教員が部活動、特にスポーツ競技を指導するということについて思うこと。

今日書くことは、昨今話題になっている、部活動にも週に一度は休日を設けることが必要だとか、指導する教員が忙しすぎるということがテーマではありません。

以前西本塾に参加してくれた、ある高校でソフトテニス部の顧問をしている教員から届いた、ラインメッセージを読んで、私が感じたことを書いておこうと思いました。

彼は現時点では未だ正式な教員ではありません、講師という立場で教壇に立ち、放課後はソフトテニスを指導しています。

教員採用試験というのでしょうか、各地方それぞれ狭き門のようですが、実際に人員が足らないからこそ彼のような立場の人間に正式な教員と同じ仕事をしてもらわなければならないのでしょうから、予算のこととか諸々あるのでしょうが、矛盾だらけの教育現場だと思います。

講師という立場は不安定のようで、毎年のように移動転勤を繰り返し、今年度もまた四月から新しい学校に移動になったそうです。

そうして経験を積みながら採用試験を受け続けている講師という立場の人間がたくさんいるそうです。

そのことは制度上仕方がないと諦めつつも、目の前の生徒たちのために真剣に向き合う彼の姿勢は、西本塾の二日間を通して、またその後のやり取りを通じても十分伝わってきました。

彼は学生時代ソフトテニスに打ち込み、それなりの成績を残してきたそうです。

当然教員になっても、ソフトテニスの指導を行いたいという気持ちがあって、現実に行く先々の学校で顧問を務めています。

教員としての専門は国語科で、体育ではありません。

過去に西本塾に参加してくれた人の中にも、同じように体育ではない科目が専門でありながら、加えて自分が学生時代経験していない競技種目の顧問として、生徒たちの指導にあたらなければならないという人が何人かいました。

そんな彼らが私に求めてくれたことは、当たり前ですがそれぞれの競技の技術ではありません。

その競技に必要な基礎体力や、何より私が提唱する「正しい体の使い方」を知ることで、指導する生徒たちにケガや故障の不安を少しでも少なくしてあげたい、たんなる技術指導ではない部分に目を向けることで、競技力を向上させてあげたい、自分が行っている指導は本当に生徒たちにとってベストなものなのか、という真剣な動機からでした。

彼らの真剣な態度に、こういう教員に指導を受けることができる生徒たちは本当に幸せ者だと思いました。

ところが、「国語科なのに、体育や保健の分野のことを、わざわざお金を使って学んでも仕方ないだろう」という言葉を、周りの教員たちから言われたというのです。

教員の仕事は多岐に渡ると思いますが、基本は「それぞれの教科を分かりやすく教える」ということは当然のことです。

しかし、現実として、経験のあるなしに関わらず、スポーツまた文化系に関わらず、教科以外の部活動というものの顧問という仕事は避けては通れないことだと思います。

私が社会人野球のチームで仕事をしていた時の選手で、現在高校の教員になっている人間がいますが、社会人野球の頂点である都市対抗野球大会にまで出場した彼でさえ、現在自転車競技部の顧問という立場で、野球部の指導をさせてもらっていません。

私から見れば、もったいないの一言です。

それどころか、学生時代まったくスポーツの経験がないという教員まで、顧問として指導にあたらなければならないことも現実にはたくさんあるようです、未経験のスポーツを指導することがどれほど大変なことか、誰が考えても分かるはずです。

いわゆる強豪校で、指導者が長年変わらず、そこに行けば必ずその指導者の指導を受けられ、全国大会への近道となっている学校はたくさんあるでしょう。

しかし、入ってみなければどんな教員にどんな指導を受けるのか、まったく分からないということがほとんどではないでしょうか。

全国大会を目指し、休日なんかいらないと考える生徒や保護者、そして指導者がいることは否定しませんが、それぞれのレベルで同級生、先輩後輩と助け合いながら、三年間それぞれのスポーツに打ち込んだという経験も、人生の大きな財産になると思います。

指導する側にも色々な対場や考え方があっていいと思いますが、やはり「生徒のために」が、一番なのではないでしょうか。

教員の方々がどういう気持ちで指導をされているのか、私には分かりませんが、少なくとも自分の時間とお金を使って、生徒たちのために少しでも良い指導をしてあげたいという、熱い気持ちをもって西本塾に参加してくれた彼らに対して、否定的な言葉を投げかけることは違うのではないでしょうか。

自分の専門の教科をきちんと学習させたいという気持ちと、部活動でも生徒たちのために少しでも良い指導が出来るようになりたいという気持ちのどこが違うのでしょうか。

私が西本塾で何を教えているのかはもちろん知らないでしょうが、体のことは体育専門の教員がいるのだから聞けばいいじゃないかとはいかないのです。

どんな仕事でもセクショナリズムという壁があったり、人と違うことをやろうとすると、出る杭は打たれる的な扱いを受けることがあると思いますが、目の前の生徒たちのために少しでも良い指導をしたい、そのために必要だと思うことがあれば、自分から求めて学びに行く、こんな立派な姿勢をなぜ非難されるのでしょうか。

私が生徒であれば、こういう教員の元で学び、スポーツに打ち込みたいと思うはずです。

忙しくてそんな暇はないと言われそうですが、一年に一度でも、例えばですが、私の話を聞いて知識を広める機会を作るとか、組織として取り組めばできないことはないと思います。

提言とかそういう大袈裟なものではなく、せっかく教員という素晴らしい仕事に就いたのなら、なぜ教員になったのかという原点に返って欲しいと思います。

おそらくそれが、生徒たちを立派に育てたいという純粋な気持ちであったのなら、一生懸命学び続け、それを生徒に還元しようという彼らのような人間を、間違っても非難しないで欲しいと思います。

それどころか、せっかく学んできてくれたのだから、自分たちにもその情報を共有させて欲しいという気持ちになぜなれないのでしょうか。

私は縁あって私と出会った人たちのために、少しでも役に立てるように日々努力しているつもりです。

教育に携わる人たちには、是非目の前の生徒たちに真剣に向き合うために視野を広げて欲しいと思います、そして少しでも生徒たちの役に立つ何かを一つでも多く身に付けて欲しいと思います。

四月から新しい学校で新しい出会いが待っている彼には、とにかく今の気持ちのままで、誰よりも生徒の気持ちに寄り添う教員であり続けて欲しいと思います。

他の教員たちがそうでなくなってしまっていたとしても、他人は変えられなくても自分は変えられますし、今の自分を保ち続けることも出来るはずです。

私が伝えたことが、彼の役に立ち、そして生徒たちの役に立ってくれていることを願うばかりです。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
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