「伸kingトレーニング」では、なぜ1種目1セットしか行わせないのか。

昨日は地元広島で行われた、都道府県対抗男子駅伝を応援に行ってきました。

広島に住んで既に20年が過ぎ、22回目となったこの大会も第1回、地元広島が優勝したところからから記憶しています。

仕事の関係で沿道で直接応援したのは、平和公園前のゴール地点で家内と一緒に一度だけしかありませんでした。

今回はフェイスブックを通じて、宇和島東高校の同級生から、現在勤務している神奈川県の領家中学の生徒が、6区3キロの中学生区間を走るので応援してあげて欲しいという依頼があり、ならば直接声をかけに現場に行こうということにしました。

第5中継所となる広島工大高までは、車で行けばそれほど遠くないのですが、行きは市内電車で広島駅まで行って、JR山陽線に乗り換え五日市駅まで行って、そこから少し歩いてということになり1時間ほどかかりました。

国道脇は住宅地ではないので、沿道の応援はまばらでしたが、同じ場所に立っていた母娘がその区間を走る宮崎県チームの選手の家族と分かり、一緒に声をかけて応援しました。

もちろんトップで駆け抜けて行った選手から、最後の1チームまで、全チームの選手に大きな声をかけ手を叩いて声援を送りました。

各県を代表して選ばれるということだけでも凄いことですから、ご家族や関係者は全国津々浦々から応援に駆けつけてくるのでしょう。

私も選手たちを自分の家族だと思って、出来る限りの声援を送りました。

今日は、彼らの走りに関していつものようにああだこうだという気持ちにはなりません。

一生懸命に走る中学生たちを、素直な気持ちで応援しました。

さて、「伸kingトレーニング」の実態を少しずつ明かしていますが、今日はそのトレーニングの量というか種目と回数やセット数について書いておきます。

通常筋力トレーニングを行う場合、筋力アップや筋肥大が主な目的となるので、その目的に即したトレーニングの方法論が様々研究されてきました。

私が18年前、まさにそのことを目的として3か月間限定でハードなトレーニングを自らに課した時にも、鍛える体の部位を4分割して、1週間に6回、日曜日だけを休みにしてローテーションで追い込んで行きました。

一つの種目を行う際、少し軽めのアップセットを行い、3セット目にメインの重さを行えるようにして、その重さで3セット、合計5セットくらい行ったと思います。

一緒にトレーニングをしているマッチョな方々が補助をしてくれるので、自分ではもう限界だと思ったところから3回5回とプラスされました。

有難いような有難くないような、とにかくきついトレーニングでした。

1回のトレーニングに2時間くらいかかったと思います。

まさに疲労困憊で、しばらくは放心状態で、休憩しないと帰りの自転車に乗ることもできない状態まで追い込みました。

さらには、セット間のインタバルの秒数まで計算し、一つのセットを終えたら45秒後に次のセットを始めるという、一切の妥協を許さない、まさに体をいじめるトレーニングでした。

結果はたったの3か月で8キロ強の体重増加があり、そのほとんどは筋肉であったと思っています。

目的が肉体改造であったので、十分に効果を感じましたが、それまで普通に行うことが出来ていたスポーツ動作が、事前の想像以上にできにくくなったことも間違いなく実感しました。

私がスポーツ選手に求めてきた、動きの質を上げる、それぞれの競技動作が上手になるという、トレーニングを行う本来の目的からは外れてしまうのではとないかと、自らの体で改めて感じることになってしまいました。

その後指導させてもらう機会をいただいた社会人野球チームや、個人として指導したプロ野球の投手のトレーニングでは、ある意味矛盾することも出てきました。

佐々岡真司というトップレベルの選手の指導に際しては、まったく私の理想通り、大きく強くなるためではなく、彼の持っている能力をどうやって引き出すか、まさに「動きづくりのトレーニング」を実践することが出来ました。

