FBTを行う目的と動作の意識について

先日コメント欄に届いた質問に関して、改めて記事にしておきます。

質問の内容は、「FBT」「反り腰」との関係に関するものでした。

以下まずは読んでください。

はじめまして。
私はこの春小学6年生になるサッカー小僧の父です。

息子のサッカーに役立つ情報を色々調べていく中で西本さんの姿勢に対する考え方に感銘し、息子が4年生になる頃から「フライングバック(FBT)」を毎日させてきました。

同時にスイミングを続けてきた事もあるかと思いますが、骨盤は前傾し、「大腰筋」が盛り上がっており、同トレーニングの効果を実感するとともに西本さんにとても感謝しているこの頃です。

ただひとつ気になる点があり、コメントさせていただきました。

昨日、息子の風呂あがりに真っ直ぐ立った状態(全裸)を横から見た時に、背中が反り過ぎているように見えたのです。

骨盤から肩へかけてキレイな円弧を描くように反っているのですが、それが大きいように思うのです。

気になりネットで調べると「反り腰」は駄目、という記事が多々有り、心配しております。

そこで西本さんにご意見を頂きたく思います、必要であれば反り具合の写真も送付します。

はたしてこの状態は良くないのか、フライングバックのやり方が良くないのか・・。

お分かりになる範囲内でも良いので

ご教示いただけるとありがたいです。


以下は私からの返信です。

お子さんの体を診ておりませんので、一般論として私の考えを書かせていただきます。

フライングバックトレーニングを継続していただいているとのこと、ありがとうございます。

ただ私の指導している動き通りに行っていただけているかは分かりませんので、そのことは少し心配ではありますが。

私がこれまで関わってきた選手、もちろんプロスポーツ選手だけではなく、小中学校の子供たちも含めてですが、体の動きに支障をきたすほどの「反り腰」という状態の体を診たことがありません。

今回のような相談を受けたことは何回かありましたが、とくに我々日本人は広背筋の機能的な発達が、欧米人に比べて劣っているため、いわゆる猫背という状態の体がほとんどです。

私の言うところの、屈筋重視のトレーニングを行えば、猫背に拍車がかかる結果になってしまいます。

息子さんは広背筋のトレーニングの結果、日常見る機会が少ないくらいに背中が反った体になっているのだと思います。

それは普段見ることがないというか、我々の常識では猫背気味なのが普通くらいに思っているため、息子さんのような体が特に普通ではないように見えたのではないでしょうか。

「反り腰」の何が問題なのかというと、美容上の問題はまったく関係ないでしょうし、しいて言えば腰痛や筋力不足による運動機能障害などが考えられますが、お子さんの場合まったく逆で筋力不足はないでしょうから、腰痛などの痛みがなければ、問題はないと思います。

運動機能に関しては、人間の体は骨盤と背骨が連携連動して6方向に動くことができます。

(詳しくは過去記事に何度か書いているのでそちらを探してください。)

その6方向への可動域に問題なければ、まったく異常でも何でもないと思います。

この問題は写真を送っていただいても判断できません、あくまでも関節の運動、可動域内の連動性の問題ですから。


ご心配とは思いますが、送られてきた内容からのあくまでも想像ですが、私の意見はこんなところです。

過去に関わった選手で、見た目にそういう状態で、誰かに指摘されてからずっと気にしている選手がいましたが、同じような説明をして可動域をチェックし、問題がないことを告げると、「余計な情報を入れられて損しました」と笑っていました。

お近くでしたら、直接診させてもらえれば、もう少し詳しく説明できるかもしれませんが、そうでなくてもあまり気にしない方が良いのではと思います。

参考になりましたでしょうか。


さらに返信です。

早速のご教示ありがとうございました。

おかげさまで安心いたしました。

なるほど確かに周囲に息子ほど反っている人を見たことがないので、異常と感じてしまったのですね。

息子が腰痛を訴えた事もないので6方向の動きに問題なければこのままフライングバックトレーニングは続けさせます。

トレーニング方法は正しくできているか私自身も怪しいので、もう一度しっかり見直してみます。


このコメントのやり取りに反応して、西本塾生の植村さんから、こんなご意見が送られてきました。

『ブログのサッカー小僧のお父さんのコメント読みました。

西本塾にも参加せず、動画指導でもなく、なかなか深く答えられないところ察知します。

そこで、私の想像したことを書きます、テストしてください。

まず、FBTの感覚もそう簡単には理解できないものだと私は思っています。

FBTとは、「セットアップも重要ですし、まず始めに広背筋から始動し、広背筋が効いてくることによって腕肘があがり、それに伴い骨盤が前傾し重心が前にかかっていく。連動によって膝も曲がるが、膝を前に動かすことによって力を分散させている。広背筋を自ら動かすことによっての全身の連動のトレーニングがFBTである。」と解釈しています。

サッカー少年のお父さんは、私も含め非常に熱い方が多いです。(笑)

文面の中で、「大腰筋の発達」のことを強調されるあたり、きちんと伝えないと危険な香りがします。

多分、FBTの体勢をとって、足を踏ん張り、背中を反ることに意識が行き過ぎているのかと想像します。

腸腰筋は私も悩んだことありますが、やっぱり屈筋ですからね。

FBTの連動の力を腸腰筋で受け止めないように考えています。

悪いように考えば…の話です。

実際は、感謝されているので大丈夫だと思いますが。

あと、357理論も重要視してほしいですね、FBTのなかで。

7〜3の感覚を磨き、その感覚が鋭く大きく感じてくるに従って、肘もどんどんあげやすくなっていくように、と考えました。』

以上が植村さんからのコメントです。

植村さんが普段から私が伝えたことをしっかり受け止めてくれて、深く考えながら実際に行ってくれているのかが分かる、素晴らしい考察です。

実際に見たこともない子供さんの体の相談から、こんなやり取りができたことは、西本塾を行い私の考え方を伝えてきたことが間違いではなかったと思わせてもらえました。

ただ方法論を学び、「こんなやり方で間違っていませんか」というやり取りがいつまでも続くことに、私自身疑問を感じていたからです。

植村さんのように、体の仕組みや、なぜFBTを行う必要があるのかという、本質的な部分に目を向けてくれなければ、世に蔓延る〇〇トレーニングと何ら変わらないものになってしまいますから。

