ケガ手術からの復帰トレーニングについて少しだけ書いておきます。

「この世界の片隅に」という映画を、遅ればせながら観てきました。

この映画の感想は、私の表現力ではとても言葉に表すことができません。
戦争という現実に直面する主人公が、時代に翻弄されながら懸命に日常を過ごしていく姿が、淡々と描かれていました。

私は滅多に映画館に足を運ぶことはありませんが、次男の「絶対に観ておいた方が良い」という言葉に背中を押され、家内と二人、もう数少なくなった上映館を探して出かけてきました。

淡々と進んで行くストーリーですが、スクリーンに引き込まれあっという間に時間が過ぎて行きました。

私の少ない経験では、エンドロールが流れ始めると席を立つ人も少なくないと思ったのですが、今回は誰一人として席を立つことはなく、それどころか、何とも言えない静寂が館内を包み込み映画の余韻に浸っていました。

すべてが終わり、館内が明るくなってから、やっと席を立つことができました。

それでも何をどう感じられたのか、しばらくは整理がつきませんでした。

舞台となったのが、広島に隣接する呉の街で、当然広島市内も主人公の出身地として描かれ、日ごろ聞きなれた地名がいくつも出てきました。

つい何十年か前に実際にあったであろう、本当に身近に感じられるストーリーでした。

生きていることの大切さ、明日があることの幸せをしみじみと感じることになりました。

さて、サッカーもシーズンが始まると、毎日のようにケガや手術をする選手のことが記事になります。

今日はその後の復帰を目指すトレーニングに絞って一言書いておきます。

過去Jリーグのチームで仕事をしていましたが、当初はそれほど悩むことはありませんでした。
それは、マニュアルに沿った方法に縛られなかったからです。

今日、今、この瞬間に、この選手は何ができるのか、何をしてあげられるのか、それだけに集中することができました。

それが少しずづマニュアル化され、当然と言えば当然かもしれませんが、何日何カ月経過したから何をやってもいい、という教科書的なマニュアルに縛られるようになっていきました。

回復の度合いも、誰もが納得できる数値で表されるものが優先され、さらには画像診断による医師の判断が絶対となっていきました。

そのどこが間違っているのか、当然のことではないか、そうかもしれません。

しかし、私にはどうしてもそれだけでは計ることができない、何かをいつも感じていました。

加えて、そうやって正しいことを積み上げた結果、納得のいく回復が進み、完全復帰を果たしたかと思えば、同じ個所を再度傷めてしまい、選手生命を縮めてしまう選手の話をたくさん見聞きしました。

この最近もそういう例を、何例も知るところとなりました。

昨年、以前大きなケガからの復帰のトレーニング(あえてリハビリとは言いません)を担当した選手の息子さんの、膝の手術後のトレーニングを依頼され、完全復帰まで週に一度約4カ月に渡って指導しました。

彼はもう現役選手ではなかったので、完全復帰という言葉が当てはまるかどうかは別ですが、トップレベルの動きを可能にするという意味では、そこまで持って行けたと思っています。

今また中学2年生の女子サッカー選手の復帰トレーニングに少し関わらせてもらっています。
こういう言い方になるのは、関わると言っても術前に相談を受けてから、手術前トレーニングを指導し、術後3カ月たってランニングの許可がおりたという時点から3週間に一度くらい、その間に行うトレーニングの内容をアドバイスするという関わり方しかできないからです。

それでも私の意見を取り入れるのとそうでないのとでは、結果に大きな違いが出てくると思います。

どこをけがしても同じですが、とくに膝関節に関しては、その運動方向が複雑で、負荷のかかり方も単純ではないので、単純な屈曲伸展運動の筋力評価では、回復の度合いを測ることなど不可能だと思います。

しかし現状はそれしかないのです。

ありとあらゆる方向性と連動性をどう確保していくか、もし毎日関われる立場であれば、まさに腕の見せ所ということになります。

本当の意味での完全復帰を果たせず、同じことを繰り返している選手のニュースに接すると、叶わぬこととは思いながらも、もし自分ならどうだっただろうと思わずにはいられません。

確かにそれなりの進め方はあるのでしょうが、目の前の選手と真剣に向き合っていれば、そうではないやり方も間違いではないことは分かってくれるはずです。

言葉で説明できるほど簡単なことならだれも苦労はしていません、ただ私の経験として、いつかこの「話しておきたいこと」の中の大切な一つとして、少しは伝わるような内容を書き残さなければと思っています。

そうでなければ、消えて行く選手たちがあまりにも可哀想ですから。

映画に影響されたのか、生きていることに、今があり明日があることに感謝しつつ、今日で終わりだとしても悔いのない生活をしなければならないと、とりあえず思うところを書いておきます。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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