「伸kingトレーニング」を行うにあたって。

天気予報通り、朝目が覚めたらここ広島市内、それも私の住む沿岸部でも外は一面の雪景色でした。

午前11時現在も大雪警報が発令されています。

広島市内で5センチ以上の積雪を観測するのは、2005年以来15年振りだそうです。

雪国の方から見れば何ということはないことなのでしょうが、普段雪に縁がないので色々なところに大きな影響が出ています。

そういう訳で今日は、どこにも出かけることは出来ないと諦め、またパソコンに向かうことにしました。

とくに今日はセンター試験が実施されていて、私が指導させてもらっているサッカー選手もその試験を受けているため、とても人ごととは思えません。

昨日の夜も2人がトレーニングに来てくれましたが、それぞれ保護者の方は冬タイヤを既に装着済みで、普段と変わらない様子で来てくれました。

私は愛媛の宇和島出身で、その後も雪国での生活経験がありませんので、雪が降ると車はまったく運転する自信がなく、冬タイヤも買ったことがありません。

それでも一度だけチェーンをつけて走ったことがあります。

もう18年も前になりますが、ヴィッセル神戸でフィジカルコーチとして仕事をしたことがありました。

1月に家族を置いて、とりあえず私が先に神戸に引っ越し、練習が始まって数日だったと思いますが、今日のような大雪が降ったことがありました。

当時住んでいたのは須磨区の高倉台という地区で、高台にあり一度坂を下りて幹線通りに出てから、改めて坂道を登って行くというのが練習場に向かうコースでした。

とりあえず自宅を出たものの、坂を下って行くのが怖くなり、さてどうしたものかと車を止めて思案していたところ、大学生くらいの男性が後ろに車を止めて、窓をノックしてきました。

何だろうと思って窓を開けると、困っているのだったらチェーンを付けてあげましょうかと言うのです。

聞けば、車が好きでチェーンをつけるのも得意だそうで、困っている車を見ると声をかけているという、変わった趣味と言うか奇特な若者でした。

お言葉に甘えて装着してもらいましたが、さすがに自信があると言う通り、あっと言う間に取り付けてくれました。

お礼を言ってゆっくり走りだし、坂道を降りきって幹線道路の交差点に差し掛かると、長い坂道を下りてくる車が次々とスピンしてくるくる回っている光景が目に飛び込んできました。

警備をしている警察官の方が近づいてきて、「見ての通りだよ、今日は諦めて引き返した方が良いよ」と言われてしまいました。

もちろんその忠告に従い、来た道をゆっくり上って自宅に帰ったことは言うまでもありません。

それ以来、雪が降ったら車は運転しないと決めています(笑)

雪が多い地方の方からみれば、それでは済まないと言われるでしょうが、私の生活では安全第一でこういう選択をしています。

さて、「伸kingトレーニング」についてのあれこれですが、今日は私の指導を受けたいと言って来てくれた人たちに最初にお話しすることを書いておこうと思います。

これまで様々な競技の様々なレベルの選手に指導させてもらう機会がありました。

それはもちろんチームとの契約で全員の指導をすることもあれば、誰かからの紹介であったり、このブログを読んで興味を持ってくれたという場合もありました。

どんなきっかけであれ、私の考え方をすべて理解してくれているということは期待する方がおかしいくらいで、まずは私のトレーニング、いや体に対する考え方をお話しして、「こういう考え方の元に、そこに近づいていくためのトレーニングを指導します」ということを、はっきりと伝えています。

マシンを使った筋力トレーニングと言うものに対する固定概念は、一般の方からプロスポーツ選手までほとんど変わらないものだと思います。

その目的は肉体改造という言葉に代表される、大きく強くなることが唯一無二の目的で、その効果の判断基準は扱う重量やセット数、また回数の増加、それに伴う体のサイズの変化という、まさに客観的な評価を受けられるものに終始していると思います。

先に言ってしまうと、そういう方向性でみんながトレーニングをしていて、本来の目的である競技力向上は果たせているのですかと言うことです。

もちろん胸を張って、当然のことだと言い切れる選手もいるとは思いますが、結果を残せていない選手は声を挙げられていないというのも事実だとは思いませんか。

何度も言ってきましたが、私はそれをすべて否定しているわけではありません。

当初からそれらを目的としてトレーニングを行う必要があると思われる立場、その究極がボディービルダーであり、肉体自身を武器にする格闘家や、見た目が重要な俳優さんたちにも、そういう側面があることは当然のことです。

私自身も痩せた体型に悩み、前述したヴィッセル神戸の仕事を終えた後、40歳の時でしたが、まさに大きく強くなるためのトレーニングを自らに課し、これでもかというトレーニングを3か月間行って、求める肉体改造に成功したこともありました。