自分のトレーニングを行った翌年に彼とのマンツーマンが始まり、9年間継続して指導をしましたので、この経験が私に大きな自信をつけさせてくれたと思っています。

社会人野球、三菱広島というチームの指導ですが、選手個々の能力にばらつきが大きく、佐々岡投手と同じ考え方で全員を指導することには無理がありました。

かと言って30人近い選手一人一人に個別の指導をするという訳にも行きませんので、時期によって変わりますが、週に2度か3度のトレーニングのメニューは統一するしかありませんでした。

さらには明らかに筋力不足の選手も多く、チームとして一定のレベルに引き上げる必要がありますので、その目的にためには1種目1セットの基本に少し変化をつける必要がありました。

それでも自分が行ったような1種目を5セットもというメニューは行わせませんでした。

一度だけ監督の依頼で、全選手がベンチプレスで100キロ以上を挙げられる筋力にして欲しいと言われた冬があり、ベテランの投手で細身の選手を除き全員にその目標をクリアさせるため、セット数を増やしたことがありました。

チーム全体でトレーニングに対するモチベーションを上げるという意味では、一つの方法ではあったと思います。

最終日に重さと回数を競わせ、優勝者には天ぷら屋さんの食事券がプレゼントされるというオマケまでついていました。

もちろん私もクリアしました。

大きく分類すると、この二つの指導内容となりますが、三菱の指導においても、ただ重いものを何回も挙げられるようになることが目的ではなく、その運動に参加するすべての関節の可動域を十分に使うことを最重要なポイントとして指導しました。

とくに投手に対しては、佐々岡投手と同じように動きづくりをメインとした「投手メニュー」と称した内容を投球練習前後に行わせていました。

そして現在、どんなレベルの選手を指導する場合も、1種目1セットは私の中で変えられない大原則となっています。

スポーツ選手がトレーニングを行う際、シーズンオフでその競技動作の練習から全く離れている場合なら、百歩譲って、やりたければ重さも回数も好きなようにやればいいと思いますが、シーズンを通して行うことが前提となれば、筋力トレーニングと技術練習のバランスということも考えなければなりません。

完全にオールアウトまで追い込んで、筋繊維に大きなダメージを与え、超回復現象を待って筋肥大を起こさせるなどという考えが正しい訳がありませんから。

日々行うそれぞれの種目の練習に、筋力トレーニングの効果が実感できなければ、真剣に取り組むことなど期待する方がおかしいと思います。

現在指導している中高生のサッカー選手たちとは、グランドレベルの練習にどんな変化があったか、どんな効果を感じ、どんな課題が見つかったか、その都度会話し、私が指導しているトレーニングとの相関関係や、応用の仕方を説明しています。

だからこそトレーニングが楽しいと、毎回笑顔でやってきてくれるのです。

先日も、中学3年生のアイコちゃんが、体が小さくいわゆるフィジカルが弱い選手の見本という扱いで監督に指名され、体当たりの仕方を指導されたそうですが、何と彼女は、大の大人の男性監督を、反対に跳ね返してしまったというのです。

その体の使い方や、そのために必要なトレーニングは、たとえ4か月間とはいえ、十分に身に付いていますので、本人にしてみたら当たり前のことなのですが、何も知らない監督はさぞ驚いたことでしょう。

これだけのことが当たり前に出来れば、同じ女子選手相手に負けるわけがありません、大きな自信をもったことでしょう。

また、金曜夜9時に放送されたNHKのニュ-ス番組のスポーツコーナーで紹介された、ドイツで活躍している大迫選手のインタビューの中で、屈強なドイツ選手を相手に自分がどんな工夫をしているかという話があった時、すでにその体の使い方は私から指導されて知っているどころか、大迫選手が話したこと以上に具体的な体の使い方を知っていてできるようになっていることも、お互いに納得できました。

高校3年生のお兄ちゃんは、その動きを既に実際の試合で使いこなせるようになっていて、私が見に行った試合の中でも、私が見ている近い場所で、発表会のようにその動きを披露してくれました。

