「いかに素早く前方向に動き出せるか」実はこれが一番難しいことのようです。

今日は8月13日、世間はみんなお盆休みということで、郡山に住んでいる長男家族も、休みを利用して帰省しています。

子どもが小さいことと、長距離の車の運転が苦にならないようで、郡山から車で帰省しています。
当然帰りも車なわけで、2時間でも長く感じる私から見れば、信じられないことです。

帰省してもベースキャンプは廿日市市の嫁の実家で、今日の午後と明日はこちらに来るということで、午前中にブログを書いています。

今朝は男子200m決勝、ウサインボルトのラストランを、リアルタイムで見ようと、早起きしました。

どんなスーパースターにも終わりがあるわけで、心情的にはアンカーとしてトップでゴールインし、金メダルを最後の手土産にして欲しいという気持ちもありましたが、残酷な結末が待っていました。

それにしても日本チームのバトンパスは、他のチームとは比べられないほどのスムースさで、4人の合計タイムではメダルにはとても届かないなか、ボルトの途中棄権があったとはいえ、堂々の銅メダルを獲得してくれました。

今大会唯一のメダル、世界との差は開くばかりですが、こんなところに日本人のまじめさというか、真剣な取り組みが実を結ぶのですから、走るという行為の本質にも、もっと目を向けて取り組んでくれれば、他の種目でももう少し何とかなるのではと思ってしまいます。

今朝は起き抜けに玄関のドアを開けて空を見上げましたが、明らかに雲の様子が違い、心地よい北風が吹いていました。

久し振りに冷房が要らず、窓を開けて過ごしています。

私の完全な休みは今日だけで、昨日もそして明日も予約を受けています。

さてここからが本題です、陸上競技は当たり前ですが、前に向かって走ります。

しかし、他の競技では前後左右、そしてジャンプ動作もありますから上下に動く動作も必要になります。

私の仕事場である「Conditioning Studio 操」の入り口には、もう一つの名前を掲示しています、それが「動きづくり研究会 西本塾」です。

ですから私の元を訪れてくれる人たちの目的は、大きく二つに分かれ、体の不調を軽減するために施術を受けにくる方と、スポーツ選手として、少しでも良い動きが出来るようになりたいと思って来てくれる人たちです。

この「少しでも良い動きが出来るようになる」ということの意味を説明することは、とても難しいことです。

トレーニングも目的は、筋力アップや体のサイズアップといった、体づくりが目的であり、その結果としてスポーツ動作が向上するというのが一般的な考え方だからです。

肉体改造とか体づくりではなく、トレーニングの目的は「動きづくり」ですと言っても、理解してくれる人はほとんどいません。

では「動きづくり」を目的としてトレーニングを重ねた選手たちが、最終的に求める良い動きとはいったいどんなものなのでしょうか。

なぜか今、指導を依頼される競技の中で圧倒的に多くなったサッカーという競技において、自他ともにトレーニングの効果を実感できる動作はどういうものなのか、逆に言えば、改善するのが一番難しい動きとはどういうものなのか、ここ数カ月の指導の中で、一つの答えが見えてきました。

それは、「いかに素早く前方向に動き出せるか」ということのようです。

ようですというのは、もしかしたらこれからもっと難しい問題に直面するかもしれませんし、これまでそのことに対する私の指導が的確でなかったことが原因だったかもしれないからです。

「人間の体はね・・・」という言葉から始まるのが私の理論というか、体に対する向き合い方です。

これまで経験してきたことや、たくさんの素晴らしい選手の動きを見てきた中で得た、最大公約数的な人間という動物としての効率的な動きを、こういう意識でこうやって体を使えば、誰でも効率的で効果的な動きが出来るのではという仮説を立て、自分の体で試し実証して得たことを、選手に伝えてきました。

頼まれてもいないし、間違っても私にアドバイスを求められることなどあるはずのない選手の動きであっても、私ならこうアドバイスする、こういう風に体を使えばこんな動きが出来るのにと、想像を膨らませているだけでも楽しい時間を過ごすことが出来る、何というかお気楽な性格の私です。

そうやって思いついたことを伝え続けてきた中で、私と出会った選手たちが確実に変化し、成果を残してくれることで、私自身にも自信ができ、もっと良いものがあるのではという欲も出てきました。

明日も来ることになっている高1のA子ちゃんですが、このブログでも何度か取り上げたことがあるので、分かる人も多いと思います。

A子ちゃんは、大学1年になったお兄ちゃんの影響でサッカーを始め、お兄ちゃんの高校進学のために広島に移り住みました。

中学時代は広島のクラブチームに所属していましたが、それほど目立つ選手ではなかったようです。

それでもサッカーを始めたころからの夢であった、強豪校への進学を目指し、真剣にサッカーに取り組んでいました。

その当時の指導者やご両親にして、今のA子ちゃんの姿は想像できなかったかもしれません。

それが昨年の10月から6か月間に渡って、私の元に週に3回くらいの頻度でトレーニングに通い続け、みるみるうちに周りから一目も二目も置かれる選手へと成長していきました。

残念ながら直接プレーを見る機会がなかったのですが、兄妹とは言えライバル心むき出しで、お互いを褒め合うことのないお兄ちゃんから、「A子は凄いです」の言葉を聞いて、これは本物だと確信していました。

