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前十字靭帯再建術からのリハビリ、また一人長い道のりを一緒に歩き始めました。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

新型コロナウイルスの感染が、全国的な広がりとなって、いわゆる基礎疾患と呼ばれている糖尿病と10年以上の付き合いとなっている私にとっても、万が一を考えるととても他人事とは思えない状況となっていますが、来月には2週に渡って、大阪そして東海関東地方への出張の仕事が入っていますので、事態が少しでも好転して欲しいと願うばかりです。

今日のテーマは直接関係のある方は少ないかもしれませんが、膝関節を痛め『前十字靭帯再建術』という、選手生命を左右しかねない手術を受けた選手のリハビリの指導の話です。

『Studio操』を開設して6年半になりますが、同じケースはこれで3例目となります。

今回の選手は高校3年の女子選手ですが、2例目はなんと彼女の3歳上の大学3年の兄で、昨年の4月に約9か月間のリハビリを終えチームに完全合流したばかりでした。

連絡を受けた時には、なんでこの兄妹がこんなことになるのかと、親のような気持ちで驚くやら悔しいやら、複雑な思いでした。

二人とも学生ですから、プロ選手のような手厚い指導を受ける環境にはありません。
1か月ごとの定期検査で訪れる病院の医師と理学療法士の指導だけで、満足なリハビリを行うことは正直不可能です。

二人とも仲間の選手たちが同じようにけがをして手術を受けリハビリ期間を過ごしても、納得のいく指導が受けられないために、完全な状態で復帰できずに選手生命を絶たれたり、やっと復帰できたとしても同じけがで再手術を行わなければならなくなったという例を何人も見ているようでした。

この兄妹とお母さんの私に対する信頼は厚く、兄のリハビリの際にも私の指示通り、やらなければならないことはまさに一日も休まずしっかり取り組み、気持ちが焦って先へ進みたくなる時期にも、絶対にしてはいけないという指示も守り、確実に復帰への道を歩んでくれました。

過去様々なケガのリハビリを行ってきましたが、彼に対する指導はこれまでの経験と学んできた知識を最大限に生かして、万全を期して取り組みました。

今回もそうですが、その後の短い期間でも、より新しい知見はないか、リハビリのトレーニングで取り入れるべきものはないかと、その時その瞬間の最新の情報を探ります。

過去の経験だけに頼ることは、怠慢でしかありませんから。

兄妹で同じ右足の膝の手術を、同じ病院の同じ医師に執刀してもらい、手術後の報告によると関節内の形状や状況も同じ人間の再手術ではないかと間違われるほど似ていて、病院のスタッフも驚いたそうです。

まさに兄と同じ内容のリハビリを、時間の経過とともに行えばよいわけですが、再断裂を起こす可能性が圧倒的に女子選手の方が多いということで、改めて資料を整理してみました。

女子は男子に比べて筋力が弱く、加えて先天的に靱帯の柔軟性が良い意味でも悪い意味でも高いことで、競技レベルのスポーツに復帰しても、元のレベルの動きに戻れるか、課題は大きいようです。

男女の性差は別として、『前十字靭帯再建術』そのものについて詳しく調べていく中で、なぜ自分のハムストリングの腱を生きている組織から抜き取って、それを前十字靭帯という組織の代わりとして移植することができるのか、医師ではない私がそこまで考えても仕方がありませんが、術後のリハビリそして選手としての復帰を指導する立場として、本質的な部分を知らなければ、なぜ今これをやって欲しいのか、なぜこの時期にはこれはやってはいけないのかという説明を、選手が本当に納得できる形で自信をもってできるはずがありません。

まず自己腱を切り取った後その部分はどうなるのか、「トカゲのしっぽ切り」という言い方がありますが、切り取った腱はまさにトカゲのしっぽのように、時間をかけて失った長さまで伸びてくるというのです。

人間の体にはそうした修復力も備わっているようです、ただ強度という意味では10%程度落ちるということで、その分しっかり他の筋肉を強化することで対応できるということです。

では、前十字靭帯の代替えとして移植された靱帯がどうなるのかというと、自己腱とは言いながら、一度は生体から切り離されたわけで、そのまま前十字靭帯の機能を果たし続けてくれるのではなく、一度、阻血性壊死に陥り、その後そこに血管及び細胞の浸潤が起こり、やがて靱帯組織に再構築されるというのです。

言葉が難しいですが、噛み砕いていうと、断裂してしまった前十字靭帯の代用品として、自分のハムストリングの腱を切って抜き出したものを使って仮止めを行うと、なんとその仮止めとして移植した靱帯に、血管がまとわりついて栄養を送る準備を進めていくうちに、移植した靱帯自体は壊死してしまうが、それをもとにして断裂してしまった靱帯の細胞組織に近いものを作り出すというのです。

例えが難しいですが、家が壊れたので仮説の住宅を建てて当座をしのいでいる間に、外側には以前暮らしていた家と見間違うほど似ている立派な家ができていた、こんな感じで分かっていただけるでしょうか。

ですから新たな組織が、ある程度の強度まで完成するまでの期間、特に移植した靱帯が壊死してしまい強度が一度弱くなってしまう時期は、細心の注意が必要となります。

筋力トレーニングの効果で、膝周りがしっかりしてきたと喜んで無理をすることが一番怖いのです。

この人体生命の不思議な力というか、巧妙に仕組まれた復元力を知ることにより、はたして今行われているリハビリのトレーニングの内容が、体の内部で行われている修復作業とリンクしているか、それが一番の問題だと考えました。

まだそれほど長い歴史のある術式ではないと思うので、こうやれば万全というやり方は確立されていないと思います。
調べる限り医療機関によって、手術後の入院期間も2週間から4週間と幅広く、日常生活への復帰の期間もまちまちです。
復帰までの期間が短いことを宣伝文句のように使っているところもあります。

リハビリの目的が筋力アップと関節の可動域を回復させることが一義となってしまい、選手もはやる気持ちが抑えられずに、ついつい次のステップへと進みたがりますが、関節内部で行われている靱帯の再構築作業の進捗状況を考え、今できること今絶対にやってはいけないことを整理していけば、リハビリとして行うトレーニングの内容は自ずと決まってくると、今回彼女のリハビリを請け負いさらに良いやり方はないかと模索していく中で、その思いが強くなりました。

兄のリハビリとして行った内容に足らないところも付け足すことも、今の段階ではないと思っています。

戦う相手向き合う相手は筋肉ではなく、見ることのできない関節内部の靱帯そのものの再構築の進捗状況、これしかないのです。

そのことを常に意識しながら、また選手に意識させながら、一歩ずつ確実に階段を上って、再発どころかケガをする前よりも安心して動き回れる体にしてあげたいと、今年一年をかけて取り組んでいこうと思います。

信頼され期待されていることを実感することで、それ以上の何かを与えられる存在でいたい、まだまだ試行錯誤が続きます。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
日々の気づきやブログの更新情報はツイッターに書いていますので、チェックしてみてください。
2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
「西本塾」と「深める会」を開催しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報・募集中」をご覧ください.
「1回5分体が喜ぶ健康術」はアマゾンで在庫切れのことが多く、購入希望の方にはご迷惑をおかけしています。
出版元からの購入は可能ですので、ガリバープロダクツ(代)082-240-0768までお問い合わせください。

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