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生涯一トレーナー「西本直」が話しておきたいこと

木を見て森を見ずにならないために、丸ごとひとつの体と仲良く付き合っていきましょう

私が伝えてきたこと 大阪・東京セミナーを終えて

先週今週と二週に渡って、『倉本和昌』さんが主催する、サッカーのコーチを対象としたセミナー、大阪で2講座と東京で3講座の講師を務めてきました。

今回のセミナーは昨年行われた6ヶ月コースを受講した方に対して、倉本さん自身が指導した分野も含め、屋外で実際に体を動かし、室内の話だけでは伝えられない部分を体験してもらうことが目的でした。

私が昨年受け持ったのは、6ヶ月コースの第4回目で、育成年代を指導するコーチの皆さんに、最低限知っておいて欲しい人間の体の仕組みやその使い方ということを中心にお話ししました。

その中でも特に受講者の皆さんが興味を持たれたのが、大人であれば前後半90分間、頭と体を動かし続けることができるための走り方だったと思います。

こればかりは自分の体で体験することなく、どれだけ理屈を説明しても理解どころか素直に受け入れることさえ難しいと思います。

それに加えて、体の小さな選手でも大きな選手に当たり負けしない、またポジション取りでも押し負けない体の使い方といった、いずれもにわかには信じ難い、固定概念の範疇を超えたことをお話しし、狭い部屋の中とはいえある程度は体験してもらっていたことを、自分の体でしっかりと体感してもらうことでした。

2時間という短い時間の中で、それらを一通り体験してもらい、さらに実際のプレーの中で使える実戦的な応用編にまで発展させていきました。

完全に理解できたとか、動き自体をマスターしてもらえたとは思っていませんが、私が座学で説明したこと、屋外の実践編で体感してもらったことが、紛れも無い事実であることを、すべての受講者に伝えられたと思っています。

私の知る限りサッカーの指導者ほど勉強熱心な方々はいないのではないでしょうか。
しかし、それが指導する子供たちに対し、思ったような効果をもたらせていないことも現実だと思います。

それは個人の技術やチームとしての戦術以前に、選手一人一人の体がそれぞれが持って生まれた能力を発揮できる状態になっているのかと言うのが、私の投げかけている疑問なのです。

素晴らしい理論を身に付け、分かりやすい指導をしているにも関わらず、選手が思ったように成長してくれないと思っている指導者は多いと思います。

その原因がどこにあるか、自らの指導力不足を痛感し、足げくセミナーに通う指導者のなんと多いことか。
学び続ける姿勢は素晴らしいとは思うのですが、本質的に何かが抜けてはいませんか、と言うのが私が外部講師としてセミナーの一講座を依頼された理由だと思います。

倉本さんは私との出会いでその部分が明確になったのです。

その期待に応えるために、座学の4時間と今回の屋外での2時間が私に与えられました。
セミナーの内容は、まずストレッチとウォーミングアップの本質的な意味と目的を明確にしたううで、たったこれだけのボリュームで、必要とするすべてに合致する内容が網羅されていると言うものを紹介しました。

ストレッチは筋肉の実質ではなく腱や靭帯といった、関節部分にストレスをかけ、これから行うサッカーという競技に求められる動きの下準備をすることが目的です。

その目的を達するためにはこうすればいいですよという内容を指導しました。

ウォーミングアップも同じです、掛け声に合わせてランニングをしたり、ダンスのようにみんなが同じ振り付けで動き続けることになんの意味があるというのでしょうか。

目的は一つ、筋肉の温度を高めることです。

また選手たちは、ストレッチやウォーミングアップ、また補強と呼ばれている筋力向上を目的としたトレーニングを行うために集まってきたのではないはずです。

ボールを蹴るのが大好きな子供たちのはずです。
ならばそのボールを蹴るということが、安全に開始できる準備としてのストレッチでありウォーミングアップでなければなりません。
無駄に時間をかけても誰の得にもならないということです。

その後にFBT各種のドリルと進めていきます。
細かいことは書きませんが、前のブログでも紹介したように軽い肉離れを発症して参加された方が、正しい段取りを踏んで体を使っていくと、2時間のメニューをすべて行えたというのが、正しい体の使い方効率的な使い方がどれだけ大切かを、本人はもちろん一緒に受講した皆さんにもこれ以上ないお手本として、提供して頂く結果となりました。

さらには基本的な使い方に加え、体をぶつけた瞬間に大転子の位置を相手の下にあてがう練習や、相手に背負われた状態から、どうすれば瞬間的に置き去りにして離れることができるのかなど、まさに個人としてチームとして勝つために必要な体の使い方と言った部分も最後に加えました。

特質すべきは内容云々ではなく、2時間ほとんど休みなく動き回っていた受講者の皆さんが、誰一人としてへばって途中で動けなくなることもなく、筋肉や関節に痛みを覚えることもなかったのです。

終了後の懇親会でもそのことが一番不思議だという感想が多く聞かれました。

この事実こそが90分間頭と体を動かし続けることが出来る体の使い方であり、サッカー選手に最も求められる能力であるという私の主張を、それぞれがまさに身を以て体感してくれたことと思います。

その感覚を実感しなければ、大切な選手たちの指導に取り入れようと思うわけがありません。
私が2時間のセミナーで一番分かって欲しかったのはまさにこのことだったのです。

懇親会でもいろいろな話が出ましたが、その中でFBTを継続したことで当たり負けしない選手が増えたが、やはり体格に勝る大柄な選手には負けてしまうという声がありました。
そんな簡単なことだと思ったのでしょうか、これはまさに体そのものを使った技術です、当然練習が必要なことはボールを蹴るなど、サッカーの技術を獲得する過程と同じことが必要です、当然時間もかかります。

私が体重差が20キロ以上もある大きな選手に当たり負けしないことをやって見せられるのも、長年積み重ねてきた体の使い方の練習のおかげです、そんな簡単なものではありません。

5講座を通じて、私が伝えているのは目の前にいる指導者の皆さんではなく、皆さんが指導している沢山の子供たちだったのです。

だから自分以外の受講者に対して私が行うアドバイスや、どこを見てそう言っているかなど、私の一挙手一投足を指導者目線で真剣に向き合うことをお願しました。

セミナー終了後、私のFBにお礼のコメントをくださった皆さんには本当に感謝しています。
やはりそうしたつながりを感じられることが何よりの励みとなります。

この1週間の間にもいろいろなことがありましたが、関わっている選手がケガからのリハビリを乗り越え、試合に出場したという嬉しい報告や、旧知の指導者からチームの立て直しに力を貸して欲しいという依頼があったりと、私でなければと思ってくれる選手や指導者がたくさんいるということを実感し奮い立つことにもなりました。

昨日遠くから来てくれた競輪選手は、相変わらず私の存在はライバルたちには絶対に知られたくないと言いますが、もうそんなレベルの選手ではないので、声高に西本理論の有効性を発信して欲しいと思います。

二週連続の出張、それも実技指導のセミナーでしたので、恥ずかしながらまだ疲れが抜けきれていません。
それこそ頭と体を総動員して動かし続けてきました、今回体感して頂いたことを、皆さんが指導に活かしてくれることを切に願っています。

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