専門性が発展を妨げているのではないでしょうか。

短い時間ではありましたが、ある現役の選手と話をすることができました。
私との接点はたったの一度だけですが、私が提唱する体の使い方と考え方に興味を持ち、真剣に話を聞きトレーニングを行ってくれた一人でした。

そんな彼と久しぶりに会い話を聞かせてもらうことを、とても楽しみにしていました。

子供の頃からその競技に打ち込み、トップレベルにまで上り詰めた選手ですが、選手としての本当の意味での戦いはそこからだと思います。

そのレベルに届いた選手たちには、それほど大きな差はないと思います。

その時々の指導者が考える戦術にマッチした選手が、試合と言う戦いの舞台に立つことができ、単純に選手としての個人の能力だけの問題ではない部分もあると思います。

以前にも話題にした、イブラヒモビッチと言う選手は、誰の目にも明らかなスーパースターだと思いますが、あるチームに移籍した際には、そのチームの戦術に合わなかったようで、本来の力を発揮できずに新たなチームにまた移籍してしまったそうです。

彼ほどの力があれば、直ぐにでも欲しいと手を挙げてくれるチームはあるのでしょうが、そこまでではない選手にとっては、監督が代わるという事態はポジションを失うかもしれないという、選手としての死活問題となるはずです。

では、個人としての能力を高め、どんな要求にも応えられるような選手に成ることは不可能なのでしょうか。

彼が私のトレーニングの指導を受けたいと思ってくれた理由は色々あると思いますが、今回も話題となった「一歩目の速さ」を向上させたい、これに尽きると思います。

相手をかわしていくときにも、相手の動きに対応するときも、動き出しの一歩がすべてを決めると言っても過言ではないと思います。

そのために有効だと言われ、行われているのが、筋力トレーニングであり、瞬発力を向上させ細かい足の運びを身に付けるためのアジリティートレーニングと呼ばれているものだと思います。

こういう考え方はある意味正解で、どこのチームでも取り入れられ選手も真剣に取り組んでいると思います。

しかし、そういうトレーニングをどれだけ真剣に行ったとしても、選手間に差が出てきてしまうことは当然のことです。

もっと言えば一生懸命行えば行うほど、自分の望む一歩目の速さという目的を達成することができなくなってしまう可能性すらあるのです。

真剣に取り組めば取り組むほど結果に結びつかない、まじめな選手は努力が足りないと、さらにトレーニングを続けることになります。

そんな選手だからこそ、私の言葉に耳を傾け、体の使い方という、客観的な評価のされにくいトレーニングを受けてみようという気持ちになるのだと思います。

なぜ一歩目が遅く感じてしまうのか、それはこれまでずっと言い続けてきた、体を移動させるという行為は地面反力を使うという固定概念の中で体を使ってしまい、地面を強く蹴るという意識がイコール地面に居付いてしまうという瞬間を作ってしまっているからです。

人間の背骨は、体の水平面を考えれば、その真ん中にあることは間違いありませんが、前後の関係で考えれば一番後ろにあることも疑いのない事実です。

その背骨を動かしてくれているのは、これも当たり前の話ですが体の後ろ側の筋肉たちです。

そこをうまく使って動き出せた感覚は実にスムーズで、気づいたときには移動できていたという感覚で、逆にぐっと踏ん張って一瞬遅れて動き出したときに比べれば、エネルギーの消費と言うか長時間の繰り返しを考えれば、それに伴う疲労度が大きく異なることは想像に難くないと思います。

そういう感覚で自分の体をコントロールできるようにするためには、言葉で理解しただけでは無理な話で、トレーニングは当然必要となります。

そのためのトレーニングを、「動きづくりのトレーニング」と名付けて、これまで指導してきました。

しかし、それぞれの競技に特有の「動きづくり」には、当然その競技を熟知した専門性が必要なことも当然のことだと思います。

私が行っていることは、どんな競技のどんな動きであれ、人間が行う限りは共通の法則、原理原則と言うものがあるはずで、その部分さえ押さえておけば、どんな動きを要求されても対応できるように準備する、「動きづくりのためのトレーニング」なんだと思うようになりました。

彼はその動きがうまくはまった時には、「これだ」と言う感覚があり、従来の屈筋に頼った力んだ動きになってしまった時にも、「今のは違う」と、とっさの判断が要求されるプレー中であっても、自分の動きを評価することができるようになったそうです。

自分の動きが見えてくると、当然相手の動きも見えてきます。

彼のような一流選手でもなかなか完全には自分のものに出来ない微妙な感覚を、なぜ私のようなその競技を経験したことがない人間が分かるのか、それは私がまさにその競技の素人だからです。

しかし、素人の意見はその競技を長く続け、選手から指導者と歩みを続けてきた人間たちには、ほとんど受け入れられることがありません、聞く耳も持ってくれないでしょう。

選手個々のサッカー選手としてではなく、一人の人間としての能力を向上させるなどという発想は、残念ながら持ち合わせてはいないようです、と言うよりも、考えたこともないのかもしれません。

昨日の夜も地元の女子サッカーチームが降格の危機に瀕していて、ヘッドコーチを代えメンタルトレーニングを導入して、何とか今のカテゴリーに踏みとどまりたいと懸命な努力を続けているという報道を目にしました。

ミーティングでは戦術の徹底を図り、チームとしての意思統一が今まで以上にはかられることも強調されていました。

残念ですが、そんなことはどこでもやっていることです、これまでも行ってきたはずです、それだけで何かが変わると本当に思っているとしたら、申し訳ないですが何も変わらないと思います。

私の技術という言葉に対する定義、「自らの意図(企図)した筋肉の収縮活動を、反復継続して行うことのできる能力」に照らしてみると、いくら戦術の徹底を図ってみたところで、それを表現するための筋肉そのものの収縮のさせ方、いわゆる体の使い方という概念が共有できていなければ、それは絵に描いた餅になってしまうのではないでしょうか。

数日後にはWカップ予選がまた行われます。
日本のトップチーム、トップの組織の意識が変わらない限り、全体が変わって行くはずはありません。

過去にも試合を見ながら思ったことをツイートしたりもしましたが、どこにも届いてはいないでしょう。

しかし、何も変わって行かない現状を憂いている人がいることも伝わってきます、ただそれをどう改革していったらいいのかが分からないだけだと思います。

私の考え方に共鳴し理解しようとしてくれた彼の言葉を借りれば、フロントのGMと呼ばれる立場の人間や、現場の監督の意識が変わらない限り、私の考え方が高いレベルで共有されることは難しいと思います。

私の考えに共鳴し、これだと思ってくれた選手たちが指導者となって活躍してくれるのはまだまだ先の話でしょうから、その時に私に力を貸してほしいと、もし言ってくれたとしても、もう無理な相談です。

今の私が何を言っても始まりませんし、もうそういう環境で仕事をする自分の姿をイメージすることも少なくなってしまいましたが、やはり現役の選手と話をすると、ついつい身を乗り出してしまう私でした。

少し落ち着いて、今日一日の仕事に取り組みたいと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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