番外編、走るという行為に関する重心移動の概念を利用するために。

先日ツイッターを介して、私の指導を受けたいのでDMで相談を受けて欲しいという依頼がありました。

それに応えて返信すると、そ相談内容とともに動画が送られてきました。

ブログを読んで頂いていれば分かると思いますが、こういう申し出に応えるために設定したのが、動画を介した「遠隔指導」というシステムです。

実際に利用してくれたのは、西本塾生の方で、既に面識がある方お一人だけです。

私は常に自分のやることに結果責任を感じてしまうので、遠隔指導という形での関わり方には正直不安がありました。

それも一度もお会いしたことがなく、私の考え方に対する理解もほとんどない状態の方に、何が伝えられるのか、対価をいただくほどの指導が出来るのかと、実行に移すまでには時間を要しました。

しかし、実際に広島まで足を運ぶことが難しい人も多い訳で、さすがに結果責任までは追いかねますが、出来る限りの指導が出来る準備は整えていました。

とくに私の提唱する「走り方」に関しては、息子智志をモデルにして、基本のドリルを動画に撮ってあるので、相談者のレベルに合わせて、それなりに分かりやすい指導を提供できるのではないかと思っています。

加えてこれまで指導を受けてくれたたくさんの人たちの中から、お手本として提供できるレベルの動画もいくつかあって、これらを組み合わせながら、相談者の動画との比較で、遠隔指導として満足していただけるものが提供できると思います。

現実にはそれらを使って指導をさせてもらったことはまだありません。

このブログやツイッターを通して、私の考え方の興味を持ち、指導を受けてみたいと思ってくれている人は少なくないかもしれません。

ただ私は趣味でこういうことを行っているわけではありませんので、そのことは理解していただき、遠隔指導なり直接の指導を受けに来ていただくなり、しっかりと行動に移してほしいと思います。

インターネットを通じた交流は匿名ということもあり、何でも聞いたもの勝ちという所があったり、こういう無形なものに対して対価を払うという概念がないのかもしれませんが、さすがに無料でという訳には行きませんのでご了承ください。

現実として遠隔指導のシステムを公表してから、塾生の方を含め質問や相談がほとんどなくなってしまいました。

さてその相談者ですが、高校2年生でサッカーをやっているそうです。

まずは先ほどから書いている通り、こういう形の指導は有料であることを伝えました。

その上で質問内容を読み、同じようなことで悩んでいるかもしれないブログの読者がたくさんいるかもしれないから、名前は匿名としても、動画を含め相談内容をすべてブログの記事にして良いのなら、今回に限り出来る限りの回答をしても良いと返信しましたが、公開は拒否しますという返事が返ってきましたので、こういう形で一般論として取り上げることにしました。

質問は大きく二つ、一つは「重心移動はどうしたらできるようになるのか」、もう一つは「肩甲骨と骨盤を連動させるために、重心移動以外に改善すべきことがあるか」、と書かれていました。

それを読んだうえで送られてきた動画を見ました。

全体の質問内容から判断して、彼は「重心移動」の概念に対して、私とは違う理解をしているようでした。

それは「重心移動とは下半身の改善をしている時に、地面からの反力を十分に受けて前に出ている感覚がありました」という文章から感じられました。

この文章から私との違いを感じることが出来る人は、かなり私の考えを理解できている人だと思います。

もう一つ、「肩甲骨を連動させる前に重心移動ができていない」という表現からもうかがえます。

実際に走っている動画を見ると、腕を後方に振ろうという意識は感じられますが、骨盤は後傾し腰が落ちています。

そのため股関節のクランク機能を使うことができず、後方で地面を蹴って太腿を振り上げ、ストライドを広げて大股でという走り方になっています。

当然着地は重心位置の前方でになりますから、前進する体に対してブレーキをかけるという、私が提唱する走りとは、まったく真逆な体の使い方になっています。

もし彼が有料でもいいからと遠隔指導を希望してくれたとしたら、かなりの意識改革が必要となるでしょう。

というよりも過去指導した人たちは例外なくこういう走り方が正しいと信じて、これまで生きてきたと思います、彼だけが特別なわけではありません。

という訳で、これまで何度も説明してきた、私なりの解説ではありますが、「体重移動と重心移動の違い」の概念をもう一度書いておくことにします。

直接目の前で指導する場合は、こういう形で行います。

まずは直立した状態の時、体重が60キロの人間であれば、片足に30キロずつの重量がかかっていることになります。

人間は二足歩行の動物ですから、その状態でバランスを取っている訳で、体を移動させることは出来ません。

その場から移動するためには、片足にかかる重量をゼロにする必要があります。

両足をそれぞれ体重計に乗せているとすると、片足を浮かせば全体重の60キロを、片足のみで支えることとなります。

それでも片足で体のバランスを取ろうとしますから、その場から動くことは出来ません。

ではどうするか、片足で立って60キロを指している体重計のメモリが、それ以上になるようにぐっと踏み込んだ反動を使って、60キロの物体を移動させるということになります。

屁理屈のように感じるかもしれませんが、現実としてこういうことが行われています、これが体重をという重さを運ぶという意味で、「体重移動」と定義している移動方法です。

元々60キロの体重を、それ以上の力を使って移動させるということになります。

対して重心移動の概念ですが、同じく直立した状態の体を、後ろから肩のあたりを押してあげます。

その際、相手には足元から頭の先まで、できるだけ真っ直ぐな状態を保ったままで居て欲しいと伝えておきます。

後ろから押された真っ直ぐな体は、もしそのままの姿勢を保ち続けたとしたら、顔面から床に激突してしまうことになりますので、そういう不安を感じた瞬間、人間は前方に倒れないようにどちらかの足を前方に踏み出し、体を支えるということを自然に行います。

