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昨日初めて来所した競輪選手のトレーニング指導で、改めて気付かされた盲目的な屈筋志向の落とし穴。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

昨日の午前中、本人の許可を得ていませんので個人名が特定されないような表現となりますが、関西圏在住の競輪選手が、トレーニングの指導を受けに来てくれました。

現在縁あって、過去記事でも紹介した『千葉の山賀選手』『石川の八日市屋選手』など、5名の競輪選手の指導をさせていただいたことがあります。

そのきっかけとなったのは山賀選手で、彼の活躍に触発された選手たちが、中国四国また九州地区でレースの開催があると、わざわざ広島を経由して試合会場に乗り込んでいくという感じで、私の元を訪れてくれています。

今回も、そのうちの誰かに私のことを聞いて連絡してくれたのかと思いましたが、もう一年半ほど前に『Newspicks』の連載記事(これ自体はもうとっくに連載は終了していますが)を目にしたことから私の存在を知り、本も買って読んで頂いていたそうです。(残念ながらこのブログは読んでいなかったようです)

競輪選手としてのランクはS級2班と、A級一般を上がったり下がったりの状況で、今のままではこれ以上の成績を上げることは難しいと感じるようになったことで、私が発信してきた内容に改めて興味を持ち、何か自分のためになることがあるのではと行動を起こしてくれました。

競輪選手には、それこそ盆も正月もなく全国各地で開催されるレースに斡旋があると、よほどの理由がない限り参加しなければならない、シーズン制のない年間を通して行われている特殊な競技です。

いわゆる公営ギャンブルの一つですから、現在の各種スポーツやイベントが中止されている中でも、競輪場に観客がいなくても、インターネットで車券が購入できるため、普段通りにレースが開催されています。

さて、私が競輪選手に対して何を指導しているかということなのですが、一般の方の競輪選手のイメージは、我々からは想像もつかないような丸太のような太腿ではないでしょうか。

勿論、トップランカーであるS1に所属する選手からA3の選手まで、競輪学校の狭き門を突破し、厳しい訓練を経て競輪選手として活躍している選手たちですので、私のような細い太腿の選手などいるはずがありません。

自分の体だけが自転車を走らせるエンジンですから、選手になった後も日々トレーニングを重ね、その体に磨きをかけています。

現在全体で2200名ほどの選手がいると聞いていますが、私の目から見るとほとんどの選手が屈筋(特に太腿裏側と腹筋や胸筋)に頼ったというか、屈筋を重視しすぎた体の使い方をしているように見えるのです。

具体的に言うと、競輪選手が乗る自転車は『ピストバイク』と呼ばれ、前輪と後輪が直結されていて遊びがありません。
我々が乗る自転車はスピードが出れば、漕ぐのをやめても惰性で走り続けますが、ピストバイクはペダルとシューズを固定しているため、バイクが動いているスピードそのままに足を回し続けなければなりません。

ブレーキはついていませんから、止まろうと思ったら徐々に足の回転を遅くして自分の足でブレーキをかけなければならないのです。

私も一度宇品にある広島競輪場の体験会に参加して、ピストバイクに乗らせてもらいましたが、最後の1周と言われ、スピードを落としたつもりでしたが、係の方の前に来た時まだまだスピードが落とし切れておらず、あーっと思ったときには通り過ぎてしまい、もう1周することになってしまいました。

勿論私にはできませんがペダルを逆に踏めば、後ろへも進めるという構造になっています。

そんな仕組みのピストバイクですから、ペダルと踏むというより『ペダルを回す』という言い方がされているようです。

大きな推進力を得るためには踏み込む力よりも、膝をたたむ屈曲させる力が重要であるということが当然のように言われているようです。

まるでもっともな話に聞こえます、自転車以外の競技でも、一時期太腿の前後の筋力バランスが重要で、太腿の裏側ハムストリングスの強化が、競技力向上や肉離れ等のけがの予防にも大きく貢献すると、スポーツ医学の権威と呼ばれている人たちやトレーニングの指導者たちが、筋力を測定しそのデータから得られた結果だとして、そういう説が主流となっていました。

しかしです、あれからどれくらいの年数がたったか分かりませんが、その結果としてどれくらいケガが減ったとか、これくらいの競技力向上が見られたなどのデータを示してくれたのでしょうか、私が知る限り、そんな話は聞いたことがありません。

確かにバランスが悪いという表現は便利ですし、自分にも当てはまると思って、太腿の裏側の筋肉を人一倍の努力で強化した選手も多いと思います、でもその結果はどうだったのでしょう、思ったような成果はあったのでしょうか。

このことも、私が屈筋重視の体の使い方ではなく、伸筋重視の体の使い方の方が、人間本来の体の仕組みに沿った効率的で効果的な体の使い方であると言っていることの一つの根拠にもなっています。

これまでことあるごとに言い続けていますが、筋出力の分類としての『瞬発力・最大筋力・筋持久力』、そのどれをとっても伸筋の方が優位であることは、私の説明を聞いてくれれば誰にでも理解できることだと思います。

それをスポーツ科学の権威がそう言っているから、結果を残している選手がそう言うトレーニングを行っているからと、自分自身の問題としてなぜどうしてを突き詰めて考えることなく、盲目的に受け入れてしまうことで、結果として何ら良い方向へは進んでいかないという現実が突き付けられるのです。

競輪という競技はランクや競技場のバンクの大きさによって4周回から5周回、約2000メートルで争う競技です。
ラインと呼ばれるグループ戦でありながら、最後は一つでも前の着順でゴールしたいという個人戦でもあります。

