相手のために何ができるのか、なんのために技術を身につけてきたのか、少し怒りの感情も込めて。

4年前に書き始めたこのブログ、当初は感情が前面に出て、怒りにも似た感情のはけ口と思われても仕方がない記事も多々ありました。

最近は少し大人しくなって他者を攻撃する表現は極力避けているつもりです。

今日は少し感情的になるかもしれないことをお断りしておきます。

昨日から4日間の予定で個人指導を受けに来てくれている中3のK君、小学生の頃にはそれなりの活躍をして、地元のJクラブのセレクションに受かりU15の一員として中学校生活を送ったものの思うような活躍ができずに今を迎え、このままでは終わりたくないという気持ちで私の元を訪れてくれました。

それは年末からトレーニングに通って来てくれているソウタもまったく同じ状況でした。

私の知る限りどんなクラブやチームに所属しても、個人としての能力を高めてくれる指導をしてもらっているという話を聞いたことがありません。

小学生からプロに至るまで、選手は指導者に与えられたコマであって、それをどう使って勝つかということが指導者の評価になっているのではないでしょうか。

もちろん自分のところは違う、育成年代を預かる立場として勝利至上主義でなない指導をしているという方もいるでしょう。

しかし現実に私のところにやってくる子供たちは、みんな素晴らしい能力を持っているにもかかわらず、それを本人に気付かせてくれることもなければ、持って生まれた能力を発揮できるように導いてくれる指導も受けてはいません。

サッカーは指導者にライセンス制度が確立されていて、S級だA級だと自分の能力を誇示していますが、本当に人間の体の仕組みを理解し、個々人の能力を向上させることができるノウハウを持っている指導者に出会ったことがありません。

今私の指導を受けている子供たちが、それぞれあと一年、いや半年前に私の指導を受けていれば、間違いなく違う今があると思います。

体のケアに対しても同じです。

膝が痛い腰が痛い、手術をしてリハビリを行ったが、思うような動きが取り戻せない。

トレーナーにも資格制度ができて20年、それを取得した人間たちのどんな能力が向上したというのでしょう。

K君も膝のオスグッド病と診断されたことで、走ることやボールを蹴ることが怖くなり、ここへ来るまでの数ヶ月間、思い切った動きが出来ていなかったそうです。

それがたった1日、数時間のトレーニングで、本人もお母さんも驚くような動きを見せてくれるのです。

なぜそれが出来ないのか、なぜそれを可能にしてあげられないのか、資格があればみんな出来るのなら、こんな可哀想な選手は生まれないはずです。

本人やお母さんが驚くのは当然です。

私に言わせれば、こんな事にも対応できないレベルでトレーナーだスポーツ医学だと権威を振りかざし、自分たちがやっていることが正しいと思っている人間たちに、猛省を促したいと思います。

もっと真剣に選手や子供たちに向き合わなければ、指導者もトレーナーも自己満足に浸っているだけです。

もうこんなことは言いたくなかったのですが、そんな悩みを抱えてやって来た子供たちが、私の目の前でどんどん表情が変わり、笑顔になっていく様を見て、私が出来ることくらい、当たり前のこととして誰でも出来るようになってくれないと、個人の能力も向上しないし、本当はすごい能力があったにもかかわらず、故障やケガで埋もれていく選手が増えていくばかりです。

きちんと指導してあげられればとんでもない能力を発揮できたのに、その能力に本人も気づかないまま終わっていく選手もいるのです。

監督コーチにそんな暇はない、トレーナーも他の日常業務で手一杯、ならば本当の意味で選手の能力向上のアドバイスができる専門職が必要なことは明らかです。

そんな人材がどこにいるのか、何よりそんなことが可能なのか、もし本当にそんなことができるとしても予算がないから、理由を探せばマイナスな言葉はいくらでも見つかると思います。

私一人がいくら頑張って、私が言っていることが真実だという証明を行い続けても、世の中の常識は私に追いついてはくれません。

こうしている間にも、埋もれ消えていく有望な選手がたくさんいるのです。

この現実をなんとかしたい、私はどうしたら良いのでしょうか。

私の指導で様々な能力を身につけてくれた中学3年生が、今日のJリーグの開幕戦をテレビで観戦し、「体の使い方が全然ダメですね、一対一の対応なんてお手本になる選手が見当たりませんでした」と、真顔で言い放つのです。

私の指導を受け、実践できるレベルに達していると、そんなレベルにしか見えないのです。

何をどうすればプロレベルの選手や指導者たち、フロントも含めてでしょうが、その現実に気がついてくれるのでしょうか。

どんな有能な指導者がどんな戦術を駆使しようと、個人の能力、体の使い方が向上しなければ、Jリーグのレベルアップも、世界と戦うという言葉も、ただの掛け声にしか聞こえません。

トレーニングキャンプで体をいじめ追い込み、長丁場のリーグ戦を戦い抜く体力を身につけたはずの選手たちが、そのキャンプ中に故障をしたり、始まったばかりの開幕戦でいきなり肉離で負傷退場するという現実を、おかしいと思わないのでしょうか。

選手にきつい辛いと感じさせるトレーニングを課すことが、フィジカルコーチの仕事なら、素人でも出来ます。

書いていてだんだん腹が立ってきましたが、今言わずにいつ言うのかという気持ちになったので、こんな記事を書きました。

お前に言われなくても、自分のところではこんな素晴らしい指導をしている、こんな体制で子供たちの指導をしていると、胸を張って反論してくれる指導者がたくさんいることを願っています。

