筋肉の役割

前回、「筋肉の仕事は骨を動かすことで、それ以上でも以下でもない」、そう言い切りました。

体というのは、元々女性の卵細胞というたった一つの細胞が、精子との受精によって分裂を繰り返し、遺伝子によってプログラミングされて人間として成長してこの体を作り上げてくれます。

骨だ筋肉だ内臓だと、後から名前がついたものが寄せ集められて組み立てられたものではありません。

たった一つの細胞、だったとしたら今ある我々の体も、皮膚という皮袋の中に様々な組織が浮かび漂っている、というイメージにはなれないでしょうか。

このあたりの表現は、操体法の創始者である、故橋本敬三先生の著書を読んでいただければと思います。

その皮袋の中身は、様々に分化しそれぞれの役割を持ってはいますが、けっして外に出てくることはできません。

私の著書「朝3分の寝たまま操体法」の中で紹介した、「足指もみ」を行う時、まさに皮袋を揺らしている感覚で、人間の体が硬いなどという感覚とはほど遠いものとなります。

それはさておき、我々の体が動くという行為は、筋肉の収縮によって骨をひっぱっているという単純な作業です。

骨と骨とは靭帯という組織でつながれています。
この靭帯という組織は、筋肉とは違って脳の指令によって収縮することができません、筋肉の収縮によって角度を変えようとする関節の角度を、ある一定の範囲の中でつなぎとめることで、体を守っています。

体の柔軟性に関しては、先天的にこの靭帯が細長くしなやかであれば、筋肉の収縮によって動かされる骨の可動範囲が広くなるわけですから、いわゆる柔軟性のある体と言えます。

しかし、こういう靭帯を持った体の筋力がものすごく強かったとしたら、靭帯の負担は計り知れないことになるわけですから、一般的には筋力が弱い人が多いといえます。

逆に、靭帯が短く太い人は、関節の可動域も当然小さくなりますが、大きな筋力を発揮されてもその負荷を受け止めることができるので、筋力が強くまた強化していきやすい体だといえます。

その両方を兼ね備えた柔らかくて強い、というのが勿論理想ですが、両方のタイプの人を後天的にまったく同じ強さと柔らかさにするというのは難しいのではないかと思います。

白筋と赤筋の割合を調べて、瞬発系か持久系かの選択を若い年代でさせることが、その後のスポーツ活動での向上が望みやすい、という考え方もありますが、同じように自分がパワー系なのか柔軟系なのかを知っておくことで、スポーツの種目や、同じスポーツでもポジションの選択に有効であると思います。

その筋肉ですが、野球選手は〇〇筋を鍛えなければならない、サッカー選手はと、限定的にトレーニングの種目を限定してしまいがちですが、私はそうは思いません。

まずは人間として与えられた能力を余すことなく発揮できるようにすることこそが重要です。

もしかしたら我々はその能力の半分も使えないまま一生を終えているかもしれません、競技レベルの選手たちでさえ同じことを感じています。

かなり前のことですが、トレーニングの専門誌に記事を書いたとき、技術という言葉を「自らが企図した筋肉の活動を、反復継続して行うことができる能力」と定義しました。

どんなスポーツでも、どんなに細かい作業でも、つまるところこういうことです。

トレーニングコーチという呼称があって、技術を教えるコーチとは一線を画していますが、いわゆる技術を獲得していく行為というのは、まさに自らが企図した筋肉の活動を反復継続して行えるようになった結果ということなのです。

トレーニングと技術練習は別物と考えること自体がナンセンスなことで、両方分かっていて両方指導できればそれに越したことはないのですが、せめてどちらの分野にもお互いが興味を持って見る目だけは養っておかなければなりません。

私がトレーニングコーチとして、グランドレベルの練習をただ見ていることも、実はコーチングの一環であるわけです。

次回はもっと細かい、伸筋と屈筋による相互補完による筋肉の収縮活動について述べてみます。
スポンサーサイト

Trackback

Comment

Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月9・10日に予定しています。

最新記事

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR