言う、かなりのボリュームで行う方法」だそうです。

世界一になったボディービルダーが採用した方法とはいえ、当時から逆の発想で、高強度で少ない回数で行う方法が、より効果的だという考え方もあって、真っ向から対立していたようです。

ボディービルディングという、明確な目標に対してでも、これ以外にも様々な考え方が存在しているくらいですから、他のスポーツの選手や、一般の方がトレーニングとして行うのであれば、それはもう数えきれない考え方があっても仕方がないことかもしれません。

そういう百花絢爛、玉石混交のトレーニング理論がある中で、いみじくも私の考え方を「セオリー」として残したいなどと大口を叩いたのも、操体法から始まった私の体への思いが、過去現在と存在するトレーニング論が、すべて我々人間の身勝手な考え方というか、体を道具として扱ってしまっていることに危機感を持っていたからです。

我々人間には、持って生まれた素晴らしい能力があります。

関節の8方向への展開をベースに、驚く程自由に体を操ることができるという能力です。

それらを、それぞれの環境で生きていくために、上手に使いこなしていかなければなりませんが、どんな環境でも使い慣れて上手に動いてくれる動きと、まったく使わなくても生活できるのなら、使わず仕舞になってしまう能力も存在します。

例えば私の好きな「鶴瓶の家族に乾杯」に登場する山里の80歳をゆうに超えたようなお婆ちゃんが、曲がった腰で鍬を上手に使って畑を耕しているシーンなどみていると、おそらくレポートに赴いた芸能人や若いスタッフの誰もお婆ちゃんのように鍬を打ち続けることはできないでしょう。

逆に、お婆ちゃんに重いカメラやマイクを持ってくださいと言っても、それは違う意味で大変な労力を使うことになり、やはり若い人にはかなわないということになります。

人間の体はその環境に適応して、きちんと働いてくれるようにできているのです。

スポーツ動作でも同じです、どんなに激しい運動に見えても、関節の運動方向や可動域は、競技やポジションによってかなり異なります。

できれば、普段は使わない運動方向や可動域に対しても、きちんと刺激を加え、いつ何時そのポジションが求められても対応しておくことこそが、現実的にパフォーマンスを向上させケガの予防にもなるのです。

練習や試合の翌日など、そういう感覚でトレーニングを行えば、体のクールダウン(筋肉の柔軟性を取り戻し、疲労回復を早める)としては最も理想的な時間の使い方だと思います。

そういう発想に至ったのは、操体法に出会い8方向を基本にした関節の運動が、人間の体の動きを作るベースになっていることに、早くから気付いていたからにほかなりません。

私にとってのトレーニングとは、「持って生まれた能力を余すところなく発揮できる準備をすること」であり、それはある意味、老若男女すべての人に当てはまるものだと思うのです。

「プロスポーツ選手と一般の我々が同じトレーニングをするのですか」って思いますよね、私の答えは「はいそうです」、となります。

そんなバカなと思われるでしょうが、現実60歳直前から、4年5年とトレーニングを継続していただいた男性の方は、私の指導するトレーニング初心者のプロスポーツ選手よりも、間違いなく動きの質が良いです。

これは誰が見ても分かりますし、悔しいでしょうけれど選手自身にもはっきりとその違いが認識できます。

それほど人間の能力には眠っている部分がまだまだたくさんあります。

その能力をきちんと発揮できるようにしてあげることができれば、選手としての質は間違いなく向上し、成績にもはっきり反映されるはずです。

一般の方であれば、年齢を感じさせない若々しい動きで、これこそ小手先のアンチエイジングとは違う、本当の意味での健康の維持増進になると思います。

次回、子供から大人まで、一般人からプロスポーツ選手まで、どういうトレーニングが効果的なのか、話を進めていきます。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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