発想と視点を変えることができれば、もっと楽しいことが待っています。

昨日の午前中、エディオンスタジアムで行われたサンフレッチェ広島の練習を、智志と二人で見学しに行ってきました。

目的はある選手の動きを確認することと、低迷しているチームがどんな雰囲気で練習に取り組んでいるのか、生の姿を見たいと思ったからです。

私自身現場を離れて5年が過ぎました、離れたからこそ見えてきたものがたくさんあり、この仕事を始めてから30年近くになりますが、30年前より20年前より、5年前よりも、今の私は自分で言うのはおこがましいですが、ずっと成長しているような気がします。

過去それぞれの環境でベストを尽くしてきたつもりではありますが、やはり目の前の課題に取り組むことが一番で、総合的に自分の考えをまとめ発展させていくという作業は出来ていなかったと思います。

色々な意味で5年前に経験したことは、大きな転機をもたらせてくれました。

一般の方に対する施術はもちろんですが、様々なスポーツを見る目も変わってきたように思います。

人間の体の本質のようなものが見えてきて、それをどう生かすことが効率的に体を操ることになるのか、考えれば考えるほど発想が広がりました。

しかし、私が何をどう考えようと、現場で指導する監督と言う立場には成り得ませんし、コーチという肩書が与えられたとしても、最終的にすべてを判断するのは監督の裁量にかかってきます。

今出来ることは「個」を磨くことです。

これはこれでとても楽しい仕事で、選手と一緒に課題を見つけ、それをどう克服したらいいのかという方法を提示し、体の動きや考え方まで変化していく選手の姿を間近に見られることは、私にとって何より喜びとなっています。

昨日練習をスタンドから見学している時、見たような人が前を通り過ぎようとしたのに気づき声をかけました。

西本塾にも参加してくれたことのある、現役のサッカー指導者で女子選手を指導しています。

練習を見ながら色々な話をしました。

彼は私の考え方を知る前は、他の指導者と大きな違いはなかったかもしれません、しかし、私と接していく中で、新しい発想を知り今までとは違った視点でサッカーをそして選手の動きを見ることができるようになっています。

現実として彼が今指導をしている選手たちの動きは明らかに変化し、これまでにない動きを表現してくれるようになったそうです。

年代別の代表にも何人か選ばれるようになったそうです。

ところが残念なことに、彼の所属するクラブの中で、同じ発想で会話ができる指導者はいないそうです。

私が常に言い続けていることですが、まだまだ私の話に普通に対応できる指導者、いえ選手にもまず出会うことはありません。

しかし、少しずつ理解が進んで行くと、これまでとは全く違う世界が開けてくると口を揃えて言ってくれます。

一定レベル以上の組織を任される指導者と言うのは、それなりの実績と経験を積んでいることは分かります。

それらをベースにして指導を依頼されているのも理解できます。

しかしそれではそのレベル以上の選手を育てることができるのでしょうか、自分の方が上だと思っているから指導しているという発想になるのでしょうが、もっと深い所に思いをはせ、直接指導させてもらえる環境を与えられたことを活かして、自分自身を成長させるチャンスだと捉えることは出来ないのでしょうか。

久し振りに話をした彼の口からは、すでに私が乗り移ったように何の違和感もなく話が弾み、こういうことが普通に話せることがとても嬉しそうでした。

そんな中でひとつ彼にアドバイスというか提案したことがありました。

これも何度も口にしていることですが、「期待されている自分を演じる」と言うことの意味です。

出来ない分からない、自分には難しいと言ってしまうことは簡単です。

現状のサンフレッチェのように勝てない状況が続いている中で、応援してくれているサポーターの前でニコニコ笑顔を振りまくというのは難しいかもしれません。

練習中にミスをした時にも、見ている我々にも伝わってくるようなマイナスな行動をやめ、すぐに次のプレーに集中してボールを追いかける姿を見せてくれと言うのもかわいそうかもしれません。

