動きを変える、改善するということ。

昨日は、体がふわふわしている中、指導している高校生のサッカーの試合を見に行ってきました。

正直ゆっくり休んでいたかったのですが、「彼の試合中の動きを直接見てあげられる機会が最後になるかもしれないから、絶対に見に行ってあげて欲しい」という智志の言葉に、留守を守り、指導を継続してくれた成果を確認する意味も含めて観戦してきました。

試合の内容は別として、彼個人の動きに関しては、指導させてもらっている立場として、現状これ以上望むことができないほどの動きを見せてくれたと思います。

私の指導を一度でも受けたことがある人が見れば、それは一目瞭然なはずです、それほど見事に私の求める動きを再現してくれていました。

「サッカー選手としての動きを良くしたい」、漠然とした言葉の中にはたくさんの意味が含まれていると思います。

日本人はフィジカルが弱い、最後まで走りきれない、一対一の対応で負けてしまう、動き出しの一歩目が遅い、ネガティブな言葉を並べればきりがありません。

本当にそうなのでしょうか。

それらの言葉に対応するために、過去から現在と様々な方策がとられ、トレーニングが工夫されてきました。

にもかかわらず同じ言葉を言われ続けているのが現状です。

私もそうした問題に対して、私なりの解決策を模索してきました。

私に出来ることは何かを考え続け、たどりついた着いた結論というか、見えてきたものは、「人間の体に仕組まれた、からくり通りに動けるようにしておく」という、とてもシンプルなことでした。

それが出来るようになるためには、体の仕組みを知ることから始まり、その仕組みに沿った動き方を身に付けて行くという作業でした。

けっして派手さはなく、数値で表されるような客観性もありません、万人に評価されることも難しいことだと思います。

では客観的な評価基準で、とび抜けた数値を出せる人間が、すべてその競技で秀でた結果を残せているかと言えば、そうでないことは明らかです。

もちろん超一流の選手は、そういう意味での評価が高いことは当然のことではありますが、「逆また真ならず」ということでしょうか。

中学生や高校生なら、まだ自分の能力の限界など考える必要はありません、とにかくどんな考え方や方法論であっても、努力を続ければそれなりの成長は可能です。

それならほとんど全員が行っていることで、それなくして人より秀でることは難しいでしょう。

そうして成長していき、レベルが上がって行く中で、個々の差は歴然としたものとなって行きます。

それがなぜなのか、ほとんどの人は素質がないとか努力が足りないとかいう言い方で終わらせてしまって、ことの本質に迫ろうとしてこなかったように思います。

私がたどりつこうとしている先にあることは、とてもシンプルな事実のような気がしています。

それは何度も言い続けている「体の仕組みに沿った動き方」という概念に気づくことです。

それに気づき身に付けて行くためには、方法論だけを求めたのでは絶対に理解することは出来ないと思います。

それなりのレベルに達した選手たちは、自分がやってきたことにそれなりのプライドがあるでしょう、しかし、それではたどり着けない何かがあると、本当は気づいていると思います。

それが何なのか、手が届きそうで届かない、理想と言ってもいい考え方や方法論が示されてきませんでした。

私の言う、体の仕組みに沿った動きを行うためには、自分が正しいと思って行ってきた様々な考え方や方法論を脱ぎ捨ててもらわなければなりません。

付け足しのような気持ちで私の指導を受けたのでは、方法論の一つとして考えてしまって、本質にはたどり着けないからです。

けっして難しいことを言っているのではありません、言い方が少し乱暴になるかもしれませんが、「体に無理な負担を強いることをさせてきた」という事実を認め、体が喜ぶ動き方に戻していくだけです。

私の指導する走り方は、変な走り方と言われますが、それで楽に走れて、動きだしも速く、どんな方向への移動にも適していれば、何の問題があるのでしょうか。

その走り方から、肝心のボールに絡む動きも正確にできるのですから、文句を言われる筋合いなどあろうはずもありません。

現状、他の人間と見た目の動かし方が少し違っているというだけのことです。

昨日の試合の後、少しだけ本人と話ができましたが、開口一番「動きが楽です」という言葉が返ってきました。

さらには私が見ている場所近くで、ディフェンスを背負った状態から、裏にすり抜ける動きを見せてくれましたが、私が見ていることを意識して、指導している動きをやって見せてくれたというのですから大したものです。

