故障を乗り越えて

まさに貧乏性です、何にもやることがない時期には、本当に家に居ても所在無くて、一日が過ぎるのが本当に長く感じていましたが、ここまで来ると目が覚めてから気付くともうこんな時間かという日々が続いています。

細々したことは、前もって考えておけばこんなことにはならないのでしょうが、人間期限を決められたり追い込まれないと、なかなか動き出せないものですね。

まるで子供の頃の、今の時期を思い出しますね、夏休みの宿題がまだ終わってなくて、さてあと何日で全部できるだろうかと、そんな遠い昔を思い出します。

そんな中でも、様々な競技でチームの成績と故障者の数の関係が話題になります。

ケガや故障に関しては、これまでもこのブログで様々な意見を述べてきましたが、やってしまったものはもうどうしようもないのですから、どうやって復帰していくかということの方が、現実的には重要な問題となります。

私がこれまで深くかかわった選手というのは、どういう訳かベテランと言われる年齢になっている選手が多かったように思います。

それこそいろいろな経験をしてきたと思いますが、ケガや故障に関しても、まったく何にもなかったという選手はいないと思います。

その時々の経験の中で、自分が納得できる内容のリハビリやトレーニングを行えないまま復帰していたため、こんなはずではなかったという思いを引きずっている選手が多いように思います。

新人でもベテランでも同じなのですが、結局は同じことを何年か繰り返しているだけで、本当に必要な体のためのトレーニングが、私に言わせればできていません。

ですから、ケガをしたのが若手の場合は、早い時期にこうなって良かったという話をしました。

ケガをした選手に良かったもないのですが、チームメートと一緒に練習している限り、それにプラスしてじっくりトレーニングに時間をかけようという選手はまずいません

外れてしまったことをマイナスに捉えずに、今こそ自分の能力をすべて発揮できる体の動きを作ってみよう、というプラスの発想になった選手は、見違えるような動きと身体を手に入れて早期に復帰してくれました

膝の手術を受けたからといって、他の部分には何の問題もないのですから、膝の回復状況を確認しながら、どんどん他の部分のトレーニングができるわけです。

それが全身の血行を改善することにもつながり、何といっても精神的な積極性が回復を早める一番の薬にもなります。

他の選手と離れているからといって、卑屈になることもなく、かえって自分の方が中身の濃い充実した時間を過ごしているという自信が生まれ、グランドに戻った時に余裕を持って他の選手を見ることさえ出来ていました。

ベテランの選手の場合は、大きな故障はそのまま引退につながりますので、長期間の離脱には精神的な負担が重くのしかかってきます。

これまで何人もの選手にこう言われました、「あと5年、いやあと3年早く西本さんと出会いたかった」と。
切実な言葉だと思います。

しかし、同じ言葉は若手の選手からは聞くことができませんでした。

経験の違いといえばそれまでですが、まだまだ勢いでやっているだけなので、時間さえ過ぎればすぐにでも同じ状態に戻れると信じて疑わないような選手が多かったと思います。

三菱重工広島硬式野球部に、2回目の復帰となった2010年の1月のことです。

初めて選手全員を前にして、クラブハウスで1時間ほどのミーティングを行いました。
その時最前列でなんと正座をしたまま真剣に聞いてくれていた選手がいました。

大学出身の2年目の外野手で〇田君と言いましたが、話し終わって、さあ行くぞと声をかけ、立ち上がって歩き出そうとした瞬間、足がしびれてしまっていて転んでしまい、何と足の小指の中足骨を骨折してしまったのです。

漫画のような話ですが、笑いごとではありません。
最前列で目を輝かせて私の話を聞いてくれていたのは分かっていましたから、骨折には驚きましたが、こいつはなんとしても私が責任を持って復帰させようと強く思いました。

まだチーム全員の名前も分からない時ですから、彼に対する先入観もありませんでしたので、とにかく松葉杖をつきながらでも、他の選手に対して私が発する言葉を聞き漏らさないように、傍にいるように伝え、だれよりも早く私の考え方が染み付いていった選手になりました。

彼のリハビリはもちろん私がマンツーマンでつきっきりですから、他の選手に羨ましがられるほどでした。

残念ながら、社会人野球のレベルは彼の想像以上の世界で、その後2年で野球部は引退することになりましたが、引退後会社も辞め、現在は夢を実現させ、香川県の公立高校の教員に採用され、まだ野球部は持たせてもらっていないようですが、近い将来必ず「西本イズム」を形にする指導者として、甲子園を目指してくれると思います。

「けがする前より逞しく」のモットーは、たんに肉体的な問題ではなく、精神的にも大きく成長できるチャンスなのです。

だからこそ、数値や画像だけを判断材料にしてほしくないのです。
どうしてケガをしてしまったのか、防げるケガだったのかそれとも不可抗力だったのか、どちらにしても、これまでのトレーニングや考え方に問題はなかったのか、自分に向き合う絶好のチャンスなのです。

ここで素直に自分と向き合える選手か、それともやはり何かのせいにしてしまうのかで、私はその選手の将来が見えるような気がします。

大きなケガを乗り越えて復帰し、さらに大きな存在となって復活していく選手を、誰よりも近くで見ていられる仕事は、やりがいとともに大きな責任を感じながらの毎日でしたが、本当に楽しい日々でもありました。

これからのスポーツ界を担う若い選手たちとともに、ドクターとトレーナー諸君にも大いに頑張っていただきたいと思います。
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話題にしてもらいありがとうございます!笑
実は僕もまだ未練があるのか、ウォームアップステップやローラーを継続してやってます!また広島で西本イズム教えて下さい☆
  • 2013-08-29│21:59 |
  • 〇田 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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