私が教えている選手は、すでにそういうレベルに達しています。

そういう具体的な変化や成果を感じられるようにするためにも、できるだけ体に過度な負担をかけず、なおかつ正しい刺激が伝わるトレーニングでなければなりません。

実際に彼らが全体のメニューをマンツーマンで行うと50分弱かかります。

その間のインタバルは、長からず短からず、というよりも私ではとてもそんな短いインタバルで、「ハイ次行くよ」と声をかけられても、「ちょっと待ってもう少し休ませて」と言いたくなる短さです。

そんなインタバルにもかかわらず50分近くの時間を要するということは、内容が盛りだくさんだということです。

マシンを使ったトレーニングは、関節に対して一定の運動しか起こしてはくれません。

それを何セットも繰り返すということは、関節に対してこの動きをしっかり行ってくださいというメッセージを送り続けることになります。

私が求めているのは、骨盤から背骨に対して6方向すべての動きが連動しやすい筋肉の収縮活動を体に学習してもらうことです。

そのためには手を変え品を変え、という言い方がありますが、「ハイ次も、もう1回これね」と、体が慣れてしまわないように種目や運動方向を変えて行きたいのです。

もうお気づきかと思いますが、そんなやり方で50分かかるとしたら、それぞれの種目を3セットずつ行ったとしたら、その3倍の150分、2時間半もかかる内容だということです。

それだけの内容をコンパクトに凝縮し、それこそ毎日でも取り組むことで、それぞれが持って生まれた能力を余すことなく行う準備を行っているのです。

50分のトレーニングに加えて、サッカー選手ですから、その体をどう使ってボールを扱うかという、ボールを使ったドリルも行いますし、アイドリングから引っ張り出しの動作、3歩目でトップスピードに乗せるための落下捻転重心移動の動きだしのドリル、またトップスピードからのアイドリングステイ、そこからの左右の横への動き、さらには後方への左右の捻転による対応動作など、サッカー選手にとって必要な基本動作もすべて行っています。

それらの動きが上達していくためには「伸kingトレーニング」が必要なことは言うまでもありません。

彼らはそのことが実感できるからこそ、嬉々としてトレーニングに通って来てくれるのです。

ただの筋力トレーニングを行うのでもなく、ただグランドでボールを蹴るのでもなく、どうやったら上手くなるのか、本当に必要な能力を高めるために必要な要素を探しだし、それを獲得するための方法論を考えてきました。

先ほどツイッターでもつぶやきましたが、なでしこジャパンが元有名選手を講師として、メンタルトレーニングと走り方の指導を受けたそうです。

確かに、それぞれのスペシャリストであることは間違い無いのですが、その走り方や体の使い方が、実際にサッカーという競技にマッチしたものであるのかどうか、よく考えた方が良いと思います。

私などそんなところに呼ばれることはないと思いますが、中学3年生のアイコちゃんは、将来なでしこジャパンに入って、私を専属トレーナーとして雇ってくれるという夢を持っているそうです。

チームのではなく、あくまでも彼女個人の専属にしたいそうです。

この4か月間、私から学んだことはこれまで全く知らなかったことばかりで、体の痛みや不調に対応してくれるばかりではなく、体の仕組みやその使い方という根本的なところから指導してくれて、どんな質問や疑問にも的確に答えてくれる、そんな人間が一緒にいてくれたらスポーツ選手としてこんな心強いことはないでしょう。

