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そろそろ真剣に考えて欲しい、体作りのためではなく『動き作りを目的としたトレーニング』の重要性。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。
珍しく間隔を開けずに記事を書いています。

このブログを書き始めて、5月で丸7年になります。
最初の頃の記事を読み返すと、私の尖った部分が言葉の端々に見られ、私という人間に対して、他者へも勿論自分にも厳しいという印象を持たれた方も多いと思います。

しかし、どれだけ厳しい表現で声高に持論を訴えても、世の中の常識や固定概念を変える力にはなりえず、何としてでも強く発信していかなければというトーンから、分かる人には分かるだろう、必要としている人に何かヒントになればいいというスタンスに代わり、少しずつトーンダウンしてきたことは自分でも分かっていました。

ある意味自分らしくない当たり障りのないことを書き続けていることに、納得していないところもありました。

今日は久しぶりに、棘のある内容になることをお断りしておきます。

『体作りから動き作りへ』という、私の代名詞ともなっているまさに発想の転換を、特に競技としてスポーツを行っている選手を見続けてきた立場の人間として、発信することは私の使命だと考えました。

それは体作りを目的としたトレーニングこそが、競技力を向上させる唯一の方法であると信じ、トレーニングの効果を数値に求め、扱う重量や回数、結果として得られた肉体の変化を求めることを選手と指導する側の両方が、それ以上のことを考えていないと感じたことからでした。

しかし、そういう発想でトレーニングに取り組んだ選手たちが、求める結果に結び付いて行ったかを検証したとき、そうならなかった選手の方が圧倒的に多いことは明らかなのです。

一部の結果を残した選手のことだけが大きく取り上げられることで、その傾向は益々強くなっていきましたが、努力の甲斐もなく結果に結び付かなかった選手たちは、自分の努力が足りなかったと、方法論を見直すことなく自分を責めるという、なんとも日本的な曖昧な状態で消えていき、その後の検証が行われることなく、常識や固定概念に疑問を持つことをしてこなかった結果が今の状況を生んだのだと思います。

人間の体が動くということは、まぎれもなく骨盤から連なる24個の背骨が連携連動して、お辞儀をする後ろに反らすという前後の動き、体を横に倒すという左右の動き、そして左右に振り向くためのねじる動き、この6方向の動きをスムーズに行うためには、背骨の一つ一つの間に存在する椎間板という組織が柔軟で、骨と骨との間が一定の間隔を保っていることで、少し詰まったり(圧着)広がったり(離開)という動きを加えると、『6+2で8つの方向性』を持ち、一つ一つの関節が単独で運動することなどありえず、全身のすべての関節が連携連動することが、人間として持って生まれた体の仕組みであるはずなのです。

それが何時の頃からか、トレーニングの目的が本来しなやかに連動させるべき骨盤と背骨を、安定もっと言えば固定させることが大事であるという発想に変わってしまい、結果として6パックだ8パックだと腹筋の割れ具合を求めるトレーニングが良しとされたり、本来緊急避難時、体を守るために存在する体の前側の筋肉、代表は大胸筋ということになりますが、それらの見た目にかっこいい筋肉を鍛えることがスポーツ選手だけではなく、一般の方にも浸透してしまいました。

具体的に誰かの名前が浮かぶ表現にならないように書きますが、ある選手がオフの間に筋力トレーニングに励み、結果として体重の増加と筋力アップを果たし、満を持して臨んだキャンプ前半で、脇腹、おそらく外腹斜筋か肋軟骨だと思いますが、痛めてしまいリタイヤしてしまったというニュースを見ました。

この選手がやらなければならなかったトレーニングは、筋力を向上させることでも体重を増やすことでもなく、彼に最も必要な体を捩じるという動きを強くしなやかにすることだったはずなのです。

ケガをする直前のインタビューで彼自身の言葉からも、筋力を向上させたことで昨年以上の能力アップができたと思っているようでした。

7年間ずっと言い続けてきた、『体作りから動き作りへ』という意識改革は、残念ながら全く進んではいないのです。

数年前のことですが、以前から縁のあるコーチが腰椎分離症という診断を受けてプレーできなくなった育成年代の選手を連れてきたことがありました。

どんな競技でも背骨を捩じるという動きは絶対に避けられません。

昔体を捩じらないで使うということを標榜していた人がいましたが、例えば弓道の選手が弓を引くときの状態をイメージしてみてください、背骨なんか捩じっていないじゃないかと思うでしょう、しかし見た目には大きなねじりなど感じませんが、的に向かって90度右を向いて立った状態から、体の前で弓を引いたとき、的に対して顔は正対するはずです。

