足が止まってしまうのは誰のせいなのでしょうか。

昨日、スロベニアにお住いの野村さんから頂いたコメントの中に書かれた、『私のブログを文字通り毎日チェックしている』という言葉に背中を押され、今日も少し書いておこうと思います。

昨日観戦したサッカーの試合、女性の試合は初めて、そしてサンフレの試合も久しぶりの観戦となりました。

動き云々は別としてとにかく応援しなければという気持ちでスタジアムに向かいましたが、やはりそういう部分が気になってしまう私でした。

その中でもいわゆる「足が止まる」という現象が、どうしても気になってしまいました。

昨日の試合では私の見るところ、前半は30分過ぎ、後半は20分を過ぎたあたりから、明らかに動きが変わってきました。

このブログの中で何度も言い続けてきたことですが、どんなにスタミナがあると言われている選手であっても、「90分間すべての動きに全力を出し切る」などということが出来るはずがありません。

そのことは古今東西の超の付く一流選手も同じことです。

世界記録が2時間を切ろうかという、とんでもないスピードで走り続けるマラソン選手であっても、スタートからゴールまで、持っている最高のスピードで走っているわけではありません、我々には想像もつかない速いスピードではありますが、彼らにして2時間走り続けることが大前提のスピードなはずです。

サッカーの試合中、自分の持っている最高のスピードが要求される局面がたくさんあります。

だからこそ、そうでない局面の中ではできるだけ無駄な動きを排除し、エネルギーを温存しておかなければなりません。

サッカーの仕事を離れ、もう二度と関わることはないだろうと思っていた5年ほど前に、以前からかかわりのあったJリーグのチームの監督から、トレーニングコーチとして手伝ってほしいというオファーを受け、どうしたものかと考えていた時、当時の私が何をすればチームの、そして呼んでくれた監督の役に立てるかということでした。

改めてサッカーの試合を見ると、どんなレベルであっても最終的に「足が止まる」という表現を使われてしまい、だから負けたんだという結論に導かれてしまうようでした。

シーズンの初め、全体練習の前に行う自主トレーニングから始まって、トレーニングキャンプから実戦的な練習に移行していく過程の中でも、とにかく「走り負けないスタミナを養成する」という言葉が、選手自身からも指導者からも聞こえてきます。

マスコミの報道でも当然のようにその言葉が使われています。

しかし、何度も言いますがその能力は比較の問題であって、自チームの選手の中での評価であったり、対戦するチームとの相対的な評価として、どちらが長く走り続けられたかと言うだけのことで、本当の意味で90分間走り続けられる選手などいないのです。

ではどうするか、無駄にエネルギーを消費せず、ここ一番に少しでも本来のスピードを生かせる体の使い方という概念を、選手や指導者に浸透させることが出来れば、チームとして監督の考える戦術を1分1秒でも長く続けられると考えたのです。

それまでの私の指導対象にとって、具体的には野球選手ですが、こういう発想は必要とされませんでした。

だからこそ私の中には、逆にそういう体の使い方に対する興味というかイメージが膨らんでいたのです。

まだオファーを受けるかどうか迷っていた時でしたが、もしそうなった時に自分の中で納得できる動きを確認しておかなければと、すぐそばの川の土手を毎日走っていました。

そしてこの技術(あえてこう呼びますが)を身に付けさせることが出来れば、私がチームの勝利に貢献できると確信していきました。

それを確認できたことが、オファーを受ける気持ちになった最大の要因だったかもしれません。

なぜ大きな疲労を感じることになるのか、筋肉に大きなダメージを与え肉離れ等のケガをしてしまうのか、それらのすべてが現在常識とされている「走るという行為」に起因していると考えたのです。

細かいことはすでに何度も書いてきましたので、ここでは書きませんが、ストライドを広げピッチを速くすることが、スピードを上げる唯一無二の方法であると、大きく強く腕を振ることを要求され、太腿を力強く引き上げ膝を高く上げ、できるだけ前方に着地しようと努力します。

そのことで体の重心である股関節よりも前方に着地し、体重の2倍とも3倍とも言われる衝撃を筋肉は受け止めなければならないことになります。

ここに疑問を感じることなく、当然のことだから、その負荷に耐えるための筋力を強化するという発想になり、そうなるとさらに強化された筋力によって強い力で地面を蹴り、着地の衝撃も強くなるという悪循環に陥ります。

ではどうするか、それが私が理想とする、地面を蹴ることなく、着地して体の重さを受け止める感覚もないままで前方に体を運んで行くという体の使い方です。

今さらそんな話は信じられないとか、そんなことが出来るわけがないなどという感想しか持てないレベルの人には、改めて説明するつもりはありませんし、信じてもらおうとも思いません、もう読んで頂かなくても結構です。

実際にその感覚を知った人には目から鱗という言葉を使われますが、私にとっては人間の体の仕組みを考えれば、とてもシンプルで当然の体の使い方なのです。

しかし、これだけ言い続けても組織として私の考え方に取り組もうという声は聞こえてきませんでした。

残念ながら私が応援する、地元サンフレの森保監督にして、組織の壁は厚く私が指導できる環境にはなりません。

今朝の地元紙でも、「スタメンの高齢化でスタミナ不足は明らか、足が止まり攻撃の流れが作れない」という厳しい言葉が書かれています。

シーズンのさなかに大改革は難しいかもしれません、トレーニングキャンプの最初からじっくり取り組んでおかなければ、そう簡単に実は結ばないかもしれません。

しかし、正しい理解と日々のトレーニングで改善していくことは可能だと思います。

けっして年齢が高くなったから走れないとか、若いから走り切れるなどとう単純なことではないのです。

走るという行為にも『技術』が必要だということです。

それは現在最も速く走れる人がこうやって走っているとか、過去から現在にかけて走ることはこうやって行うのだという固定概念の中で行うことでもなく、人間の体の仕組みを考えたときに、こういう風にその仕組みを使いこなすことが出来れば、効率的に効果的に速く走ることができて、なおかつ長く走り続けることもでき、そして筋肉の負担も少ないためケガもしにくくなりますよと言っているのです。

私の考えが広まって行かないと愚痴をこぼしてしまいましたが、遠く海外にお住いの方から、このブログを通して多くのことを学んでいるという言葉を頂いたり、8月末には大学生のサッカーチームの指導をさせていただくことになりました。

西本塾で学んでくれた人が、勇んでそれぞれの環境で応用しようとしても、まったく興味を示してくれなかったり、受け入れようとしないという話も聞きます。

逆に、本来の指導対象でない所から興味を持たれ、真剣に取組み結果を出してくれたという報告もたくさん来ています。

時間はかかっているようですが、逆に言えばたったの数年で、これまでの固定概念を離れ私の考え方に共感してくれる人が増えてきたとも言えるわけで、どんなことも発信し継続することが大事なのだと改めて思っています。

一番手っ取り早いのは、私がもう一度表舞台に出て、メジャーな組織を改革して見せれば、世間の見方も一気に変わるかもしれません。

しかし、その環境はありません。
本当に必要としてくれる選手や組織に対して、じっくりと伝えて行かなければ正しく伝わらないでしょうし、お手軽な方法論のように思われてすぐに消えて行く運命になると思います。

形だけの指導や結果だけを求める選手には、絶対に身に付くことはありません。

サンフレの試合を見ながら、「私ならこうできる、プレーする選手も、見ているサポーターも、みんながサッカーを楽しめる体の使い方があるのに」、と言う気持ちを押し殺していました。

このブログを読んでくれている皆さんには、是非固定概念を捨て新しい世界を感じ取っていただきたいと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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