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優勝した南アフリカのデクラーク選手が教えてくれたこと。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

一か月半にわたって熱戦が繰り広げられた、『ラグビーWC2019』、一昨日の決勝戦が終わって、私自身も大会に参加していたかのような感覚になり、少し力が抜けてしまいました。

このブログを書き始めてからすでに6年半が過ぎ、最近は読んでいる方から私に対する印象が変わってきたという感想も頂くようになりました。

良い意味でも悪い意味でも私と言う人間は、後先考えずに目の前のことに異常なほど集中してしまう人間です。
それを熱い人間だと言ってくれる人もあれば、何を言ってもいいと思ったら大間違いだとたしなめられることもあります。
それでもその時その瞬間、自分が感じたことを言葉にしてきました。

私が本当に熱くなれるのは、そうしなければならない必然があるときです。

ひとつは、相手がどうあれ与えられた仕事に於いて絶対に結果を出さなければならないという状況に置かれた時です。

広島に来てからの20年間は、基本的にこのスタンスで臨まなければならない、ある意味過酷な立場での仕事をしてきました。

絶対に結果を出させてみせる、そのためには綺麗事を言っている暇などないとばかりに、厳しさを前面に選手や組織に立ち向かっていました。

そこから離れて6年以上、そこまで熱くなれる対象がなくなってきたことで、自然に少しずつ態度や言葉もやわらかくなってきたのかもしれません。

そんななかでも、時には以前の感覚に戻り、厳しい対応をとったこともありましたが、それは私の本気度の表れであり、今の世の中では受け入れられにくくなっていることは分かっていましたが、結果を求められる対象であれば、まだまだ以前の私が顔を出すこともありました。

今回のWCラグビーを何試合か見ているうちに、心の中は以前の私に戻っていることを感じざるを得ませんでした、やはり私の本能は戦うことを求めているようです(笑)

さて、今回にわかラグビーファンとなった私ですが、やはり選手の身体の使い方という視点でプレーを見るという習性は変わることはありませんでした。

中でも優勝した南アフリカの『SHデクラーク選手』には当初から注目していましたが、ベスト4をかけた日本戦でのプレーから決勝戦までの3試合は、彼の動きばかりに目が行ってしまいました。

この6年間、世界のサッカー選手の動き分析から始まって、体格に劣る日本選手が、世界の一流選手たちとどうやったら対等に戦うことが出来るのか、そんなことばかり考え対応策を導き出してきました。

当初ラグビーに関しては、まさにそんな綺麗事ではなく、大きくて強い選手が有利であるという認識しかありませんでした。

それがデクラーク選手の存在を知りプレーを見続けることで、ラグビーという競技においても、私が提唱する体の使い方と言う概念は変える必要がないと確信しました。

YouTubeで見つけた、『ラグビー男爵』さんが『小さな巨人!ファフ・デクラークが最強すぎる!』と題してアップされていた7分51秒のスーパープレー集を見ながら、前半部分のいくつかのプレーにおけるデクラーク選手の体の使い方を分析してみました。

興味と時間のある方は、是非YouTubeの動画を見ながら、この記事を読んでみてください。

まずは1分40秒の部分から始まるシーンです。

相手ボールのスクラムから8番の選手がボールを持ち出し、スクラムの左側を回って前に走り出そうとした瞬間のプレーです。
デクラーク選手は相手のSHと並んだポジションに居て、ボールがスクラムに入れられた後、そのボールがどのタイミングでどこに出されるのかを注視して次の動きに備えています。

8番の選手がボールを持ち走り出そうとした瞬間、ボールをスクラムに入れた相手のSHの後ろ側を回り込むようにして、8番の選手に襲い掛かります。

体格的には20キロ以上大きな選手だと思いますが、走り出した右足が着地する瞬間、相手の右側真横から、私がいつも言っている人間の重心位置、骨盤の横の部分、大腿骨の大転子部分に斜め下から猛烈なタックルを浴びせます。

すると相手は姿勢が維持できず、重心が高くなってしまい、そのまま押され続けて倒されてしまいます。

一対一で30キロ以上かと思われる体格差の選手をたった一人で倒したのです。

このプレーにはいくつかの要素があって、どのタイミングでボールがスクラムから出てくるかという予測、8番の選手が走り出す前にすでに自分が走り出すという判断と動き出しのスピード、さらにはどのタイミングでどこにタックルするのかと言う瞬時の判断とその時の自分の姿勢、どれひとつとってもほんの一瞬の判断の遅れも許されないプレーです。