お盆休みをもらって広島に帰ってきた翌日からトレーニングに来ていて、意識の高さは想像以上です。

久し振りにトレーニングを指導し驚いたのは、高校では同じ環境で器具を使ったトレーニングは出来るはずもなく、5カ月のブランクで、それぞれの種目にブレが出ているかなと思っていましたが、それどころか逆に、4月以降もずっと私の元に通い続けていたかのような動きを見せてくれるのです。

これなら強豪校の一員として、それぞれそれなりの実力を持って入部してきたライバルたちに臆することなく、それどころか一歩も二歩もリードできていると思いました。

「動きが良い」という言葉はとてもあいまいで、客観的な評価にはなりません。

なぜA子ちゃんの動きをそう感じたのか、5か月前のA子ちゃんや、お兄ちゃんのH君、そして同じく高1になったS太たちの動きが一つの基準になっていた私には、その後に指導した人たち、遠隔サポートを含みますが、やはり彼らはトレーニングに取り組んでくれた期間が長く回数も桁違いに多いからそうなったのであって、他の人に同じ動きを要求するのは難しいと思っていました。

その一番難しい動きと言うのが、今日のテーマである「いかに素早く前方向に動き出せるか」ということでした。

走るという行為は理論の部分から丁寧に説明し、順を追ってドリルを実行していただければ、必ず現状より上達できます。

上達と言うのは、「楽に速く走れるようになる」ということです。

横への動きも、相手に視線を向けたまま、上半身をできるだけ正対させたままで骨盤の動きで対応できるようになったり、後方へのターン動作も同じようにスムーズに一歩目が出せるようになります。

人間がその場からどちらかの方向へ移動するためには、これまでは地面に圧力をかけ、その反力を得るというのが常識でした、それを地面に「居着いてしまう」という言い方で、マイナスな面が多いと考え、別の体の使い方を考えました。

それが、「落下」「捻転」「重心移動」の3つを、一瞬にして行うことが、最も効率的な動き出しが出来るカギになるではないかという結論を得ました。

私自身が動きの達人とか、誰にも真似のできない凄い動きを身に付けているという訳ではありません、本当に普通の人間です。

最大公約数的な観点で超一流選手の動きを分析していく中で思いついた効率的な動きですから、誰にでも習得可能なものでなければ意味がないのです。

もし私にしかできないような動きで、習得するのに何年もかかるような動きを提案しても、誰の役にも立ちませんから。

もちろん指導していく中で、例外なく変化し上達してくれている実感を得ています。

それがA子ちゃんのように、ハイレベルなライバルたちの中でも、ひときわ輝く何かを感じさせている要因はどこにあるのだろうと考えた時、トレーニングの後半で行う動きのドリルで見せる、アイドリングから重心を前に倒し、振り出された足と逆の肩を、骨盤から背骨を広背筋の機能を使って捻り上げることの繰り返しで、一気に加速するというドリルを見て、「なるほどそういうことか」と納得しました。

まったく地面を蹴ることなく、何といえば良いのでしょうか、滑るようにというか、後ろからスーッと風が吹いて押し出されたように、あっという間にスピードを上げて行くのです。

体の負担を少なくし90分間頭と体を動かし続けることを可能とすることが、サッカーにおける私の走りに対する発想の原点であり目的ですが、この前方向への瞬間的なスピードアップこそ、選手本人はもちろん、指導者が選手に求めている最大の能力ではないでしょうか。

同じく高1で、以前指導を受けてくれたK君も、先日久し振りに来てくれましたが、お母さん曰く「特徴のないとことが特徴になってしまい、ここは負けないという所を見せられない」というお話を事前に伺い、まさにこの前方向への動きだしを改善できれば、今のポジションを脱することが出来るのではないかと本人に話をし、そこを目標にトレーニングを行いました。

以前にも書きましたが、その場に立って後ろから手を叩いたことを合図に走り出そうとすると、ほぼ例外なく全員がいったん後ろに下がってから走り出します。

これは地面反力こそが走るという行為で体を前方に送り出す唯一のエネルギーであると、頭も体もそう思っているからです。

この意識を変えるのは容易ではありません、手っ取り早く指導して欲しいと、最終目的を達成するためのドリルをいきなり行っても、絶対に身に付くことはありません。

それぞれ違いますが、どうやって指導して行けばそうなってもらえるのか、それも少しずつ分かってきました。

「キレのある動き」という言い方も、この動きが基本になっていると思います。

テレビでJリーグの試合を見ても、前方向への動き出しが素早くスムーズに行えている選手はほとんどいません。

お互いがそうであるからこそ、大きな問題には感じないのでしょうが、以前話題にした「マスチェラーの選手」のような動き出しをされたら、まったく勝負にはならないと思います。

この動きは他のどんな動きにも共通する意識で、とくに体幹部分をうねり出す感覚がを身に付けることで、競輪や競艇といった、まったく関係なさそうな競技の選手からも、自分の競技動作に変化を感じるという言葉を聞いています。

誰にでもできる走るという行為、だからこそその瞬間的な動き出しの能力は、大きな差となって選手としての価値を高めてくれるようです。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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