キレのある動きの正体は、落下・捻転・そして目的方向への重心移動の瞬間的な連動動作では。

今日は11月の13日、月日はどんどん流れて行きます。

今年予定していた西本塾深める会も、来週末の深める会と12月の西本塾で、一応の区切りにしようと考えています。

現在3人の方から申し込みをいただいていますが、今現在の私の考え方や練り上げてきた動きづくりの本質を、少しでも深め合っていきたいと思います。

現在進行形で指導している、基本火・木・土の三回通ってくるサッカー兄妹と、水・金の二回通ってくるもう一人の高校生を指導していく中で、色々なことを感じさせてもらっています。

一方的にこちらの考え方を短い時間で伝えるのと違い、これだけ頻繁に顔を合わせ動きの変化を目の当たりにできる環境とではまったく違う指導の仕方になり、変化や効果を常に感じることができます。

私にとってもそうですが、一緒に指導している智志にとっては、何物にも代えがたい貴重な経験をさせてもらっていると思います。

智志は3月から一緒に活動を始め、「体づくり」ではなく「動きづくり」を目的とした、私の提唱するトレーニングを、まったくの白紙の状態から体に染み込ませています。

私自身もそうですが、外見的には二人とも細身で、それほどパワーを感じさせる体ではありません、しかし、現在どんなレベルのスポーツ選手であろうと、我々が実際にトレーニングをやって見せると不思議そうな顔をされます。

自分が同じ重さを同じような動きで再現しようとしても、そう簡単には出来ないからです。

自分の方がどう見ても筋力があると思うのに、普段からちゃんとトレーニングを行っているのに、なぜこんなスリムな体をした親子と同じことが出来ないのだろうと思うことは当然のことです。

そのことがこれまで常識とされてきた、「屈筋重視のトレーニング」の弊害そのものなのです。

兄妹の方は幸いにというか、屈筋重視のトレーニングさえ行っていなかったので、智志と同じように素直に私の指導を体も頭も受け入れてくれました。

もう一人に選手は、高校入学から学校のトレーニング施設で、従来の概念そのもののトレーニングを指導されていて、見た目にもごつい体つきになってしまっていたので、その意識を消していくことがまずはトレーニングの目的となりました。

1回目はさすがにまったくその意味が分からず、どんなに動きを説明しても、従来の筋力発揮の仕方になってしまい、ただ今までとは違う所に筋肉痛が来るという状況になってしまいました。

それでもすぐに変化が現れ、少しずつではありますが私の思うような動きができるようになってきました。

トレーニングの最終的な目的は、自分の体を自分の思った様に動かすことができるようになることです。

その「思ったように」とは、私の技術の定義の中にある、「自らが意図企図した・・・」という部分です。

この自分が何をしたいのか、体をどういう風に使いたいのかという部分が、これまであまりにも疎かにされてきたと思います。

自分が選手として出来ていたことや、指導方法をいくら学んできても、それを選手に伝え、できるようになるためには、結果としてこうやって動いているということではなく、体がどういう意識で動かされているかという本質的な部分が分かっていないと、正確に指導内容を理解させることが出来ないのです。

そのためには単なる解剖学や生理学の知識ではなく、もっと本質的な体の仕組みや、その動き方を理解する必要があるのです。

それを飛ばして技術と称する結果としての動きを指導しようとするから、出来る人は出来るが、出来ない人はいくらやっても出来ないということになってしまい、運動神経がないとか理解力が悪いとか、本気で取り組んでいないなど、指導する側の責任を放棄した言い方がまかり通ってしまい、お互いに何の進歩もしないのです。

極論すれば、我々とメッシは、ロナウドは、ルーニーはと、超一流選手の名前を挙げ、比較すること自体がすでに間違っているんだという結論を最初から用意してしまい、そこに近づこうという方法論を見つけ出すことを放棄しているのです。

私が30年近く考え続けてきたことは、もし自分の身近に今の自分のような人がいたら、どんなことが出来たのだろう、どんな人生が歩めたのだろうという、空想の世界かもしれません。

ならば世間が普通だと思っていることを考えても仕方がないわけで、可能性を感じる限り、限界を決めずに発想を広げて行かなければ、所詮はどこかの誰かと同じになってしまうということです。

今現在進行形で指導している三人の選手たちには、そういう無限の可能性を感じて欲しいと思っています。

私自身が子供の頃に、こんなおじさんが近所に居たら、それを今自分がそのおじさんになっているのですから、子供たちが引っくり返るような奇想天外な発想なくして、お互いに何を楽しめると言うのでしょうか。

約2か月と、まだ2週間の指導ですが、密度が濃いというか、まさに我が子か親戚の子供を預かったような感覚で指導をしていますので、贔屓目に見ているところがあるかもしれませんが、3人の動きはそれぞれ明らかに進化しています。