その時は求めた方向性とトレーニングの方法論が一致していたので、自分でも思った以上の効果を上げることが出来ました。

現在私が指導している方向性は、それとは全く異なるものです、選手個人の能力向上です。

ですから、たんに肉体改造とか大きく強くなることがトレーニングの目的で、その結果として自分の競技レベルが向上すると思っている選手には、私の指導では満足できないだろうから、希望している方向性を明確にしている指導者のところに行った方が良いと、はっきりと伝えています。

そうは言っても私の考えをすぐに理解することは出来ないと思います。

既に大きく強くのトレーニングを継続してきたが、自分の思ったような結果に結びついていないことに疑問を持って、私の考え方に興味を持ってくれた選手なら、とりあえず違いは分かってくれると思います。

それが中途半端な取り組みしかやってこなかった選手は、私の考えも一つの方法論としか受け止められず、「こんなことか」と自己判断をして継続できない選手もたくさんいました。

現在指導している高校生の中にも、すでにそういうトレーニングの洗礼を受け、自分の求める方向性との違いに気づき、私の指導を受けるようになった選手もいます。

またまったくゼロの状態から、どこで誰にどんなことを学べばいいのかも分からないままだったのが、縁あって私の元を訪れ、考え方に共鳴し私を信頼してトレーニングを継続してくれる場合もあります。

目的は一つ、「サッカーが上手になりたい」、ただそれだけです。

私のやり方が良いとか悪いと、他の方のやり方が良いとか悪いとかいうことではなく、私が30年近く人間の体を相手にしてきて、それぞれの人間、それぞれの肉体、それぞれの目標に対して最も効率的で、指導する側される側、さらには付き添って来てくれてトレーニングを見守ってくれる保護者の方にとっても、すべてが納得できるものでなければならないと思っています。

数値の向上は確かに客観的で分かりやすいでしょう。

しかし、長期的なスパンで見ると、それらが右肩上がりに向上していくことなど有り得ません。

数年単位であれば、大きな向上が目に見えて確認できますから、それをもって効果を判断するのであれば、ある意味指導も簡単なことになります。

私が目指しているのは、本質的な個人としての能力アップです。

色々な意味があるとは思いますが、「人間として生まれもったそれぞれの能力を、余すことなく発揮できるような準備を整えるためのトレーニング」という、なんとも抽象的な表現ではありますが、そこに帰結して行っていると私自身が感じています。

運動神経が良いとか悪いとか、親からの遺伝である程度決まっているという言い方もされますが、私はそれ以前に、人間という動物に与えられた能力を、我々は十分に発揮できていないどころか、気付いてもいないところがあると感じているのです。

もうこれは私の感覚としか言いようがありません。

4か月くらい前から、中高生を対象にグループトレーニングを行っていますが、グループトレーニングとは言っても、実際はほぼマンツーマンの指導で、一つ一つの動作を私が求めるイメージに近付けて行くための指導を行っています。

体作りではなく、動き作りのためのトレーニングだと言っていますが、もちろん人間には心がありますから、複数で行うことで他の選手の動きが気になるのは当然です。

私の口から発する言葉は、直接手を触れている選手はもちろんですが、それを聞いている他の選手や見学してくれている保護者に対してのものでもあります。

そういう意識がある選手や保護者と、そうでない場合とでは、当然進歩の度合いが違ってくることは当然のことです。

歯を食いしばり目いっぱいの動作で、自分の世界に浸っていてはグループトレーニングの意味はないのです。

一番最初に説明をした、「大きく強くなるためのトレーニングではないよ」という言葉が信じられないくらい、大きく強くなっていきます。

中学3年生の小柄な女の子が、お尻が大きくなったジーパンがきつくて入らなくなったと、複雑な顔をして報告してくれますが、サッカー選手らしくなってきたねと笑顔で返しています。

もちろん目的としている動き作りのための基礎固めが進んで行くわけですから、姿勢が変わり、走り方が変わり、ボールを扱う際の姿勢や感覚も変わって行きます。

結果としてそれぞれの積み重ねた時間に応じて、ピッチの中での動きも変わって行きます。

これらの効果は、私の想像をはるかに超えています。

私の考え方がスタンダードになる日は、私が生きている間にはやってこないかもしれません。

ただこういう考え方と方法論を信じて実行してくれた選手たちが、他の考え方に沿ったトレーニングを行った選手以上の結果を残してくれることだけは間違いないと思っています。

今日は、「伸kingトレーニング」の導入部分、私と波長が合う合わないが、運命の分かれ道という所までお話ししました。

連載で順序立ててという訳には行きませんが、読み進めていただくうちに、全体像くらいは見せられるかなと思います。

相変わらず雪が降り続いています。

大きな災害がなければ良いのですが。

皆さんも気をつけください。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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