自分の体を知るということ。

昨日は広島県北部の庄原市に、トレーニングを指導している高校生のサッカー選手の試合を応援に、智志と二人で出かけてきました。

いつもなら応援という言葉ではなく、「動きを見に」という言い方をすると思いますが、昨日は純粋に彼をそして彼のチームを応援するために90分かけて車を走らせました。

結果は残念なことになりましたが、負けた時点で彼の高校サッカー生活が終わるという大事な試合を観戦でき、まるで親戚の子供を応援するように大きな声を出して一喜一憂できたことは、私にとっても久し振りに楽しい時間となりました。

彼はこの後も大学に進んでプレーを続け、夢であるプロ選手を目指していくので、残された数か月ですが、しっかり指導してあげたいと思います。

さて、10月の中旬に発行された健康雑誌「壮快」を見た方は、このブログを読んでくれている方の中でも少ないかもしれません。
全国の書店に並んでいる雑誌ですが、読者の年齢層はおそらく60歳以上の方ではないかと思います。

脊柱管狭窄症という病名をつけられた人に対する対処法の特集で、今年私が関わった2冊の本を見ていただいた編集者の方が、私の考え方を聞きたいと広島まで取材に来てくれました。

記事の中でも紹介してくれましたが。脊柱管の狭窄は「原因」ではく、「結果」であると私は考えています。

整形外科を受診すると、「脊柱管狭窄症だからしびれなどの症状が出ている」という説明を受けるでしょう。
「脊柱管狭窄症こそがしびれの原因である」ということです。

しかし、実際には脊柱管が狭まっていても症状が出ない人もいますし、その逆の人もいます。

今回、こういうことが書かれたページとは別に、中綴じのカラーページに、操体法の考え方を基本とした、簡単にできる「寝ながら体操」というタイトルで、いくつかの体操が紹介されました。

先週のことですが、この雑誌を読んでこのページの体操を行ってみたが、直接施術と指導を受けたいと、広島市内それも同じ南区にお住いの78歳の女性が来所してくれました。

2年前に脊柱管狭窄症の診断を受け、足裏にしびれを感じていたが、この2か月前辺りから体全体が捻れたような感覚になり、歩くことが難しくなってしまったそうです。

当然整形外科の受診は継続しているようでしたが、6種類もの薬を処方されているものの、何の効果も感じず、このままではどうなってしまうのだろうかと不安を感じていた矢先に、この雑誌を手に取り、そこに紹介されていた私が、広島市内どころか同じ南区で開業していると知って、これは何かの縁があったと思っていただいたようでした。

この方に限らず、こうして病名が付けられリハビリに通ったり薬を飲み続けている方は、かなりの数いらっしゃると思います。
それでも自分が思っているような改善が図られていかないことに、疑問と不安を持っているのが現状ではないでしょうか。

私は今ここで、現代医療の批判をしようとしているわけではありません。
医療の側の医師にも問題がないとは思いませんが、それよりも重要なことは患者の側に、「体に対する知識があまりにも足りな過ぎる」ことが一番の原因なのだと思います。

今回の女性の方にも、出来る限り分かりやすく体の仕組みを説明し、人間という地球上に存在する生物として、78年間生き続けてきた肉体が、どういう状況にあることが自然なのか、一緒に考えていただきました。

ここ数か月同じようなお話をさせてもらうことが多くなっています、それも相手は70代の女性というということもパターンとなっています。

すべてをここに書くことは出来ませんが、今回も強調したことは、その方がまだ10代の頃、今のご自分の年齢である80歳近い方、いや60代であってもかなりの高齢に見えていたのではありませんかということです。

すべての動物は種の保存が可能になった時期をもって、肉体的な完成とみなされると思います。
それ以降体のすべての機能は徐々に低下していくことは当然のことなのです。

人間は頭脳が発達したことで、それ以降も経験値を積み上げ、色々な意味での成長は可能ですが、動物としての肉体的な機能の成長は望むことは出来ないのです。

ところが現代においては、特に日本では超高齢化社会となっていて、80代でもお元気な方はいくらでもいらっしゃいます。
しかしそれはあくまでも個人差があって、等しくみんながそうであるわけはないのです。