動きの要素には様々ありますが、それを一言で言い表すとすれば「キレが出てきた」ということだと思います。

以前ニュースピックスの連載記事の中でも、「キレ」の正体に迫るという原稿を書いたことがありましたが、今ならまさに「キレのある動き」と感じるのはこういう動きではないかというものを文字で表現できそうです。

「キレを感じる」という場合、まずは人間が動いていることが前提になると思います。

弓道やアーチェリーの選手の静かな動きの中にも、厳密に言えば存在するとは思いますが、一般的に言われている「キレのある動き」は、動きの中に感じるものだと思います。

中でも「動きだしの瞬間」「一歩目の速さ」という部分は、誰の目にも「キレのある動き」と、そうでない動きは明らかに違うと思います。

そういう風に見える動きができるためにはどうすればいいのか、それが私が現在指導している「伸筋重視」の、骨盤と背骨をいかに素早く連動させられるかという「動きづくりのためのトレーニング」です。

彼らがそうした動きに近づいていくのは、もちろんそれを可能にする肉体的なトレーニングはもちろんですが、それらをどうやって使うか、正しく意図企図させることが絶対条件です。

重量や回数を効果目標とした、体づくりのトレーニングでは届かない領域です。

人間が自分の体を静止した状態から移動させるためには、何度も言い続けてきた3つの要素が必要となります。

落下・捻転・目的とする方向への重心移動を、瞬間的に行わなければなりません。

体を捻転させる必要がないという考え方もあるようですが、私は使えるものは何でも使った方が良いと思います。

ただその3つが瞬間的に組み合わされると、見た目には何がどうなったのか、その一つ一つが確認できず、ただ素早く移動しただけのように見えます。

こういう感覚に見えるようになることも、一つの目標というか効果だと思います。

相手が動きを読めない、動きが見えない、どちらに行くのか、いつ動き出したのかも分からないということです。

「そんなバカな、もしそんなことができる人間がいたとしても、それは長い年月をかけて手に入れた動きで、2か月やそこらで出来るようになるわけがない」、そんな声が聞こえてきそうですが、私は誰にでもできる方法論を作り上げてきたつもりです。

私の指導を受けて、そのヒントをつかんでくれたり、実際に出来るようになると、異口同音にライバルには教えたくない、自分だけのものにしたいという言葉を口にします。

その気持ちは当然のことだと思います。

私はこの考え方や方法論が広まって行かずに、いつまでも頑張れ頑張れのトレーニングが続いている限り、大きな変化も世界に伍して戦うことも夢物語だと思っています。

昨日は、初めて男子選手が二人同じ曜日に来てくれたので、攻撃側の選手と守備側の選手が、体を密着させた後、「落下・捻転・目的方向への重心移動」の3要素を、どうやって使えば、相手を外して(消えてと言ってもいいでしょう)自分の行きたい方向へ移動できるかという練習をしてもらいました。

攻撃側の選手は2か月の経験と、このドリルはすでに行っていますので、守備側の選手は最初あっけにとられるばかりでしたが、何度か行っているうちに、その瞬間的な動きにも対応できるように、同じく3要素を使った対応の仕方を練習してもらいました。

これで初めて対等な関係となるわけで、そうなると後は仕掛けるタイミングや、フェイクを入れたりと、まさに狐と狸の化かし合いの様相を呈し、見ている方もとても面白いことになりました。

ただ、この動きは個人としてできるようになったとしても、味方の選手がこの動きを予測できなければ、欲しい位置とタイミングでボールは出てこないわけで、本来ならばチームとして取り組むべきドリルとなります。

それが出来るようになるためには、トレーニングの意識改革から始めなければならない訳ですから、現実としては私がチーム全体、それも実際のサッカーの動きまで指導させてもらうことは無いと思うので、難しい話となります。

これまで学んでくれた指導者たちでも、さすがにここまで理解してくれて、自分の体で表現できるようになり、この人ならきちんと基本から指導できるだろうというレベルに達してくれた受講生はいませんので、私のできる範囲での指導ということになります。

以前関わったチームでも同じ状況を経験しましたが、他の選手と違うその動きに、他の選手が慣れてくるのには時間がかかったと思います、それはどんなレベルでも同じだと思います。

先週彼の試合の応援に行って、チームとしては残念な結果となりましたが、個人としては敵味方を含めて最もキレのある動きを見せてくれたと思っています。

キレのある動きを身に付け、さらに臨機応変に応用でき、90分間頭と体を動かし続けることができる能力を身に付けるためのトレーニングを、指導して行ききたいと思います。

それはもちろんサッカ-以外の競技にも共通するものではありますが。

来週末の深める会に参加予定の3人は、それぞれ個性的な面々です、私も今年の総決算のつもりで頑張りますし、とても楽しみにしています。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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