この時に骨盤から連なる24個の椎骨は正対したままですか、少なくとも首の骨は左へ90度近く捩じっていなければ、的を見ることはできませんよね、だから背骨は捩じられていると言っているのです。

それがサッカーの選手であれば、だれがどう見てもボールを蹴るときには上半身と下半身は逆方向に捩じられています。
本人が捩じっている感覚はないと言ったとしても、普通の生活をしている我々から見ればとんでもなく大きく強く捩じられているのです。


その選手が所属するクラブでは、トップチームから下部組織まで一貫して同じ思想で成り立っているため、コーチが私の考えに賛同してくれたとしても、体を安定させるという大義名分に沿ったトレーニングを止めることはできなかったのです。

あらゆる方向に動くことが要求される背骨、それを動かしてくれるのが仕事の筋肉を固めることを目的としたトレーニングを行った結果、極端な言い方をすればコンクリートで固めた中で、8方向への動きを要求された背骨がどうなってしまうのか想像してみてください。

ほかにも同じような例がたくさんありましたが、有名選手が行っている、他のチーム他の競技でもみんな取り入れているという理由で、後れを取ってはならずと何の疑いもなく今でも行っているチームや選手はたくさんいることでしょう。

真剣に取り組めば取り組むほどかわいそうな結果に結び付く可能性が増えるのです。

もう20年以上前、初めて社会人野球のチームで仕事をしたときに、最初に対応したケガが、スイングをした際に強い痛みが走ったという、先に取り上げた選手と同じ脇腹の痛みでした。

骨に根に異常がないと言われた割には復帰に時間がかかることで、選手はイライラが募りましたが、その前年までのそのチームの筋力トレーニングの方針は、まさに大きさ強さといった数値を求めるもので、彼はそういう意味ではチームでもトップレベルの筋力を持ち合わせていました。

それがプレシ-ズンのトレーニングでいきなりけがをしてしまったというのです。
復帰にも時間がかかりましたが、シーズンに入るとチームの主力選手として大いに活躍してくれましたし、自分のやってきたことにプライドはあったと思いますが、結果としてそうなったことと、私の言う体の使い方に沿ったトレーニングを継続したことで、これまでにない動きを実感できたことで、信頼は厚いものになっていきました。

これでは情けないと思いますが、大きな失敗を経験しないと人間はなかなか変われないものです。

世の中は筋トレブーム、老若男女問わず筋肉を鍛えることこそ高齢化社会を生き抜く鎧になると、街にはフィットネスクラブがあふれています。
妊婦さんのようなお腹で顔は二十顎では、正直自己管理のかけらも感じませんが、猫も杓子も腹筋がどうのお尻がどうのと眉間にしわを寄せてトレーニングを行うことはどうなのでしょう。

本来人間として使うべき体の使い方、骨盤から背骨を6+2の8方向にしなやかに連動させられるように準備しておくことこそがトレーニングということの本来の目的ではないでしょうか。

筋肉隆々の体ではない選手が、チームの主力としてかなり高い年齢でプレーを続けている例もあります、決して柔軟とは言えない体でしたが、それが彼が持って生まれた体の特性で、それをうまく使いこなせているということでしょう。
数値的な基礎体力で言えば彼に勝る選手はたくさんいましたが、選手としての能力は全く別物でした。

競技スポーツ選手は、その方向性と連動性に強さとしなやかさを求めることが必要となります、これが私が言い続けている『動き作り』の本質です。

体作りの対極として『ヨガ』も取り入れている方も多いと思いますが、ヨガの本質は修行であって、現在行われているものは、私にはいわゆる体を柔らかくするためのストレッチにしか思えません。

人間の体はそれぞれ遺伝的に、筋肉の腱の部分や靱帯そのものの形状や柔軟性は異なっています、強ければいい柔らかければよいという訳にはいかないのです。

そこを見極め、それぞれの体が持って生まれた能力を十二分に発揮できるように、『動き作り』という発想でトレーニングに取り組むことこそ、競技力向上という一番の目的に近づいていける最も有効な考え方だと思います。

毎年毎年この時期のニュースを見ると同じことの繰り返しで、〇〇トレーニングだとか最新の〇〇メソッドに取り組んだとか、オフの間に海外にトレーニングに行ったのに何の良い変化もしていない選手の現実に、7年間言い続けても何も変わらないと嘆いているより、一人でもそのことに真剣に向き合う選手や指導者が増えることを信じて、声を上げ続けようと思います。

今の立場では直接指導することはできませんが、報道に接するたびに悔しいというか残念な気持ちになってしまいます。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
日々の気づきやブログの更新情報はツイッターに書いていますので、チェックしてみてください。
2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
「西本塾」と「深める会」を開催しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報・募集中」をご覧ください.
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