私も昨年まで西本塾というものを主催し、この人ならという人材を発掘し育成したいと思いましたが、残念ながら私の目に叶う人は現れてはいません。

もちろんその基準は恐ろしく高いですが、一人でもそういう人が現れてくれないと現状を変えることは出来ないと思います。

来月からそうなるかもしれないと期待する塾生が、月に一度の定期指導を申し出てくれていますので、とりあえずはその彼に大きな期待をしてみたいと思います。

私にできることは他の人間にもできるはずです。

それが出来ないのは、本気で絶対にそうなってやろうという覚悟ができていないからです。

指導者と名乗るなら、トレーナーと名乗るのなら、自分が本当に身につけなければならない能力はなんなのか、誰のために発揮する能力なのか、よく考えた方がいいと思います。

オリンピックや世界と名の付く大会に帯同し、日の丸のジャージを支給されることが目標ではあまりにも寂しいです。

明日明後日と、K君のために公園でボールを使ったドリルも行います。

ここへ来るまでは走ることもままならなかったK君が、どうしてこんな短期間に動きを取り戻したのか、そのために私が何を考え何をしたのか、想像してほしいと思います。

たぶん何もわからないと思いますが。

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Comment

ご教示ありがとうございました。
西本様
早速のご教示ありがとうございました。
おかげさまで安心いたしました。

なるほど確かに周囲に息子ほど反っている人を見たことがないので、異常と感じてしまったのですね。

息子が腰痛を訴えた事もないので
6方向の動きに問題なければこのままフライングバックトレーニングは続けさせます。

トレーニング方法は正しくできているか私自身も怪しいので、
もう一度しっかり見直してみます。

お忙しい中、教えていただき
本当にありがとうございました。
  • 2017-03-06│19:30 |
  • サッカー小僧の父 URL│
  • [edit]
Re: 息子の反り腰について
コメントありがとうございます。

お子さんの体を診ておりませんので、一般論として私の考えを書かせていただきます。

フライングバックトレーニングを継続していただいているとのこと、ありがとうございます。

ただ私の指導している動き通りに行っていただけているかは分かりませんので、そのことは少し心配ではありますが。

私がこれまで関わってきた選手、もちろんプロスポーツ選手だけではなく、小中学校の子供たちも含めてですが、体の動きに支障をきたすほどの「反り腰」という状態の体を診たことがありません。

今回のような相談を受けたことは何回かありましたが、とくに我々日本人は広背筋の機能的な発達が、欧米人に比べて劣っているため、いわゆる猫背という状態の体がほとんどです。

私に言うところの、屈筋重視のトレーニングを行えば、猫背に拍車がかかる結果になってしまいます。

息子さんは広背筋のトレーニングの結果、日常見る機会が少ないくらいに背中が反った体になっているのだと思います。

それは普段見ることがないというか、我々の常識では猫背気味なのが普通くらいに思っているため、息子さんのような体が特に普通ではないように見えたのではないでしょうか。

「反り腰」の何が問題なのかというと、美容上の問題はまったく関係ないでしょうし、しいて言えば腰痛や筋力不足による運動機能障害などが考えられますが、お子さんの場合まったく逆で筋力不足はないでしょうから、腰痛などの痛みがなければ、問題はないと思います。

運動機能に関しては、人間の体は骨盤と背骨が連携連動して6方向に動くことができます。
(詳しくは過去記事に何度か書いているのでそちらを探してください。)

その6方向への可動域に問題なければ、まったく異常でも何でもないと思います。

この問題は写真を送っていただいても判断できません、あくまでも関節の運動、可動域内の連動性の問題ですから。

ご心配とは思いますが、送られてきた内容からのあくまでも想像ですが、私の意見はこんなところです。

過去に関わった選手で、見た目にそういう状態で、誰かに指摘されてからずっと気にしている選手がいましたが、同じような説明をして可動域をチェックし、問題がないことを告げると、「余計な情報を入れられて損しました」と笑っていました。

お近くでしたら、直接診させてもらえれば、もう少し詳しく説明できるかもしれませんが、そうでなくてもあまり気にしない方が良いのではと思います。

参考になりましたでしょうか。
  • 2017-03-06│13:36 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
息子の反り腰について
はじめまして。
私はこの春小学6年生になるサッカー小僧の父です。
息子のサッカーに役立つ情報を色々調べていく中で
西本さんの姿勢に対する考えかたに感銘し、
息子が4年生になる頃から「フライングバック」を毎日させてきました。
同時にスイミングを続けてきた事もあるかと思いますが、
骨盤は前傾し、大腰筋が盛り上がっており、同トレーニングの効果を
実感するとともに西本さんにとても感謝しているこの頃です。

ただひとつ気になる点があり、コメントさせていただきました。昨日、息子の風呂あがりに真っ直ぐ立った状態(全裸)を横から見た時に、背中が反り過ぎているように見えたのです。
骨盤から肩へかけてキレイな円弧を描くように反っているのですが、それが大きいように思うのです。

気になりネットで調べると「反り腰」は駄目、という記事が多々有り、心配しております。

そこで西本さんにご意見を頂きたく思います。
必要であれば反り具合の写真も送付します。

はたしてこの状態は良くないのか、フライングバックのやり方が良くないのか・・。
お分かりになる範囲内でも良いので
ご教示いただけるとありがたいです。

突然の長文お許し下さい。
よろしくお願いします。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月9・10日に予定しています。

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