試合も後半残りわずかな時間帯で、そんな余裕がある選手が他にいるでしょうか。

90分間頭と体を動かし続ける能力こそが、サッカー選手の求められる最も重要な能力であると私は思っています。

彼にとって私の指導は、動きを変えるというよりも新たな能力を身に付けさせてくれていると感じているかもしれません。

そう思ってくれているとしたら、それはそれで嬉しいことかもしれませんが、ことの本質は、「彼が持って生まれた能力を余すことなく発揮できるように、無駄に遠回りさせることなく成長するお手伝いをしている」ということに尽きると思います。

「動きを変える」のでも「改善する」のでもなく、元々彼が持っている能力が自然に発揮できる状態を作る、それが私がたどりついた指導の本質だと思います。

自分を変えたい、今の自分を超えたい、もし真剣にそう思っている選手がいるのなら、シンプルに自分の能力を再点検してみる必要があると思います。

すべての選手が自分の望む高みに届くとは言いません、ただ現状を超えていける可能性はすべての人間に秘められていることは間違いないことだと思います。

色々なことに気づかせてもらえる毎日に感謝です。

週末に行う西本塾、今度こそ一区切りの会となります。

初めて私に接してくれる方は、今回一名でした。

とても幸運な方だと思います、私の現状を余すことなくお話しします。

理解云々は別の話ですが、これまで参加してくれた人たちと同じように、目からうろこの話がたくさんできると思います。

楽しみにしています。

スポンサーサイト

Trackback

Comment

新しいスポーツとの出会いをありがとうございました。
富岡さん
コメントありがとうございます。
ブログやツイッターを2年前から読んで頂いていて、今回やっと広島に足を運んで頂いたことを伺い、とても嬉しく思いました。
本来ならば西本塾に参加して頂いて、私の考え方を基礎から学んでいただきたかったところですが、今回、長時間にわたってお付き合い頂いたことで、少しは私という人間の考え方を理解していただけたのではないでしょうか。
サーフィンというスポーツには全く縁がありませんでしたが、東京オリンピックの正式種目になったことで、富岡さんの仕事も、これから忙しくなるのではと思います。
次代を担う選手たちの指導のために、自分の知識を増やしておきたい、自分の体で体験したいという真摯な姿は、私を本気にさせてくれました。
次の機会には私の走りを体験していただき、ライフセーバーとしてのお仕事にも活かしていただきたいと思います。
どんな立場の方であれ、本気で私に接してくれる方と過ごす時間は、本当に貴重なものです。
楽しい時間をありがとうございました。
  • 2016-12-16│11:37 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
富岡です。
昨日はありがとうございました。

さっそく今朝も、朝5分の運動を行いました。施術で背骨を意識して体を動かした感覚なのか?その後のトレーニングもあわせての効果なのか?以前とは違い背骨で全身を使って動かせてる感があり、一つ不安、疑問が解決した気持ちよさも同時に味わう事が出来ました。

椎間板は折れるんですか?その言葉が衝撃で、人には理屈っぽい説明をしていた自分自身が、中二の時に信じた事を疑いもせず今も生活していた事に、脳の思い込みの怖さを痛感させられました。

施術も楽しみにしていた一つで、何が起こるんだろう?そんなに気持ちいいものなのか?色々と興味があるなか受けさせて頂きましたが、想像以上の物でした。気持ちいい事に越したことはないのですが、個人的には、本来の可動域が戻った事の喜びの方が大きく、教えてる子供達が先ずこれを行ってから練習できたら…と強く思う体験でした。

その後のトレーニングも、本来の体に整えてから行うという事が、当たり前の様で、実はほとんどの人が取り組んでない事で、この流れが一番いい刺激、感覚を入れられると体験させてもらえました。
普段、行わない運動を行ったにもかかわらず、今日も筋肉痛で張りがあって動けない、とかはなく、意識して使った背中が勝手に必要な動きを覚えてくれたのか、自然に姿勢が良くスムーズに体が動いている実感があります。

屈筋より伸筋、言葉を信じる事は簡単ですが、実際みて体験して感じて初めて、頭じゃなく体が理解してくれる、それが真実なんだと改めて思いました。

高校生のトレーニングも見せていだだき、今まで文字でイメージしてた物を、実際の動きを見て、感じる事ができる有意義な時間でした。
僕にとっては、あっという間の時間でしたが、長い時間をとって頂き本当に感謝してます。

今回、教わり感じた物を試して、また伺いたいと思います。

その際は、またよろしくお願いします。

ありがとうございました。
  • 2016-12-16│09:46 |
  • 富岡正登 URL│
  • [edit]

Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

最新記事

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR