高校サッカーの試合を見て感じたこと。

現在7時から行っている学生スポーツ選手対象のグループトレーニング、サッカー選手で高校3年生の兄と中学3年生の妹の兄妹と、同じくサッカー選手で高校2年生の3人が、通って来てくれています。

彼らは以前から縁があり、体の故障を訴えて私のところに来てくれたことがありました。

その時彼らに伝えたことは、私が常に言っていることですが、故障の原因は体の使い方が悪いか、その競技そのレベルに必要な基礎的な身体能力が足りないか、どちらも満たしていたとしてもオーバートレーニングになっているか、そのどれかというよりもほとんどの場合、すべてが当てはまっているということです。

私が彼らにしてあげられること、そして求められていることは、応急的に痛みを改善してあげることですが、前述の項目をクリアできなければ、同じことを繰り返すことになることははっきりと伝えています。

3つめのオーバートレーニングに関しては、それぞれの指導者の問題で、私がどうにかできる問題ではありません。

しかし、前二つに関しては、私がきちんと指導すれば改善できる問題です。

そうは言っても、私の指導を定期的に継続して受け続けることは、色々な意味で難しいことは承知しています。

私も生身の人間ですから、休みもなく何時でもいいから来てくださいとは言えませんし、仕事として行っているわけですからお金も頂かなくてはなりません。

過去に指導してきた選手たちは、組織の一員として私の指導を受けることができるということが当たり前になってしまい、自らが行動して時間とお金をかけてという選手はほとんどいませんでした。

プロの一流選手であれば、金銭的な負担にも耐えられるというか、自分に対する投資として当然のことなのですが、それすらできない選手の方が多いことは嘆かわしいことだと思っています。

それが高校生や中学生となると、まったく条件は違う訳で、私の指導を受けるための保護者の方の負担は大きな問題となります。

今の私には私の指導を受け取ってくれる現場がありません、個人的に契約してという選手もいません、私ならこうできるのに、私が指導すればこんな選手に成れるのに、そんな思いだけは常に持ち続けています。

グループトレーニングを企画した時、正直仕事としてはまったくお金にならない、ほぼボランティア状態になることは最初から分かっていました。

私と智志の二人で、つきっきりで指導をしなければ、私たちの思いを伝える指導にはならないからです。

こちらの熱い想いを受け取ってくれるに相応しい相手でなければ、私たちの方が長く続けられないと思っていました。

兄妹が来始めてまだ1か月と少しですが、もうずっと前から通って来てくれているような気持ちになるほど、お互いの真剣さがかみ合って心地よい空気の中でトレーニングが行われています。

器具を使ったトレーニングだけではなく、走るという行為や体の当て方など、サッカー選手に必要な体の使い方も、トレーニングとリンクさせながら指導しています。

それでも狭い室内や廊下を使ったトレーニングとなりますから、ピッチの中を縦横無尽に走り回る彼らの姿を確認することは出来ません。

昨日やっとそのチャンスが来ました、車で15分ほどの会場で行われる公式戦を、智志と一緒に見に行ってきました。

高校生の試合を見るのはたぶん初めてのことだと思います、色々な意味で楽しみでした。

彼はチームの中心選手でゲームメーカーというのでしょうか、攻撃の起点となるポジションのため、試合開始からほぼマンツーマンでディフェンスの選手に張り付かれ、思うようにボールを触ることすらできませんでした。

それでも指導している走り方は見事に表現されていて、マークを外す反転動作も見事に決まっていました。

右回りと左回りを連続してターンし、マークを置き去りにした動きには思わず声を上げてしまいました。

チームとしては前半に失点し、後半にも失点を重ねて敗色濃厚となりましたが、後半に入り敵も味方も全体としての動きが落ちてきて、大雑把なプレーと言いますか、とにかく蹴って前に走るというシーンが増えてくる中、彼の瞬間的な動き出しの速さや細かいステップワークで相手をかわしていく動作には、私の傍で見ていた対戦相手の父兄と思われる人たちからも、「おぉー」と声が上がっていました。

元々能力のある選手で、将来プロを目指していることを聞いていましたが、1か月の指導でこれだけの動きができるようになってくれたのなら、卒業までのわずか数か月しかありませんが、もっともっと良い動きができるようになることは間違いありません。

過去に指導した選手たちに足らなかったのは、今の3人の子供たちと、その保護者の方たちのような、自ら求めるという意識と継続できたかどうかという問題です。

遠くから来てくれたとしても一日二日の指導で、すべてが身に付くわけがありません。

やはり「継続」の二文字がカギとなります。

私が直接指導し、選手の息遣いを感じながら、数字では評価することができない「動きの改善」という目的のために行うトレーニングは、やはり私と選手の二人三脚でしかなしえないものだと、改めて感じています。

それが可能となった時には、相手の現時点でのレベルはどうあれ、選手が望んだ以上の変化を実感させることができるのです。

今まさに3人の子供たちがそういう状況にあります。

自分の可能性を信じ、私も彼らの可能性に限界を決めてしまうことなく、どこまでも成長を続けて行くことができるのです。

組織を相手にし、30人近い選手の中で何人が本気で私の指導を受けとってくれているかの分からない状況よりも、私を信じて私を頼って、真剣に向き合ってくれる若い選手たちとのトレーニングの時間は、何物にも代えがたいものとなっています。

商売抜きにというときれいごとに聞こえてしまいますが、実際にそんなことを考えていては今のトレーニング指導は成り立ちませんから。

80分間動き続けられたことは、彼の成長を物語っていると思います。

逆に言えば、彼がそれだけ目立ってしまうということは、他の選手はどうなんだということになります。

もし私が彼が所属するチーム全体を指導したとしても、全員が彼と同じような動きを手にすることは難しいかもしれません。

それは私に対する意識が違うからです。

やはり私には職人仕事が似合うようです、どんなに細かい注文にも、相手が驚くような結果で応えるのが、私の信条であり私なりのプライドです。

大所高所に立って日本代表の選手の動きを分析したところで、私の考えが彼らを変えることは出来ません。

私でなければと、直接指導を希望してくれる選手に対して、これまで以上に私の力が発揮できるように、試行錯誤を続けて行きます。

久し振りに現場で試合を観戦し、自己満足と言われればそれまでですが、改めて私の理論とトレーニングの効果を実感しました。

やはり体づくりだけでは届かない世界があると思います。

「動きづくりのためのトレーニング」、この発想なくして世界を語る選手には成り得ないと確信したサッカー観戦でした。


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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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