この時、地面を強く蹴ったり、足を前に踏み出そうという感覚はほとんどないはずです。

ただ単に危険回避というか、前方に倒れてはいけないと、体が自然に行った行為です。

私は体の重心位置は股関節だと思っていますので、その重心位置である股関節が前方に移動したことに体が自然に対応して、体全体が移動したということを指して、「重心移動」という言葉を使っています。

さらに重心移動によって体が移動した時、体を支えるために振り出された足が着地する位置は、地面に対して股関節の真下であることも重要なことです。

分かったような分からないような説明かもしれませんが、階段を駆け下る時の状態を思い出して頂ければ分かりやすいかもしれません。

階段を駆け下る時に、段を強く蹴ったり着地でしっかり受け止めたりということを行っているでしょうか。

「それは下りで勝手に体が移動していくから、足を踏み外さないように気を付けているだけだよ」、と言われるかもしれません。

確かにそうなのです。

さらに言えば、その時腕を振って太腿を引き上げるなどということも、まったく行っていません。

行っていないどころか、階段の駆け下りにそんな動きを意識的に入れようとすると、速く駆け下ることは出来ないでしょう。

ではこういう感覚は平地を走る時に応用できないのでしょうか。

それを実践可能としたのが、私の提唱する走り方ということになります。

「階段を駆け下るように平地を走れ、そんなことができるはずがない」、そう思う人は規制外何のしがらみから抜け出ることとが出来ない人たちです。

それを可能とする、というよりも、その方が人間の体に仕組まれたからくりを上手に使うことが出来て、筋肉に負担が少なく、無駄に力んで判断力を鈍らせることもなく、スムーズな動き出しと加速を可能にし、持久力の向上にもつながるという、一石何丁にもなる究極の走り方と言っても良いものなのです。

「平地は下りのように、上りは平地のように」これが私の走り方を表すキャッチフレーズとなっています。

「それじゃあ全部同じじゃないか」、そういうことです。

それを可能にするのが、重心移動の概念と、人間の股関節の構造がクランク状になっているという有難い事実です。

「伸kingトレーニング」という言葉を最近多用していますが、「股関節の伸展」が一番のキーワードになります。

着地の際、股関節が出来るだけ伸展した状態であれば、着地の位置は股関節のやや後方となります。

とういうことは、片足で支える重量は60キロでも30キロでもなく、それ以下に感じることになります。

そんなバカな話はない、理屈に合わない、そう思われるでしょう。

実際にこの感覚を実感した人たちにしか分からない感覚だと思います。

現実にそういう感覚になるのです。

だから足の負担が全然ないとか、まったく疲れないなどという感想を体験した人全員が言葉に出すのです。

西本塾や個人指導を受けた人の感想にも同じことが繰り返し書かれていますが、自分の目で体で体験しないことには信じないと、これまた同じことを言って私の元を訪れます。

着地する足の股関節がしっかり伸展し、クランクの形状の恩恵を最大限に生かすことが出来れば、後方の足は地面を蹴る暇もなく、既に前方に引っ張り出される準備が出来ています。

この状態を感覚するためのドリルが、「引きづりのドリル、改め、引っ張り出しのドリル」というものです。

股関節が8の字を描くようにローリングを続けることで、地面を蹴る着地するという感覚なしに、体がどんどん前に進んで行きます。

階段を駆け下りる重心移動のイメージそのままに。

ただそれらを言葉として理解し、二度三度くらいの回数私から直接指導を受けたからといって、完璧にその動きを再現できるわけではありません。

息子智志が短期間でその感覚を再現できるようになったのは、日々行う「伸kingトレーニング」によって、全身の連動を伸筋群を使って行うことが当たり前の体を作り上げてきたからです。

一朝一夕にできるものではありません。

たとえ外見は同じように見える動きであったとしても、本質的な体の動きが出来ていなければ似て非なるものでしかないのです。

どこを使ってどこを意識してと、頭で考え指令を出して体を動かしている間は、今以上にスピードも持久力も向上させることはできません。

今指導している中高生を見ていると、まさにその思いが強くなります。

智志のやってきたことを1カ月4カ月と、それぞれ継続していくと、私の求める動きを見事に表現できるようになっていくのです。

本人のやる気さえあれば、そこに例外なく到達できると思います。

マシン等を使った「伸kingトレーニング」と様々なドリルを組み合わせ、週に2回3回と直接指導を継続することで、私の思いは必ず伝えられると実感させてもらっています。

この経験というかノウハウを、遠距離の方にも出来るだけ正しく伝えて行きたいと思います。

せめて一度は直接指導を受けていただきたいとは思いますが、そうでなくても伝えられるようにしなければ、救われないままの選手がどれほど多いことか。

先ほども電話で相談がありましたが、「一生懸命頑張っているが思ったような成果が出ない」という言葉に、努力は正しい方向性に対して向けるものであって、ただ頑張っていますはただの自己満足にすぎないことを分かって欲しいと思います。

その方向性を指し示し、進んで行く先に明かりを灯すのが、夢先案内人たる私の仕事だと思います。

どれだけ言葉を並べても伝えることは難しいとは思いますが、人間が持って生まれた体のからくりをうまく使うことで、もっと楽にもっと効果的に体を動かすことができるという事実を、多くの人と共有できるように伝えて行きたいと思います。

遠隔指導もっともっと利用して欲しいと思います。

相談してくれた高校生には、そのままズバリの回答という訳には行きませんでしたが、今日の記事が少しでも参考になればと思います。

サッカーが上手くならないという言葉も書いてありましたが、私の言う体の使い方という分野に興味を持つ指導者が現れないことには、どんな指導を受けても大きな変化は期待できないと思います。

そのことも今実感しています。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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