体の仕組み

力感あふれる筋肉のパワーをフルに発揮して腕を振るより、リラックスしたやわらかい状態で腕を振ったほうが、早く鋭く振れる事実、だったら何も頑張ってトレーニングする必要はないのでは・・・。

今日はここからですね。

ではまず筋力・パワーってなんでしょう。

筋力がなぜ必要なのか、その前に我々の体はどういう仕組みで動き、筋力はそれにどう役立っているのかを考えてみましょう。

人間の体は大まかに分けると、骨格を形成するたくさんの骨と、それを動かす筋肉で構成されます。

筋肉ばかりが主役扱いでクローズアップされ、筋トレという言葉はあっても、骨トレという言い方は一般的ではありません。しかし、現実の人間の動きは骨の位置関係、骨と骨とが構成する関節の角度の変化によって、動きを作り表現しています。
スポーツの動作もすべてそうです、走ること、投げること、ボールをけること、泳ぐこと、自転車のペダルを踏むこと、すべてあるポジションにあった骨の位置関係が変わることによって、外部に対して力を与え、またその反力を使って次の動作、骨の位置を変えていくという行為の繰り返しです。

ではその関節というのはどういう動きをしているのでしょうか、少しめんどくさい部分ですがしっかり理解してください。

関節は、基本的に8方向への動きでその角度を変えていきます。
手首で確認していきましょう。

前腕部から指先までをまっすぐに伸ばした状態をスタートポジションとします。

1番目は手のひら方向へお辞儀をするように曲げます、これを屈曲と言います。
2番目は逆に手の甲方向に曲げます、これを伸展と言います。
3番目は小指側に倒します、これを外転と言います。
4番目は親指側に倒します、これを内転と言います。
5番目は中指を中心として小指を手の甲側に捩じります、これを外旋と言います。
6番目は中指を中心として小指を手の平側に捩じります、これを内旋と言います。

実際に動かしていただくと、ここまでの6方向はほとんどの方が正解してくれます。
最初に8方向だといいましたので、その6方向を少し変えたような動きで、残りのの2方向を導き出そうとしますが、それでは正解になりません。

先に答えを言いますと、圧着と離解という言葉で表現します、解剖学の関節の運動方向の種類においては正式な用語ではありません。
しかし、この2つはとても重要な動きとなります。

圧着とは、ボクシングや空手の打撃動作で、こぶしをまっすぐ相手にヒットさせた状態をイメージしてください。

関節は骨と骨との接合部分ですが、骨と骨はぴったりくっ付いているわけではありません。
それぞれの関節に必要な隙間があって、これがあることで関節の動きがスムーズにできます。

打撃によって、力の方向に対して相手の体でストップをかけられたのですから、当然隙間は小さくなりぶつかってしまいます、これが圧着です。

最後に離解です、今度は野球の投手がボールを投げる時の肩関節・肘関節・そして手関節から指先の骨まで、静止した状態のボールに150キロものスピードを生むエネルギーを加えるために腕を振ります。

そのためボールを持った指先は、ものすごい勢いで体の中心部から外方向(捕手方向)に向かって位置を変え、それに連なってすべての関節は、その可動範囲いっぱいに引き離される状態となります、これが離解です。

ダジャレのようですが、この8方向への展開、理解していただけたでしょうか。

大きな関節なら動きも分かりやすく理解も容易だと思いますが、この8方向への展開は、指先の小さな骨の間にも存在します。

人間が人間らしく2足歩行で歩けるようになったことで自由になった、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、そして仙骨で構成された背骨にも、その一つ一つに関節があり、8方向へ展開できることで、8×8×8×8×・・・・と、背骨だけで8の24乗ですから、電卓ではとても計算できない天文学的な数字になり、これを流れるように自由に操れる能力こそが人間がすべての動物に勝る、神(人間の届かない存在という意味で)から与えられた唯一無比の能力と言えるのです。

私はそういう意味で、もっともこの能力を高め動きを表現出来ているのは、ダンサーではないかと思っています。

マイケルジャクソンからステージのバックダンサーのオファーを受けた時、マドンナのバックダンサーを務めていたため、この仕事が終わったらぜひ、というタイミングでマイケルが亡くなってしまったため、実現しなかったという有名な日本人ダンサー、「ケント・モリ」という方がいます。

この方の動きはもはやトレーニングや努力だけで作られたものとは思えません、8方向がどうのこうのなどと理屈を言うこと自体が意味をなさないものだと思います。

ケツメイシの「月と太陽」という曲のミュージックビデオを、機会があれば見てください、さらに驚くのは、彼のバックで踊っているのが大人ではなく子供たちだというのですから、人間の体を使っての表現力には想像を超えたものがあります。

今はダンスブームで、体育の授業にも取り入れられているそうですが、人間として生まれ生きていくために、持って生まれた能力を発揮できるように準備していく過程として、固定観念の中にある限られたスポーツ種目の動作を習得することより、よほど大切で意味のあることだと思います。

さて、体の仕組みに戻りますが、その関節の角度の変化をもたらしているもの、それが「筋肉」なのです。

そういう意味では、筋肉は決して主役ではありません。

「筋肉の仕事は骨を動かすこと」、それ以上でも以下でもありません。

本来その大きさや太さを競うことには何の意味も持たないはずですが、それ自体を競うスポーツ「ボディビル」というものが存在し、昔から男性の筋肉を誇張した絵画や彫刻が存在し、現実スポーツの世界でもそういう体格に恵まれた選手が多いため筋肉偏重主義に陥り、肉体改造という名のもとに、単なる体位向上がトレーニングの目的そのものになってしまう傾向があります。

説明してきたように、8方向への展開をいかに滑らかに力強く行うことができるかというのが、人間の持っている能力を高める究極の目的ですから、その目的に対して筋肉をどう使っていくか、それが本来の意味でのトレーニングであり、体の仕組みを知っているということであると思います。





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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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