体を診るということ

広島は三日続けて雨が降っています。
つい数日までの異常な暑さから急に涼しくなって、本当に不思議な気候になったものです。

「Conditioning Studio 操」のオープンまであと1週間となりました。
準備が着々と進んでいます。

偶然ですが9月9日午前9時と9が3つ並びました。

これから先、歳を取っていくばかりですから、何年かしてここを作ったのはいつだったかなと振り返る時、きっと思い出すのは楽天のマー君が連勝記録を作り、ヤクルトのバレンティンが、王さんの記録を抜いてとんでもないホームラン記録を作った年の9月9日の9時だったなあ、なんていうことになるんでしょうね。

もうひとつ、ほんの短い期間ではありましたが関わらせてもらった「嘉人」が、大活躍して得点王を取ったんだよねって、いうこともきっと実現するでしょう。

もうすでに過去の記憶はどんどん薄れて、記録しているものを見なければ、自分が過去どこで何をしていたか、時系列で思い出せなくなっています。

サラリーマンを辞めて故郷に帰ったのが32歳の時で、それ以降は本当に波乱万丈でしたから。

今でこそ、体作りではない動き作りが大切なのだと、トレーニングの専門家のようなことを言っていますが、元々はある施術師の方の技術に憧れ、自分にもあんなことができるようにならないだろうかと、漠然として夢というか目標を持ったことが、私の人生の舵を大きく切った大きな要因でした。

そんなことを考え出してからの私は、営業の仕事で関東近県を電車で動き回る仕事でしたが、駅の階段を上るときには、前を歩く人の足の運びや、女性であればふくらはぎの太さなどを観察し、どんなスポーツをやっていたんだろうとか、腰が悪いのかな膝をかばっているな、猫背がひどいななどと、いわゆる外見のスタイルや容姿、ファッションなどには目が行かなくなり、体そのものを見てしまう癖がついてしまいました。

こういう体の使い方をしているのなら、きっとここのバランスが崩れているのだろう、ならば自分ならああやってこうやってと、まさか自分のことをそんな目で見ている人間がいるとは、見られている人は夢にも思わなかったでしょうね。

そういう意味では、都会という所はありがたい場所でした、何千何万という人が行き来するターミナル駅は、絶好の勉強の場所になりました。

こんな仕事をしていても、直接触れる人間の数などたかが知れています。
とくに私のように、スポーツに関わり、チームや個人と契約して仕事をしている時期が長かったので、その間は一般の方に接することは本当に少なくなります。

それでも何とか診て欲しいと言っていただくことがありますので、途切れることはなかったのですが。

逆に言えば、以前にも書いた「刺激と反応」を、トップレベルのスポーツ選手の体で毎日毎日確認できたからこそ、今の西本理論が間違っていないと自信を持って言える理由となっています

その頃診ていた選手たちは、私と接している時以外の時間も含めて、管理ができたからです。

何か違う刺激が入ったり、夜遊びでもしたらてきめんに体にその反応が出てしまいますから、あの頃の選手は大変だったでしょうね。

新しい施設では、基本的には一般の方を相手に仕事をさせていただくことになります。

これまでもそうでしたが、そうは言っても将来のことはまったく分からず、この施設を離れるつもりはありませんが、どこからどんな方に来ていただくことになるか分かりませんし、短期の指導であれば、それこそどこにでも出かけていくつもりですので、自分のこれからに大いに期待し、ワクワク感さえ感じています。

今日は少し、私が体を診るとき、施術を行う時の感覚について書いていきます。

手品の種明かしではありませんが、私がマジシャンの種明かしをみて、ふーんそんなことだったのかと思ったとしても、ではやってみろと言われて、出来るわけがありません、それがプロの技術ですから。