でも彼らは戦わなければならないのです。

プロとして自分の為だけにサッカーをしているのではないということです。

たくさんのサポーターが彼らが一生懸命戦う姿を見て勇気づけられ、それぞれの生活に糧としてくれているのです。

そういう立場を常に演じる必要があるのです。

私が西本塾で指導をするとき、施術を行う時の誘導の言葉が出ない人が多くいます。

自分は口下手だから、人と話すことが苦手だから、そんな言い訳が聞こえた時、私は厳しい言葉でこう言います、「我々が相手にしているのは生身の人間ですよ、ロボットを修理しているのではありません。あなたが口下手であろうと人見知りであろうと、目の前にいる相手にはまったく関係のないことです。要点をきちんと説明し、要領よく体を誘導してあげられる有能な施術者を期待されているのですから、それに応えるためには理想の施術者を演じればいいのです」、と。

選手も指導者もまったく同じです、今出来るとかできないとか、今負けが続いているとか、そんなことはどうでもいいのです。

試合に出場し勝利してみんなで笑顔で喜びを分かち合っている、そんな自分を今こそ演じなければならないのです。

単純なプラス思考とかメンタルトレーニングのことを言っているのではありません。

それが与えられた役割なのですから。

大リーグの選手は家族の不幸や奥さんの出産に立ち会うために、戦いの場を離れることは当然だと思っています、それは正しいことだと思います。

逆に良いことだとは言い切れませんが、自分がその場を離れることで全体に対して大きな迷惑が掛かると、家族の不幸があっても舞台に立ち続ける役者さんもいます。

泣きたい時にも笑顔を振りまかなければならない時もあります。

そんな極端な話ではなく、今自分がやらなければならないこと、立ち居振る舞いも含めてすべてを見られているという覚悟がなければ、プロスポーツ選手と言う仕事も難しいものになるでしょう。

そんな話をしながら、新しい発想と視点を得た彼は、現状をまったく憂うことなく、指導している選手たちのためにより良い指導を模索している彼の姿勢は素晴らしいと思います。

願わくばこういう人がどんどん増えて、私と同じ発想や視点で会話を楽しめる輪が広がってくれたらいいと思います。

ちょうど今、大阪の大学のサッカー部の選手から、8月後半に広島県福山市の「ツネイシしまなみビレッジ」で行う予定の夏合宿期間中に、西本理論のトレーニングの指導を受けたいという連絡がありました。

こういう依頼は初めてでしたので、興味を持ってくれたこと、私の理論や実践がチームの強化に役立つと思ってくれたことをとても嬉しく思います。

実現するかどうかはまだ分かりませんが、大学生のサッカー選手を相手に走り回れるよう、心身ともに準備しておかなければなりません。

私が言い続けていることは、新しい発想でも特別な発想でもありません。

人間の体はこういう風に出来ているから、こういう風に使おうよと言っているだけのことです。

ただそれをやるのは人間です、心が体を動かす部分は否定できません。

まだ実績のない若い投手が、5回を投げ終え勝ち投手の権利を獲得した6回のマウンドで、突如コントロールを乱し、球威が明らかに落ちてしまうという現象があります。

この現象は、たんに球数の問題や体力不足で片付けることは出来ません。

2軍の試合で投げる1球と、1軍の試合で名だたる打者を相手に投げる1球に対する集中力はまったく異質なものだと思います。

この辺りの感覚は、本当にその場に立った人間にしか分からない感覚だと思います。

サッカーでも、ここ一番の試合やカテゴリーが上がって最初の試合とか、初めて日の丸を背負っての試合とか、これまで経験したことのない舞台での緊張感は、想像以上の疲労につながると思います。

そういう経験がしたくても出来ない私のような人間だからこそ、人間としての想像力を働かせ、少しでも感覚的に寄り添った指導ができるようになりたいと努力するのです。

一緒に見学した彼が近い将来、トップチームを率いることになれば、きっと世の中がサッカーの見方を変えてくれると思います。

色々なところで私がまいた種が芽を出してきたような気がしています。

そして大輪の花を咲かせてくれる日も近いでしょう。

私はそれまでしっかりと自分の考えを発展させ続けて行きます。

お手軽な方法論ではなく、ことの本質を追求し続ける、これが私の生き方です。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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