自分の体で感じなければ理解するのは難しいことです。

今朝、以前から縁のある競輪選手から電話がありました。
彼は一昨日のナイター競輪に出走する予定でしたので、昨日の朝レースの動画を確認しました。
そこに映し出された光景は、目を疑うような落車のシーンでした。

競輪という競技では落車は日常的に起こり得ることで、他の選手との接触等回避できない場合も多く、まさに命懸けの戦いを繰り広げています。

私も動画サイトの中とはいえ何度も落車のシーンは見ていましたが、今回の落車の仕方は、今まで見たこともないものでした。
すぐに状況を案じるメールをしましたが、返事がなく大事に至っていなければと心配していました。

そこに本人からの電話があり、色々な話ができ、それこそ命に関わるような怪我ではなかったことが分かって、本当に安心しました。
来月には広島での開催があり、久し振りに会う予定になっているのですが、まずはしっかり養生して回復に努めてほしいと思います。

また、彼の紹介で競輪ではなく競艇の選手との縁もできました。
これまで縁のなかった競技の選手と接することは、自分にとっても新しい発見があったり、私の理論の応用範囲が広がっていくことが実感できて、とてもありがたいことばかりです。

西本理論という言葉を自分でも使ってしまいますが、実際には明確な定義はありませんし、一言で言い表せるようなものでもありません。

強いて言えば、「それぞれの人間が、持って生まれた能力を余すところなく発揮できるような状態を作り上げる」と言うことになるでしょうか。

それぞれの競技に専門性があり、その中で育ち一定レベルまで達した人たちには、自分たちにしかわからないと言う経験則のようなもので固定概念を形成してしまうところがあると思います。

ところがその経験則を、きちんとした言葉で説明し、誰にでも納得できる指導にまで昇華させられている人は少ないような気がします。

結果を残してきた人の言うことには逆らえないから、なんとなく言うことを聞いている、という場合も多いと思います。

確かに経験者にしか分からない部分は否定しませんが、やはりそれだけではないはずです。

その共通した部分、「人間として持って生まれた能力を効率的に発揮する」という部分に関しての理論というか、養成方法を受け持っているというのが私の立場です。

ですから、どちらかというと団体競技よりも個人競技の選手の方が結果が出やすいと言うか効果を感じやすいため、指導もしやすいように思います。

競輪はピストと呼ばれる前輪と後輪が変速機なしの直結で繋がれた自転車を使いますので、まさに自分の肉体のみがエンジンということになります。

これまでの発想の中では、自転車に乗る練習はもちろんですが、当然そのエンジンの排気量が大きいほど馬力も大きいということで、筋力アップ肉体改造こそが成績アップの絶対条件のように思われています。

しかし、それだけではないと感じる選手も少なからず出てきたようで、端的に言うと屈筋ではなく伸筋を主役とする体の使い方をマスターすることが、これまで行ってきたトレーニングを無駄にすることなく、意識の変化で体の使い方が変わり、レースを走るときの感覚も違うと言うことに気づいてくれました。

競輪に関しては以前にも選手の指導をしたことがあったので、その時のことをベースにして、ここ数年工夫してきたことを加えた指導で、大きな変化を感じてもらうことができました。

今回の競艇という競技に関しては、全くイメージが湧かないというか、縁もなくレース自体を見たこともありませんでした。

もう10年以上も前のことですが、その時サポートしていたカープの佐々岡投手と同郷の島根県の選手が、競艇会のトップレベルの選手で、名前は彼からよく聞いていましたが、一年最後の最高峰のレースは、一緒にテレビで見たような気がします。

そんな程度の感心しかありませんでしたが、縁あって話を聞くと、競艇選手こそ体重制限があり、筋力アップ肉体改造では済まないことは当然で、これまでも様々なトレーニング理論に接してきた中で、これはというものには出会っていなかったようでした。

年齢も30半ばとなり、何かを変えなければと思っていた時に、友人だった競輪選手から私の話を聞き、縁ができたというわけです。

競艇の狭い操縦室と言うのでしょうか、あの中で船を操る姿勢は、まさに伸筋重視でなければならない動きだとすぐに分かりました。

船と水面の接し方をいかにコントロールするか、ターンマークを回る時の船の動きや選手の姿勢を見ていると、伸筋の重要性が一目で分かりました。

私の意見というか感想を話すと意見が一致し、ではどういう意識で体を操り、それが出来るようになるためにはどういうトレーニングを行えばいいのかということに、どんどん話が深まっていきました。

その論点が一致しなければ、そこから一緒に進んで行けるわけがありませんから。

レースも見たことがないのに、もちろんあのレース用の船に乗ったことがないのに、自分たちの体の動きが分かるはずはない、そう言われたらそこまでです。

これはどの競技の選手、指導者と話をするときも同じです。

そこに私のような立場の人間の意見を聞いてみよう、自分にとって得るものがあるのなら取り組んでみよう、そう思えるかどうかが運命の分かれ道となります。

今現在、ほとんどの人がそう思わないというか、自分たちがやっていること以外に、もっと良い方法があるかもしれないと考える人がいないからこそ、私の考え方に触れ取り組んでくれる選手が優位に立てる理由でもあります。

当然同じ競技のライバルに、私の存在を教えるという、敵に塩を送るようなことをするわけがありません。

早速レースで手応えを感じてくれたようで、表情も言葉もすっかり前向きになってくれました。

過去の経験から、出来るだけ感情移入をしないようにしようと決めていますが、私という人間はそれがないと本気になれないと言うか、自然な感情の動きに任せています。

年齢はどうあれ、現役の選手には私の言いたいことは伝わりやすいのですが、ある程度の年齢になった指導者には、正しく理解してもらうことは難しいようです。

それぞれの競技に必要な経験則による動作を習得させるためには、それを行えるようになるための基本的な体の使い方があるのです。

私が提唱しているのはその部分のことで、それなくして競技動作ではないのです。

この感覚は、前回のブログで紹介した宮澤さんの言葉を借りると「切実感」があるかないかと言うことに尽きると思います。

要求される動き、自分がこういう動きができるようになりたいと思っても、現実としてそれができない、日々努力しているのに何故できないのか、これができるようにならなければ試合には使ってもらえないし、選手としての成長も望めない、そんな切実感、もっと言えば悲壮感さえ漂う状況に陥った選手にしか、真剣に取り組もうとは思ってもらえないのかもしれません。

話を聞いて、文字で読んで、自分ではなく取り組んでいる選手を目の前で見たとしても、実際のところは絶対に分からないと思います。

自分の体でその真偽を確かめようなどという、高い意識を持った指導者など滅多にいません。

指導者になってから、改めて私のトレーニングを受けにきてくれ、自分の体で納得してから選手の指導に活かしたいと言ってくれて実行してくれたのはたった一人だけです。

名前は出せませんが、選手の動きを見る目が養われ、今指導者として結果を出しています。

現役の選手にも、まだまだ広がっていきません、指導者の意識も変わっていきません。

それでも私は、「人間の体はね・・・」から始まる、私の理論を発信し続けていこうと思います。


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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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