私のやっていることも同じだと思います。

手品と違って、人の目をごまかすだけでは何も解決しません。

逆に、きちっと自分の中で理論づけ順序立て、どこからどんな刺激を体に入れると、どうつながってどこに変化が出るだろうという、予想というか、この表現が難しいのですが、フローチャートを決めてしまうのではなく、言い方が雑になりますが、とりあえず頭に浮かんだ操法を試してみるいった感覚で、アプローチしていくのです。
そしてこれが操体法というか人間の体の面白いところで、いくらこちらがこういう刺激を入れたからこういう風にと思ったとしても、まったくその通りにはならないのです。


例えば「膝倒し」という操法をやってみようと、立てた両膝を左側に倒し始めたと思ったら、その人の体は体全体を左に捩じりはじめ、右足は伸びていき、肩が捻れ、左手は上に伸ばし始めと、勝手に動いてくれるのです。

上手に言葉と、触れている手のひらで誘導してあげれば、より体が気持ち良い方へと、連動に連動を重ねてまさに終点がない状態にまでなってしまう人までいます

操体法を行う上で一番困るというか、扱いにくい受け手の方は、とにかく動きを型にはめて、こうやって動かなければならないと思い込んでいる人です。

立てた両膝を倒せと言われたのだから、こうやってこう動いたら終わり、何か間違っていますか、言われた通りやってますよ、という顔をしてしまう方です。

こうならないためには、自分の体と対話するという姿勢になっていただくことに尽きるのですが、これが一番難しいのです。

一般的に、医療機関であろうと、民間の接骨院や鍼灸マッサージの施設、または整体に類する施設でもそうだと思うのですが、治す側と治してもらう側という位置づけがはっきりしていて、患者さんは言われたことをやらなければならないし、治す側はとにかく自分のやるべきことを決められた時間の中でやりきらなければならない、という感覚になっています。

治してもらいに来たという感覚に染まってしまっている人間に対して、「あなたの体はあなたが治すのですよ、私はそのお手伝いをすることしかできません」と言い切ってしまわれると、なんだこの人は何を言っているんだ、とんでもない所に来てしまったぞ、ということになってしまうのです。

その感覚をどれだけ早くつかんでもらえるかが、まずは私の腕の見せ所ということになるのです。

ですから、何度来ていただいてもまったくの人任せで、自分のやるべきことをやらない人に対しては、結構厳しい態度で臨むことが多かったように思います。

明らかに太っていて、腰や膝の負担が極端に大きいと分かっていても、それを改善する意欲も行動も示さず、私の施術を受けると楽になるからと通い続けていただいても、まったく何の改善にもなって行かないのですから。

自動車の修理工場で、きれいに板金塗装を終えた車を取りに来たオーナーが、工場を出てすぐの交差点でまた事故を起こして、車をへこませ修理工場に逆戻りしてくれば、工場の社長さんはまた仕事ができたと喜ぶのでしょうか。

丹精込めて磨き上げた車を、何分もしないうちに目の前でぶつけてしまうようなオーナーの車を、笑顔で再度受け入れられるのでしょうか。

仕事だから当たり前と言えばそうかもしれませんが、もっと大事に丁寧に乗ってくれればいいのにと思わないはずはありません。

私も同じです、せっかく痛みも和らぎ動きやすくなった体を、どうしてもっと労わってあげられないのでしょうか。

私に治してほしかったのは体かもしれませんが、その体のオーナーである人間そのものに変わってほしいと願って、施術しています。

1週間後から、また様々な出会いが続いていくのでしょう。

私にも色々な想いがありますが、来ていただく方々にもそれぞれの考え方があることを、これからは肝に銘じて、一方的な西本理論の押し付けにならないように気をつけたいと思います。

窓の外に見える、港と海の見える景色は、きっとどなたの心にも美しいと感じていただけると思います。
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いつか
伺わせてください。

それまでは、このブログを読み返してよみかえしながら自分と向き合ってみます!
すごいボジティブなパワーのある文書に、興奮してしまいました!
  • 2013-09-01│23:36 |
  • 大吉 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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