1種目を1セットしか行わない、私が求める目的に近づいていくために行き着いた考え方です。

目的が違えば別の方法があって当然です。

私は私の考えてきた方向性で、私を信頼してくれる選手のためにより良い指導を追及していきます。

スポンサーサイト

Trackback

Comment

Re: No title
内田さん
コメントありがとうございます。
こちらこそご無沙汰しております。
一昨年末になりますか、内田さんが私のことをグランパスに売り込みに行ってくれたことを、今となっては懐かしく思い出されます。
不思議な縁と言いますか、降格したグランパスにあの風間八宏が監督として就任することになるとは想像もしていませんでした。
彼にとって私は少し扱い難い存在となってしまったので、もう声がかかることはないと思います。
彼の能力を持ってすれば、サポーターの期待に応え、数年のうちにJ1リーグに復帰できると思います。
さて、我々の活動ですが、理論と実践が正しいもので、効果を実感すればするほど、ライバルには知られたくないという、指導する側としては、何とも歯がゆい状況が起こってきます。
今指導している4人のうち3人は4月から広島を離れてそれぞれの進路に進んで行き、1人だけになってしまいますが、数ヶ月の指導でも、彼らに大きなインパクトを与えられたと思います。
私もこれまで通りできる範囲で頑張っていこあと思います。
これからも一緒に頑張りましょう!
  • 2017-01-24│13:18 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
西本先生
ご無沙汰しております。
最近はブログ、Twitterを通してですが、勉強させて頂きいつもありがとうございます。

ご存知の通り、名古屋グランパスが降格しました。アップから何試合か生観戦もしましたが、前半から体が重そうで走れない選手達の動きを見て、私ごときが思うことも恐縮ですが俺だったら今よりも確実に走れるチームが作れるのにと思ったことは事実でした。

と同時に、あのときもし西本先生に声が掛かっていたら降格争いどころか別のチームなっていましたし、名古屋のグラウンドで西本先生の姿を見ることが何よりも私にとっての勉強の場が増えることにも繋がると思っていました。

年末に次期監督が風間監督と噂が立ち、もしかして西本先生にもついに声が掛かるのでは正式発表まで期待しておりました。

今回はお声が掛かっていないようですが、この先数年間は名古屋へ招かれることを期待したいと思っています。

フロントも現場も大幅に見直され、全く新しいクラブになったようですが、先週すでに西本先生のことをダイレクターの方に伝えてもらったところ西本先生のことをご存知でした。

またもや西本先生がグランパスのリストに上がったのではないかと思います。

今回の行動は西本先生を売り込みに行ったわけでは無く、私の活動に西本理論があるわけで、私の活動=その後ろには西本先生とのことからです。

先生の悩みである、指導した選手が仲間に教えたがらなく知られたくない現象が完全に私の周りでも起こっています(笑

昨年の11月から始めました、「愛知県のサッカーを底上げするトレーニング塾」をスタートしまして数人規模で始め
たところ、練習や試合でチームメイトから足が速くなったと言われたり、別の選手は嫌がられるプレー(ボディコンタクト)になったと言われ、その理由を尋ねられたそうですがそれぞれの子が「知られたくないから黙ってた。」と口から出た言葉にひっくり返りたくなりました。

西本理論とは、本当に良いものだから伝えたい指導する側と、本当に良いものだから知られたくない選手側との気持ちのギャップが絶対に起こることが痛感しました。

ならば自分で広げていくしかないと思い、私から声をかけ面識のあったグランパスの育成コーチに練習を見に来てもらいました。

このコーチは14年間のプロ生活を送りましたが、最後の2年間は名古屋を離れましたので西本理論を初体験をし、それをダイレクターに報告してくれてるはずですし、今後も参加してくれるはずです。

本望でないことかもしれませんが、西本理論を拡げていくため、私の活動を大きくしていく為には、こちらから声をかけていくことをしていく必要があります。

少しずつ参加人数を増やし、ストレートに西本理論を正確に伝えていくことを継続していきたいと思います。

夜のグループトレーニングをされているアイコちゃんはじめ、4人の中高生が羨ましいと同時に今後も大変興味深いです。

名古屋へ指導講習会に来て頂いてから、早いものでもうすぐ1年になります。

あの時の参加者から、今春、サンフレッチェU-18へ進む選手がいます。
プロで活躍するためには西本理論が必要であることは認識しております。

名古屋を中心ですが、やってやるぞ!と私も意気込んでいますので次回はもう少し良い報告が出来ればと思います。

時々ご年齢のことを心配されていますが、映像や声を聴く限り全然大丈夫だと思います(笑)

今後もどうぞよろしくお願いします。

西本塾12、14期生
名古屋市東区
内田雅倫



Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月9・10日に予定しています。

最新記事

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR