目標設定の大切さ

無理なく連動して、しなやかで、それでいて力強い動作。
何となくイメージしていただけたでしょうか。

体が大きいイコール力が強い、だからかなわない。

日本が戦争に負けて、その復興をアピールするために行われた東京オリンピックの頃は、まさにそういう時代でした。

欧米の体の大きな選手たちと、日本人の体格を比べれば、そう思う人がいても当然でしょう。

体重別の階級制が取り入れられた種目でも、食べているものが違うからと、今では何のことか分からないようなことさえ言われていました。

日本で本格的にウエイトトレーニングが取り入れられたのは、まさにその東京オリンピックで一つでも多くメダルを獲得するためにと、その数年前から海外を視察した人たちが目の当たりにしてきたトレーニング方法だったのです。

もともと体の大きな選手たちが、タンパク質たっぷりの肉食で、そのうえあんな凄いトレーニングをしているのかと、日本人は驚いてしまいました。

その頃の日本で、ウエイトトレーニングらしきものを行っていたのは、まさに本職のボディビルダーと、ウエイトリフティングの選手たちだけでした。

ですから、他の種目の選手たちがウエイトトレーニングを行おうとしても、道具もなければ指導者もいないという、ないない尽くしだったのです。

お家芸の柔道やレスリングといった、取り入れていて当然と思われていた種目の選手たちでさえ、筋肉が硬くなるだとか、そんな時間があったら練習した方がいいと、せっかく視察してきた人たちの意見も取り入れられなかったようです。

そして時代は変わり、どんな種目でもその大切さは認められ、時間をかけて取り組まれるようになりました

だからこそ今、正しい理論に基づいたトレーニングを行わないと、結局はまた何十年か後には、やっぱりあんなことはやらない方がいいんだよという人が出てくるかもしれません。

もうそんなことはないと思いたいですが、何事にもサイクルがあって、きちんとした理論と結果が伴わなければ、絶対にないとは言い切れないと思うのです。

トレーニングをすればケガをしない体になる、そんな言い方も当たり前のように言われるようになりました。

このことは、このブログでも詳しくお話してきましたが、トレーニングをする、体が強くなる、だからケガをしにくくなる、というような単純な話ではないのです。

引退した選手ですから実名でもいいのですが、いちおう〇本選手と呼びます。
広島カープに入団した当初は体が細く、とてもプロではやっていけないと自分で考え、まさに肉体改造と呼ぶにふさわしいトレーニングで、筋力と筋肥大を獲得し、連続出場記録をつくり2000本安打も達成して一流プレーヤーとなりました。

では彼はその後ケガをしなかったのでしょうか。

指を骨折してもスタメンに名を連ね、片手でバットを振り続けホームランを打ったり、肩の痛みでろくに返球もできないまま守備位置を明け渡すこともありませんでした。

それはある意味凄いことではありますが、チームの勝利のために、応援しているファンのために、他に選択肢はなかったのでしょうか。

トレーニングによってケガをしない体を獲得したとはとても言えません。

まだ現役ですが、良い方の例えなので名前を出しますが、ヤンキースのイチロー選手は、アメリカに渡って以降も、肉体改造をして体重を増やしたとか、筋力アップに努めたなどという話は聞いたことがありません。

日本にいた時から取り組んでいた、関節の可動域を広げ、筋肉の柔軟性を増し、体の連動性を高める、まさに私が言い続けていることを実践し、居並ぶ大男たちの中で、彼が持って生まれた能力を磨き続けることで、最高のパフォーマンスを発揮し、ほとんど故障らしい故障をせず現役生活を続けています。

こういう体がケガをしない体であり、こういうトレーニングこそがケガをしない体を作る、本来の意味の正しいトレーニングであることは、誰の目にも明らかなのです。

一野球選手として好きか嫌いかと言われれば、私自身の好みの問題で、彼の言動にあまり興味はないのですが、〇本選手や〇原選手には、トレーニングをすれば近づけるが、イチロー選手のようにはなれないと思っている人が多いのです。

私はまったく逆だと思います。

自分の持って生まれた能力を余すことなく発揮できるようになることは、誰にでもできることです。

ただそれがどこまでのレベルにあるかは、その人次第です。

それを言葉は悪いですが、体に無理な負荷をかけて大きく強くしたところで、もともと大きくて強い選手の自然な動きに対抗できるはずがないのです。

私がサンフレッチェ広島の一員として、初めてキャンプでスウェーデンに行った時のことです。

練習試合の相手は、いまの日本で言うと地域リーグのレベルでしょうか、普通に仕事をして夜に練習をしているような人たちだったと思いますが、とにかく体がでかい、強い、速い、私はサッカー自体はまったくの素人でしたので、日本のというかサンフレッチェのレベルがどういうものなのか、まったく分かりませんでした。

それが、ヨーロッパのアマチュアチーム相手ということで、こちらの方が色々な意味で上なのかなと思って見ていたら、身体能力だけでなく、ボールスピード、パススピードの速さにびっくりしました。

日本人の特徴であるスピードや俊敏性を磨く以外に、こういう人たちに対抗する方法はないと思ったのです。

体の大きさだけなら、最近欧米人に負けないような選手も出てきましたが、やはり大きさや強さで対抗するのは無理があると思います。

そのためのトレーニングの方向性として、それぞれの人間が持って生まれた能力を余すところなく発揮できるようにすること、これこそ本当の意味での目標設定ではないでしょうか。

その結果には優劣がつきます。

ある人はいわゆるアマチュアレベルで終わり、ある人はプロにはなれたけれど、それほど活躍はできなかった、またある人はプロとして世間に知られる存在となった、そうして篩にかれられていく中で、それぞれの競技で日の丸を背負い、国を代表する選手にまで羽ばたいていけるのではないでしょうか。

今DNA検査で、スポーツ競技の向き不向きまで、選別を行うことができるなどという報道も見ましたが、そういうことではなく、それぞれが夢と希望を持って、チャレンジしていく姿こそ尊いのではないでしょうか。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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