体のことを一番に考えて欲しい。

私は仕事は予約制で行っています。
一般的な医療機関であれば、不特定多数の方がいつ訪れるのか分からないまま、その時その時診察室に入ってくる人間に向き合うのですから、医師の仕事に対する感覚は私には想像もつきません。

当たり前ですが、どんな方とも最初は初対面です。
予約の電話を受けた時に、体のどこに問題があって、またはスポーツを行っていてどういう目的を持って、私のところに来てくれるのかを伺うようにはしていますが、実際にお会いするまではどんな方が来られるのか、内心いつもドキドキして待っています。

初回の1時間の中で、その方の要求に私の持っている経験と技術がお役にたてるのか、まずは自分との戦いが始まります。

老若男女、どんな目的で来ていただいたとしても、ご縁があったことはある意味奇跡に近いことで、何としてもお役に立ちたいと全身全霊を込めて向き合っているつもりです。

あまりにも相手に対してのめり込んでしまうので、逆に相手にとって重く感じられてしまうこともあるくらいです。
それくらい結果責任を負い、一人一人に気持ちを込めて接してきました。

それは今も変わっていませんし、変えてはいけないことだと思っています。

約1時間の施術を終えて、自己満足を感じられることもあれば、もっとできることがあるのではと反省することもあります。

そんな日々を過ごす中で、広島市内どころか何時間もかけて遠くから来ていただく方もあります。
そのうちの一人に世間でも話題になった、運動会のピラミッドの事故で股関節を大ケガした学生がいます。

受傷したのはもう1年以上前のことになりますが、直後に高校受験を控えていたため、医療機関で行うはずのリハビリもきちんと受けておらず、親子してそのうちに良くなるだろうという期待とは裏腹に、現状はかなり厳しい状況になっています。

人間生活していくうえで大事にしなければいけないことはたくさんあると思います、その時々で優先順位も違ってくるでしょう。

ただ一つ言えることは「自分の体を一番大事にしなければならない」いうことではないでしょうか。

最近も、東京大学を卒業し電通に勤務していた女性の方が、過剰な残業や仕事のプレッシャーに耐えきれず、自ら命を絶ったという痛ましい事件が報道されていました。

この報道は、女性が高学歴であったことと電通と言う日本を代表する広告代理店であったために大きく報道されましたが、日本では自殺者の数は交通事故死の数よりも多いそうです。

肉体的にも精神的にも追い込まれる人がそれほど多いということです。

逆に、精神的には前向きで、自分のやりたいことを思いっきりやっていたとしても、それを継続していけるだけの肉体的な条件を備えていなければ、下手をすると自分でも想像していなかった状況になってしまうかもしれません。

今回の学生にはその危険性を感じました。

少し厳しい言い方になりましたが、他のことに向けている時間を割いてでも自分の体のために使う時間を増やさないと、取り返しのつかないことになるかもしれないと伝えました。

意識を変えてもらうために大袈裟に言ったわけではありません、もしかしたら本当にそうなるかもしれないと思ったのです。

もっと近い所にお住まいの方であれば、こちらから押しかけてでも手数をかけて体を整えてあげたいと思いました。

もし私が心配する状況になったとしたら、あまりにも可哀想過ぎます、本人に何の落ち度もないのに学校側の指導のまま行ったことでこんなことになってしまったのですから。

ただ本当に危機感を感じません、時間がたてばきっと良くなる、親子ともそう思っているところがあって、私の言葉がどれだけ届いたか、今も確信が持てません。

こういう患者さんを外来で診ている医師は、どれくらい個人に対しての感情を持つのか分かりませんが、私のような仕事の仕方をしている人間としては、すでに他人事ではないのです。

何とかしてあげたい、元の生活ができるようにしてあげたい、しかし、私のできることなど限りがありますし、距離の問題もあります。

昨日親子が帰って行った後、もどかしい気持ちの整理がつきません。

さて、先日取材を受けた健康雑誌「壮快」が発売され、私が監修したページが数ページ掲載されています。

普段この手の雑誌はほとんど気にしたことがありませんでしたが、同じような雑誌が何誌もあることに驚きました。

新聞の広告で、同時発売の「わかさ」という雑誌が目に留まりました、なんと1冊丸ごと操体法特集となっていました。

「壮快」の方は、私の操体法を基本とした、手軽にできる健康体操という感じの記事です。

「わかさ」の方には、操体法指導施設の全国リストというページがありましたが、当然私の施設は載っていませんでした。

対抗する気はまったくありませんが、同時発売の雑誌が操体法の特集というのも、何か縁があったのでしょうか。

創始者である「橋本敬三先生」のことも詳しく書かれており、久し振りに操体法に出会った20代の頃を思い出しました。

今、私が声を大にして提唱していることは、まさに「操体法の基本原理」です。

自分の体の仕組みをきちんと理解して、自分の体ときちんと向き合い対話することによって、健康で長生きできる体を、自分で守り育てていこうということです。

橋本敬三先生も私を指導していただいた渡辺栄三先生も、既にこの世にはおられませんが、長い年月を経て「操体法」という考え方が注目を浴びていることをきっと喜んでおられると思います。

どんな形であれ、私もその一役を担っているとしたら、先生の恩に少しは報いることが出来ているのかなと思っています。

改めて皆さん、自分の体を大事にして欲しいと、心から思います。

取り返しのつかないことになってしまってからでは本当にどうにもなりませんから。

もうひとつ面白いと言っては失礼なのですが、70歳を過ぎ人間という生き物としての晩年を迎えたあたりの方が、痛みというか体の不都合に敏感になりすぎる方が多いことも、最近特に感じています。

ご本人は痛い辛いという言葉をたくさん発しますが、私の施術で改善が必要な動きはほとんど見られないという方がたくさんいます。

人間とはどういう生き物なのか、どういう風に動くように作られているのか、どうやって生まれ成長し、そして老いて行くのか、そんな当たり前のことを考えて生きている人はいないと思います。

しかし、「痛いという感覚」だけは子供の頃からずっと持ち続けています。

「体が喜ぶ、心地よいと感じる」などという感覚は、あまり大事にはしてもらえず、マイナスな感覚だけが歳とともに大きくなっていくというのはどういうことなのでしょうか。

私自身60歳という年齢がすぐそこに感じるようになりましたが、ひと世代上の方の感覚はまだまだ理解ができません。

心と体を共に癒すというか、体は自分の道具ではないということをもう一度考えなければならないと思います。

私の経験などまだまだ未熟なものです、どんな方に対しても変わらずに心を込めて接し対応できるように、日々努力していこうと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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