次は1分55秒からのシーン、相手ボールの小さなモール状態から、左へ横パスを出そうとした選手にタックルするシーンです。

日本戦でも見られましたが、相手もパスのタイミングを悟らせないように、相手の動きを見ながらためを作ってパスを出すはずです。

この時デクラーク選手は、見方が作ったディフェンスラインよりも一歩下がってポジションを取っていましたから、まさかその位置からデクラーク選手が飛び混んでくるとはパスを出そうとしていた選手も思わなかったと思います。

この判断と出足の速さも凄いの一言です。

ここでも低い姿勢から相手が対応できないタイミングでタックルに入っています。

次は2分32秒です、味方が作ったモールからパスを受け、右に一つサイドステップを踏み、いかにもパスを回すという体勢から一転して、右斜め前に走り出します。

対峙していた相手の6番の選手もパス以外考えられないという感じで、走り出した時まったく対応できませんでした。

このサイドステップからの前方への方向転換も、まさに重心移動での動きで骨盤の角度がきちんと取れているので、膝を無理に引き上げることなく足の回転を速くして走れています。

そしてもう一つ、2分40秒からのシーン、これも圧巻です。

位置関係はよく分かりませんが、かなり攻め込まれていてゴールラインが近い場所のように見えます。
目の前にいた相手の1番の選手、この選手はスクラムの一列目を担うチームの中でもおそらく一番体の大きな選手かと思います。

その選手がパスを受けそのまま体格を生かして前に突進しようとしているのですが、これはもう40キロほどの体重差があると思うのですが、その選手に対しても全くひるむことなく真正面からタックルするのです。

このシーンでも、相手の骨盤を下から持ちあげるように低い角度でタックルしています。

体格が大きく違うのですから、タックルを跳ね返されたり上からつぶされてもおかしくないと思うのですが、デクラーク選手は一瞬左膝を着きますが、そのまませりあがるように相手を持ち上げ、何と後ろに倒してしまいます。

映像が1番の選手の背中越しで、デクラーク選手の背中が見えませんが、間違いなく骨盤と背骨をしっかり反らせて、相手の圧力に対応しているはずです。

もし背中が丸くなっていたら、相手を倒すどころか、つぶされて下手をすると体を痛める結果になったかもしれません、それくらい体格差のある選手とのぶつかり合いでした。

全編7分51秒と言いましたが、この他にも信じられないようなシーンが続くので、ここまで書いたことを参考にして以降のプレーもそれぞれでああだこうだとデクラーク選手のプレーを楽しんでください。

これまでサッカーを中心として、体格差に関係なく体の使い方で対応できると言い続けてきましたが、デクラーク選手から「そんなこと当たり前だよ」と笑われているような気になってしまいました。

勿論こんなプレーが出来るようになるためには、それぞれの体に合ったトレーニングが必要だと思います。

彼は小柄だからできるのだではなく、もう一回りふた回り大きな選手が、いわゆるフィジカルやパワーといった概念にとらわれず、その体をどう生かすかという動きづくりに目を向けたとしたら、ラグビーの試合の中でどんなプレーが見られるのやら、想像しただけでワクワクします。

そしてデクラーク選手の一番の魅力は、その闘争心だと思います。

どんな状況でもどんな相手にでも、全くひるむことなく向かっていくその闘争心はまさに凄いの一言でした。

その激しさの中でもゲームの流れを読み的確に判断して、プレーを選択していく能力も素晴らしかったと思います。

デクラーク選手のプレーから、ヨーイドンの地点間のスピードはもちろん必要ですが、それ以上に一瞬の判断で自分が今どこへ動き出さなければならないのかと言う判断力と、それを可能とする体の使い方、いわゆるフィジカルの強さだけではなく、相手の重心をどうやって崩すかと言う大転子の意識、走るという行為そのものの体の使い方等々、私が試行錯誤を続けている諸々のことは、どんな競技にも当てはまることだと改めて意を強くしました。

久し振りに動画を何度も繰り返し見続けました、便利なものでYouTubeは25%までのスロー再生もできます。
人間の体の動きを観察し、「デクラーク選手だから出来るのだ」で終わらせず、誰でも真剣に取り組めば近づいて行けるようになることを証明していきたいと思います。

熱い気持ちを呼び起こしてくれたデクラーク選手に感謝です。

こうして私は頼まれてもいないことを真剣に考え続けてきたことで、いざ何かを求められたとき、どんなことにも自信を持って対応できる準備が出来ていると自負できるようになりました。

そしてまた、私を熱く本気にさせてくれる対象が現われてくれることを楽しみにしています。


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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
日々の気づきやブログの更新情報はツイッターに書いていますので、チェックしてみてください。
広島港旅客ターミナル2階のテナントスペースで、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
施術やトレーニング指導を行っていますが、私の技術と経験を伝える「西本塾」も開催しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報・募集中」をご覧ください.
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出版元からの購入は可能ですので、ガリバープロダクツ(代)082-240-0768までお問い合わせください。

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