そのことをほとんどの方が認めようとしません、認めたくないと言った方が正確でしょうか。

なぜ自分の体は痛みを発するのか、なぜ自分だけがこんなつらい思いをしなければならないのか、それは人間の体、自分自身の体がどんな仕組みで動いていて、どんなふうに動かせばいいのかということを知らないからです。

またどんなに正しい動き方をしていたとしても、70年80年と動き続けてくれた体が、若い頃と同じ機能を保ち続けられるわけがないのです。

それは、スポーツ選手が故障をする原因の「3大要素」とまったく同じです。

人間の体は、関節の隙間というか余裕があることで、6方向への動きを可能としてくれます。

すべての関節が6方向への連動を行ってくれることこそが、人間が人間らしく生きていけることを可能としてくれているのです。

そのことをしっかりと理解していただき、6方向への展開を私の力を借りて行っていただくことで、一般的な言葉でいうと体の歪みが改善され、歩くことが難しくタクシーで来られたその方が、帰りは電車とバスを乗り継いで帰ってみます、と言ってくれる状態に変化していくのです。

とても真剣に私の話を聞いてくれて理解もしてくれましたので、自分で行う3つの体操もしっかり伝授して、施術を終えた時でした。

1時間近くも仰向けの姿勢で横になっていたその体を、いきなり腹筋運動を行うように上半身を頭から起こそうとした瞬間、私がその動きを遮り、体の起こし方と、逆に横になるやり方を説明しました。

ほとんどの方が当たり前に行っているそういう体の起こし方こそが、自分の腰に必要以上の大きな負荷をかけ腰痛等の原因を自分で作ってしまっているのことに気づいていないのです。

人間には体の使い方という説明書は添付されてはいません、自分の体と対話をしながらどうやって動かすことが体を大切に使い続けられる方法なのかを、生涯をかけてその時その瞬間で探って行かなければならないのです。

過去にはこうやってできていたとか、他の人もみんなそうやっているはず、などとという言い方は何の意味も持たないのです。

この方は私と出会い90分という時間の中で、78年間知り得なかったたくさんのことを学んでいただけたと思います。
これからはきっと上手にご自分の体と対話をしながら、人生を全うしていただけると思います。

自分の体との対話という、聞いたこともない言葉を実際に行うことができるようになっていただくための文法のようなものが、操体法であり私の理論なのです。

この方も、カラーの写真ページがなければおそらく私のところには来ていただけなかったかもしれません。
きっかけとしては大きすぎるインパクトを与えられるかもしれません。

しかし私が本当に気付いていただきたいこと、知っていただきたいことはもっともっとたくさんあるのです、そのことを書いたのが「1回5分体が喜ぶ健康術」なのです。

改めて一人でも多くの方に読んでいただけることを願っています。

また、「壮快」の編集部の方から、12月に脊柱管狭窄症にテーマを絞ったムック本を出すことになり、私の記事を転載させてほしいという連絡がありました。
加えて、中綴じのカラーページで、切り取ってどこかに張り付けていつでも見られるのようなものを、付録として付けたいということも言っていただきました。

今回の方と同じように、そのページを見て実際にやっている方からの要望があったのでしょうか。

形を真似していただけるだけでもありがたいのですが、私の口癖の「なぜどうして」に気持ちを向けていただける人が一人でも増えて欲しいと思います。

高齢の方の体の痛みや動きの改善をお手伝いすることと、高校生のサッカー選手に効率的な動きづくりのためのトレーニングと、サッカー選手に必要な動きを指導することは、私にとってはまったく同じ感覚で行うものです。

サッカー選手であれ他の種目の選手であれ、高校生であれトップレベルの選手であれ、私の目から見ると改善可能な部分はたくさんあります。

それをどうやって本人に気づかせ、自分からそれを求めてくれるように仕向けて行くか、指導は上からでは通じません。

一緒に考え一緒に体を動かし、一つ一つ正しく理解したうえで身に付けてもらわなければ、何の役にも立ちません。

そのためにはまだまだ私自身の体が動き続けなければなりません。

もちろん頭と体の両方を動かし続けるのです。

どちらが止まっても私の理論は伝えられません、しっかり準備して行きます。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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