植村さんの意見に対して、私が返した言葉は、「鶏が先か卵が先か」というものでした。

植村さんは、「まず始めに広背筋から始動し、広背筋が効いてくることによって腕肘があがり、それに伴い骨盤が前傾し重心が前にかかっていく。連動によって膝も曲がるが、膝を前に動かすことによって力を分散させている。広背筋を自ら動かすことによっての全身の連動のトレーニングがFBTである。」と定義づけてくれています。

私の考えは、「広背筋の停止部である上腕骨小結節部分をいかに意識して使うかによって、強大な大きさと、他の筋肉とは起始停止の構造が大きく異なる広背筋を、実際の走る動作や他のスポーツ動作の中で使いこなしていくためのスイッチを作り上げること」を、大きな目標としています。

FBTの1~4の動作に共通する準備姿勢で、現時点での広背筋の柔軟性や、骨盤や背骨を引き起こす機能状態を確認してから、腕をどう使うかによって、さらにその機能を強調するという考えのもとにFBTを考案しました。

結果としては、広背筋が主動となり手足の問題は、文字通り枝葉の問題となって行くわけですが、広背筋という一風変わった形状を持ち、人間の動作にとって非常に大きな影響力を持つ筋肉を、いかに効率良く使うことができるように準備しておくことは、我々日本人にとって大きな意味を持っていると思います。

もう一つ植村さんのご指摘通り、質問者のお父さんは、息子さんの筋肉の成長を「大腰筋」という言葉を使われていますが、この筋肉は股関節に対して屈曲という役割を主に担っている筋肉です。

太腿を強く引き上げることができるようになるため、陸上競技などで近年重要視され、一般の方の中でもよく使われるようになった言葉の一つだと思います。

グループトレーニングを続けてくれている高校生と中学生のサッカー選手たちの背中から腰、とくにお尻の筋肉の発達は目を見張るものがあります。

遠くから指導を受けに来てくれた女子選手のお父さんが驚いたのも無理はありません、私がブラジルのサンバダンサーのようだといったあのお尻です。

これはあくまでも広背筋から臀筋群にかけての発達であって、股関節に対してはもちろん「伸展」を担う筋肉です。

広背筋も背骨を引き起こすという「伸展」の役割を担ってくれています。

その結果として、私が提唱する「走るという行為」の体の使い方を身に付けることが出来たのです。

動き出しの速さ、静止するのではなくその場に居続けて次の動作に備えるという、「アイドリングステイ」という概念の動きも、完璧に身に付けています。

当然ボールを蹴るという動作も、股関節の伸展から膝関節の伸展という、3・5・7理論に沿った、筋肉の負担の少ない蹴り方ができるようになりました。

FBTの結果として、大腰筋の発達が見られることは当然ありますが、それはあくまでもオマケです。

動きづくりのトレーニングの副産物として、連動の中で作られた筋肉の肥大です。

だから連動を邪魔することはないのです。

私が西本塾で伝えたいのは、こういう根っこの部分なのです。

「足の位置がこう、手の上げ方はこう、これでいいんですか」というやり取りしかできない相手をこれ以上増やしても仕方がないと思ったのです。

植村さんのように自分の考えを私に届けてくれるような人が、一人でも増えてくれなければ、私の思いを伝え広げて行くことは出来ないと思います。

他にもこの人にはぜひ参加して欲しいと思っている方がいましたが、残念ながら申し込みはありませんでした。

今回のやり取りは、私にとってとても楽しいものになりました。

動きを言葉で伝えることの難しさは当然ですが、やってみなければ何も始まりません。

植村さんからのコメントは、質問者の方にとってもとても参考になるものだと思い、勝手に掲載させていただきました。(すみません)

相談していただいたサッカー少年とお父さんには、是非継続していただきたいと思います。

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Comment

Re: 感謝
栗田さん
もしご都合がつくようでしたら、是非指導を受けに来てください。
今回のことで、指導している中高生のサッカー兄妹に、改めてFBTを再確認してもらいました。
正しく伝えることは本当に難しいことです。
考案した本人として、これからもしっかりと指導していきたいと思います。
貴重なきっかけを与えて頂きありがとうございます。
  • 2017-03-09│08:31 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
感謝
西本様

植村さま含め、私の理解不足をご指摘・ご心配いただいた事
深く感謝いたします。ありがとうございます。

よくいるだめオヤジ代表みたいで恥ですが、
それも息子の体の事を考えれば米粒のようなものです(笑)

実は今朝、一度西本さんのトレーニング指導を受けたい事を
カミさんに話したばかりです。

私の理解力では、活字だけでFBT含め、西本さんが提唱される本質を
捉えるのは難しいというのが正直な所です。これもまたお恥ずかしいですが。

他にも、息子の体の動きについて相談したい事もあります。

幸いにも私は山口県に住んでいるので、
近いうちにご連絡させていただきたく思っております。

私は栗田と申します。
その折にはどうかよろしくお願いします。
  • 2017-03-08│17:48 |
  • サッカー小僧の父 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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