当然持久力も必要ですし、途中何度かある駆け引きでは大きなパワーも必要で、何より4コーナーを回ってからの最後の直線では爆発的な瞬発力の持久力も要求されるという、様々な能力を兼ね備えていなければ結果を残し続けることはできません。

今回来所した選手に最初に聞いたことは、今現在自分の成績が上がらない原因は何かということです、これが分かっていなければ何を改善したらよいのか分かりませんから。

私がそれを聞かなければ相手のことが分からない、という意味ではありません、選手本人が問題点を整理していなければ先には進めないという意味です

本当は聞かなくても私にはその原因は見当がついていますから、意地悪な質問をする必要もないのですが、ただ体の使い方を教えてくださいという漠然として要求では、もしそれに応えられたとしても、それは私の考えを一方的に伝えたことにしかならないのです。

時間を無駄にしたくないのでその問答は短い時間で終わりましたが、予想通り選手本人の口から問題点が具体的に語られることはありませんでした。

それも想定内のことでしたので、基本的な体の仕組みや筋肉の構造、3-5-7理論や、屈筋と伸筋の働きの違いを説明することから始めました。
まるでチンプンカンプン、外国語でも聞いているような状態となりましたが、その部分の理解なしにトレーニングが成り立たないことも説明しながら、理論と実際に体を動かしての実体験を交えながら、伸筋重視の意味を伝えていきました。

自慢にもなりませんが、私の施設は大きなスポーツジムとは比較にならない小規模なもので、マシンも5種類しか置いていません。
しかし、それらの使い方と順番をきっちり守ってもらってトレーニングを行ってもらうと、前半で説明した内容が、なるほどそういうことかとどなたにも納得してもらうことができます。

そうやって頭と体が納得し、整理された状態の先にあるのが、昨日の方で言えば競輪という競技の体の使い方ということなのです。

『伸展からの伸展』という、なんとも漠然とした表現ですが、難しい話ではなく究極的にはその一言にすべてが集約されてしまうのです。

それぞれの競技を専門としている方々が、様々な体の使い方を考案し指導していますが、私が指導していることはそのもうひとつ手前の根本的な体の使い方の部分です。

一定レベルの選手たちであれば、既に行っていることかもしれませんが、それをきちんと整理して第三者に伝えられるかというと、残念ながらできていません。

戻るべき家がないから、迷ってしまいスランプやイップスなどという状況に陥るのです。

もしかしたら成績が上がっていた時にはすでに出来ていたことかもしれません。
それが何だったのか分かっていなければ、戻れる家がないのと同じです。

ペダルを踏みこむ際に膝関節を伸展させます、逆の足は膝を屈曲させてペダルの回転を助けてくれます。
どちらが主役であるべきでしょうか、当然伸展動作です、屈曲動作は無駄に大きなエネルギーを消費する割には思ったほどの筋力を発揮してくれません。

持久力もありませんから、頼れば頼るほど苦しい動きとなります。

膝関節の屈曲と伸展というレベルで考えるから、屈曲も使うべきだと思ってしまうのです。

ここで西本理論の真骨頂である、広背筋を介した骨盤と肩甲骨の連携連動、股関節の伸展動作から自然な膝関節の伸展動作を導ければ、その際の逆足の屈曲動作を意識する必要はないのです。

屈筋はブレーキの役割が主だと言ってきました、ブレーキをかけながらアクセルを踏み続ける動作は、どれだけ大きな負荷をかけたトレーニングを行ったとしても、ブレーキ性能を上げることはできても、気持ち良くアクセルを踏み込む動作にはつながっていきません。

2時間半ほど室内での指導を行った後、外に出て私のクロスバイクで、トレーニング前と後の体の動きの違いを実感してもらいましたが、あまりの違いに驚いていました。

自転車の違いこそあれ、基本的な構造は同じはず、今までの体の使い方で感じていたストレス、これこそ屈筋のブレーキだと思いますが、それがなくなっただけでこんなにスムーズに前に進むのかと、驚きを通りこしてキツネにつままれた状態でした。

一度だけの指導でどこまで身に付けられたかは分かりませんが、少なくとも進むべき方向性は見えたと思います。

こうやって自信を持って指導できるようになったのも、山賀さんはじめ地元広島のベテラン選手との日々のやり取りの中で、どうすればこの人たちのお役に立てるのかと試行錯誤を繰り返してきたことの賜物だと思います。

今回来られたタイミングがこの選手にとってベストタイミングではなかったでしょうか、私自身が自信を持って指導できる態勢にあったこと、選手自身がデビューしたての若さに任せた勢いだけでは勝てなくなってしまい、様々なアドバイスを受け本人なりに真剣に努力を積み重ねた結果として、何かを変えなければならないと思った、その何かが私の理論に中にあると感じたことです。

そして年齢的にも、この意識の変化で正しい努力を重ねていけば、さらにランクアップは十分に可能だと思います。

広島のベテラン選手が、自分もその年齢の時に私と出会いたかったとしみじみ語ってくれました。

競輪選手に限らず、自分の競技能力の向上に行き詰まりを感じている選手の皆さん、難しい技術を身に付けることを考える前に、もう一度自分が持って生まれた能力を十分に発揮できているかという基本の部分に立ち返ってみませんか。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
日々の気づきやブログの更新情報はツイッターに書いていますので、チェックしてみてください。
2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
「西本塾」と「深める会」を開催しています。
6月20・21日に行う西本塾の募集を行っています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報・募集中」をご覧ください.
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